お姉さまは、他人の心が読める。
お姉さまは、弾幕勝負はすごく弱い。
でも心が読めるから、割とよく戦えてる。
お姉さまは、他人の心が読める。
でも、私の心は読めない。当然。無意識の住人だもの。
お姉さまは、他人の心を見る。
見たくない時も、見える。
それをすぐ口に出すものだから、見られた人はお姉さまを避けるようになる。
そして恐れる。
それすらも、お姉さまには見える。
また口に出す。避ける。口に出す。逃げる。
そしてお姉さまはペットと地霊殿で過ごす。
ある日聞いてみた。心が見えて楽しいかと。
お姉さまはこう答えた。楽しいものではないと。
私と同じ考えだった。だから聞いた。何で眼を閉じないのかと。
心が見えるからよと、答えが返ってきた。
地霊殿の主であるのなら、強くなければならない。
強くあるためには他人の心を読むしかない。私はそう考えた。
ある日、お姉さまが倒れた。
所用で地上に出たとたん妖怪たちに囲まれ、しゃべっていたと思ったら倒れた。
相変わらず、見えた心の内容を口に出して。
妖怪たちから化け物扱いされた。何十何百の心の罵声を浴びたせいだろう。
それはそうだ。心が読まれるなんて気持ち悪いの一言に尽きる。まして口に出しては。
そして散々心の中で罵られて、しかも多人数の声を一度に受けて精神が参ってしまったのだ。
ペット相手でもこういうことはあったのだ。これからもある。間違いなく。
あまり繰り返すと、お姉さまが潰れてしまう。
他人の心に、自分の心が潰されてしまう。
だから言った。もう閉じちゃいなよ、と。
でもお姉さまは閉じない、と言う。
楽しくないでしょ。苦しいでしょ。動物や植物は喜ぶけど。
楽しくないし、苦しいわ。彼らは喜んでくれるけど。
それは地霊殿の主だからだろう。私は問うた。
それは違うわと、言う。
嫌われるだけなのに。好きになる人なんていないのに。なぜ?
百人いても千人いても、万人いても嫌うでしょうね。
ペットやあなた相手にさえこの体たらくなのだから。
でも、
心や口を閉ざしたモノ達がいる限りは、わたしは「覚り」であり続けるわ。
それは例えばペットであったりするけれど、
彼らの声を聞けるのは私だけだから。
たとえそれらが私を拒絶し、離れていっても。
彼らが本当の意味で心を開くまで、その時が来るまで待つのよ。
こいし。
多少陳腐になってもいいので、もっと普通の小説のように書いても良かったと思います。