Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

蟲の王子様

2009/03/27 12:51:38
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『蟲の王子様』
 


すなわち私の旦那様を決める試みを今日、行うわけだ。
平たくいえばお見合いなわけなのだけれど、あまりに希望者が多かったから、オーディション形式にしている。
まぁこれはポーズ、お見合いしてるフリに過ぎないんだけどね。
何で急にそんなことしてるのかって、実家が、お父さんお母さんがうるさいのよ。
婚期なんて、そんなもの私の勝手だし、いちいち目安に従って生きるだなんて、妖怪らしくないと思う。
だけど、親孝行したいときには親はなし、といいまして、まぁ顔を見るぐらいならってことで従ってあげたのだ。
集まってくれた虫たちには悪いけれど、某お姫様よろしく、あれこれ理由をつけて断ってしまうつもり。
はぁ、婚活って面倒だなあ……。



それじゃ一番の方、どうぞー。
あー、はい、ジョロウグモさん(♂)ね、あ、座ってもらって結構よ。
なんだろう。のっけからひどく噛みあってない感がぷんぷん漂うね。
あー、ごめんなさい、失礼、失礼しました。気を悪くしないで下さい。
えー、うん。クモ……ね。うーん、悪いけど私、クモって苦手なんだよねえ。
いやぁ、すらっと伸びた足とか、シンメトリーさはすごいカッコいいと思うんだけどね。
なんていうかその、食べられちゃいそうで――え? そんなつもりは毛頭ない?
だったらそんなに口開いて、牙をパクパクさせるのやめてもらえないかなあ。涎とかすごい垂れてるし。
うん、お尻をこっち向けるのもやめて欲しい。それは何、何なの。糸出す気なの? 捕食する気満々じゃないの?
あなたとの結婚生活はもって数十分、つまりあなたが私を消化するまでしか続きそうにありません。
よって却下。今回はご縁がなかったということで、はいさよならー。
……椅子に巣作ってやがった、腹いせか……?
しょっぱなからこれとか気が重いなあ。まぁいいや、次の方どうぞー。



はいはい、ミミズさん――って、でかっ! 気持ち悪い! すごい失礼だけどすごい気持ち悪いよ!
え? 妖怪化してるんだ。うわぁ、残念過ぎるなあ、その妖怪化の仕方。
特技があるんだ? あー、なるほど、野良仕事。うん、まぁ、ミミズだしねえ、そりゃ得意だろうねえ。
君の作った味噌汁を土に還したい。
そのプロポーズは斬新すぎるなあ。
ドキッとするけど、なんか深い意味があるんじゃないかってすごい考えちゃう。
君のためなら釣り餌になれる。
カッコ良いんだか悪いんだか、全然わからないとこをグレイズしてくるなあ。
そもそも、そんだけ大きいとカジキかクジラ相手にしか使えないと思うよ。
うーん、っていうかあなたってさ、虫なの? すごい微妙だよね。
その辺のやつらに訊いたらさ、半分ぐらいは「うーん、どうなんだろ?」って答えると思うよ。
というわけでごめんなさい。やっぱり私、立ち位置っていうかスタンスがしっかりしている殿方が好きだから。
あ、潜っていった。あのスキルは便利そう。



次の方どうぞー。えー、今度はなんだ。ん? いないの? あ、いた。
ノミ……?
でこぼこカップルってレベルじゃないでしょ。文字通り身の程を知ってください、お願いだから。
寝返り打って潰しちゃったりしたらすごい具合悪いよ。泣くに泣けないよ。
返事ないな。帰ったのかな……? 私、踏んでたりしないよね? あー、なんか気分悪い……。



気を取り直して、はい次ー。あー、あなた……ね。
あなたのしぶとさはねえ、うん、学ぶべきところはあると思うわ。
でもね、女の子をゲットしようって思うんだったらさあ、もう少し清潔さってものを意識してもらえないかなあ?
食中毒になってさ、感染源が「旦那の手料理」とか私、嫌。すごい嫌。
生理的嫌悪感でダメとかそういう話じゃなくってさ、夫婦なのにペットボトルの回し飲みも出来ないとかすごい気まずいっしょ。
新婚早々冷えきっちゃうでしょ、色々。成田離婚ならぬ保健所離婚。お互い不幸になると思うの。
うん、ごめんなさいね。あなたとはさ、響きあう部分がないわけじゃないんだけど、そういうことだから。
カサカサカサカサ。大人しく帰っていった。
気は良いやつなんだよなあ。たくましさもあるし。



次の方――うわ、飛んでる、すごい飛んでる。
落ち着いてー! ここは大丈夫だから! トンビとかカラスとかいないからー!
座って座って! っていうかとまって!
はい、はい。トンボさんねえ。ギンヤンマ? ああもうなんでもいいよ。
あなたはね、なんていうかその、落ち着きがなさ過ぎるっていうか、空中ですれ違い生活になりそうっていうか。
虫としてのコンセプトが違いすぎると思うんだよねえ。
え? なに? 実は変身出来ますって? ショッカーに改造されたんだって?
アレはトンボじゃなくてバッタじゃなかったっけ――あっ、帰ってった。
こういうときに見栄張ると恥かいちゃうんだよねー。



次の方――どう、ぞ――。ナニ……アレ……ギラッとして……。
鎌が――見え、た。あれは――あの鎌は。いやあ!
む、虫殺しぃー! 誰かっ! 誰かそいつをつまみ出してえええーっ!
はぁ……はぁ……。怖かったよぅ……。さすがの私も昆虫界のギャングと渡り合う勇気はないの……。

あぁ、もう疲れてきちゃったなあ。次で最後にしよう。
これだけの数を消化すればお父さんお母さんも納得してくれるでしょ。次の方、どうぞー……。



……え? あなた虫なの? どっからどう見てもそうは思えないんだけど。
なんですって。

本の虫。

へぇ~、そういうのもあるんだ。っておかしいでしょ! 駄洒落のつもりかっ!?
はぁ、まぁいいや。どうせあなたで最後だし。お話しぐらいは聞いてあげるわよ。
ん……? どうしたのそんなに咳きこんで、大丈夫?
喘息なんだ? なのにわざわざこんなホコリっぽいところまで?
私の顔が見たくて、だって?(顔が見たいも何もお見合いなんだけどなあ、これ)
ずっと前から好きでした、って初対面でそれはないでしょ。
昆虫図鑑に載ってた? ウソォ、冗談やめてよ。どれどれちょっと見せて。
……載ってるし……。ショウジョウバエとツーショットだし……。
誰だよこの図鑑編集したやつ……。
――お前かよ!
はぁ、それで特技は――魔法なんだ。ふぅ~ん。ね、何かやって見せてよ。
とっておきのがあるんだ? へぇ、大掛かりだなあ。
――わっ、すごい。すごい綺麗な虹! それもこんなに沢山! 素敵!
って……あれ、血が――大丈夫!?(そうだ、この娘喘息だったんだ……)
そんな、無理しなくても良かったのに……。
私にも負けない輝きを生み出してみたかった……って、見た目からは想像がつかないぐらいクサいこというなあ。
そもそも私、お尻光るわけじゃないよ?
え、笑った顔がすごい輝いてるって、そんな……、面と向かって言われると照れちゃうなあ、えへへ。
ね、あなたどこに住んでいるの? へぇ、図書館。ほんとに本の虫なんだ。
本とか、いっぱい置いてあるんだって? それは行ってみたいなあ、面白そう。
なっ、失礼ね。食べる気なんてないわよ。あいつらの味覚はほんとよくわかんないのよ。
それはさておき、今度遊びに行ってもいいかな? ほんと? わぁい!
ねっ、あなたいくつなの? 趣味は? 休みの日とか普段何してる?







あっ、時間? ああ、そういえばこれってお見合いだったんだ。
えーっと、どう見ても同姓だから結婚はできないけれど、お友達にならなれるかな?
お近づきの印に――キ、キス!? ちょ、ちょっと待ってよ。握手とかそういうのじゃダメなの?
ええと、うーん……おでこぐらいなら、ええ~? 『いやいや』ってそんなあ……。
なら、ほっぺた、ほっぺたで勘弁して! ねっ! あぁ良かった。そこがほんとギリギリだよ。
じゃ……じゃあいくよ?(うわ、目瞑ってるし、なんか照れるなあ)

せーの。





ちゅっ。









  
コメント



1.謳魚削除
パーチュリグッ!パーチュリグッ!!
お二方の道に幸あれっ!
2.名前が無い程度の能力削除
なんだこのリグルは。
けしからん、もっとやってくれ。
3.名前を表示しない程度の能力削除
>君の作った味噌汁を土に還したい。
この言い回しに腹筋崩壊ww
かっこいいと思わせておいて失礼すぎるだろwwww

だがパチュリーグ……もといパチュリグという組み合わせは想定外だったぜ!
4.GUNモドキ削除
突っ込みのリズムとセンスが素晴らしい。
あと、リグルがちゃんと「女の子」しているのが良かったです。
「ぼく」とか「おれ」は、どうもしっくり来ないんですよねぇ。
5.名前が無い程度の能力削除
無性にゴキブリを応援したくなった。
頑張れ、蝶頑張れ。
6.名前が無い程度の能力削除
味噌汁還すなwwwwwwww
7.名前が無い程度の能力削除
なんというかさ、ミミズさんでパ○○のシミ○君を思い出したよ。
パチュリグもいいけどミミズのインパクトが大きすぎるww
8.名前が無い程度の能力削除
女郎蜘蛛(♂)に初っ端から吹いた。
テンポ良過ぎるでしょこのお見合いw