隠居が終りそうです作者: 脇役

　綺麗に晴れ渡った青空の下
「さあ、洗濯も無事に終って表に干したし」

　私はボロボロになりかけている傘をさしながら
　洗濯物を干し終えて額に薄っすらと掻いた汗を拭って

「ご飯を食べる事にしましょう」
「にゃあ！」

　このボロボロの一軒家に住み着いたもう一人の同居人に
　そう声をかけて家の中に戻る事にした

　えっ？私のは誰かって？…レミリアよ？忘れたの？
　まあいいわ、とりあえず今は色々と楽しくやっているのよ
　……ご飯食べてく？一人分も二人分もあまり変わらないのよ

「にゃにゃ！」
「えっ？いけない！ご飯焦げちゃう！」

　６０日目…

　
「卵かけご飯最高！」

　昨日里に買い物に行ったら
　何時も贔屓にしているお店のおばちゃんから
　大量の鶏卵をプレゼントしてくれたから

　今日は鶏卵を使った少々贅沢な料理ね！
　んふふっ…この前泊まりに来た
　香霖堂の店主からもらった調味料もあるし
　今度柳川鍋にしようかしら？
　
　そうそう、あのお店が少しだけ繁盛するように
　運命操作しておこう…
　なんでも、店の向かいに大きなお店が出来たらしいから
「なんでもかんでも、大きければ良いって物じゃないのにね…」

　
「にゃう」
「ん？御代わりかしら」
　…少々態度が大きくなってきたわね
「なぁ～う♪」
　…こ、今回だけ見逃す事にするわ（なでなで）

　今日の食事

　卵かけご飯にほうれん草のお浸し
　そして、猫には猫飯…　

　６１日目

　今日は曇りだから、外に出るのは好都合
　家の持ち主である慧音に柳川鍋の話をしたら
　丁度その場に居た妹紅も賛成してきたので
「ドジョウを持ってきてくれたら招待するわよ？」と言うと
　二人とも私の住んでいる借家に明日来るらしい

　正直言うと、ドジョウを取るのは大変なので
　持って来てくれるのは有難いわね

　今日の晩御飯は月見うどん
　でも、外は曇っている…う～む残念
「…仕方ないから内職でもしましょう」

　うどん食べてから、お裁縫の内職を始める
　…ん～、槍なら得意だけど針って面倒ね…
「（ごろごろ）」
　…こらそこ、巻いてある糸球を転がさない！

　今日の仕事

　少しだけ歪だけど無事に縫い終えてノルマ達成
　…余った糸屑の塊で猫が丸まっている、私も寝よう

　６２日目

　今日は晴れ、頭に来るぐらいに良い天気
　今度、家の前に小さな畑を作ろうかしら？
　まあ、そんな事は置いてくとして

　慧音と妹紅がドジョウや野菜を持ってやってきた
　すでに下ごしらえは終えていたので
　すぐに料理に取り掛かることにする
　
　…料理を作っている最中に、二人に驚かれた
　まあ、最初の頃は御米も研げなかったし、仕方ないわよね
　美味しそうな匂いがしている鍋の中に卵で閉じて…
　さあ！出来上がり…

　こんなにも鍋が美味しそうだから

『頂きます！』

　全力で食べるわよ？

　今日の晩御飯

　柳川鍋…美味しかった

　６３日目

　まだ鍋の中には昨日の残りが残っている
　と言うわけで、その鍋に同じく昨日の残りのご飯を入れて
『柳川雑炊』
　…なんか来たわこれ！ああ、贅沢の極みね…

　さて、今日はどうしようかと思っていたら
　昨日慧音が置いていってくれた新聞があったわね
　…最近世俗的なことから離れていたから
　たまには、こういうのも読んでおかないとね

（おっと、まず初めに見るのは日付日付…っと）

　あら？まだ私が居なくなった事が書かれているわ
　ん～…フランの方がカリスマあるはずなんだけどな？
　まあ、これももうそろそろ下火になってくるはずね

　あら？最新の新聞だわ…え～と…
『紅美鈴…主を探し出して連れ戻すため動き始める』
　…
　……
　………
（ごしごし）
　よし、目を拭いたわ改めて

『本人曰く【殴り飛ばしてでも連れ戻す！】』

　ＯＫ…この新聞はガセね！裏の方にきっと文々。新聞って…

『白沢回覧板』

　げっ？これってすごく信憑性が高い新聞じゃない！
「や、やばいわ！」
　

　怒ってる…美鈴が怒っている！
　その事実がまず一番やばいわ！
　わかるでしょ？普段怒らない人が怒った時が一番怖いの！

　今からかなり前に、美鈴が切れた事があったわ
　あれは確か…面白半分で美鈴が飼っていた鶉が居た場所に
　赤いペンキを塗って、その鶉を別の場所に移した時の事
　切れた美鈴に濾山百龍波で博麗の大結界まで吹っ飛ばされたわ

（あの時の濾山百龍波…もとい千龍波で生死の境を彷徨ったのよ！？）

　切れた美鈴に近接格闘をするのは
　神主相手に『今日は私の奢りですよ』って言うようなものよ！

「…にゃう」
　って、何私の膝の上で丸まるのよ！
　はっ…そうだわ
「そうよ…まず落ち着かないと…」

　そうね、まずは落ち着く事が大事
　今、自分に何ができるのか考えないと…

「…寝ましょう」

　気がついたら夜も遅いわ
　まずは体の疲れを全て癒さないと…

　今日の私…

　まだ慌てる時間じゃない…

　６４日目

　朝起きる…今日は雨が降っている
　考え事をするには丁度いい日ね
　寝ている時に考えたわ、私にできる事

「運命予知！」
　さあ、どんな運命が待っているのか…

１このまま気にしないで生活した場合　

　回答

（家に中にいる事を気で察知されて
　まず『禊』にて家の上空から奇襲
　その後、つかまれて『山吹色の波紋疾走』）

　…えっ？待て待て待て！
　波紋なんか食らったら私死ぬじゃない！？
　吸血鬼なのよ！？咲夜じゃないのよ私！？
『お前の攻撃が一番ぬるいわ！』って言いながら
　時を止めたり出来ないんだから！

「次…」

２逃げる

　回答
（その場は逃げれるが、逃げ場が無くなっていき
　結局掴まってから『トキバスケコンボ』
　気絶しても終わる事の無い無限ループが始まる
　最後に両手からビームで完全に沈黙させられる）
　
　なに…それ…美鈴私を探し出して殺す気？
『トキバスケ』って…私なにか悪い事した？
　紅魔館の事思ってひっそりと消えたのに
　何でわざわざ探し出そうとするの？訳ワカンナイ！

「…まだ何か方法があるはずよ…」

　頑張れ私…何とか生き残る方法を…

　回答
　北斗百烈拳→ＫＯ

　回答
　逃げ出すの見てからの昇竜拳余裕でした→ＫＯ

　回答
　超元気球→完全消滅

　回答
　下下上前前＋正拳突き→断末奥義
　
　アルティメットＫＯ、絶命奥義、バーサーカーソウル…

「う～（泣）」
　ねえ、私何か悪い事した？
　なんでこんな運命ばっかりなの？
　生き残れないの？死ぬの？

「な～う」
「…ん、慰めてくれるの？」
　猫に頭撫でられた
「なう」
　…はあ、こいつは気楽で羨ましいわね

「…そうね、まず何時美鈴が来るかを調べないと」

　今日の私…

　生き残る為の情報を得る
　猫の優しさに触れる
　

　６５日目

　……一晩色々と運命を垣間見てわかったこと
「…運命を見るのはやめるわ」
　分からないことこそが、運命を切り開く事になる
　そしてわかっている事が一つ
　
「これが…最後のご飯になりそうね」
「にゃ～？」
　今夜…美鈴が此処にやってくる事がわかっている
　その前に少し早めの晩御飯を食べておく

　メニューは少し前と同じ
「…腐ると困るから…一杯食べておきなさい」
「にゃ～ん♪」
　ご飯に味噌汁…それに虹鱒の干した物のあまり
　非常食のはずだけど、そんな事を気にする事じゃないわね
（なにせ…この生活の最後になるのだから…）

　……さあ、肌がピリピリしてきたわ…
　もうそろそろ狂える暴恐星が此処にやってくる
　そして、私がそれに対して取るべき行動は…
「いい？すぐにこの家から逃げなさい」
「にゃう？」
「…危ないから…」
「うな～」
「…だから～…伸びてないで逃げなさいって…」

　はぁ…知らないわよ？貴方が消える事になっても
　あ、そうだ…
「ちょっとこっちに来なさい…」
　猫の背中に私がこの家で生活してきた記録であるこの日記を託す
　…そして、私の最後になるかもしれない運命操作で…

（…慧音の所に行きなさい）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日記は此処で途切れている

隠居が終りそうです

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