「ふふふふ~ん♪」
「どうしたの?フラン」
「ちょっとね、前のこと思い出しちゃって」
前のこと、それは相当昔のことである。
彼女らはまだ小さい翼を羽ばたかせ、牙にもならぬ歯を生やしていた頃のことだ。
それはもう乳臭い、ハイパー乳臭い。英語で言うとHAIPA-CHICHIKUSAI。
つまり幼女の幼女時代、幼々女時代とでも言えばよかろうか。
とにかく可愛かったのである。いや、今もかわいい。
言うことはまだあるのだが、話を戻そう。
一般にフランは表に出たことがない、そう思われているであろう。
しかし昔は、たまに姉レミリアが妹フランドールを地下室から連れ出し、遊びに出かけることもあった。
無論、そのことがバレてしまえば姉レミリアは拳骨程度じゃ済むまい。
彼女自身、己のしたことが本当に恐ろしいことだったと気づいたのはずっと後のことであるが。
けれどもフランドールには少なからず良い影響を与えていたようにも思える。
それは今の彼女を見てもらえればわかる。
彼女の脳に鮮明に残る、綺麗な記憶を見ていただこう。
「ここ、ここ…よいしょ、よいしょ」
コウモリのような翼を生やした少女が牢の近くの不自然に置かれた植木鉢を退かす。
その下には少女の手に余る大きな鍵。それを手に取ると、牢の扉にぽっかりと開いた穴に挿し、くるりとまわす。
ガチャリ、音がし、重厚な扉は開かれる。
「フラン?」
「お姉さま…!?お姉さまー!」
「会いたかったよ、フラン!行こう!」
「うん!」
牢に繋がれた妹を連れ出し、外へ飛び出した。
月の明かりがぼんやりと辺りを照らす、優しい夜だった。
しばらく二人っきりの浪漫飛行を楽しんだ後、彼女らは手入れの行き届いた庭らしきところへ降り立った。
ここはレミリアが見つけたらしい、秘密の遊び場だという。
もっとも、何者かに手入れが施されている点で秘密かどうかは定かではないが。
「ここはね、私が見つけた迷路なのよ」
「ここがお姉さまの言ってた迷路?」
大きな瞳をいっそう輝かせて、はしゃぐ。
「そう!まだ誰も入ったことがないのよ…。私達が初めての冒険者になるの!」
「すごーい!!早く行こうよ!」
そんなことはない…のだが、そんなことはどうでもいい。
吸血鬼幼女たちの小さな冒険のはじまりはじまり、である。
一歩目。
「うひょー!」
「フラン!?」
「落ちた!お姉さま落ちた!助けてー!!」
「待ってて、今助けるから!」
んーしょ、んーしょ、と姉に引っ張られ穴から何とか抜け出した。
底には針が待ってるようなリアル志向じゃなくてよかった。本当によかった。
気を取り直して進む。
「ん…?なんだろう、これ」
看板が立っている。看板にはこう書かれていた。
←
右に進め
「矢印のカンバンね。左へいこう!」
「左かなあ…?」
ずぼっ!
「うひょー!」
「お姉さま!?」
「落ちた!フラン落ちた!助けてー!!」
「待ってて、今助けるから!」
んーしょ、んーしょ、と妹に引っ張られ穴からなんとか抜け出した。
底にスライムが待ってるような○○志向じゃなくてよかった。本当によかった。
気を取り直して進む。
途中りんごの木を見つけてりんごをかじったり、宝箱を見つけたり、きれいな石ころを拾ったりした。
しばらく進むとまたもや看板が立っていた。
「あ、カンバン」
「ほんとだ。どれどれ…」
この紐を使って二人三脚で進め。
「二人三脚…?変なのー」
「でも面白そう!やろうよ!」
「うん!」
レミリアは右足、フランドールは左足。お互いの脚をきっちりと結び、二人ぴったり準備万端。
「いくよ?せーの」
どしゃっ!
「いたーい…」
「フランは左足からって言ったでしょー!」
「言ってないよー!お姉さまが先に左足出してよ!」
「じゃあちゃんと決めよう。私は左足から、フランも左足から」
「わかった。じゃあ、せーの」
どしゃっ!
「痛いよ~!」
「なんで~?」
「あ、わかった。お姉さまが右足を出せばいいんだ」
「そうか!じゃあそれでいこう!いくよ?せーの」
ずぼっ!
「「うひょー!」」
ま た お 前 か 。
「お姉さま、うちのお庭がいいよう…」
「私も…」
その後お家のお庭でひとしきり遊んだ。もちろんこっそり。
しかし無常にも時間は迫る。
「もうすぐ時間だよ、フラン」
「やだ…」
「わがまま言わないで、フラン。また今度遊びに連れてってあげるから」
「ぶー…」
「ね、もう寝なくちゃ。おやすみ、フラン」
ぎゅぅっと抱きしめる。こうするとフランドールは落ち着いてくれる。
「おやすみなさい、お姉さま」
~~~~~~~~~~
「そんなこともあったわねぇ」
「私、いい子でしょ?だめ?」
「お外はまだダメよ」
「ぶー…」
「じゃあ今日は私のお部屋で眠るといいわ。たくさんお話を聞いてあげるから」
「じゃあ、そうする」
「どうしたの?フラン」
「ちょっとね、前のこと思い出しちゃって」
前のこと、それは相当昔のことである。
彼女らはまだ小さい翼を羽ばたかせ、牙にもならぬ歯を生やしていた頃のことだ。
それはもう乳臭い、ハイパー乳臭い。英語で言うとHAIPA-CHICHIKUSAI。
つまり幼女の幼女時代、幼々女時代とでも言えばよかろうか。
とにかく可愛かったのである。いや、今もかわいい。
言うことはまだあるのだが、話を戻そう。
一般にフランは表に出たことがない、そう思われているであろう。
しかし昔は、たまに姉レミリアが妹フランドールを地下室から連れ出し、遊びに出かけることもあった。
無論、そのことがバレてしまえば姉レミリアは拳骨程度じゃ済むまい。
彼女自身、己のしたことが本当に恐ろしいことだったと気づいたのはずっと後のことであるが。
けれどもフランドールには少なからず良い影響を与えていたようにも思える。
それは今の彼女を見てもらえればわかる。
彼女の脳に鮮明に残る、綺麗な記憶を見ていただこう。
「ここ、ここ…よいしょ、よいしょ」
コウモリのような翼を生やした少女が牢の近くの不自然に置かれた植木鉢を退かす。
その下には少女の手に余る大きな鍵。それを手に取ると、牢の扉にぽっかりと開いた穴に挿し、くるりとまわす。
ガチャリ、音がし、重厚な扉は開かれる。
「フラン?」
「お姉さま…!?お姉さまー!」
「会いたかったよ、フラン!行こう!」
「うん!」
牢に繋がれた妹を連れ出し、外へ飛び出した。
月の明かりがぼんやりと辺りを照らす、優しい夜だった。
しばらく二人っきりの浪漫飛行を楽しんだ後、彼女らは手入れの行き届いた庭らしきところへ降り立った。
ここはレミリアが見つけたらしい、秘密の遊び場だという。
もっとも、何者かに手入れが施されている点で秘密かどうかは定かではないが。
「ここはね、私が見つけた迷路なのよ」
「ここがお姉さまの言ってた迷路?」
大きな瞳をいっそう輝かせて、はしゃぐ。
「そう!まだ誰も入ったことがないのよ…。私達が初めての冒険者になるの!」
「すごーい!!早く行こうよ!」
そんなことはない…のだが、そんなことはどうでもいい。
吸血鬼幼女たちの小さな冒険のはじまりはじまり、である。
一歩目。
「うひょー!」
「フラン!?」
「落ちた!お姉さま落ちた!助けてー!!」
「待ってて、今助けるから!」
んーしょ、んーしょ、と姉に引っ張られ穴から何とか抜け出した。
底には針が待ってるようなリアル志向じゃなくてよかった。本当によかった。
気を取り直して進む。
「ん…?なんだろう、これ」
看板が立っている。看板にはこう書かれていた。
←
右に進め
「矢印のカンバンね。左へいこう!」
「左かなあ…?」
ずぼっ!
「うひょー!」
「お姉さま!?」
「落ちた!フラン落ちた!助けてー!!」
「待ってて、今助けるから!」
んーしょ、んーしょ、と妹に引っ張られ穴からなんとか抜け出した。
底にスライムが待ってるような○○志向じゃなくてよかった。本当によかった。
気を取り直して進む。
途中りんごの木を見つけてりんごをかじったり、宝箱を見つけたり、きれいな石ころを拾ったりした。
しばらく進むとまたもや看板が立っていた。
「あ、カンバン」
「ほんとだ。どれどれ…」
この紐を使って二人三脚で進め。
「二人三脚…?変なのー」
「でも面白そう!やろうよ!」
「うん!」
レミリアは右足、フランドールは左足。お互いの脚をきっちりと結び、二人ぴったり準備万端。
「いくよ?せーの」
どしゃっ!
「いたーい…」
「フランは左足からって言ったでしょー!」
「言ってないよー!お姉さまが先に左足出してよ!」
「じゃあちゃんと決めよう。私は左足から、フランも左足から」
「わかった。じゃあ、せーの」
どしゃっ!
「痛いよ~!」
「なんで~?」
「あ、わかった。お姉さまが右足を出せばいいんだ」
「そうか!じゃあそれでいこう!いくよ?せーの」
ずぼっ!
「「うひょー!」」
ま た お 前 か 。
「お姉さま、うちのお庭がいいよう…」
「私も…」
その後お家のお庭でひとしきり遊んだ。もちろんこっそり。
しかし無常にも時間は迫る。
「もうすぐ時間だよ、フラン」
「やだ…」
「わがまま言わないで、フラン。また今度遊びに連れてってあげるから」
「ぶー…」
「ね、もう寝なくちゃ。おやすみ、フラン」
ぎゅぅっと抱きしめる。こうするとフランドールは落ち着いてくれる。
「おやすみなさい、お姉さま」
~~~~~~~~~~
「そんなこともあったわねぇ」
「私、いい子でしょ?だめ?」
「お外はまだダメよ」
「ぶー…」
「じゃあ今日は私のお部屋で眠るといいわ。たくさんお話を聞いてあげるから」
「じゃあ、そうする」
うひょー!なんて落ち方は初めてですが、以外に良いですねぇ。
それはそうと私は子供の頃アリジゴクの巣穴に落ちたら足から体液吸われて死ぬっていう嘘を本気で信じていた事がありましたね。
うん・・・・・・坊やだったからさ。
幼女より頭に残っちゃいましたww何してて落ちるんですかwwww
なんか、生きる元気を得た気がする
何故落とし穴の底にスライム(白)を用意していなかったのか小一時間問い詰めたい
そしてやはり読み終えるて一番印象に残るのはうひょー!でしたw
一番気になるのは最近落とし穴に落ちたときの状況ですが。
落ちるれみりゃとふりゃんがかわいいよ!!うひょー!
僕は子供の頃、アリジゴクの巣穴はとても大きくて(直径10mくらい)、落ちたら砂に飲み込まれた後そのまま食べられて死ぬと思ってました。うひょー!
>2番の名無しさん
くそっ、僕には乳臭さが足りないッ!あ、僕が乳臭くても意味無いのか。
>3番の名無しさん
しんっですっ。
い、生きる元気なんて…私には余るほどの嬉しい言葉ですわ。
>4番の名無しさん
言わない、絶対言わないぞ・・っ!
落とし穴の下にスライムなんぞが待ち構えていたら、
「きゃっ!な、何これ…?お姉さま!気持ち悪いよぉ!」
落とし穴の底には、白く、ぶよぶよとした異質的存在が蠢いていた。
「待ってて、今助けるから! あっ、ひゃっ!」
「お、お姉さま!」
レミリアは必死に手を伸ばし、フランを引っ張りあげようとする。
しかし思った以上に力強いソレは、レミリアの細腕に巻きつき、いとも簡単に彼女をも引きずり込んでしまう。
「なんか…ぐにょぐにょしてて気持ち悪い!あっ…服の下に…!」
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
こんなお話になっちゃうじゃないですか!
>狂信者ギリメカラさん
お庭番が用意してくれたみたいです。うひょー!
僕ですか?僕は近所の公園の草むらで落ちました(地味に深め。30crnくらい)。
>6番の名無しさん
レミフラはぁはぁ。小さい娘が大きいものを必死に引っ張る姿ってなんかこう、きませんか?
確かにこういう世界もあるのかもしれませんね。何だかんだで優しいレミリア嬢に涙。
スカーレット姉妹に幸あらんことを。