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特命門番長紅美鈴『永遠亭の野望』4

2009/03/15 03:08:05
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『おい――お前はこれを飲むな』
(な、なんで?)
『決まってるだろう?お前の方が若いんだ…軍の新薬は私が飲む』
(若いって…ほんの数歳しか違わない…)
『…うるさいなあ、代わりにこれやるから』
(あ、これって)
 

「うぐぇっ!?」
 夢の結末が頭に思い出た瞬間、気持ち悪さと頭の痛み目が覚めた
 仕事をした次の日は何時もそうだが、今回は余計に酷い…
 昨日は何も食べて居ないのだがそれでも吐き気は納まらない
(いけない…酷使しすぎた…)
 原因は良くわかっている、昨日の仕事のせいだ
 自分の周りの波長を全て操る事で
 あたかもその場に居ないように見せる荒技
 短時間でも精神の消耗が激しい荒技を長時間操ったのだ
 しかも、その状態で戦闘を行なったのだ
「うぐっ…げほっ!げほっ!」
 能力の過剰使用の代償として
 吐き気を催す程の頭痛に苦しめられていた
(眼が…痛い……)
 だが余りにも能力を酷使しすぎた
 何とか相手を撒いてこの部屋に戻ってこれたけど
 戻れた瞬間に、意識を失うように倒れた

 何故自分がこのような苦しい思いをするのか
 一つはこの場所を守るため…
 そのためには、汚れ仕事等は全て私が請け負おう
 
 もう一つは…償い
 ただ一人…友達に助けられ、否
(裏切ってしまった…助けられなかった友達)


「…ちゃん、朝だよ?」
 どうやら起きないといけない時間のようだ
 重たい体を押して起き様とする
「ストップ、寝かせてあげて」
「えっ、いいんですか?」
「…どうやら風邪みたいだから、ゆっくりと寝かせてあげなさい」   
「ええ?風邪なの!」
「だから後で消化の良いうどんでも持ってきてあげて?」
「はいはい、わかりました」
 痛みのために余りよく見えない目だが、言葉は聞こえる
 うれしい…此処には私の居場所がある…
 一度手放した私がもう一度掴む事が出来た居場所
(だから…守らないと…)

 そのためには、私は全ての罪を被って死んでも構わない











「…というわけです、お嬢様」
 草木も眠る丑三つ時…星も見えないほどの暗い空間で
 紅い髪をした男性が何も居ない空間で話をしていた
「なるほど…ますます永遠亭が怪しいって訳ね」
 何も居ないと思われていた空間から声が返ってきた
 よく見たら、その場に居るのは一匹の小さな蝙蝠
 この蝙蝠こそ、紅い屋敷である紅魔館の主
 レミリア・スカーレットその人の分身であった

「なんにせよ、これ以上の情報をえる為には
 一度永遠亭に潜ってみようと思っています」
「わかった、何かあったらまた言いなさい美鈴」
 紅い髪の男性が蝙蝠に敬意を払ってそう告げると
 その蝙蝠も頷く仕草を見せた

「さて、お仕事のお話はこれで一旦終わりです」
「とりあえず、情報の進展があって良かったわ」 
 そこまで話すと、二人の雰囲気が真面目なそれから
 一気に変わる
「もう暫く紅魔館には戻れませんけど…」
「それが一番問題なのよ」
 蝙蝠と化しているレミリアが美鈴にもわかる様に肩を落とす
「…何かあったんですか?」
「ええ、貴方が居なくてね…私の命が狙われているわ」
「まさか!?…紅魔館に侵入者が…」
 レミリアの言葉に、美鈴が真面目な表情に戻る
 絵柄としては何かを真剣に対応しようとする男性の姿
 その姿を見たレミリアがしてやったりと言った表情で笑む
「侵入者はいなけど…フランが『お姉さま!メーリンを何処にやった!』
 って言いながら私に殴りかかってきたわ…」
「い、妹様?」
 思わぬ展開に真剣だった表情が一気に緩む
「それに、門番隊からの署名とメイド隊からの署名…
 他にも紅魔館中から一杯苦情が届いていてその対応に私も死にそうよ…」
「あ~…その…」
 なんともいえない表情で額をぽりぽりと掻く美鈴
 そんな美鈴の表情に満足したのかレミリアがその胸元に飛び込む 
「えっ?」
 突然蝙蝠が飛び込んできたかと思うと辺りで待機したと思われる
 大量の蝙蝠も集まってきて 
「というわけよ…屋敷だと疲れるからしばらく此処で休む事にするわね」
 男装している美鈴の胸元に抱きつくレミリア
「…紅魔館どうするんですか?それにきっと咲夜さんも探してますよ…」
 連絡用の蝙蝠じゃなくて、本人がその場に居た事に美鈴が呆れる
 そんな美鈴の事など知ったことかという感じでレミリアが抱きつく
「大丈夫よ…あの子もしばらくは別の者に夢中だろうから」
 レミリアが心の中で笑う、あの瀟洒なメイド長が
 乙女になった相手が目の前の人物だとは
「それってどういう…?」
「いいのよ…それより美鈴分を今の内にとっておかないと
 明日も来る運命の苦情に勝つ事ができないわ」
「は、はあ…(なんでしょう?美鈴分って…)」
 美鈴の疑問を無視してレミリアが抱きついた
「…永遠亭に潜り込むのはわかったわ…でも
 貴方の居場所は紅魔館なんだからね?」
「…はい!」


 その言葉に、美鈴が力強く頷いた











「…ところで、何で左手を背中に回してくれないのかしら?」
「あ、左手に今、ルーミアちゃんが抱きついて寝てまして…」
「………(怒)」
「あ~、お嬢様ルーミアちゃんを引っぺがそうとしないでください!
 辺りの闇を形成しているのは眠っているこの子のおかげなんですから」

 星が綺麗な夜中…里の傍にある木の上
 そこにある球体の暗闇からそんな声が聞こえて来ていた
「……すぅ…すぅ…」
 それからしばらくしてから美鈴の膝の上で寝息が聞こえて来た
(私の居場所は紅魔館…)
 その言葉に美鈴が嬉しそうに微笑みを浮かべながら
(ありがとうございます…お嬢様)
 眠っている自らの主の頭を優しく撫でる
「ZZZ…満貫全席…なのか~…じゅる♪…」
「…随分と時間のかかる報酬ですね…」
 その隣で寝ているルーミアの寝言に美鈴が苦笑しながら頭を撫でた

(私の居場所は紅魔館…この任務を無事に終えて戻らないと)
 そのためには、汚れ仕事を全て請け負っても構わない
 そして、どれだけ罪を被っても生き残り紅魔館に戻る
 
(さあ、明日は永遠亭に潜り込む日ですから…私も仮眠を取らないと)
 任務遂行のためには休憩も必要である
 膝で寝ている二人を抱き寄せて、木の上で眠りに着いた














『ああ、私の気に入っている銃だ…』
 ああ、またあの夢の続きを見ている…
 友を裏切った時の悪夢を…

『そういえば、前に此処に居た奴に聞いた噂なんだが…』 
 知っている…軍のお偉いさんが勝手に人体実験をしていると言う噂

『まあ、戦績が優秀な者を実験対象にするなんて事はないだろう?』
 そう思うのが正しい…だけど戦場は狂気を生む
 そんな中に常識を求める事がおかしい

『…さて、命令だからな戦いの前に薬を飲めと言われている…』
 駄目…その薬を飲んだら… 

『だが、上も【薬を横取りしてはいけない】とは言っていない』
 止めて…貴方が……

『良いか?お前は生き延びろ…』





「うあああああっ!?」
 大声を上げて目を覚ます
(此処…ああ、またあの夢か)  
 どれだけぶりに見ただろうか…このような悪夢を
 まだ、此処に来る前の夢
(頭が…痛む…)
 何とかおさまる程度になってはいるが、まだコメカミの方が痛む
 思っている以上に能力酷使と戦闘による疲労がきつかったようだ
(でも、動けないほどじゃない)
 このぐらいの気だるさなら、動く事に支障はきたさない
 起き上がって服を着替えてから私は自分の部屋を出ると
 自分の居場所をくれた人の下に向かう


「あら、もう大丈夫なの?」
「あ、はい…もう大丈夫です師匠」
「そう…でも無茶をしたら駄目よ?優曇華」
「はい!」
 自分を気遣ってもらえるその言葉に力を貰らうと
 私がいつものように仕事をしようとする
 そんな私に、師匠が思い出したかのように声をかけてきた
「あ、うどんげ、今日は私の代わりに診療所でいてもらえるかしら?」
「えっ?」
 診療所といえば、怪我人を治療する為の場所
 見習いである私がその場に立つ事は余りないのだが
「大丈夫、緊急の患者以外なら貴方でも出来ると保障するわ」
 認めてもらえたという事でかなり嬉しいのだが
「で、ですが…師匠は何処に?」
 大切な仕事を置いて、師匠はいったい何をするつもりなのか
 私の言葉に、師匠が頬に手を当てて答えてくれた
「姫の子守りの仕事を請け負いたいって人が来たのよ」














 永遠亭の一室に手に包帯を巻いた人物がいた
 紅い髪を後ろで纏めて部屋の中に座って待っている人物
 つまりは、面接にやってきた男装の美鈴であった
(…ルーミアちゃんのおかげで思いの他、簡単に面接に漕ぎ着けましたね)
 
 実を言うと、右手に巻いている包帯の下には歯型が本当についてあるのだ
 木の上で仮眠を取っていたら、夢の中で
 美味しい物を食べていたらしいルーミアが…
「…むにゃむにゃ…わは~♪…頂きま~す…(ガリッ!)」
 抱きついていた美鈴の左手に全力で噛み付いたのだ

(…あたた、まだ痛む…)
 激痛で無理やり起された美鈴だが、膝で眠っていたレミリアと
 ルーミアを地面に落とす事だけはしなかった
 もっとも、飛び上がった美鈴のおかげで二人とも目を覚ましたのだが
(まあ、お嬢様も無事に帰られたみたいですし…)
 明るくなる本の少し手前の時間帯だったので
 寝ぼけ眼のレミリアを帰らせると

 歯型がついてダラダラと流血している美鈴の手にルーミアが声をかけた
「…ねぇ?怪我の治療に永遠亭に向かえば、
 怪しまれずに中に入れるんじゃないのか?」

 その作戦は成功した、ルーミアが美鈴を連れて
『齧ってごめんなさい!』と泣き真似をしながら永遠亭の中に入ると
 治療所に案内されて、その先に居た八意永琳と出会う事になったのだ

 怪我をした手を処置してもらう間に、自分が旅をしている庭師で
 何処かで路銀を稼ぐ所はないかとさりげなく伝えた所
『庭師!?…ちょっと待ってて頂戴!』
 と言われて、面接を受ける事になり今の状況にいたるわけである




「お待たせしました」
 美鈴が回想しながら待っていると、後ろから八意永琳が現われると
「色々と質問をさせてもらって、その結果で此方も雇わせて貰う事にするわ」
 美鈴にそう声をかけてから質問を開始した
「…貴方は子守は出来るタイプかしら?」
(さて、それでは面接を受けさせて貰いましょうか)


 数十分後、紅龍という人物が永遠亭で働く事になった
 決め手になったのは言うまでもなく
『結構頑丈ですから、ある程度なら無理が出来ますよ?』
 の一言と、部屋に乱入してきた輝夜の弾幕を受けて
『あはは…元気な方ですね~』
 と笑いながら立ち上がった事である
 
 どうも、脇役です…
 ホワイトデーに遅れちゃったね、皆ごめん

 やはり、長編物は気力が一旦途切れると中々考えが続かなくなるから
 続きを考えていくのが大変ですね~
 前の『恋人の祟り神』の時にも一日数行しか書けなかった事もあったので
 このお話もまた、随分時間がかかるか、もしくはまた頓挫するか…
 次は美鈴が永遠亭の中を探りうどんげと激突するかどうかって所で
 選択肢によっては、咲夜さんも出てくるかも?
 

 それともう一つ…ミスチーの飲み屋でミスチーの寝顔を肴に飲んで居た時に
 入ってきた人達の多かった事ww
(元気詐欺と呼ばれては…ねぇ?書かないといけないでしょw)
 今度は、起きているミスチーの屋台に誰かを
 数人ほど無理やり連れて行こうかと考え中です
 勝手に名前を借りるかも知れないので、先に謝って置きますねOTL
 来たい人は…感想に連絡くださいw(居ないと思うけど)

 さて…今から一杯引っ掛けに行きますか~







 おまけ(美鈴分満タン状態のおぜう様)


「ただいま~…むっ?殺気!」
 レミリアが紅魔館に帰ってきた瞬間に何者かが突っ込んでくる気配を感じ
「メーリンを帰せ!フルスイングレーヴァティン」
「スカーレットブリッジ!」
 溢れんばかりの知性とカリスマでのけぞってその一撃を避けた

「…やるわね、お姉さま…(え~!?あれで仕留めるはずだったのに~)」
「フランもやるようになったわね
(危なかったわ…美鈴分を取ってなかったら確実にこの首取られていた)」

「…フラン、此処だと迷惑になるから屋敷に入りましょう」
「…わかった…それじゃあ…あれで勝負よ!」 

 二人が屋敷の中に入ると、お互いの武器を持ち合い
「喰らえお姉さま!フルスイング!」
「甘いわね…叩きつけるだけが勝負じゃないわ」
 ベッドの上でお互いを枕で叩きあう決戦が行なわれた

(…美鈴の懐で寝ておいてよかったわ)
 フランの頭に渾身の枕を叩きつけながらレミリアがそう思った 
脇役
コメント



1.アイス削除
とうとう続きができたみたいですね
これからも楽しみです
がんばって下さい
2.名前が無い程度の能力削除
続き楽しみにしてました
イケメン美鈴の活躍に期待
3.薬漬削除
咲夜さんの恋はどうなるんだ!!!
4.名前が無い程度の能力削除
きた!特命門番長きた!これでかつる!
そーれ、いつもの通り持っていけぃ!
つ「気合」
5.名前が無い程度の能力削除
ずっと待っていました
続き楽しみにしています
6.名前を表示しない程度の能力削除
ついに特命門番長の続きが来たぁぁぁぁ!!
鈴仙と美鈴がはち合わせたとき二人がどう出るかにビンビン期待。

>元気詐欺と呼ばれては…ねぇ?
そんなコメントが確かにあったwww

というわけでいつものおいておきますね。
っ「やる気」「気力」
7.名前が無い程度の能力削除
タイトル見てからリアル絶叫余裕でした。
「きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

つ『元気』『気力』
8.名前が無い程度の能力削除
やっときたぁぁぁぁぁぁ!!!!!
待ってましたよ!

つ「気迫」「激励」
9.薬漬削除
前回のレスで置いていき忘れたのでやる気置いていきますね。
『やる気』『やる気』『殺る気』『やる気』『元気』『根性』
10.名前が無い程度の能力削除
何をおっしゃるウサギさん!前回の屋台に自分はいたのですよ?光学迷彩で。
ついに四つ目・・・。確か七話過ぎると美鈴の胸の北斗七星が露出するんでしたっけ?え?そんなことはない?またまたそんな。サラシ?はち切れますよ当然。

お守りだ。
つ[咲夜さんの胸キュン]
まさか続きが出てるなんて夢みたいだ。はは、やった!やったよ美鈴!!
「戦場で女の名前を呼ぶのはなぁ!死亡フラグなんだよぉ!!」
11.名前が無い程度の能力削除
なんだかあとがきのおぜう様にカリスマが感じられない・・・
俺の気のせいなんだろうか・・・
つ「フカヒレまん」「守体草」
守体草は体にいいらしいよ!
12.名前が無い程度の能力削除
きたきたきたぁあああああっ!!これで勝つる!!
とりあえずここ置いときますね!!
つ「気合い」
13.名前が無い程度の能力削除
危ない危ない、危うく俺の美鈴分も切れるところでした
14.名前が無い程度の能力削除
ふう、男装美鈴からはカッコ良さがにじみだしてていいなぁ。

つ「元気」「やる気」「わはー」
15.名前が無い程度の能力削除
やべえ、元気詐欺って言ったの私だww
コメントに影響力ってあったんですね…wごべんなさい

続編首長くして待ってたのぜ、頑張って書いてもらう為に脇役氏にはこれを渡します[ライスボール500個]
16.狂信者ギリメカラ削除
久々の美鈴分補充キタ!
これは渡さざるを得ないw
つ「やる気」「元気」
17.削除
これはいい。こいつを奢ってやろう        つ[やる気][ザ・ワールド][栄養剤グレート]
18.名前が無い程度の能力削除
やっぱり特命門番長は面白い!

さてと…これはプレゼントです
つ「やる気」「そーなのかー」「ウコンのチカラ」