~GHKニュース速報~
幻想郷の最速ブン屋兼美少女アナウンサーの射命丸文です。
先日、作者の頭で行われた脳内会議の模様をお伝えします。
「きょーうはたのしい」
「雛パチュリー♪」
「雛パチェだとっ!?」
「新しい!」
「だが無いな!」
「無いか!?」
「無し…だろ」
「いやしかし…」
「あぁ、そうだな…」
…。
以上です。
清く正しい射命丸、射命丸文でした。
それではまたお会いしましょう。
~GHKニュース速報 終~
3月3日。今日はひなまつりだ。
「ついにこの日が来たわね…」
尋常ならざる雰囲気を醸し出している霊夢。
その隣では不敵な笑みを浮かべて紫が腕を組んでいた。
「今年こそは私達が優勝、ね」
「えぇ…これ以上負けるなんてこと、博麗の名が許さないわ!」
気炎を吐く霊夢を見て、紫は確信する。
(今年はとんでもないのが来るわね…)
高鳴る鼓動を抑えることができない自分が、少し可笑しくなってくつくつと笑ってしまう。
さぁ、準備は整った。
「行きましょう、霊夢」
「手を抜いたら許さないわよ?」
「心配いらないわ」
軽口を叩くのは高揚を隠すため。
二人は一度視線を交わすと、どちらからともなく歩き出す。
いざ、決戦の地へ――
「ってちょっと!アレ忘れてるじゃない!」
「あら、一番忘れちゃいけないものだったわね」
「しっかりしてよもう…」
そう言うと二人は細長い包みを持ち、微妙にテンションを落としながら博麗神社を後にしたのだった。
パン!パパン!
空包の音が春先の空に響き渡る。
ガーピーと耳障りな音をたてる河童謹製拡声器を口に、手を腰に当てて今大会の主催者である紅魔館当主レミリア・スカーレットが壇上に立っていた。もちろん隣には瀟洒なメイドが瀟洒に日傘を携え瀟洒に控えている。
「えー、本日は当スカーレット家主催の大会に集まってもらったこと、とりあえず感謝するわ。この大会も今回で…何回目だったかしら。まぁいいや…と、とにかく、今日は年に一度の祭りよ!参加者全員、全力で戦いなさい!」
レミリアは開会宣言を終えると、拡声器を咲夜に押し付けた。
「あ、あとはよろしく…さすがにテレビ中継はきんちゅ、緊張するわね」
「お任せくださいな」
咲夜は拡声器を受け取るとコホンと咳払いをして詳細の説明を始める。
「では、参加者の方はすでにご存じかと思いますが、今大会の基本ルールを説明させていただきます。
第一に、参加者はいかなる場合においてもその能力を用いることを禁じます。
第二に、戦闘区域は紅魔館の周囲にある霧の湖のみになります。
第三に、使用する道具は事前検査に通ったものに限らせていただきます。
以上が今大会の基本ルールになります。違反者は厳罰ののち即時失格とさせていただきますのでご了承ください。
それでは参加チームを登録順、敬称略でご紹介させていただきます。
霧雨魔理沙&アリス・マーガトロイドの詠唱組!
『今年こそ絶対勝つんだぜ!』『…私こういうの苦手だって前から言ってるのに』
鈴仙・優曇華院・イナバ&因幡てゐの永遠亭組!
『か、勝たないと師匠にお仕置きされちゃう…』『こんなの余裕だってば…うしし』
博麗霊夢&八雲紫の結界組!
『優勝賞金は私のものよ!』『あら、私にはくれないの?』
射命丸文&犬走椛の天狗組!
『ふっふっふ、負けませんよ』『あのー…取材が目的じゃなかったんでしたっけ?』
八坂神奈子&洩矢諏訪子の『様、をつけんか!』『さっき敬称略って言ってたじゃない!』…ええと、神様組?
以上五組が今回の出場者となります。
なお、解説としてパチュリー・ノーレッジ様と鍵山雛さんをお招きしております。
『よろしく』
『解説なんてやったこと無いけど頑張るわ』
では皆様、準備はよろしいですか?
それでは…
ひなまつり大会、開始っ!!!」
こうして咲夜の合図とともに、戦いの火蓋が切って落とされた。
「さて、解説ということだけれど。まずは視聴者向けにこの『ひなまつり大会』がどういうものなのか説明しないといけないわよね。テレビ中継は今回が初めてだし」
解説席と書かれた椅子に腰かけたパチュリーが、目の前に据えられたカメラに向かってひらひら手を振る。
対して雛は、カメラを意識しない自然体でパチュリーに問いかけた。
「私もよくわからないのでぜひお願いしたいけれど…ところで私の近くにいて大丈夫なのかしら?普通の方だったら厄にあてられちゃうんだけど」
「それに関しては問題ないわ。毎年紅白巫女に厄除けしてもらってるから」
ふふんと胸を反らすパチュリーに雛は苦笑いで返し、
(後で厄を吸っておこう…)
とひそかに決意していた。
そんな雛の決意も知らないパチュリーはカメラの方に向き直ると、どこから出したのかカチャッと眼鏡をかけた。
「それで、ひなまつりだけど。正確に言うと「ヒナマ釣り」大会なのよ。それを制限時間内に釣り上げて、一番大きいヒナマを釣ったチームの優勝」
「ヒナマ…?」
これまたどこから出したのか指し棒とホワイトボードで説明を始めるパチュリー。
「そう、ヒナマ。全体的に緋色で、50cmぐらいの淡水魚よ。元々幻想郷にはいなかった種類の魚なんだけど、どうも紅魔館が転移してきたときにわたs…美鈴が飼ってた魚が何かの拍子に逃げ出したみたいで。それが交配を重ねたらそんな感じになっちゃったみたいなの。もっとも霧の湖全体でみればそんなに数はいないけどね」
「それ数云々じゃなくて、完全に生態系壊してない?」
「起こってしまったことは仕方ないわ。私たちに必要なのは後悔ではないの、明日への飛翔よ!」
「意味分かんない上に全く反省してないわね?」
ゲッソリとした顔で雛は項垂れた。
大会の解説を聞いていたはずなのに、いつの間にか生態系汚染の犯人を暴いてしまっていた。
できればあんまり聞きたくなかったわ…。
いち厄神には重すぎる。
「まぁそれはどうでもいいのよ。今回の大会だけど、なんと賞金が出るのよね。なんでも放映独占権を渡した代わりにGHKからいくらか貰ってるらしいの」
「そ、そうなの」
何か聞き様によっては黒い取引のように聞こえなくもない。
というか一局しかないのに独占権が必要なのか。
「昨年優勝者の風見幽香とリグル・ナイトバグのチーム、今回は不参加みたいね。ちなみにその戦法はリグルを餌にして大物を狙うという大胆なものだったと聞いているわ。さて今回の勝負はどうなるかしらね」
「それはルール的にはアリなの?」
「能力は使ってないし、セーフだったみたいよ」
雛の脳裏には涙目で釣り竿の先に括り付けられたリグルの姿がありありと浮かんでいた。
しかもとてもいい表情で竿を握っている幽香まで見える。最悪に厄い。
「一応参加者自体も事前検査を受けるからね。あとは各自で用意した釣竿を使っていれば特に問題はなし、ということね」
「なるほど…」
などとグダグダな解説を続けていると監視員のメイド妖精から無線が入る。
「とかなんとか言ってる間に早速一匹釣れたみたいね」
「どこのチームかしら?」
「つ、釣れた、釣れたわ魔理沙!結構おっきいわよ!?」
「おぉ、でかしたアリス!このサイズなら優勝狙えるんじゃないか!?」
びちびちとボートではねる赤い魚。確かに大きい。が。
「やったなアリス!」
「えぇ!この調子でどんどん釣っていきましょう!」
彼女たちはその赤い魚が鯉王(和訳)であることには試合終了まで気がつかなかった。
何故なら彼女たちは、
数回大会に参加しながらも、
これが初めて釣れた魚だったために、
喜びが有頂天だったから。
「ふむふむ、詠唱組が一番手ね」
「でも、最終的に一番大きいヒナマを釣ったチームの優勝だものね。まだまだ勝負はわからないわよ」
「その通りよ雛、勝負はまだ始まったばかり」
そう言いながらパチュリーは手元のホワイトボードに「詠唱組 1匹」と書き込んだ。
きゅぽ、とマーカーのふたを戻し、カメラに向き直る。
「さぁ、残り時間は二時間十二分。先は長いわよ」
キラッ☆とウインクしてアイキャッチ。
そこでCMに入った。
~CM中~
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「「おぉ~」」
~CM終~
* * *
「さぁ、そんなこんなで残り時間三十分になったけど」
「え、もう?」
「あんまり面白くないから端折られました」
端折られたのは神様組と天狗組。それぞれ面白みもなく三匹ずつ釣り上げていた。結界組と永遠亭組は坊主である。
「生放送なのに…」
確かに基本二人でずっとどうでもいい話をしていただけだけど。
ペットの飼い方だの、おいしい炒飯の作り方だの。
…なんでそんな話をしていたのだろう。
雛は首をかしげた。
しかしここで事件が起こる。
「うぅ、全然釣れない…どうしよう、師匠に、師匠にお仕置きされる…」
「ちっ、このままじゃまずいね」
「あんなことやこんなことされる~…」
「…仕方ない、奥の手を使おうか、鈴仙」
そう言うとごそごそ懐を漁り出すてゐ。
もちろん監視のメイドに見えないようにだ。
「てゐ、奥の手って何?」
「しっ、静かに…聞こえちゃうでしょ」
そして小さな茶色の瓶を取り出すと、鈴仙に顔を寄せてにやりと笑う。
「これ。永琳特製のお薬よ。なんでも昔、漁の下手な漁師に頼まれて作ったらしいんだけど。魚を引き寄せる効果があるらしいよ。それのヒナマ専用版ってやつね」
それを聞いて鈴仙は顔色を変える。
「ちょ、それまずいんじゃ…」
「お仕置き」
「ぐ…」
違反者は厳罰のち即失格、とメイドは言っていた。
だけど、
それ以上に師匠のお仕置きの方が恐ろしい。
鈴仙は迷った挙句、結局
「ぜ、絶対ばれないようにね、てゐ…」
と言ってしまった。
この決断が、悲劇を招いた。
てゐはきしし、と笑うとスポイトでほんの少し瓶の中身を吸い取った。
「かなり強力だからね、一滴だけだよ」
そういってポタリ。
緑色の滴がスポイトから離れた瞬間。
ピッ!
滴は空中で弾け飛んだ。
そしててゐの額には鈍く輝くナイフが一本生えていた。
「不正行為、ですね」
もはやそれは死刑宣告。
鈴仙が恐る恐る顔をあげると、そこには咲夜がいた。
咲夜はクスリと笑うと
「家政婦は見ているものです」
そういって時間を止めた。
あんた家政婦じゃなくてメイd…
それが鈴仙の最後の言葉であった。
「あ、いま不正行為を行った永遠亭組が失格になったわ」
「不正だなんて…厄いわ」
「見えぬものなどあんまりないメイドアイをなめていたようね」
「メイドさん最強ね」
椛顔負けの千里眼である。
さてその頃。
残り十分を切っていまだに当たりのない結界組は、
しかし焦りを見せていなかった。
なぜなら。
「…きたわ、紫」
「そう、頑張りなさい。魚影を見るにとんでもない大きさよ」
「まるで人間みたいな大きさね、これを待っていたのよ…!」
その竿に確かな手ごたえを感じていたから。
竿を引く。
同じだけ引き込まれる。
「ちっ!」
霊夢は舌打ちした。
想像以上にしぶとい。もう時間がないというのに。
「紫、手伝って!」
「えぇ!」
できることなら自分の手で釣り上げたかったがそうも言っていられない。
二人はありったけの力を込めて竿を引いた。霊夢が叫ぶ。
「私は!毎食!白い御飯が!食 べ た い のっ!!!」
そして、それは。
タイムアップを告げるホイッスルの寸前にその姿を現した。
それは
全体的に緋色で
人間みたいな大きさの
永江衣玖だった。
「痛いのですが」
羽衣を釣り針にひっかけられながら、とても迷惑そうな顔で衣玖は呟く。
霊夢と紫は呆然としながら、試合終了のホイッスルを聞いていた。
* * *
結局僅差で優勝したのは、かみさまぁ~ずの二人だった。
「はっはっはこれが神徳だとも!」
「…人を餌にしといて神徳もくそもあるかい」
なぜか諏訪子はびしょぬれだった。
ちなみに優勝賞金は可愛い早苗さんのため、台所の改装に使われたという。
* * *
大会が終わり、GHKのスタッフたちが機材を片づける中、
パチュリーと雛は少し離れたところで座り込み、湖面を見つめていた。
「なかなか面白かったわね」
「全体的におかしかった、と言った方が正しい気がするわ」
「気にしたら負けよ雛」
ポンと雛の肩に手を置いたパチュリーが左右に首を振った。
「さて、そろそろ片付けも終わったみたいだし帰るとしましょうか」
よいしょ、と立ち上がるパチュリー。
それを見て雛も慌てて立ち上がった。
「あ、ちょっと待ってパチュリー」
つい、と顔を寄せる雛。
「?」
ちゅ。
「!?!!?」
「厄払い」
そう言ってはにかむと雛は帰っていった。
パチュリーは目を瞬かせ
「初めてだったんだけど…」
と言ってしばらくぼーっとしていた。
おまけ。
実は生放送中にこんなニュースが入っていた。
「えー、ただいま臨時ニュースが入ってきました。
先日、窃盗罪およびストーカー防止法違反の容疑で拘留されていた天人の比那名居天子容疑者が身柄移送中に脱走、警察が捜索を続けておりましたが、先ほど被害女性の手によって確保されました。
比那名居容疑者は「盗んだものは霧の湖に沈めた、それを取りに行くつもりだった」と供述しており、現在警察は詳しい事情を追及しております。なお被害女性は「お気に入りの一枚だったので、回収しに行こうと思っている。それより今度こそ死刑にしてほしい。かなわないなら自分で絞め殺したい」と述べており、深い悲しみを隠せない様子でした。
以上、超妖怪弾頭兼いつもは機材担当、河城にとりがお送りいたしました。
それでは引き続き番組をお楽しみください」
このニュースによって番組は一時中断され、その時ちょうどヒナマを釣り上げた神奈子の雄姿は放映されていなかった。
×川城にとり
○河城にとり
ありがとうございます。
そんな作者様に願い事を申したり。
つ>>八坂加奈子
『神』奈子様でどうか御一つ、どうかっ!
にとりんも神奈さまも名前以外は文句無しです。
雛パチュは無かった。流石の一言。
私は「みの→静にと←雛」とかだったりしますので発想出来ず……マイナーカプ道は過酷だぜ……!
作者はもう死のうと思います。
とまれ、キスはずるいよ。いいなぁ。
パチェも雛もなんていうか、耽美な雰囲気を纏っていそう。
百合百合しぃなぁ。
それにしても魔理沙たちが釣ったのはポケモンだったのか・・・
サトシ声で「ゲットだぜ!」っていう魔理沙を幻視してしまったwww
>ここに決意するものであります
『ここに一にするものであります』だったような気が、まあうろ覚えですけど。
でもパチェ雛もプッシュしておくぜ、マイナー?知るかパチェが居ればいいんだっ!
結構パチェって長く生きてるのに初めてtt(ロイヤルブロークンアミュレット/雛も協力してくれたようです