※この話は、「可愛い可愛いフラン」の最後で書いた、フランと魔理沙の子供が産まれるまでを書いたものです。苦手な方はバックしてください。
「……魔理沙とフランドールが……結婚?」
七色の魔法使い、アリス・マーガトロイド。彼女は信じられないと言いたそうな表情で聞き返す。
「ええ、しかもできちゃった結婚。子供が産まれた後に式は開くみたいよ。因みに予定日は今日ね?」
アリスよりも少し背の高い少女がその旨を伝える。その事を聞いたアリスは、運んでいた紅茶の葉が入っている箱を落とした。
アリスの瞳は、信じたくないと云う感情が伝わるほど悲しそうな目をしていた。
「う……嘘よね……?確かに魔理沙とフランドールは仲がよかったけど……結婚なんて……だいたい…魔理沙は人間で…寿命が…」
「捨虫の術なら、昨日魔理沙が完成させたわ。」
アリスは、その瞳に涙を宿した。どうして私を選ばなかったのか?どうして私に頼ってくれなかったのか?後者は完璧に無理だとわかっていた。わかっていたが頼ってほしかった。
自分自身を問いただしながら涙を零す。そんなアリスに、霊夢はそっと頭を撫でた。
「恋は賭よ。のるかそるかの大博打。…恋をした時点で、振り向いてくれなかったらスッパリ忘れるって事を覚悟しないといけないわ。賭にのったんだから…それくらいのコインは入れないとね。」
諭すように語り続ける霊夢。アリスはただ涙を流しながら頷いていた。
「だから…スッパリ忘れて、友人として魔理沙を祝ってあげて?それが……今のあんたにできることよ。」
「私に……できること……」
霊夢の言葉を聞いたアリスは、自分の服の袖で目を強く拭くと、何時ものような態度で言葉を紡ぐ。
「…まったく……仕方ないわね…。見てなさい魔理沙!ずっとずっと、絶対に忘れられない!そんな結婚式にしてあげるわ!」
拳を高々と上げて宣言する。アリスはもう大丈夫ねと呟いた霊夢は扉へと向かった。
「じゃあ私、そろそろ帰るわ。魔理沙の所に祝いの品持ってかないといけないしね…」
「あ…霊夢っ。」
「何?」
「……ありがとう、吹っ切れたわ。」
「どう致しまして。お礼は……お賽銭で。」
「はいはい、霊夢らしいわね。」
手を振って帰って行く霊夢。アリスはそれを見届けると、二体の人形を取り出した。片方は魔理沙の、もう片方はフランにそっくりな人形を。
その人形を片手に抱え、自作のクッキーが入った袋を持ったアリスは自宅を後にした。悪魔の住む館であり、淡い恋心を抱いていた相手が居る紅魔館へ…。
「フラン…最初に比べるとだいぶお腹が大きくなったな。」
「うん♪…この中に…魔理沙と私の命が有るんだね…」
優しくフランのお腹を撫でてやる。魔理沙とフランが初めて交わった日から二年。魔理沙とフランはまた交わり、その腹に御子を宿した。
フランは腹に宿した御子を産みたいと言っていたが、フランの体は小さすぎて出産に耐えられないとわかっていた。だから魔理沙は、この日が来るまでに「身体年齢を上げる魔法」を開発して少しでもフランの負担を抑えようとしていた。その術も無事完成し、フランは今普段より大きめの服を着ていた。
「魔理沙、あなたにお客さんよ。」
「私にか?わかった、直ぐに行く。場所は広間だな?」
「あら、言わなくてもわかるのね?」
「私を見くびってもらっちゃ困るぜ?咲夜。じゃあフラン……少し行ってくるな?」
「うん、行ってらっしゃい。」
笑顔で見送るフランにキスをすると、魔理沙は外に出た。
「毎日お熱いことで。」
その一言に真っ赤になった魔理沙は、顔を真っ赤にしながら、うるさいと怒鳴って広間へと向かった。
「魔理沙、おめでとう。これ、お祝いの人形よ。」
「おう、ありがとうな。へぇ…私とフランそっくりだな。」
「当たり前じゃない。私を誰だと思ってるの?」
広間で待っていたのはアリスだった。祝いの言葉と祝いの品を受け取った魔理沙は、素直にお礼を言った後紅魔館にくる前のように、アリスの作ったクッキーを食べながら談笑を始めた。
「で?どうして女同士で子供が?」
「い……いきなり突っ込んだ話だな…」
「だって聞きたいじゃない。」
「……はぁ……。反陰の術だよ。」
「反陽の術?」
「陰陽道において、女性は陰気、男性は陽気を司るものなんだ。で……その陰を反転させたわけだから…」
「陽の気で……男性になったってわけね?成る程……ようやく理解でき…」
「魔理沙大変よ!妹様が!」
アリスが言葉を発しようとした時、咲夜が扉を蹴破らん勢いで入って来た。
「産まれそうなのか!?」
「ええ、今酷い陣痛に堪えてるわ。早く!」
「ああ!というわけでアリス……今日はもう…」
「わかってるわよ。赤ちゃん、産まれたら見せに来なさいよ?」
わかったと告げると一気に飛んでいく。そんな魔理沙を微笑みながら見送ると、アリスは紅魔館から去っていった。
「フラン!」
「っ……まり…さ…!」
扉を開けるなり、苦しそうなフランの姿を目の奥に映す魔理沙。
フランは、腹に宿した御子を産むため、今まで体験した事の無い痛みと戦っていた。
「フラン!しっかりしろ!私が着いてるから!」
近付いて術式を展開する。魔理沙は、身体年齢を上げる魔法をフランにかけた。
瞬間、フランの体が光り輝く。光が収まった時にそこにいたのは、20歳前半に成長したフランだった。痛みが少し和らいだのか、表情が緩む。
「あ……まり……さ…」
「直ぐに美鈴が永琳を呼んでくるからな…それまで我慢するんだ。」
優しく手を握ってやると、フランは力強くとまではいかないが、しっかりと握り返した。
フランが痛みに顔を歪める度に、魔理沙は自分の心が引き裂かれそうな感覚にみまわれた。
どれだけ時間が経っただろうか。魔理沙はフランが痛がると励まし、弱音を吐くと叱責してフランを支えていた。どれだけの時間が過ぎたか、地下室の扉が開き、永琳が現れた。
「患者はどこ?」
「こ、ここだぜ。」
「…後は任せなさい。優曇華!清潔なタオルとぬるま湯を用意してもらって!」
「はい!」
「魔理沙、アナタは外に出てなさい。」
「ああ…」
永琳に言われるがままに外に出る。鈴仙に他の部屋で待つように言われたが、地下室の前で座っていると言って動かなかった。
「魔理沙。」
「レミリア…?」
「アナタ、少し沈み過ぎよ。もっとしっかりしなさい。」
「……結局…私は何もしてやれないのかな…」
「十分フランを励ましてあげたじゃない。それでも不満?」
「……でも……っ!」
言葉を紡ごうとした瞬間 、思い切り頬を叩かれて壁に叩きつけられた。
「いっ!いきなり何するんだよ!」
「何時までもウジウジするんじゃない!アナタはスカーレットの名を受ける者!産まれてくる子供が心配しないよう、いつもの様な傍若無人な態度でいなさい!」
怒号が響き渡る。しかしレミリアの瞳には、どこか優しい光があった。
魔理沙は口元で微かに笑うと、勢いを付けて立ち上がる。
「まったく……お姉様に元気づけられるなんてな……。」
立ち上がり扉を見つめる。そのまま魔理沙は動かなかった。レミリアも同じく、扉を見つめて動かなかった。
何時間待っただろうか。1分1秒が凄く長い気がした。隣に立っているレミリアがウトウトし始めた時、扉の向こうから大きな産声が聞こえた。
レミリアはパッと目を覚まし、魔理沙と目を合わせる。魔理沙の瞳には、喜びの意味が込められた涙が溢れていた。
永琳が扉を開けて出てくると、直ぐに駆け寄った。
「な、なぁ!」
「落ち着きなさい。大丈夫、母子ともに無事よ。」
「本当か!?」
レミリアと一緒に中に入る。其処には、今まで浮かべた事も無いような優しい微笑みをしたフランがいた。大分疲労していたが、元気そうだった。
「よく頑張ったな……フラン…」
「まりさぁ……わたし…えらいかな…?」
「ああ…凄く偉いぜ……。レミリアも何か言ってやれよ…」
目元についた涙を拭いながらレミリアに誉めるように言う。レミリアも、自分の妹の成長に軽く涙していた。
「フラン…アナタは本当に強い子……よくここまで成長したわね…」
「おねえさま…」
口では大人ぶっているが、涙を拭く姿は子供そのものであった。しかし、誰も何も言わない。
咲夜は嬉しそうに微笑んでいるし、美鈴と小悪魔は感極まって泣いている。パチュリーもいつものようなジト目であったが、その瞳はどこか優しさを秘めていた。
紅魔の屋敷に赤子が産まれたというニュースは、直ぐに幻想郷中に知れ渡った。
近い内に、魔理沙とフランの結婚式と赤子が産まれた事のお祝いで盛大なパーティーがあるかもしれない。
「……魔理沙とフランドールが……結婚?」
七色の魔法使い、アリス・マーガトロイド。彼女は信じられないと言いたそうな表情で聞き返す。
「ええ、しかもできちゃった結婚。子供が産まれた後に式は開くみたいよ。因みに予定日は今日ね?」
アリスよりも少し背の高い少女がその旨を伝える。その事を聞いたアリスは、運んでいた紅茶の葉が入っている箱を落とした。
アリスの瞳は、信じたくないと云う感情が伝わるほど悲しそうな目をしていた。
「う……嘘よね……?確かに魔理沙とフランドールは仲がよかったけど……結婚なんて……だいたい…魔理沙は人間で…寿命が…」
「捨虫の術なら、昨日魔理沙が完成させたわ。」
アリスは、その瞳に涙を宿した。どうして私を選ばなかったのか?どうして私に頼ってくれなかったのか?後者は完璧に無理だとわかっていた。わかっていたが頼ってほしかった。
自分自身を問いただしながら涙を零す。そんなアリスに、霊夢はそっと頭を撫でた。
「恋は賭よ。のるかそるかの大博打。…恋をした時点で、振り向いてくれなかったらスッパリ忘れるって事を覚悟しないといけないわ。賭にのったんだから…それくらいのコインは入れないとね。」
諭すように語り続ける霊夢。アリスはただ涙を流しながら頷いていた。
「だから…スッパリ忘れて、友人として魔理沙を祝ってあげて?それが……今のあんたにできることよ。」
「私に……できること……」
霊夢の言葉を聞いたアリスは、自分の服の袖で目を強く拭くと、何時ものような態度で言葉を紡ぐ。
「…まったく……仕方ないわね…。見てなさい魔理沙!ずっとずっと、絶対に忘れられない!そんな結婚式にしてあげるわ!」
拳を高々と上げて宣言する。アリスはもう大丈夫ねと呟いた霊夢は扉へと向かった。
「じゃあ私、そろそろ帰るわ。魔理沙の所に祝いの品持ってかないといけないしね…」
「あ…霊夢っ。」
「何?」
「……ありがとう、吹っ切れたわ。」
「どう致しまして。お礼は……お賽銭で。」
「はいはい、霊夢らしいわね。」
手を振って帰って行く霊夢。アリスはそれを見届けると、二体の人形を取り出した。片方は魔理沙の、もう片方はフランにそっくりな人形を。
その人形を片手に抱え、自作のクッキーが入った袋を持ったアリスは自宅を後にした。悪魔の住む館であり、淡い恋心を抱いていた相手が居る紅魔館へ…。
「フラン…最初に比べるとだいぶお腹が大きくなったな。」
「うん♪…この中に…魔理沙と私の命が有るんだね…」
優しくフランのお腹を撫でてやる。魔理沙とフランが初めて交わった日から二年。魔理沙とフランはまた交わり、その腹に御子を宿した。
フランは腹に宿した御子を産みたいと言っていたが、フランの体は小さすぎて出産に耐えられないとわかっていた。だから魔理沙は、この日が来るまでに「身体年齢を上げる魔法」を開発して少しでもフランの負担を抑えようとしていた。その術も無事完成し、フランは今普段より大きめの服を着ていた。
「魔理沙、あなたにお客さんよ。」
「私にか?わかった、直ぐに行く。場所は広間だな?」
「あら、言わなくてもわかるのね?」
「私を見くびってもらっちゃ困るぜ?咲夜。じゃあフラン……少し行ってくるな?」
「うん、行ってらっしゃい。」
笑顔で見送るフランにキスをすると、魔理沙は外に出た。
「毎日お熱いことで。」
その一言に真っ赤になった魔理沙は、顔を真っ赤にしながら、うるさいと怒鳴って広間へと向かった。
「魔理沙、おめでとう。これ、お祝いの人形よ。」
「おう、ありがとうな。へぇ…私とフランそっくりだな。」
「当たり前じゃない。私を誰だと思ってるの?」
広間で待っていたのはアリスだった。祝いの言葉と祝いの品を受け取った魔理沙は、素直にお礼を言った後紅魔館にくる前のように、アリスの作ったクッキーを食べながら談笑を始めた。
「で?どうして女同士で子供が?」
「い……いきなり突っ込んだ話だな…」
「だって聞きたいじゃない。」
「……はぁ……。反陰の術だよ。」
「反陽の術?」
「陰陽道において、女性は陰気、男性は陽気を司るものなんだ。で……その陰を反転させたわけだから…」
「陽の気で……男性になったってわけね?成る程……ようやく理解でき…」
「魔理沙大変よ!妹様が!」
アリスが言葉を発しようとした時、咲夜が扉を蹴破らん勢いで入って来た。
「産まれそうなのか!?」
「ええ、今酷い陣痛に堪えてるわ。早く!」
「ああ!というわけでアリス……今日はもう…」
「わかってるわよ。赤ちゃん、産まれたら見せに来なさいよ?」
わかったと告げると一気に飛んでいく。そんな魔理沙を微笑みながら見送ると、アリスは紅魔館から去っていった。
「フラン!」
「っ……まり…さ…!」
扉を開けるなり、苦しそうなフランの姿を目の奥に映す魔理沙。
フランは、腹に宿した御子を産むため、今まで体験した事の無い痛みと戦っていた。
「フラン!しっかりしろ!私が着いてるから!」
近付いて術式を展開する。魔理沙は、身体年齢を上げる魔法をフランにかけた。
瞬間、フランの体が光り輝く。光が収まった時にそこにいたのは、20歳前半に成長したフランだった。痛みが少し和らいだのか、表情が緩む。
「あ……まり……さ…」
「直ぐに美鈴が永琳を呼んでくるからな…それまで我慢するんだ。」
優しく手を握ってやると、フランは力強くとまではいかないが、しっかりと握り返した。
フランが痛みに顔を歪める度に、魔理沙は自分の心が引き裂かれそうな感覚にみまわれた。
どれだけ時間が経っただろうか。魔理沙はフランが痛がると励まし、弱音を吐くと叱責してフランを支えていた。どれだけの時間が過ぎたか、地下室の扉が開き、永琳が現れた。
「患者はどこ?」
「こ、ここだぜ。」
「…後は任せなさい。優曇華!清潔なタオルとぬるま湯を用意してもらって!」
「はい!」
「魔理沙、アナタは外に出てなさい。」
「ああ…」
永琳に言われるがままに外に出る。鈴仙に他の部屋で待つように言われたが、地下室の前で座っていると言って動かなかった。
「魔理沙。」
「レミリア…?」
「アナタ、少し沈み過ぎよ。もっとしっかりしなさい。」
「……結局…私は何もしてやれないのかな…」
「十分フランを励ましてあげたじゃない。それでも不満?」
「……でも……っ!」
言葉を紡ごうとした瞬間 、思い切り頬を叩かれて壁に叩きつけられた。
「いっ!いきなり何するんだよ!」
「何時までもウジウジするんじゃない!アナタはスカーレットの名を受ける者!産まれてくる子供が心配しないよう、いつもの様な傍若無人な態度でいなさい!」
怒号が響き渡る。しかしレミリアの瞳には、どこか優しい光があった。
魔理沙は口元で微かに笑うと、勢いを付けて立ち上がる。
「まったく……お姉様に元気づけられるなんてな……。」
立ち上がり扉を見つめる。そのまま魔理沙は動かなかった。レミリアも同じく、扉を見つめて動かなかった。
何時間待っただろうか。1分1秒が凄く長い気がした。隣に立っているレミリアがウトウトし始めた時、扉の向こうから大きな産声が聞こえた。
レミリアはパッと目を覚まし、魔理沙と目を合わせる。魔理沙の瞳には、喜びの意味が込められた涙が溢れていた。
永琳が扉を開けて出てくると、直ぐに駆け寄った。
「な、なぁ!」
「落ち着きなさい。大丈夫、母子ともに無事よ。」
「本当か!?」
レミリアと一緒に中に入る。其処には、今まで浮かべた事も無いような優しい微笑みをしたフランがいた。大分疲労していたが、元気そうだった。
「よく頑張ったな……フラン…」
「まりさぁ……わたし…えらいかな…?」
「ああ…凄く偉いぜ……。レミリアも何か言ってやれよ…」
目元についた涙を拭いながらレミリアに誉めるように言う。レミリアも、自分の妹の成長に軽く涙していた。
「フラン…アナタは本当に強い子……よくここまで成長したわね…」
「おねえさま…」
口では大人ぶっているが、涙を拭く姿は子供そのものであった。しかし、誰も何も言わない。
咲夜は嬉しそうに微笑んでいるし、美鈴と小悪魔は感極まって泣いている。パチュリーもいつものようなジト目であったが、その瞳はどこか優しさを秘めていた。
紅魔の屋敷に赤子が産まれたというニュースは、直ぐに幻想郷中に知れ渡った。
近い内に、魔理沙とフランの結婚式と赤子が産まれた事のお祝いで盛大なパーティーがあるかもしれない。
がんばってください
話自体は少し強引なところもありましたが、良かったと思います。
続き期待しています。
もう「中に誰もいませんよ」はこりごりだ・・・
>>1様
有難うございます。では張り切って続きを書きたいと思います……冥界で。←
>>2様
すいません;魔理沙とフランとレミリアの絡みを書いていると、つい忘れてしまいました;作者失格ですね。
はい、今後は文章構成を考慮していきます。続きを楽しみにしていてください。
>>3様
そ、それは桂○葉!?私の中のアリスは純粋な娘なんですよ。ヤンデレにはしません。魔理沙とフランには幸せになってもらいたいので。