Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

会いたくて

2009/02/19 02:14:34
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1
「モヤモヤの正体」の霖之助編です。


最初は厄介な妖怪だと思った、理解できないことを述べ、答えを聞こうとすればはぐらかされる、だから苦手だったのだ、しかし…
いつからだろうか、彼女の事をそこまで苦手と思わなくなったのは、
いつからだろうか、彼女が来ることに少しだけホッとする気持ちになったのは、
いつからだろうか、彼女が笑うと少しだけ嬉しくなったのは、
いつからだろうか、彼女の事を好きになっていったのは…


最後に紫が香霖堂に来てから二か月近くがたっていた、今日は来るかもしれないと夜中にお湯を沸かして待っているが、結局来なかった日々が続いていた。
「今日も、紫は来ないのかな…
読んでいた本を閉じ空を見る、最近では本を読んでいても、すぐに思考がそちらに行ってしまうので内容など頭に入ってこなかった。そんな時
「ごめん下さい」
と入ってきたのは白玉楼の庭師、魂魄妖夢だった。
「やあ妖夢、今日はどうしたんだい?」
「はい、今日は茶葉を買いに来たんです」
「おや?確か前も買っていかなかったかい?」
実はつい3、4日前にも妖夢は茶葉を買いに来ていた、しかも結構多めにだ、
「はい、実は紫さまが最近こちらによく来るんですよ、だからお茶が切れてしまって…」
どうやら紫はいろんな所を転々としているらしかった、前にも永遠亭の鈴仙や、紅魔館の咲夜がお茶を買いに来た時、そんなことを言っていた。
(しかし…何故なんだ紫、何故ここには来てくれないんだ、僕のことが嫌いになったのならそう言ってくれ、でないと僕は君のことが諦められない)
「霖之助さん、どうしたんですか?」
妖夢に呼ばれ全く話を聞いていなかったことに気がつき、慌てて対応する。
「いや、すまない、それでなんだったかな?
「はぁ、大丈夫ですか?霖之助さんなんか変ですよ?」
「大丈夫だよ、それよりお茶はいつもの玉露でいいね?」
「はい、お願いします」
スッと立ち上がりいつもお茶が置いてある場所へと向かっていく、
「変と言えば、紫さまも少し変なんですよ霖之助さん」
論之助の手がピクッと一瞬だけ止まるが、すぐに何事もないように話をつないだ。
「ほぉ、どんな風にだい?」
「なんと言うかですね~、ここのところいつも上の空なんですよ、幽々子様が話しかけてもあまり反応がなくて、たまに紫様ご自身から話そうとするんですが、何故か言いにくそうに黙り込んでしまって、何かあったんですかね」
「…さあ、わからないね、まぁすぐにそれも無くなるんじゃないかな、はいお茶」
「ありがとうございます、それでは」
代金を払い妖夢は店を出て行く、妖夢を見送った霖之助はいつもの椅子にドカッと座る、思いだされるのは先ほどの妖夢の言葉、
「僕なら、紫の悩みを聞いてあげられるのかな…」
誰もいない店に、霖之助はただ一人呟いた。


数日後、いつものように夜中まで本を読んでいた霖之助は、のどが渇きお茶を入れるため台所へと向かった、しかし本を読んでいる間も、今湯を沸かしている時でも頭をちらつくのは紫のことだけ、
(所詮、僕のような半妖が彼女のような大妖怪に恋をするのが間違っていたのかもしれない)
ここ数日で、霖之助は半分諦めに入っていた、大妖怪として恐れ、敬れている紫、対して自分は力も弱く、種族としても中途半端な半妖、無謀な恋だったのだ、
そんな事を考えているとやかんからピーっと湯が沸いた合図が鳴る、お湯を急須に入れ居間へと戻る霖之助、そして扉を開けるとそこに居たのは
「お久しぶりですわ、霖之助さん」
少し笑みを浮かべた紫が座っていた。
思い込んだら一直線な霖之助の心情を描いてみました、
次の話は深夜の香霖堂での二人の会話です、
たぶんまだ少し続きますので、気長にお待ちいただけるとありがたいです。
般若
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
 思い込んだら一直線な霖さんか……新鮮だなぁうん新鮮
 しかしどうしてこんなに違和感がつきまとう…なじぇ?
2.名前が無い程度の能力削除
>1
個人的には、二人の恋路は最初から恋情で始まるのではなく、ただの情から一足跳んで愛情に、最後に恋情だと気づくもの…というイメージがあります。

たぶん、どこか真っ直ぐ過ぎる二人があなたのイメージと少し違っているのでせう。