Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

MMR

2006/02/09 19:42:02
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 その日、彼女たちは、ここ、博麗神社に集められていた。
「みんな、集まったようね」
 集められたはいいものの、お茶の一杯も出されず、ただ待たされることしばし。いい加減、その無粋な扱いに文句の一つも言ってやろうかと勇士の一人が立ち上がったところで、神社の主が姿を現した。片手に持つは、どう見たところでただの茶封筒。
「何かご用?」
 ここより遙か離れた紅の悪魔の館でメイドを務めている女性が訊ねる。
「今日、あなた達に集まってもらったのは他でもない」
 ばさっ、と彼女は茶封筒を卓の上に放り投げた。
「これがどうかしたんですか?」
 ここではないところ、死後の世界にて刀を操る庭師として知名度を上げている少女が訊ね、その中身を一瞥する。
「……写真?」
 現れたのは、数枚の写真。しかし、その中身は、皆、ある特定の人物を写している。
「あの烏天狗から借りてきたものよ」
「それがどうしたの?」
 眠そうにあくびをしながら、この世界で最強にほど近い存在を維持している女が訊ねる。
「それに写っているのは、誰?」
「誰……と、言われても」
「……魔理沙さん……ですよね?」
 何を今さら? という視線が彼女に集まる。
「こんな事で呼び出してもらっても困るのだけれど」
 本来来るべき人物ではなく、故あって、その人物の代わりに神社を訪れることになった、朽ちることのない肉体を持つ薬師が首をかしげる。
「あなた達は、この彼女を知っている。彼女の名前は」
「霧雨魔理沙、でしょ?」
 それがどうしたのよ、とメイドがじれったそうに訊ねた。
「あなた達は、この写真を見て何かに気づかない?」
 何かと言われても、と一同はお互いの顔を見つめ合う。
 そうして、再び写真に目をやって、「あ」とその中の一人が声を上げた。
「気づいたようね。
 そこに写されているのは、彼女が扱う魔法の一つ。それは――」
「……マスタースパーク」
「正式名称、恋符マスタースパーク。でも、あなた達は不思議に思わない? このどこが恋なのか」
 確かに、と一同、思わず同意。
 その閃光は激しく煌めきながら、全てを薙ぎ払う。光が世界を両断し、存在すら切り裂き、荒れ狂う。まさに暴風。そして、まさに絶対。それがマスタースパークという力。この魔法使いが扱う、最強にして最大の秘奥義。
「私は思ったのよ。
 恋というのは、恋い慕う相手がいる場合、それに向かって一直線に突き進んでいく。たとえ、何があろうとも、道を違えることもなく。その道を遮るものは、すべからく馬に蹴られてあの世に落ちろ」
「ちょっと言い回しが違うような気が?」
「言ってはダメよ」
 ぼそぼそと会話するものもいるのだが。
 彼女は続ける。
「しかるに。
 マスタースパークは、まさにそれ。立ちふさがる全てのものを灰燼へと帰し、あらゆるものを無力としながら、しかし絶対の存在としてそこに顕現することで、無力を力あるものへと変えてしまう。
 これぞ、まさしく恋である、と」
 哲学的なセリフだったが、だからどうした、というのが一同の本音だったりする。
 それで? と先を促すのはメイドだ。
「この写真を見て」
 さらに一枚の写真が取り出される。
「これって、確か、マスタースパーク改良版でしたっけ」
「名称、『恋心 ダブルスパーク』。それがそれの名称よ」
「それで?」
 眠そうにしている妖怪が訊ねた。
 本題はここからだ、と彼女は言う。
「この写真をよく見て。魔理沙は、彼女はこれに『恋心』と銘打っている。つまり、これが彼女の『恋』の真髄を表すものだと仮定すれば、恐ろしい事実が見えてくるはずよ」
「そう……」
「言われてもねぇ……」
 確かに、マスタースパークのダブル攻撃なのだから恐ろしいことは恐ろしい。何せ二倍の破壊力だ。状況によっては、まさに三倍の威力でそれが襲いかかってくると言うことになるのだから。
「何が言いたいの?」
 薬師が訊ねた。
「恋心。その言葉の意味は聞かなくてもわかるわね?
 この写真に写るのが、彼女の『恋心』だとしたら? これがすなわち、『二つ』あるのは、なぜ?」
『あっ……!』
 一同がそろって声を上げた。
「そう……私たちは、恐ろしい勘違いをしていたのよ」
「こっ……これは……!」
「本来、『恋』とは一直線。全てを踏み越えて進み行くもの。
 確かに、これは恋を表している。でも、彼女の『恋心』は二つ。これはすなわち――」
 充分、ためを作ったところで。
 彼女は言った。




「彼女の恋は、二股が前提だったのよ!!」




『な、何だって――――――――――っ!?』


「だ、だけど、霊夢! これは……!」
「ええ。私も、ただの改良版だと、そう思っていた。でも、違うのよ。彼女の『恋』が一つなら、二つの直線は交わることなく、ただ一つの相手に向かって突き進むはず! でも、この恋は、どう見ても二つの、別々の対象に向かって放たれているわ! この先にあるのは、一つではない! 二つの存在なのよ!」
「そんな……!?」
「思い返してみて、みんな。彼女……霧雨魔理沙が、なぜ、あれほど恋多き娘とされているのか。あるところではパチュリーと、あるところではアリスと、またあるところでは私と、またまたあるところではフランと、さらに、またまたまたあるところでは霖之助さんと。そりゃーもう、両手に花どころかハーレム状態じゃない!
 これはすなわち、それを示す真実の証拠なのよ! 彼女は、決して一途な乙女ではない! まさに恋多き、尻軽とまでは言わないけれど、無数の恋愛を抱える悪女の才能を蓄えた、したたかな女だったのよっ!!」
 しん……、と。
 静寂が満ちた。
「……じゃ、じゃあ……」
「彼女の恋の相手は……」
「それについては、これがヒントよ」
 最後に取り出される写真。
 それは、これまでよりも数段輝きの強い、激しい光を放つ魔理沙の姿が映し出されている。
「恋の符、最終奥義。ファイナルスパーク」
「……これが……?」
「そう。これこそが彼女の恋の本質。我々に真実を語ってくれる道標でもあるわ」
「でも、待って、霊夢。確か、これは……」
「ええ。彼女のこれは、一度に周辺全てを薙ぎ払うために回転して放たれる。
 これの意味するところは、わかるわね?」
 ごくりと、一同、喉を鳴らす。
「的を絞らない……」
「……そう。
 すなわち……!」
 その刹那だった。
 がたーん、という凄まじい音。同時に、ばたばたと、何かが駆けてくる音。何事、と腰を浮かす一同の前で障子が開く。
「たっ、大変です、永琳さまぁ!」
「てゐ!? どうしたの!?」
「は、はい! さっき、突然、こんなものが永遠亭に!」
「どうしたの!?」
 彼女がそれをひったくり、中身を一読する。そこに書かれている恐るべき内容に、彼女は目を見開いた。
「……何が……書いてあったの……?」
 眠そうにしていた妖怪も、今は目をぱっちりと開けて、それに書かれている内容にわずかの戦慄を覚えながら口を開く。
「……もしもこれ以上、私たちが追求を続けるのなら、東方の次回作においてうどんげを『ぱんつはいてない』状態にした上でスカート丈を五センチ切りつめ、さらにローアングルシューティングにするとの脅迫状よ……」
「なっ……そんなことをされたら……!」
「東方ユーザーは、よい子が多いのよ!? そんなことをされたら、そのよい子達に私たちの活躍を届けることが出来なくなるわ!」
「それ以上に、あの忌まわしき、『ADULT ONLY』のレッテルを貼られてしまう……!」
「……どうやら、これまでのようね」
 ふぅ、と彼女はため息をつくと、手にした手紙を卓の上に静かに置いた。
「今回の追求はここまでよ。これ以上は、今の段階では踏み込んではいけない。
 でも……無駄よ、魔理沙。真実は常に誰かによって追求され、解き明かされるもの。いつか必ず、あなたの真実を白日の下にさらしてみせるわ!」



 ここは幻想郷。
 幾多のものが夢幻の水底に揺らぐその世界に、真実を求めるとするならば。
 それは、それを追い求め、解き明かすことで『秩序』をもたらそうと願い続ける人々がいるという存在の証明なのかもしれない。
 そして、今日も一人、彼女は無人の境内に竹箒を動かし続ける。



 完
タイトルの「MMR」とはM(巫女による)M(魔理沙)R(ルポタージュ)です。
お間違えなきよう。

では、皆さん、ご一緒に。

な、なんだってー!?
haruka
コメント



1.翔菜削除
>東方の次回作においてうどんげを『ぱんつはいてない』状態にした上でスカート丈を五センチ切りつめ

それでいいから追求を続けてくだs(ファイナルスパーク
2.ぐい井戸・御簾田削除
次回、おてんば恋娘の恋が何かについて調べてもらおうか
3.名無し妖怪削除
な、なんだってー!?
4.名無し妖怪削除
(; ・`д・´) ナ、ナンダッテ━━━━━━!! (`・д´・ (`・д´・ ;)
5.ななし削除
ちょwwwwwwwww
6.名無し妖怪削除
;゜Д゜)(゜Д゜;(゜Д゜;)な、なんだってー!
7.名前もない削除
鼎倒折・ー!?∑(・д・ )鰭
8.名無し妖怪削除
(;@益@)な、なんだってー!!(@益@(@益@;)
9.銀の夢削除
な、なんだtt(AA略

ところでうどんげってばいつもそう言う役回りですなぁ…しょんぼり。
10.名前が以下略削除
Ω ΩΩ<な、なんだってー!?
11.名無し妖怪削除
なにィ!?それは真実(まこと)だろうな!
12.名前が無い程度の能力削除
なんだってーーーーー!
…そうか、成る程…。

恋符「ノンディレクショナルレーザー」
和訳
恋符「無指向性光線」
つまり見境無し!

そして魔理沙のラストワードは自らマスタースパークとなるブレイジングスター…。
そう、魔理沙自身が恋の塊となり、「当たって砕く」魔法。

そういう事なのか!
13.牧場主削除
↑な、なんだってー!?

魔理沙……なんというやつだ
そして今の所誰にも拒まれないのも恐ろしい