「突然のお手紙、失礼します。
幻想ペット通信の、先生が書かれているコーナー「瀟洒なペット講座」をいつも楽しく読ませていただいています。
ツェペシュというものです。
今回は質問させていただきたく思い、このようにお手紙差し上げることにしました。
私は現在、犬を飼っているのですが、あまり懐きません。
犬はとても懐く動物だと聞いていたので、少々残念です。
育て方が悪いのでしょうか。
満月先生のアドバイスをいただけると嬉しいです。
迷惑でしたらすみません。 <ツェペシュ>」
「お手紙、確かに受け取りました。
満月です。
迷惑だなんてとんでもない。質問はどんどんしてください。読者のみなさんと交流するのは楽しみです。
それでは本題ですが、犬ですか。
可愛いでしょうね。
ツェペシュさんの言うとおり、犬は人に懐きやすい動物です。
しかし、懐かせる方法は一つとは限りません。それぞれのわんちゃんに合った懐かせ方というのがあるのです。
よろしければ、種類や年齢など詳しいことを教えてください。心配せずにじっくりとやっていきましょう。 <満月>」
「お返事ありがとうございます。
手紙を見た時、喜びのあまり飛んでしまいました。
私の犬はメスです。原産地は不明、すでに成長していて、野良だったのを拾ってきました。種類はちょっと分かりません。毛は銀色で、少しウェービーです。かなり大きいです。
活発で賢くてよく動くのですが、何というか、何を考えているのか分からないというか、とにかく無反応です。基本的に夜行性です。
餌はよく食べているようです。あまり寝ません。吠えません。
アドバイスをお願いします。
それと、先生は現在どんなペットを飼っているのですか? <ツェペシュ>」
「(前略)
野良だったのを拾ってきたところに問題があるのかも知れませんね。子供の頃から育てた犬に比べて、警戒心が強くなります。
銀で大きな犬ですか。牧羊犬の血を引いているのかもしれませんね。
夜行性なのは珍しいですね。
読者の方ならば、犬のサインはご存じでしょうか。喜んだ時には尻尾を振る、怖い時やじゃれる時には腹を見せる、などですが。
今後、よく注意して見てください。
そして、何が好きで何が好きでないのかを見極めてください。
まずは、色々なことを試してみてはいかがでしょうか。
普段と違った遊びを取り入れてみたり、餌を与えてみたり…。犬は遊び好きな動物ですから、食いついてきたらしめたものです。
もし、どうしても様子がおかしいようなら獣医に診せてあげるといいでしょう。
私は現在、コウモリを飼っています。
これまた反応が薄い動物ですが、よく観察していると色々なことが分かります。
嬉しい時には羽を動かす、悲しい時には羽をたたむ、怒った時には歯を見せる。
分かりにくいようで、分かりやすい動物です。飼い始めこそ戸惑いましたが、今ではすっかり馴れました。
中々、可愛いものです。
管理が難しいので一般家庭の方にはお勧めしませんが(笑) <満月>」
「(前略)
満月先生のお便りはいつも瀟洒ですね。読んでいるこっちまで瀟洒な気分になります(笑)
コウモリなんて流石ですね。予想外でした。
やっぱり管理が難しいんですね(汗)。
うちの近くはコウモリが多いので、よく目にします。
うちの犬はもともと夜行性ではなかったのですが、私が夜行性なのでいつの間にか夜行性になってしまいました。やはり、まずいでしょうか?
はい、犬のサインは勿論知っています。
先生の仰る通り、新たな試みを取り入れてみました。
ここ一週間ほど、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たりしています。あと、なるべく自分の傍に置いています。
嫌がるわけではないものの、特に喜びません。戸惑っているようです。これでいいのでしょうか。 <ツェペシュ>」
「(前略)
何だか、いつも不安にさせるような書き方をしてしまって申し訳ありません。
そうですね。難しいところですが、お風呂や添い寝は特に嫌がるのでないのならば、続けてみてはいかがでしょう。
夜行性の件も、わんちゃんが馴れているのなら結構でしょう。
生活サイクルを共にするのはいいことです。
私はコウモリの生活サイクルに合わせているので、すっかり夜行性になってしまいました。
私から進んでするというわけではないのですが、コウモリが望む時には、お風呂も一緒に入ります。
それと、散歩はちゃんとしてあげていますか?
人間から見れば取るにたらないことですが、わんちゃんにとっては死活問題です。
散歩はわんちゃんの人生の根幹なのです。
大型犬であれば、一日一時間は必要ですよ。毎日、時間を決めて規則正しく散歩をしてあげてください。 <満月>」
「(前略)
散歩ですか。前はたまにしていたのですが、最近はあまりしなくなりました。
私はこもりがちなので、ついサボっていました。お恥ずかしい限りです。
早速、散歩を始めたいと思います。
今日は思い切って、うちの犬を押し倒して腹を撫でてみたのですが、明らかに嫌がられてしまいました。
良かれと思ったのですが、がっかりです。
頭を撫でた時は大人しく座っていたので、つい調子に乗ってしまったようです。
先生のように、ペットの気持ちが分かるようになりたいです。
コウモリの気持ちまで分かるなんて、尊敬してしまいます。
私はどうも、ペットの気持ちが分からないようです。 <ツェペシュ>」
「(前略)
早合点してはいけません。
私がペットの気持ちを分かるなどというのは、過大評価です。
ペットなどというのは、分からないことの方が多いものです。
あなたや私の知らない所で、喜んだり悪巧みをしているかもしれませんよ。
そうですか。嫌がられてしまいましたか。急にお腹を撫でられてびっくりしてしまったのかもしれませんね。
しばらくは、無理にお腹を撫でない方がいいのかも知れません。
ところで、散歩の方はいかがですか?
わんちゃんに何か変化は見られましたか。
散歩の途中に遊びを組み込んでみては、いかがでしょう。
例えば、いつもと違うところに行くとか……。 <満月>」
「5度目のお便り、失礼します。
何だか、私は
「お嬢様」
「わ」
レミリアの肩が跳ねた。
途端に顔を青くして、手紙をぐしゃぐしゃに丸める。
後ろを振り返ると、咲夜が立っていた。
「あら、どうしたの」
「あの、今日は散歩に行かれないのですか?」
時計を見ると、12時を大きく過ぎていた。
レミリアは手紙をゴミ箱に放り込んで、慌ただしく立ち上がった。
しかしこれだけ際どい会話で気づいていないのか・・・
飼い犬に管理されてますって!
なるほど、たしかにそうですねwww
面白かったですwww
はたして気付いているのかいないのかw
このクスクス感は爆笑よりも価値がある。
すばらしい。
さくやが朔夜で新月先生でもアリですねw
というか気付け。
今手掛けていらっしゃる作品の合間にとかでもいいので続編を書いてくれたらなーと勝手なお願いをしてみます。
しかし、実際、普通のペットと飼い主もこんな感じかもしれませんね
動物側からみると、自分のほうが人間の面倒見てやってるんだ、みたいな
まずは誤字報告なんです><
満更でもない咲夜さんに惚れた。
第三者が必ずいると思うんだが……やっぱりパチェ?
「最近うちの老蛇と老蛙があんまり動かなくなりました、寿命でしょうか?」(とーふや)