ちゅんちゅ～ん♪
寄ってらっしゃい酔っていらっしゃ～い～
夜雀の八目鰻屋だよ～♪
店主は駄目だけど、鰻は美味しいよ～
あっ？いらっしゃい！
今日はお客さんが一番乗りだよ
と言うわけで、このお冷は此方の奢りだよ～
…ちゅんちゅん、冷酒と鰻二人前だね？
すぐに鰻を焼くから～歌を聴いて待っててね
う～なぎ～うなぎ～何見てはね～る～♪
ちゅんちゅんお待ちどう～鰻の炙りと冷酒だよ
鰻は熱いうちに食べてね、それが一番美味しいから
えっ？私も一杯どうかって？
あははっ、お客さん私酔わせて何するつもり～？
…うん、では一杯だけ頂きます
ふぅ～…やっぱりお酒は美味しいね～
では、返杯代わりに一曲歌わせてもらいます！
何かリクエストある？
…はいはい、ではリクエストにお答えさせてもらいまして
鳥の詩から始まってエイトメロディーズで終るシンミリメドレー歌います！
…はい！ありがとうございました～
えっ？チップ代わりにもう一杯どうぞ？
では、ありがたく…ふぅ…美味しい…
ん～…今日はお客さんで店仕舞いかな？
だからのんびりして行ってね♪
ちゅんちゅん！鰻もう一人前追加ね～
焼き終えるまで歌聴いて待っててね
り～ぐ～る～のひ～か～り～窓のレティ～♪
はいお待ちどうさま！
…この冷酒は返杯代わりのおまけだよ♪
鰻が美味しい？えっへん！自慢の一品だからね
へっ？美味しさの秘訣は何かって？
いや～企業秘密なんだけどな～…
でも今日はお客さんのおかげでちょっと口が開きそう～
…あはは、ごめんねではもう一杯だけ…
はふぅ…やっぱりおしゃけ…お酒は美味しいよね～
うん、皆には内緒にしておいてよ？
とは言ってもね、別に凄い特別な事をしているわけじゃないんだ
鰻は新鮮だけど、それは里の方でもそうだし
焼き方も名人クラスの人の腕にはまだまだ劣ると思うし…
…でもね、一つだけ自慢できる物があるんだ
うんしょ…これ、何かわかる？
…そう、タレ…秘伝…とはいかないけど秘密兵器
…ちょっと賄い料理になるけど、これ食べて見て？
うん、ご飯上にタレを少しかけて少しお湯をかけたものなんだ
さらさらいけるはずだよ？
はい、ご馳走様～…このタレをどうやって手に入れたかって？
ふふ、少し長い話になるよ～
私が焼き鳥撲滅運動を掲げているのは知っているよね？
始めはただ焼き鳥を食べる人を襲おうと思っていたんだけど
そしたら、逆に退治されそうになっちゃって…
…それに私を美味しそうな目で見ている幽霊にも会っちゃって…
里の隅っこの方に追い込まれちゃった事があってね
その時に私を匿ってくれたのがこのタレの持ち主なんだ
…えっ？襲って奪った？…怒るよ！？
いくら妖怪でも恩義に仇で返そうなんて思わないよ！
冗談でもそんな事言わないで！
…話戻すね、その人が鰻屋さんのお爺ちゃんだったんだ
かなり有名なお店だったみたいだよ？
うん、でもね自分の代でお店を閉じるって言っていたんだ
なんでもね、お店が大きくなってから人が集まってきて
人間不信だったんだって…
その時ご馳走になった鰻がすごく美味しくって…
我流で焼き鰻を作る事にしたんだよ…
もちろん、そのためにいろんな鰻のお店に行ってみたり
実際に鰻を捌いてみたり
何とか形になってきたんだけど、どうしてもあの味が出せない
…色々苦心して出た結論がタレだったんだ
そんな時にね、里で助けてくれたお爺ちゃんが倒れたって聞いてね
急いで駆けつけたんだ…
あ、もちろん変装して羽根を隠してね？
人が一杯集まっていたけど、皆その先代の人のお店目当てだったよ
…皆次の店長は誰だとかそんな話ばっかり…
そんな人達をお爺ちゃんが怒鳴りつけて返しちゃって…
人が居なくなってから私の事にお爺ちゃんが気がついてくれてね
あの時の鰻が美味しかったって事を伝えたら…
すごく喜んでくれてね…
我流で鰻を作った事を話したら
横になっていたお爺ちゃんが急に立ち上がって
私に目の前で鰻を焼いてみろって言われたんだ
…怖かったよ？プロの目の前で鰻を捌けって言われたんだもん
だけど精一杯鰻を焼かせてもらったんだ
…もちろん下手な焼き鰻…焦げちゃったし、切り口もいびつ…
御免なさいってお爺ちゃんに謝って出させてもらったんだ
その鰻をお爺ちゃんが無言のまま食べてから
鰻を切るときの注意点と焼く時の心構えを静かに教えてくれたんだ
そして、真剣に聞いている私に小さなツボを渡してくれたんだ
うん…それが秘伝のタレ…
そして、最後にタレの事について教えてもらったの
『いいか？長年使ってきたタレが美味しい理由はな…
そのタレと共に料理人が育ってきた証だからだ…
このタレは俺の人生の大半歩んできた物だ…
だから旨味が詰まっている…だが、それでは俺の味に過ぎん
だからな小娘…これを下地にして自分にあうオリジナルのタレを作れ
俺の模造品なんて作るんじゃないぞ？自分の為の鰻のタレを作るんだ』
うん…鳥頭の私でもその言葉だけは忘れない
その後はあっという間だったよ…
一週間もしないうちにお爺ちゃんは帰らぬ人になっちゃった
最後にね、お店を自分の物にしようとしていた人達に向かって
笑みをこぼして呟いたんだって
『…死に間際に…良い後継者に恵まれた』って
…あはは、その言葉を聞いたお店を狙っていた人達が大慌てしてたよ
皆が皆、自分が後継者になる物だと思っていたらしいから
…その時のタレ？…半分ずつに分けてね
貰ったタレにいろんな物を足したりしてアレンジを加えて
今使っている焼き鰻のタレに使っているの
もう一つ？…大切に保管してあるよ…
自分を見失った時に見つめるものとして…
あははっ…ごめんね、長い話になっちゃって
…はい、それじゃあ御会計だね
はい、確かに丁度頂きました！
ちゅんちゅん！また来てね～♪
さて、今日はもう店仕舞いだね…
タレの研究をまたしないと！
（ちゅんちゅん…絶対にお爺ちゃんを超えるタレを作るから）
でもその前に…明日はお爺ちゃんのお墓参りにでも行こうかな？
寄ってらっしゃい酔っていらっしゃ～い～
夜雀の八目鰻屋だよ～♪
店主は駄目だけど、鰻は美味しいよ～
あっ？いらっしゃい！
今日はお客さんが一番乗りだよ
と言うわけで、このお冷は此方の奢りだよ～
…ちゅんちゅん、冷酒と鰻二人前だね？
すぐに鰻を焼くから～歌を聴いて待っててね
う～なぎ～うなぎ～何見てはね～る～♪
ちゅんちゅんお待ちどう～鰻の炙りと冷酒だよ
鰻は熱いうちに食べてね、それが一番美味しいから
えっ？私も一杯どうかって？
あははっ、お客さん私酔わせて何するつもり～？
…うん、では一杯だけ頂きます
ふぅ～…やっぱりお酒は美味しいね～
では、返杯代わりに一曲歌わせてもらいます！
何かリクエストある？
…はいはい、ではリクエストにお答えさせてもらいまして
鳥の詩から始まってエイトメロディーズで終るシンミリメドレー歌います！
…はい！ありがとうございました～
えっ？チップ代わりにもう一杯どうぞ？
では、ありがたく…ふぅ…美味しい…
ん～…今日はお客さんで店仕舞いかな？
だからのんびりして行ってね♪
ちゅんちゅん！鰻もう一人前追加ね～
焼き終えるまで歌聴いて待っててね
り～ぐ～る～のひ～か～り～窓のレティ～♪
はいお待ちどうさま！
…この冷酒は返杯代わりのおまけだよ♪
鰻が美味しい？えっへん！自慢の一品だからね
へっ？美味しさの秘訣は何かって？
いや～企業秘密なんだけどな～…
でも今日はお客さんのおかげでちょっと口が開きそう～
…あはは、ごめんねではもう一杯だけ…
はふぅ…やっぱりおしゃけ…お酒は美味しいよね～
うん、皆には内緒にしておいてよ？
とは言ってもね、別に凄い特別な事をしているわけじゃないんだ
鰻は新鮮だけど、それは里の方でもそうだし
焼き方も名人クラスの人の腕にはまだまだ劣ると思うし…
…でもね、一つだけ自慢できる物があるんだ
うんしょ…これ、何かわかる？
…そう、タレ…秘伝…とはいかないけど秘密兵器
…ちょっと賄い料理になるけど、これ食べて見て？
うん、ご飯上にタレを少しかけて少しお湯をかけたものなんだ
さらさらいけるはずだよ？
はい、ご馳走様～…このタレをどうやって手に入れたかって？
ふふ、少し長い話になるよ～
私が焼き鳥撲滅運動を掲げているのは知っているよね？
始めはただ焼き鳥を食べる人を襲おうと思っていたんだけど
そしたら、逆に退治されそうになっちゃって…
…それに私を美味しそうな目で見ている幽霊にも会っちゃって…
里の隅っこの方に追い込まれちゃった事があってね
その時に私を匿ってくれたのがこのタレの持ち主なんだ
…えっ？襲って奪った？…怒るよ！？
いくら妖怪でも恩義に仇で返そうなんて思わないよ！
冗談でもそんな事言わないで！
…話戻すね、その人が鰻屋さんのお爺ちゃんだったんだ
かなり有名なお店だったみたいだよ？
うん、でもね自分の代でお店を閉じるって言っていたんだ
なんでもね、お店が大きくなってから人が集まってきて
人間不信だったんだって…
その時ご馳走になった鰻がすごく美味しくって…
我流で焼き鰻を作る事にしたんだよ…
もちろん、そのためにいろんな鰻のお店に行ってみたり
実際に鰻を捌いてみたり
何とか形になってきたんだけど、どうしてもあの味が出せない
…色々苦心して出た結論がタレだったんだ
そんな時にね、里で助けてくれたお爺ちゃんが倒れたって聞いてね
急いで駆けつけたんだ…
あ、もちろん変装して羽根を隠してね？
人が一杯集まっていたけど、皆その先代の人のお店目当てだったよ
…皆次の店長は誰だとかそんな話ばっかり…
そんな人達をお爺ちゃんが怒鳴りつけて返しちゃって…
人が居なくなってから私の事にお爺ちゃんが気がついてくれてね
あの時の鰻が美味しかったって事を伝えたら…
すごく喜んでくれてね…
我流で鰻を作った事を話したら
横になっていたお爺ちゃんが急に立ち上がって
私に目の前で鰻を焼いてみろって言われたんだ
…怖かったよ？プロの目の前で鰻を捌けって言われたんだもん
だけど精一杯鰻を焼かせてもらったんだ
…もちろん下手な焼き鰻…焦げちゃったし、切り口もいびつ…
御免なさいってお爺ちゃんに謝って出させてもらったんだ
その鰻をお爺ちゃんが無言のまま食べてから
鰻を切るときの注意点と焼く時の心構えを静かに教えてくれたんだ
そして、真剣に聞いている私に小さなツボを渡してくれたんだ
うん…それが秘伝のタレ…
そして、最後にタレの事について教えてもらったの
『いいか？長年使ってきたタレが美味しい理由はな…
そのタレと共に料理人が育ってきた証だからだ…
このタレは俺の人生の大半歩んできた物だ…
だから旨味が詰まっている…だが、それでは俺の味に過ぎん
だからな小娘…これを下地にして自分にあうオリジナルのタレを作れ
俺の模造品なんて作るんじゃないぞ？自分の為の鰻のタレを作るんだ』
うん…鳥頭の私でもその言葉だけは忘れない
その後はあっという間だったよ…
一週間もしないうちにお爺ちゃんは帰らぬ人になっちゃった
最後にね、お店を自分の物にしようとしていた人達に向かって
笑みをこぼして呟いたんだって
『…死に間際に…良い後継者に恵まれた』って
…あはは、その言葉を聞いたお店を狙っていた人達が大慌てしてたよ
皆が皆、自分が後継者になる物だと思っていたらしいから
…その時のタレ？…半分ずつに分けてね
貰ったタレにいろんな物を足したりしてアレンジを加えて
今使っている焼き鰻のタレに使っているの
もう一つ？…大切に保管してあるよ…
自分を見失った時に見つめるものとして…
あははっ…ごめんね、長い話になっちゃって
…はい、それじゃあ御会計だね
はい、確かに丁度頂きました！
ちゅんちゅん！また来てね～♪
さて、今日はもう店仕舞いだね…
タレの研究をまたしないと！
（ちゅんちゅん…絶対にお爺ちゃんを超えるタレを作るから）
でもその前に…明日はお爺ちゃんのお墓参りにでも行こうかな？
立派な心構えだと思います
これからも食べにきますねｗ
今後も執筆活動頑張って下さい
同じSS書きとして応援しております
ならば客（読者）としてこれからも店主（作者）に益のある注文（苦情感想）をしていこうじゃあないか。
＞あははっ、お客さん私酔わせて何するつもり～？
お酒と一緒にいただきまｓ（感想ぶち壊し
歴史が長いほど味も深まる。
初心忘れるべからず、日々精進の精神。
分かっているつもりでも忘れていることの多いことです…
これからも色々な作品を貴方らしく作って下さい、それが貴方なのですから。
＞あははっ、お客さん私酔わせて何するつもり～？
鰻と一緒に青持ちかえｒ（ry
あとがきに感動しました
初心を忘れず、ですか
とても大事だけど忘れがちになるものですね
＞あははっ、お客さん私酔わせて何するつもり～？
小食ですがもぐも（ry
＞あははっ、お客さん私酔わせて何するつもり～？
そりゃこっそりミスチーの下のほうにあるタレをn（ry
それはただ一つ
最高だー！！
さらに鳥の詩とかマジ聴きたい
そして良い話でした。
あなたの鰻は素晴らしく美味しいと思います