「今日はめんどいから湯豆腐にしちゃった」
「それはいいんだが、霊夢」
「あ、魔理沙、そこに七味あるの、取って」
「いや、その前に」
「しーちーみー」
「あーもうわかったよ、ほれ」
「ありがと。よし、じゃあいただきまーす」
「待たんかい」
「なによ、文句があるなら家に帰って自炊しなさい」
「いや湯豆腐は美味しく頂くぜ。でも一言言わせてくれ」
「我がままね」
「……。で、その鍋敷きはどういうことだ」
「そりゃあ湯豆腐なんだからお鍋が熱いもの。鍋敷きくらい使うわよ」
「じゃなくて。私にはそれが妖怪バスターから出るお札弾にしか見えないんだが」
「うん」
「うん、って」
「だから、お札じゃない」
「うおおおおい!? マジでお札かい!」
「えー? 何を今さら。ずうっとこれ使ってるわよ」
「お前、鍋敷きを弾にして妖怪退治してたのかよ……いや、弾を鍋敷きに使ってるのか……?」
「どっちでもいいわよ。せっかく作った弾なんだから、利用できるものに利用したほうが良いでしょ。それ、硬いし断熱性があるから鍋敷きにぴったりなの」
「うわー! よく見たら私が尻にしいてる座布団も博霊アミュレットじゃないか!?」
「え……知らなかったの? だって、ずっとこれのこと座布団座布団って言ってたじゃない……」
「見た目で言ってたんだよ! 本当に座布団として使ってるなんて思わないだろ……」
「もういいから、湯豆腐食べなさいよ。はい、七味」
「あ、ありがとう……。なあ、もしかしてこの箸、パスウェイジョンニードルじゃないよな」
「ご名答」
「ああああああああもおおおおおおう! ……なんか、箸とか座布団とかで退治される妖怪たちに同情したくなってきた……」
「そんなこと言っても、世の中には人形を投げつけてくる奴もいるし、キュウリを弾幕にする奴もいるし、あとは心臓を飛ばしてきたり、テトリス棒落としてきたり、ふぐ刺し投げる奴もいるし、二層式洗濯機で弾幕作る奴だっているらしいじゃない」
「いや……他のはともかく、二層式洗濯機はなんか違くないか……?」
「ほら、冷める前に食べるわよ」
「わかったよ……。む、なんか今日の湯豆腐やたら美味しいな」
「ほんとだ、おいしい」
「え、ちょ、これほんと、今まで食べたことがないくらい美味しいぞ。……でも、なんか、七味が辛くない気がする」
「うーん? ……あ、しまった、七味のビンに別のもの詰め替えてたの忘れてた」
「別のもの?」
「夢想封印の弾」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおいいいいィ!? た、食べた! 夢想封印食べちゃったよ私! そりゃ食べたことない味のはずだよ! って納得するかあああああああああああああああ!!!」
「さっきからうるさいわねぇ。あんたの星弾だって食べれるじゃない」
「あー……、うん、まあ、確かに……」
「でも流石に食べたことなかったなぁ。こんなに美味しいならこれからも料理に使おう」
「おまっ、食べたことないもの私に食べさせたのかよ! っていうか、大丈夫なんだろうな……? おなかの中で爆発したりとかしないよな……?」
「んー? 大丈夫でしょ。そう簡単に爆発なんてしないわよ。そうね……、もしもの話だけれど、今ここに空気の読めない妖怪か何かが突然現れて、私たちを驚かせて、驚いた拍子に魔理沙が手を滑らせて今持ってる七味のビンを高速で投げ飛ばしてしまってどこかにぶつけない限り大丈夫だと思うわよ」
「は、はは、はははは。まさかそんなことになるはずないな。じゃあ大丈夫だな」
「そうそう。ありえないありえない」
「天井裏から突然こんばんわー! 清く正しい射命丸です取材に来ました!!」
「ぎゃー! びっくりしたー!」
「あっ、手が滑っ」
「避けてー!!」
「えっ」
駄目かな………
しーちーみー言う霊夢がかわいかったです、はい。
食べ物で遊んじゃだめッ!
ねえ、ホント、幻想郷ってネタには困らないですよねぇ。