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【それ逝け! 博麗おかげ組合 ~博麗神社の秘密~】

2006/02/15 08:20:36
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 年末年始の喧噪も漸く落ち着いてきた幻想郷。
 しかし、そんな俗世間とは全くといって良いほど関わりのなかった博麗神社。
 つーか、本来なら一番に関わりを持たないといかんのと違うか?
 まぁ、そんなこんなで博麗神社では、居候を決め込んだ面々が何やら深刻な面持ちで集まっていた。


「いやー、参った参った。霊夢の奴、賽銭で釣れば一も二もなく食い付いてくると踏んだんだけどねぇ」
「ホントよね。あれだけ貧困に喘いでいるなら、イチコロのはずなのに。何でかな?」
「何でもナニも、貴方達の余計な一言が原因じゃないのー。ああぁぁ、売り上げで『液晶カラーテレビ』買おうと思って
たのにー」
 社務所内であれやこれやと話し合っているのは、博麗に自発的に祀られている悪霊の魅魔,オカルトパワーで取り憑い
た騒霊のカナ・アナベラル,そして境内で魔法屋を営む魔女のエレン・ふわふわ頭・オーレウスの3名だ。
 彼女達は『博麗おかげ組合』を称して、博麗神社(とその巫女)にある程度依存した生活互助団体なのだ。
 まぁ、団体といっても構成員は4名ほどしかいかいけど。


 事の発端は昨年の暮れ。
 博麗神社を客寄せパンダにする許可を得て、己の力量を示そうとしたり、日頃の鬱憤を晴らそうとしたり、売り上げを
伸ばそうとしたりと、その他諸々を画策したものの、最後の最後に巫女の理不尽な怒りを買って、封魔陣により2週間ほ
ど活動不能となっていたのだ。
 その為、年末年始の反省や今後の展望について、色々と話し合っている真っ最中。


「まぁ結局、参拝客なんて誰も来なかったんだし。神社の協力を得ようと得まいと、あんまし関係無かったんじゃないか
な?」
「関係あるー、思いっきり私が困るー。お客さんは固定で何人か付いてくれたからいいけど、在庫の回転とか仕入にモロ
に影響するのよー」
 消極的な意見を述べるのはカナ。
 彼女は年末年始のバカ騒ぎに参加できなかった事に心残りがあるものの、定期的に行われる宴会でのドンチャン騒ぎや、
年末に巫女を激昂させる程度にからかえたので、それなりに満足している様子だ。
 それに対して文字通り死活問題なのがエレン。
 体質的な問題で魔女のくせに魔法が苦手な彼女は、魔法屋(マジックアイテム販売)の売り上げを生活費に充てている。
 八割方趣味でやっているような某『香霖堂』と違い、本気で生活がかかっているため気合いの入れ方が違う。

 ……っていうかさ、凡そ『生活』という概念に縁遠い悪霊や騒霊相手に生活互助ってのが、そもそも間違ってる気がす
るんだけどね。

「ま、諦めるのはまだ早いよ? 二年参りと初詣は残念な結果に終わったけれど、暫くは厄除けや合格祈願があるからね。
ソイツに一縷の望みをかけてみようじゃないかい?」
「悪霊の取り憑いてる神社には、誰も『厄除け祈願』に来ないと思うのー」
「そうよね。此処に来ないことが『厄除け』になるものね」
「あら、上手いこと言うじゃないか? こいつは一本取られたねぇ。あはははははー」
「「「あはははははー」」」

「『あはははははー』――じゃないっ! 正月早々悪霊や騒霊が社務所に湧くなっ! 鬱陶しいうえに縁起でも無いわ!」
 おかげ組合会合の場にドカドカと割り込んできたのは、当博麗神社の実質的な責任者、博麗霊夢。
 もっとも、彼女の生活の場にズカズカと入り込んでるのは、他ならない私ら『博麗おかげ組合』なんだけどね。
「おやおや、誰かと思えは妖怪退治は出来ても、悪霊や騒霊すら祓えない駄目巫女の霊夢じゃないかい。旧年、暮れまし
てご愁傷様♪」
「悪霊と騒霊は駄目で、魔女なら湧いて良いのかー!? 差別だっ! 偏見だっ! 我々は断固抗議します!!」
 なんだかんだ言っても、暮れの一件には恨みのある魅魔とカナから嫌みと抗議の声が上がる。
 しかし、霊夢はさも当然といった顔でこう言い放った。
「当然よ。だって、エレンからは貰うもの貰ってるもん」


「「「……ええぇっ!?」」」
 ビックリだ。巫女の口から飛び出した仰天の一言に、私たちは思わずエレンを見る。
 すると彼女はばつが悪そうに、視線を有らぬ方向へと泳がせるのだ。
「「「じぃぃぃぃぃ~~(←裏切り者見る眼差し」」」
「や、やぁね~。ほら、アレよ、アレ。住まわせて貰う者の責任っていうか、義務っていうかぁ……」
「「「じとぉぉぉ~~(←蔑みのまなざし」」」
「……ううっ。え、え~っと、ハイ霊夢。ちょっと早いけど、コレ今月分の借地代」
「いやぁ、いっつも悪いわねぇ♪」
「じゃ、私はこれでー……」


「ちょっとエレン、待ちなさいよ! 貴方いつの間に巫女を餌付けしたのよ!?」
「そうだよ! おかげ組合の理念、『付かず離れず、圧倒劇な漁夫の利』を忘れたのかい? あの日、永遠の満月に誓っ
た約束はどうなっちまうんだいっ!?」
「いやまあそのー」
 他の組合員の徹底的な追及にたいして、しどろもどろのエレン。
「餌付けだなんて人聞きの悪いことを言うな! そもそもエレンの店はウチ(神社)の敷地内にあるんだから、借地代を
受け取るのは地主として当然の権利じゃない!」
 為すべき事を為したのに、一方的に避難の槍玉にあげられるエレンを流石に気の毒に思ったのか、正論でもって弁護を
行う霊夢。
 しかし、これが後にとんでもない悲劇を招くことを、果たしてこの場にいた何人が予測できただろうか?

 悲劇は霊夢の『ウチの敷地』という言葉に噛み付いた、魅魔の一言で幕を開けた。
「はぁ? なにが神社の敷地だか。だいたいあの土地は誰の物でもなかっただろうに……」
「何言ってるのよ。あの場所は先祖代々からの社有地よ?」
 魅魔はやれやれといった表情を浮かべながら霊夢に諭した。
「あのねぇ。伊達に永いこと悪霊やってるわけじゃないんだよ? 博麗の社有地に関する秘密の一つや二つ、私が知らな
いとでも思っているのかい?」
「「「博例神社の秘密だって??」」」
「く、くだらないわね。そんな秘密なんて、アル訳ナイデショ~」
 思わず食い付く組合員。麗夢は真っ向から否定するものの、語尾がめっさ棒読みなのが非常に怪しかった。

「幻想郷が隔離された頃、結界の要たる博麗神社の土地は、社務所と拝殿とやたらに長い石階段だけだったのさ。ところ
が2代目だか3代目の巫女が、敷地境の標石をほんの少しだけ……注意して見たって判らない位に少しだけ外側に動かし
たのさ。
「うギギぎ……魅魔ぁぁあっ! それ以上喋ったら#@*£★※〓」
 飛びかかろうとする霊夢を、カナとエレンが引き倒して取り押さえる。普段の立ち振る舞いからは考えられないような
慌て振りに、この話が本物であると確信する。
 魅魔はその様子を見て、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、秘密の核心部について語り始めた。
「それからというもの、毎年毎年少しずつ少しずつ、実に長い時間をかけて標石を動かし続けたその結果……」
「「その結果?」」


 魅魔の話に聞き入るあまり、取り押さえられた霊夢が小さく印を切ることに気づかない組合員。
 今思うと、この時が最後のチャンスだったのかもしれない。
 私がもう少し機転を利かせておけば、あんな辛酸を嘗めるような羽目に陥ることもなかっただろう。


「その結果、敷地境は改竄され、今日のように無駄に広い博麗神社になったのさ。――つまり、この神社の土地の殆どが、
 人目が無いのを良いことに強引に簒奪された土地だったのよ!」
「なんだって!(←宝塚口調」
「そして恐ろしいことに、この悪しき伝統は現在も脈々と受け継がれている。このことは境界を操る例のスキマ妖怪さえ
も知らない、正に幻想郷の暗……ぶゲラッ!」
 突然落ちてきた巨大な陰陽玉に押しつぶされる魅魔。
 いきなりの出来事に、霊夢を束縛する組合員の手が無意識に緩む。
「み、魅魔さん!! 霊夢、いったい何を……って、居ない!?」
「嘘!? 今の今まで押さえつけてたじゃないの? いつの間に抜け出し……たワバッ!」
「カナァッ!」
 今度は四方八方から飛来した、複数の博麗アミュレットの直撃を受けて昏倒するカナ。


「ぶわぁ~れたかぁ~!」
 声のした方を見れば、幣束の代わりに手斧(御用材伐採用として特別に清められたもの)を携えた霊夢が立っていた。
 能面のように張り付いた笑顔がちょっと怖い。
「うひっ! ……って『ばれたか』ですって~? じゃあ、あの土地は本当に誰の物でも無いのね? もしかしてだまさ
れてた?」
「大丈夫、騙してなんかないわよ。少なくともあの一帯は、とうの昔に時効取得が成立してるから」
 ああ、聞いたことあるよ。確か他人のものであっても、公然と占有し続ければ所有権を主張できるアレだね。
「あ、そうなんだー。それじゃ、今日はそろそろお暇させてもらうねー? お邪魔しま……ひッ」
 言い終わる前に踵を返して逃げ去ろうとするエレンの肩を、予備動作なしに間合いをつめた霊夢が捕まえる。
 必死に振り解こうとするエレンを、圧倒的な握力で強引に引き寄せて耳元に囁く。
「秘密を知られたのに、『はい、さよなら』って帰すわけないでしょ?」
「放してー、その手を放してー!」
「ジワリジワリと境界を広げていけば、いずれは幻想郷の全てが博麗神社の土地と化する日が来るわ。その時まで、誰に
も気づかれるワケにはいかないのよっ!」

 いや、無理。絶対にバレるって。

「あわわわわわわわ……助け……」
「世の中にはね、知らない方が幸せって事がいっぱいあるのよ。サヨナラ、貴方は良い人だったわ―――『夢想天生』!!」
「うわぁ、やっぱりこういうオチなのねー!? っきゃあぁぁああぁぁあああー!!」
 こうして、博麗の大人げない行為により、おかげ組合は再び活動休止に追い込まれしまった。
 だがしかし、博麗のトンデモ無い野望を打ち砕くべく、三度活動を始める時がきっと来る!
 頑張れおかげ組合! めげるなおかげ組合! 幸せっていう字は辛いっていう字に似てるんだよ!


 あれ? なんか霊夢が名状しがたい形相でこっちを睨んでいる。
 やだなあ、見つかっちゃったよ(はぁと)。


「知ったわね?」





その後、魅魔,カナ,エレンそして翠香達、博麗おかげ組合4名の行方は要として知れない。
知らない方が~ 幸せって言うのに~♪
出かけるのぉー? 止めときゃいいのに…♪

ビックリしたらSANチェック♪
調べて驚愕 「ナンテコッタぁッ!!」♪
狂気のドアーを ひ~ろ~げ~よう~♪

探索~ 発狂~ ぼっくの街~♪




…いや、だから仕事しろ、俺。
ぎゃあ
コメント



1.レイヴン=アシュフォード削除
旧作キャラがいい味だしてますねえ。自分は魅魔もカナもエレンも大好きなのですよ。
けど、一番はくるみ。
こればっかりはゆずれねえ。
2.名無し妖怪削除
byNHKだったのか…
3.名無し妖怪削除
SANチェックワロタ
4.削除
「 知 っ た な 」
って某名取さんみたいですね。   グゲァ
5.これからの自分削除
今さらなのですが、
「思わず食い付く組合員。麗夢は真っ向から否定するものの、」
と言う行がありますが、「霊夢」と言う字が間違ってます。
それから感想なのですが、容赦なくラストワードをぶっ放す霊夢もイイと思いました。
後半あたりで笑いました。