ある日の永遠亭。
永琳の元で勉強し、ある程度の知識を身につけてきた鈴仙。
前から疑問だった事を師匠の永琳にぶつけてみた。
「師匠。蓬莱の薬ってどうやって不死性を発揮してるんですか?」
「ウドンゲ。貴方もしかして不死身になりたいの?」
「ち、違います!純粋な興味ですよ!私も多少は知識が増えてきたので気になったんですよ」
「ふぅん……。なら逆に聞いてみたいわね。貴方はアレはどうやって不死性を実現していると思うの?」
「えっと、それがわからないから聞いてるんですが……」
「これまで学んだ知識の中で考えられる推論を出してみなさい。答えにたどり着く必要は無いわ」
「うーん…。最初は状態を完全に固定するようなものを想定したんですが…」
「最初はと言う事は今は否定しているのかしら」
「ええ、それって、薬が作用した瞬間からもう何も覚えたりする事できなくなるんですよね?脳の記憶も固定されてしまうから」
「それだけだと50点ね。脳に限らずあらゆる器官が固定する。呼吸や血液の流れなんかも固定する。でも死んでるわけじゃないから実質時間停止のようなものね」
「う、それは怖いですね…」
「それで、貴方の推論はそれで終わり?」
「いえ、だったら今度は形状記憶合金のように、固定ではなく薬を飲んだ時の状態に回帰するものかと思ったんです」
「ふむ」
「でも、これもさっきの固定に近いんですよね。脳が再生した時点で薬を飲んだ時点まで記憶が戻ってしまうとしたら、姫や師匠、妹紅さんが説明つかないですし」
「そうね。その時点でその案も却下だわ。それから?」
「えっと、それ以上は実は……。あの薬が新しい細胞を作り出してるとかそういう位しか思いつかなかったんです」
「なるほど、ある程度は考えていたのね」
「でも結局それ以上のことはわかんなくて……。それに作り出すってなんか不死を実現するには安直というか面白みが無いというか…」
「面白い面白くないで薬を作るわけじゃないでしょうに。それに作り出すってのはそんなに悪い考えじゃないわよ?」
「え?じゃあ、ほんとに作り出す効果とかがあるんですか?」
「悪い考えじゃないってだけで、正解とは言って無いでしょ?」
「う……。じゃ、じゃあどうなんですか?」
「そもそも細胞が増える仕組みってどうなってるの?」
「うーんと、基本的には細胞分裂……ですよね?」
「あら、わかってるじゃない。そこまでわかってるならそんなに難しい話じゃないけどね」
「まさか、細胞分裂で不死性を?」
「そろそろ答えを言いましょうか。蓬莱の薬の効果は四つよ。一つは『健康状態の記憶』。これは貴方が言った形状記憶合金に近いわね」
「え、そうなんですか?」
「違うのはある程度の間隔で情報が更新される事。ここの部分は輝夜の能力にかなり頼ってるから、医学的な検知からの説明は難しいわね」
「姫の……ですか」
「二つ目は栄養補給。要は細胞分裂に必要なエネルギーを供給する事ね。これも輝夜の力で永遠に供給可能にしてるわ」
「やっぱり細胞分裂なんですか。理に適ってるけどあんまし夢のある話ではないですね」
「三つ目。細胞分裂の制御よ。身体異常時に即反応して修復できるように遺伝子に働きかける事。ここが一番苦労したわね」
「制御なんてできるんですか?」
「実際やってるでしょ。分裂促進たんぱく質の制御で可能だったわ」
「そ、そうですけど……」
「最後。細胞を変質させ、分裂回数の制限を取っ払う。以上四つで不死を実現しているわ」
「……あ、あの師匠、一ついいですか?」
「何?」
「蓬莱の薬って新種の細胞を作り出してるんですか?」
「違うわ。なぜそう思うの?」
「いえ、細胞を変質させ、って仰ってたものですから」
「あら、ちゃんと勉強してたと思ってたけど見込み違いかしら。既存の細胞にもあるでしょ、そういう性質のものが」
「えーっと……分裂制限なし……あ、そうでした!確か、がん細…ぼ……う?」
「……あら、一応その辺りを思いつく位は勉強してたのね。えらいわ」
「ま、まさか、蓬莱の薬って……」
「……何かしら、ウドンゲ?」
「わ、私急用を思いつき…ちがっ!思い出しました!しししし失礼します!」
まさに脱兎の如く駆け出す月兎。
お約束のようにずっこけ、ぱんつ丸出しで転がっていく。
その様を呆れた表情で眺めながら師匠が一言。
「良性だって条件満たすのに、なんで悪性腫瘍の方しか思いつかないのかしら。まだまだ勉強足りて無いわね」
永琳の元で勉強し、ある程度の知識を身につけてきた鈴仙。
前から疑問だった事を師匠の永琳にぶつけてみた。
「師匠。蓬莱の薬ってどうやって不死性を発揮してるんですか?」
「ウドンゲ。貴方もしかして不死身になりたいの?」
「ち、違います!純粋な興味ですよ!私も多少は知識が増えてきたので気になったんですよ」
「ふぅん……。なら逆に聞いてみたいわね。貴方はアレはどうやって不死性を実現していると思うの?」
「えっと、それがわからないから聞いてるんですが……」
「これまで学んだ知識の中で考えられる推論を出してみなさい。答えにたどり着く必要は無いわ」
「うーん…。最初は状態を完全に固定するようなものを想定したんですが…」
「最初はと言う事は今は否定しているのかしら」
「ええ、それって、薬が作用した瞬間からもう何も覚えたりする事できなくなるんですよね?脳の記憶も固定されてしまうから」
「それだけだと50点ね。脳に限らずあらゆる器官が固定する。呼吸や血液の流れなんかも固定する。でも死んでるわけじゃないから実質時間停止のようなものね」
「う、それは怖いですね…」
「それで、貴方の推論はそれで終わり?」
「いえ、だったら今度は形状記憶合金のように、固定ではなく薬を飲んだ時の状態に回帰するものかと思ったんです」
「ふむ」
「でも、これもさっきの固定に近いんですよね。脳が再生した時点で薬を飲んだ時点まで記憶が戻ってしまうとしたら、姫や師匠、妹紅さんが説明つかないですし」
「そうね。その時点でその案も却下だわ。それから?」
「えっと、それ以上は実は……。あの薬が新しい細胞を作り出してるとかそういう位しか思いつかなかったんです」
「なるほど、ある程度は考えていたのね」
「でも結局それ以上のことはわかんなくて……。それに作り出すってなんか不死を実現するには安直というか面白みが無いというか…」
「面白い面白くないで薬を作るわけじゃないでしょうに。それに作り出すってのはそんなに悪い考えじゃないわよ?」
「え?じゃあ、ほんとに作り出す効果とかがあるんですか?」
「悪い考えじゃないってだけで、正解とは言って無いでしょ?」
「う……。じゃ、じゃあどうなんですか?」
「そもそも細胞が増える仕組みってどうなってるの?」
「うーんと、基本的には細胞分裂……ですよね?」
「あら、わかってるじゃない。そこまでわかってるならそんなに難しい話じゃないけどね」
「まさか、細胞分裂で不死性を?」
「そろそろ答えを言いましょうか。蓬莱の薬の効果は四つよ。一つは『健康状態の記憶』。これは貴方が言った形状記憶合金に近いわね」
「え、そうなんですか?」
「違うのはある程度の間隔で情報が更新される事。ここの部分は輝夜の能力にかなり頼ってるから、医学的な検知からの説明は難しいわね」
「姫の……ですか」
「二つ目は栄養補給。要は細胞分裂に必要なエネルギーを供給する事ね。これも輝夜の力で永遠に供給可能にしてるわ」
「やっぱり細胞分裂なんですか。理に適ってるけどあんまし夢のある話ではないですね」
「三つ目。細胞分裂の制御よ。身体異常時に即反応して修復できるように遺伝子に働きかける事。ここが一番苦労したわね」
「制御なんてできるんですか?」
「実際やってるでしょ。分裂促進たんぱく質の制御で可能だったわ」
「そ、そうですけど……」
「最後。細胞を変質させ、分裂回数の制限を取っ払う。以上四つで不死を実現しているわ」
「……あ、あの師匠、一ついいですか?」
「何?」
「蓬莱の薬って新種の細胞を作り出してるんですか?」
「違うわ。なぜそう思うの?」
「いえ、細胞を変質させ、って仰ってたものですから」
「あら、ちゃんと勉強してたと思ってたけど見込み違いかしら。既存の細胞にもあるでしょ、そういう性質のものが」
「えーっと……分裂制限なし……あ、そうでした!確か、がん細…ぼ……う?」
「……あら、一応その辺りを思いつく位は勉強してたのね。えらいわ」
「ま、まさか、蓬莱の薬って……」
「……何かしら、ウドンゲ?」
「わ、私急用を思いつき…ちがっ!思い出しました!しししし失礼します!」
まさに脱兎の如く駆け出す月兎。
お約束のようにずっこけ、ぱんつ丸出しで転がっていく。
その様を呆れた表情で眺めながら師匠が一言。
「良性だって条件満たすのに、なんで悪性腫瘍の方しか思いつかないのかしら。まだまだ勉強足りて無いわね」
全身是腫瘍な蓬莱人想像したら吹いたのでどうでも良くなったw
生殖細胞で(ry夜伽逝き
心臓などは分裂しない細胞の代表です
故に肺がんになってがんが心臓に転移するということが起こりえない
ということは!蓬莱人は心臓を潰されたら死ぬということに!
まぁどうせIPS細胞を利用して心臓を新たに作ってるとかそういう感じなんだろうけど
ほぼ不死身のキャラがいたのを思い出した
がん細胞しか食べることができなくなって日々病院を訪ねて回る男の話を思い出した
不死の説明には一応なるけど、ただこれだと肉体の一部でも切り離すとそこからもう一人の自分が再生されてしまうし、また全身を灰にされても復活するという原作設定に矛盾するんだよなぁ。
ま、思いつきとしては面白い。