※この作品には東方星蓮船のキャラが出てます。
それでもいいという方以外は回れ右をしてください。
多々良小傘は『人間を驚かす程度の能力』を持っている。
持っている……
そう、持っているはずなのだが……。
「うらめしや~」
今日も小傘は人間を驚かせようとする。
今日の相手は子供のようだ。子供なら驚くかもしれない?
「お姉ちゃん。そんな変な傘を持って何やってるの?」
「えっと……。驚かないの?」
「????」
「う……うわああああああああああん」
小傘はその場から走り出した。
「????」
後に残された子供は何が何だかわからず、けーね先生が探しに来るまでそこに立っていた。
「まずい、このままじゃまずいわ」
いろいろと方法を考えてみたのだが、どれもうまくいかない。
「こうなったら本気で原点回帰するかなぁ」
原点回帰。小傘は本来人間を雨から守る傘である。あの時何処ぞの人間に言われてからそれも考えていた。
「でも……最近雨ふらないし」
そう、ここのところずっと晴れである。時々雲っても雨はふってくることはなかった。
「そうだっ。ふらなければふるようにすればいいのよ。確か……山にそんなことができる神様が来たって聞いたことあるし、頼んでみようか」
そう思いつくと小傘は妖怪の山に向かっていった。
「もしも~し。誰かいませんか?」
途中、天狗やら河童やらといろいろあったが何とか神社までくることができた。
「は~い。参拝の方ですか? ご苦労様です……って、あなたはあの時の傘ですか?」
「!? あっ~~。あの時の巫女っ!」
「私は巫女じゃなくて風祝です。というか何しに来たんですか? まさか本当に暴れに来たんですか?」
「え!? 違う、違う」
戦闘の準備をし始めた早苗を見てあわてて否定する。また楽しく妖怪退治なんてされたらたまらない。
「? じゃあ何しに来たんですか?」
「うん。ここの神様にお願いしたいことがあって来たのよ」
「あ、そうだったんですか。お賽銭箱はあちらですよ」
「あのう、できれば直接お願いしたいんだけど」
「う~ん、生憎今はお出かけなさっているんですよ。お帰りになるまでどうですか、お茶でも」
「えっ? じゃあお言葉に甘えて」
小傘は早苗の後についていく。
「それにしてもどんなお願いなんですか?」
「えっと。雨をふらせてほしいのよ」
「はあ?」
「最近の人間ってば全然驚いてくれないのよ。今日も里の子供に不思議ちゃんを見るような目で見られて……」
「え~と」
早苗としてはなんでそれが雨を降らせて欲しいことにつながるのかわからない。
「だから私は原点回帰することにしたの。でも最近雨がふらないし……」
「そ、そうですか」
あの傘に入っている人間を見たら絶対驚くだろうと早苗は思った。作者も思った。
「あなたの場合は驚かせる方法が駄目なような気がしますが」
「う~ん、そうかなあ? じゃあどうやったら驚くの?」
「そうですね……」
早苗の目が怪しく光った。
「……例えば急に抱きつくとか?」
「うらっ!?」
「それでぶっちゅうと唇を奪い……」
「めしっ!?」
「最後にいただきま~す」
「やっ!?」
「ってな感じでしょうか」
「……」
小傘は顔を真っ赤にしている。
「……あの、冗談ですよ?」
「へっ? あっ、そうだよね。うん、そうだよね。あははははは」
「じゃあこちらで待っていてください。私はお茶をい用意しますんで」
「えっ? あ、どうも」
早苗は小傘を部屋に残しどこかへ行ってしまった。
一人残された小傘はしばらくの間顔を真っ赤にして何も考えられなかった。
しかし、落ち着いてきたら何だか悔しくなってきた。
「う~む。人間を驚かすはずの妖怪が人間に驚かされてどうするのよ」
小傘はどうしたら早苗を驚かせれるか考え始める。
よく考えてみれば初めて会った時にはボロクソ言われたものだ。
「あの時の仕返しもしたいわね……」
だが、考えても考えてもいい案が思い浮かばない。
そうこうしているうちに早苗がこの部屋に向かってきていることが足音でわかった。
「あー、もうっ!」
その時、小傘の頭にあることが浮かんだ。
「お茶請けはお団子でいいですk……!?」
驚かせる方法
その1:急に抱きつく
「な、なんですか? 急に……!?」
その2:ぶっちゅうと唇を奪う
「~~~~~!? なななななななな?」
その3:いただきま~す
「へ? ちょっ、まっ。わ、わああああああああ」
今日も幻想郷は平和です?
なんか目覚めそう・・・・・;
よし、採用。