Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

役目は終えた。

2006/02/13 02:33:02
最終更新
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ページ数
1
「またご贔屓に」
軽い鈴の音と共に香霖堂の扉が閉まる。
客の後姿が見えなくなると店主である森近霖之助は、読みかけの雑誌に目を落とした。
ちなみにその雑誌は『CLUB HARLEY』。バイク雑誌である。
幻想郷にいまいちあっていない本だが、まぁそれはどうでもいい事だろう。
二、三ページほど読んだところで再び来客を知らせる鈴の音が鳴った。
「いらっしゃい…て、なんだ魔理沙か」
「客に対しての第一声がなんだとは、接客マナーがなってないぜ」
霖之助が顔を上げると、いつもの黒い帽子といつものエプロンドレスを着た魔法使いの姿があった。

「ちゃんとお金を払ってくれるならお客として扱うんだけどね」
「そんな細かい事はどうでもいいさ、私と香霖の仲じゃないか」
「経営者に対して容赦ないな君は」
彼女は何かしらつけて店の品物を勝手に持っていくのだ。
時折、『ツケの支払いだぜ』とかいって昼食を作ってくれたりもするが、どうも割に合ってないのが現状である。
まぁ彼女から使わない魔道書など意外と価値のあるものを持ち込んだりもしてくれる事もあるので、文句は言わないのだが。
「…ん?なんだこりゃ」
店の中をふらふらと見渡していた魔理沙がふとあるものに目を止めた。
初めはただの鋼に見えたが、近づいてみるとそれは剣であった。
長さは余裕で魔理沙の身長を超えている。
いたる所に使い込まれた傷があり、それが観賞用では無いことを示していた。
魔理沙の知り合いにも剣を使う者がいたが、それは刀であり、ましてや100キロはありそうなこの剣をまともに振る事は出来ないだろう。
「あぁ、それはさっきのお客が置いていったものさ」
霖之助が答えた。
「置いていった?」
「あぁ。俺にはもう必要ない、と言ってね。朽ち果てさせることも考えたけど恩人の遺品だからそれは出来なかったらしい」
「使わないだけなら、ただ自分のそば置いておいてもいいんじゃないか」
「僕も聞いてみた。すると『奴らとの決別も意味するからな』と。奴らが何者かは答えてくれなかったけど」
持ってきた剣だけでなく、その人物自身も傷だらけで姿そのものが歴史を物語っていた。
ただ、全てを終えたという表情が妙に印象的だった。
「ふーん。相変わらずここには変なものばかり集まってくるな」
いつもの事だが魔理沙はもう少し言葉にオブラートを包んで欲しいと僕は思う。
「君が言うと変な説得力を持つけどね。まぁ、別にお金を払ったわけでもないからこれは非売品になるかな。ある剣士の半生といった所だし」
「これを欲しがる奴はそうはいないと思うけどな。…あ、そうだ」
「なんだい?」
「この剣の名前、なんて言うんだ?」
魔理沙は半ば興味をなくしたような顔で聞いてきた。




「確か…、ドラゴン殺しだったかな」
半ば呪いじみたあの大剣を置いておくのは危険のような気もしますが…。


まぁ、幻想郷ですし。

2/12 訂正
しゃな
コメント



1.名無し妖怪削除
あれが30kgで済めばいいが。
(全部が鉄だと仮定すると200kg近い容積量)
2.しゃな削除
失礼しました。
その辺りを調べないで書いてしまったもので…。
少し調べてみましたら120キロ(鉄と換算)とありました。
それを振り回す腕力っていったい…。