Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

友達と話していたら出来上がっていたリレー小説的な何か

2009/03/27 01:21:06
最終更新
サイズ
7.33KB
ページ数
1

分類タグ


このお話はパラレルな設定です。
慧音てんてーは考古学者、永琳は薬剤師とか、製薬会社に勤めてらっしゃるとか、女医さんとか、保健医とかそんな感じです。
そして妹紅と輝夜は学生です。たぶん。しかももこたんが男口調だったりします。
あと「なにこの少女漫画臭?」なノリです。
そんなパラレルでも大丈夫という方はどうぞお進み下さい。
































 ある休日。
 空は晴れ渡り、だが日射しはそこまで強くない、絶好のピクニック日和だ。

 「……本当につまらないと思うぞ?」
 「いいのよ。私が行きたいって言ったんだから」

 車の運転をしながら、慧音は永琳に念を押した。
 来ない方が良いという言葉選びにもかかわらず、口調は少し嬉しそうだった。
 休日。恋人と二人きりでドライブ。ピクニック日和。
 この三つが重なったらこれは誰がどう見てもデートなのだが、これから行く場所はデートとしては一風変わっていた。

 「着いたぞ」

 車から降りると、でこぼこだらけの茶色い土が目の前に広がった。

 「そこまで大きくないのね」
 「教科書とかに載ってるような遺跡はそうないさ」

 そう答えながら、慧音は車のトランクに身体を乗り出して、いそいそと準備を始めていた。
 取り出したのは、プラスチック製の箕。その中にスコップやら刷毛やらが入れられていた。

 今日来た場所とは、慧音の仕事場。つまり、発掘現場だ。
 先日見つかったばかりだという割には、かなり掘り返されている。

 「こっちだ」

 両手がふさがっているので、慧音は視線で指示する。
 永琳は素直に慧音のあとに続いた。

 「勝手に部外者が入って良いの?」
 「誰もいないんだからバレないさ」

 休日まで土いじりをしよう思う人はいないらしく、言葉通り人っ子一人いなかった。
 規則に厳しい慧音だが、存外アバウトなところがある。いや、甘いと言った方が正しいだろうか。

 「ここで掘ってたの?」
 「まぁな。探知機が反応したんだが、何故か出てこないんだよ」

 慧音はすでに腰を下ろして、発掘体勢に入っていた。
 子どもみたいに目を輝かせているのを見て、永琳は苦笑を漏らした。

 「どうかしたか?」

 その挙動に気付いたのか、慧音がきょとんとして問いかける。
 永琳は、何でもないと軽く首を振った。
 慧音は特に疑問も持たずに、再び地面と向かい合った。












 暫く辺りを掘る慧音。
 『掘る』というよりは、『掻く』という感じだ。
 片手ねじり鎌で、地面を慎重に掻いている。

 慧音の額にはじわりと汗が浮いていた。
 作業量はないが、消費している集中力や精神力は物凄いらしい。

 真剣な顔をして地面と向き合う慧音。
 普段は厳しい顔で図面や書物に向き合っていることが多いから、こんな凛々しい顔は新鮮だ。
 カッコいいなと、思ってしまう。

 永琳は内心でほくそ笑みながら、静か過ぎる空間に身を任せる。
 地面を慎重に掘る音。
 慧音の静かで、でも力強い呼吸音。

 遺跡特有、というのだろうか。
 こういう所にはなかなか来る機会がないから分からないが、なんというか、神秘的というか、そんな匂いがする。
 湿った土独特のひんやりとした空気。でも、何処かあたたかいような気配。
 古い古い、長く生きた大木に触れている感覚と似ているかもしれない。

 永琳が時間が止まってしまったかと思うほどに、静かな空気を感じていると、ふと慧音の表情が一変した。

 「永琳! ちょっとこっちへ来てくれ! ほら! これ!」

 突然声を上げる慧音。
 その顔は子供が宝物を発見した時の表情だ。

 「え? どうし……」

 立ち上がり、慧音の傍へ行こうとする永琳。
 だが、湿った土に足と取られてバランスと崩してしまった。

 「きゃぁっ!」
 「永琳!?」

 転倒する永琳を、慧音は慌てて支える。
 しかし慧音も足を滑らせてしまい、体勢を崩した。

 (こっちに倒れたら……!)


 遺跡に傷を付けてしまうっ!


 慧音は更にわざと更にバランスを崩して、方向を強引に曲げる。
 思いのほか勢いがついてしまったようで、慧音は背中を強く打った。

 「っっ!」

 鈍い音が、永琳の耳にまで届く。
 慧音は呻いてはいたが、そんなに痛そうな顔はしていなかった。
 土が湿っていたお陰で滑ったが、湿っていて柔らかかったお陰で怪我もせずに済んだらしい。

 なんてことを冷静に分析しきり(一瞬の間にだが)、永琳は自分が慧音の上で、慧音に抱きしめられる形でいることに気付いた。
 同じように慧音もそのことに気付いたのか、顔を仄かに染めている。

 「ご、ごめんなさいっ! い、いまどくから……」
 「あ、いや……」

 慌ててどこうとする永琳。
 だが慌て過ぎて、また転倒した。

 「っ、ぁ!!」
 「わぁっ!」
 「ご、ゴメンなさいっ! ほ、ほんとにごめっ」
 「い、いいから。ここの土は少し滑りやすいし……」

 滑るので容易に動けない永琳は、一人でわたわたとしてどうしようかと悩む。
 永琳の下で泥まみれになっている慧音は、赤くなった顔をふっと緩めると、永琳の背中と腰に手を回した。

 「っ!?」

 抱き寄せられて、辛うじて四つん這いだった体勢まで崩す。
 永琳の綺麗な銀色の髪まで泥に汚れてしまったが、慧音は構わず抱き寄せ、泥のついた顔で永琳の頬に寄せた。

 「ふふ。大丈夫だから落ち着いてくれ」

 ぎゅっとしっかりと抱き締めて、慧音は上体を起こす。
 永琳は自然と慧音の膝上に座る形となった。

 「け、慧音……」
 「すまないな。泥塗れになってしまった」

 真っ白な白衣を着て、薬の調合をするために無菌室にいたりする彼女が、こんなにも泥まみれになってしまっている。
 その落差に、慧音は苦笑よりも笑みが零れてしまっていた。

 「泥まみれな永琳も、なかなか可愛らしいぞ」

 無邪気な笑みに、永琳は「もぉ……」と困った顔で呟く。
 二人して泥まみれ。
 土の感触は、童心を思い出させるというが、それは本当にようだ。
 気付けば永琳も笑っていた。


 二人して泥まみれ。
 服も顔も、髪の色も瞳の色も違うけど、でも二人で泥まみれだから。


 「まぁ、こんなもいいわよね」
 「何がだ?」

 永琳の言葉に首を傾げる慧音。

 なるほど。慧音が可愛らしいといった意味が理解できる。
 泥のついた慧音の顔も可愛らしい。

 永琳は「ふふ」といたずらっ子のように小さく笑った。
 そうして慧音の前髪を掻き上げると、額に口付けを一つ落とした。

 「だって、貴女とお揃いでしょ?」

 慧音は一瞬きょとんとして。
 でも、頬を緩めて楽しげに笑った。

 「……ふふ。そうか」

 離れていく永琳の唇を、笑みの形のまま、慧音の唇で追う。
 土臭さと一緒に、永琳の匂いが鼻腔を擽った。

































 「みたいなことしてるのよ、きっと」
 「アホか、お前」

 人に組み敷かれながら何いってんだか。
 妹紅は呆れた顔で輝夜を見下ろすが、輝夜は至極真面目だった。

 「だってそう思わない?」
 「思わねぇーよ。ってか、そんなことに興味ねぇ」
 「そうなの? でも、絶対に二人は今頃イチャイチャしてるわ。人目も憚らずに」
 「わぁーったって」
 「発掘っていっても、二人っきりで旅行って考えればそう悪くはないんじゃない?」
 「あのなぁ……」
 「……私も行けば良かったかな?」
 「…………」

 だから、組み敷かれてるって分かってんのか、コイツは?


 妹紅は「いい加減にしろ」というように、動きの止まらない唇を塞いだ。

 「んっ! ぁ、ちょっ、もこっ! んん、んぅ……」
 「……ぷはっ。もっ、お前いい加減にしろよ」
 「んはっ、ん……だって、心配なんだもん」
 「大人だから平気だろう? せっかくそのうるさい保護者がいないんだから、その……集中しろよな………」

 妹紅は赤い顔を逸らしながら、なんとかいう。
 恥ずかしがり屋で照れ屋で、それから意地っ張りで、素直じゃない妹紅がこんなこというのはなかなか珍しい。
 輝夜はくすりと小さく笑うと、両腕を妹紅の首に絡めた。

 「何に? あと、誰に集中すればいいの?」
 「……分かってんだろ」

 首に絡めた片腕を動かして、妹紅の髪に潜らせる。
 輝夜の華奢な指先が、頭を撫でるように妹紅の頭皮と刺激する。
 爪先が後頭部をさりさりとなでる。
 背筋にぞくりとしたものが滑り落ちた。

 「じゃぁ、集中させてよ」




 ――――アナタだけに。





 妹紅は誘うように笑っている輝夜に、不敵に笑った。

 「私しか感じないようにしてやる」



 耳許で悪戯に囁かれる声。

 もう、どうなったって知らない。
 生憎止めに入る大人はいないんだから。











END
こんばんは。プチの方では初めまして。最近東方にはまり始めた新参者の風愉菓子(ふゆがし)です。
今回はメッセにて友達のはらまき氏との会話中に「慧音てんてーと永琳ってよくね?」と萌え、いつしかリレー的な何か(会話文のみで、とても短いものではありましたが)にまで発展してしまい、このようなお話となりました。
前半ははらまき氏が付け足したり直したりし、中盤の修正と後半全般、それから最後のもこてるは自分が担当しております。
珍しい組み合わせですが、慧音と永琳の大人カプもいいんじゃないかと思い、UPさせて頂きました。
少しでも楽しんで頂けたのなら幸いです。
はらまき & 風愉菓子
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
タグw
そして甘っ!
2.名前を食われた削除
密かにけねえり推奨の私には嬉しいお話。
この設定で続きとか読んでみたい
3.名前が無い程度の能力削除
おつかれちゃん。原作キャラの名前使えば二次になるわけではないです。
4.名前が無い程度の能力削除
こりゃないわー
カプらせればいいってもんじゃないだろうに
5.名前が無い程度の能力削除
慧音×永琳はガチ
頑張ってくだしあ