満員御礼な夜雀の屋台
美味い鰻に可愛い店主
少々馬鹿だがそれが良い
「ふんふ~ん~♪」
バカルテットの頭脳であるミスチーが鼻歌交じりで
屋台の準備をしていた
「うれしいな~…あの場に私もいけるなんて~」
だが、今日はお店の定休日である
そんな日に何でミスチーが屋台の準備をしているのか
「遊びに来たのだ~」
「今日はあたいが考えたゲームで遊ぶんだから!」
「ルーミア…食べに来たのは遊びじゃないよ…
それとチルノも…SUMOUは僕達じゃ無理だよ…」
そして、今日が定休日だと思っていた他のバカルテット達
力担当のルーミア、行動力担当のチルノ
バカルテットの良心にしてサブの頭脳担当のリグル
その三人がミスチーの家の前にやってきていた
「ちん…ごめんね~…今日は出かける用事があるの」
ミスチーが他の三人に申し訳なさそうに言うと
「出かけるのか~」
「買い物ならあたい達も着いて行くよ?」
「何か大切な事?」
三人ともその話に食いついた
ミスチーが出かける時といえば
里のほうに料理の材料を買いにいくときが殆どであり
その時は、皆で買い物にいく事が殆どである
そんなミスチーが三人と断って出かける用事とは…
「あはは、買い物じゃなくてね、今日は鳥老大集会の日なんだ」
「長老?」
「大集会なにそれ?」
「食べれるのか!?」
「…そい」
目がキラキラしているルーミアにミスチーが
生の鰻を一匹服の中に突っ込んで説明を開始し始める
「鳥老大集会って言うのはね…鳥達の中でも
更に高位とされている方々の集まりの会合なんだ」
「へぇ…ミスチーもその会合に出るんだ」
「それって凄いの?」
(うわわわっ?ぬるぬるして気持ち悪いのだ~)
ルーミアが服の中に入った鰻を出そうと涙目になりながら
半裸になっているのを無視してチルノとリグルが頷く
「ちん…残念だけど、私みたいな夜雀じゃあ
あのお方達のような方々と共に出られる事も無いんだ」
「えっ?でも呼ばれてるんでしょ?」
「そうそう、なのになんでいくのさ」
(うぇぇ~気持ち悪い~変な所入らないで~)
(わう!…もう大丈夫ですよ)
(うわ~ん!ぬるぬるして気持ち悪かったのだ~)
ルーミアがドロワーズ一枚でマジ泣き寸前の所で
謎の白狼天狗が、鰻を掴み取って助けているのを無視して
三人が話を続ける
「うん、会合の際に噂の鰻料理を作ってくれって手紙が来たんだ」
「だから屋台の準備をしていたんだね」
リグルの言葉にミスチーが胸を張る
焼き鳥撲滅を歌って開いた小さな屋台が
まさか自分よりも高位な者達に呼ばれる事になるなんて…
「…だからごめん、今日は一緒に遊べないんだ」
「ぐずっ…そーなのかー」
今だ涙目のルーミアが言葉の占めに割り言って来た
多少着崩れているが三人ともそんな事気にしない
そんな時、チルノが声を出した
「あたいも行きたい!」
「…私も行って見たいのだ~」
「チルノ…ルーミア、ミスチーの迷惑になるって」
無茶を言うチルノとルーミアをリグルが止めようとするが
「ミスチー!あたい達も連れて行け~」
「連れて行くのだ~!」
そんなんで止めれる二人じゃない
「ちんちん…残念だけど無理かな?」
「ほら、無茶言ったら駄目だよ」
「「ぶ~!ぶ~!」」
ミスチーとリグルの言葉に
チルノとルーミアが頬を膨らませる
「あ、そうだ…」
そんな時、ミスチーが手をポンと叩く
「皆、屋台の手伝いをしてくれないかな?
それでよければ皆連れて行って上げれるから」
「わかった、僕はかまわないよ」
「お手伝いなのか」
「あたいに任せておけば絶対に大丈夫!」
こうして、バカルテット全員が今日一日
ミスチーの屋台のお手伝いをする事になった
「それで?どうすれば良いのかな」
リグルの言葉にミスチーが答える
「ちん、もうそろそろ鳥老のお一人が迎えに来てくれるはずなんだ」
「その鳥老って…」
「ちん…ルーミア…美味しいなんていったら鰻二匹入れるからね?」
「…す、凄いのか~」
ルーミアが先ほどのトラウマで肩が震えていると
突然、辺りが暗くなった
「うわっ?な、なに!?」
「ちょ、ちょっとルーミア!突然闇にしないでよ」
「ち、違うのだ!?」
リグルとチルノとルーミアが驚いているなか
ミスチーだけが平然と立っていた
「皆お迎えが来たみたいだよ!」
「へっ?」
「お迎えって…」
「何が来たのだ!?」
ミスチーの説明の後、再び辺りが明るくなり
そして、バカルテットの目の前に居たのは
『ホォォォ~!』
「「「うわ~!?」」」
金色に輝く体毛を持った巨大な鳥の姿であった
「ちんちん、迎えに来てくれてありがとうございます!」
『ホォホォ…』
「ちん!…精一杯腕を震わせて貰います…この三人はお手伝いです」
『ホォ~…ホゥホゥ…』
驚いている三人を置いて、ミスチーが巨大な鳥と挨拶をする
「み、ミスチー…この大きな鳥さんは?」
会話が終りかけたのを確認したリグルが声をかけると
「あ、皆にも紹介させてもらうね…鳥老の御一人の『黄金のコンドル』様
試練を超えて来たものに願い事を叶えてくれるんだ」
『ホォ~!』
ミスチーの説明に、黄金のコンドルが恭しく頭を下げる
「さあ、OK貰ったから皆乗ってくれって」
ミスチーの言葉に三人とも頷くと
屋台の道具を持って黄金のコンドルの背中の上に乗る
「うわ~…フカフカ~」
「うにゅ~…」
「わは~…」
背中に乗った三人がその羽毛のフカフカ具合にため息を漏らす
「それじゃあ、お願いします」
『ホォ~~!』
そんな中、ミスチーが黄金のコンドルに声をかけると
凄い速度で飛び上がった
だが、そんな凄いスピードなのに背中の上は一切ぶれない
「うわ~…凄い早い」
「あ、あたいが居る湖だ」
「わは…妖怪の山が見えるのだ~」
『ホォー』
「ちんちん、皆気をつけないと落ちるよって」
「「「はーい!」」」
自分達が飛ぶよりも更に高く、そして早いスピードで
空中を飛び続ける黄金のコンドル
『ホォ~!』
「あ、皆たどり着いたよ?」
気がつけば、何処か高い山の上にたどり着いていた
ミスチーの先導の下、皆が黄金のコンドルの背中から降りると
『キシャ~!』
『アォ!アォ!』
『クェー!』
そこには十数にも及ぶ巨大な鳥達の姿があった
「わは~…」
「あ、あたいは最強だから怖くない!」
「た、食べられたりしないかな?」
ルーミアとチルノとリグルが少し驚いていると
「ちんちん、ここにいる方々は皆紳士だから
多少の事は許してくれるって」
「そーなのか?」
『ホゥ!』
ルーミアの言葉に黄金のコンドルも頷いた
『ホォー?』
「ちんちん!わかりました…皆、鰻焼くから手伝って?」
「うんわかった!」
「お皿並べれば良いのか?」
「あたいもお皿並べてくる!」
ミスチーの言葉に此処にやってきた理由を思い出した三人が
ミスチーの鰻を焼くのを手伝い始める
やがて、美味しそうな鰻の焼ける匂いがし始めてくると
『ホォー?』
『キシャ♪』
鳥老と呼ばれている方々がミスチーの屋台の傍にやって来る
「チルノ、右から二番目のテーブルに鰻持って行って」
「わかった!」
「ルーミアは在庫から鰻持ってきて…食べたら大変だからね?」
「わ、わかったのだ!」
「リグルはタレを補充して?」
「今やってる!」
ミスチーの指示の下で三人が動き始める
『ホォ~…』
そしてしばらくしてから
各長老達も満足したのか、御代わりが入る事は無くなった
「ふぅ…皆お疲れ様」
「も、もう…あたい動けない」
「疲れたのだ…」
「ぼ、僕も…もう駄目」
流石に引っ切り無しに頼まれた注文に
体力に自身があるはずのバカルテットも疲れた様子であった
『ホゥ…』
黄金のコンドルも満足した事を四人に伝えると
『ホ~ゥ』
「ちんちん?本当ですか!?」
『ホゥホゥ…』
ミスチーに何か話始めた
「…どうしたのミスチー?」
「他の鳥老達と混ざってきても良いって!」
「凄い事なのか?」
「チンチン!当たり前だよ!?普段だと話をする事も
出来ない方々ばかりなんだから」
「じゃあ、あたい行って来る!」
「ちん!チルノ、失礼の無いように!」
興奮しているミスチーを他所にチルノが
鳥老達のなかに走っていった
「ちんちん、リグルとルーミアは?」
「ん~…ミスチーに着いて行く」
「僕もそうするよ」
ミスチーの後ろにルーミアとリグルをつれて
ミスチーが鳥老達の傍に寄っていく
『キシャ!』
体が半分程機械になっている巨鳥の傍にミスチーが進む
「このお方が『ダイナブレイド』様」
「うわぁ…凄い翼」
「…凄い硬いのだ…」
『キシャ~』
「何でも吸い込む化け物と戦って生き残った猛者なんだよ?」
「「へぇ~」」
ダイナブレイドとミスチーがしばらく挨拶をしてから
再び別の鳥老の下にミスチーが向かう
『……(ばたばた)』
「このお方が『キングバード』様…異界の地における鳥達全ての王様なんだ」
「凄い貫禄…」
「でも、飛べるのか?」
『(ばたばた)』
「あはは…余り飛ばれないけど、鳥達全てを見て知識を与えているんだよ」
「「へぇ~」」
ミスチーがそう言うとキングバードに軽く頭を下げて
また別の所に向かっていった
『フォゥホー』
「このお方が『フリーザ』様…伝説の三鳥と呼ばれて…」
「ア…タ…イ…サ、サイ…」
「ち、チルノ!?」
「わは!?チルノが凍り付いているのだ!?」
『フォゥ…』
「…『中々強い凍気だけど、まだまだだな…』だって」
「そ、そんな事言ってる場合じゃない!」
結局、凍り付いていたチルノを回りに居た
別の鳥老が放ってくれた炎でチルノを解凍してから
ミスチーはまた別の鳥老の下に挨拶に行った
『クォ~!』
「うわ~…」
「わは~…」
「凄い綺麗!」
物凄く綺麗な巨鳥の姿
その鳥老の前に、三人とも息を呑んだ
「このお方が『ラーミア』…古参の鳥老のお一人でね
不死鳥と呼ばれているんだ……」
ミスチーがそう言って三人に説明をしてから
ラーミアに頭を下げる
「こんにちわ…」
『クォ』
ミスチーが挨拶すると、ラーミアが軽く頭を下げる
『クォー』
「え、本当ですか?」
『クォクォ…』
「は、はい!ぜひ来てください」
『クォ~♪』
「はい!ではまた!」
ラーミアと話を終えたミスチーにチルノが声をかける
「ミスチー、なに話をしていたのさ?」
「ちんちん!あの鰻が気に入ったから、食べに行っても良いかって!」
「そっか、気に入ってもらえたんだね」
「ん~私も食べたくなって来たのだ」
バカルテットがそう言いながら
いろんな鳥老達の傍に挨拶に回っていると
各鳥老達が、一斉に羽根を広げ始めた
「あ、羽根を広げた?」
「ど、どうしたのだ?」
「…何かあったの?」
心配そうに鳥老達を見つめる三人に
ミスチーが首を横に振る
「…そろそろお開きだから、皆帰る準備をしているんだよ」
ミスチーがそう言っていると
鳥老達がお互いに鳴き声を上げ始めた
甲高い声、低い声、綺麗な声、ちょっと変な声
その様々な声が合わさって、一つの詩のように聞こえる
『ホゥ…』
「え?…あ、は、はい!」
そんな時、まだ鳴いていない黄金のコンドルが
ミスチーの頭を嘴で軽く突付いた
「なんて言われたの?」
「うん、皆も歌おうって…」
「わかったのだ!」
「あたいも歌う!」
そしてバカルテットも一緒に歌を歌い始める
「~~♪~~」
「―――♪」
「~~~っ」
「♪♪♪」
全ての鳥老が鳴く声が当たりに響く
それは、一つの凄い大合唱だった
そのうち、一人、また一人と空に飛んでいく
最後に残ったのは…バカルテットと…
『ホォ…』
帰るために背中を広げてくれた黄金のコンドルの姿だった
「ちんちん…ありがとうございます」
「ミスチー、屋台片付けるよ?」
「あたい、またあのフカフカな背中に乗りたい」
「私もなのだ…」
鳥老大集会が終って、黄金のコンドルの背中に屋台を積むと
『ホォ~~!』
バカルテットが居た場所に向かって
黄金のコンドルが再び空を飛んでいった
『ホォ…』
そして少し暗くなってきた頃
黄金のコンドルがミスチーをつれて来ていた場所にたどり着く
そして、背中から降りるように鳴き声を上げるが
『ホォ?』
背中から声が聞こえてこない
不思議に思って振り返ると
「すぅ…すぅ…」
「むにゃ…」
「ん~…あたい…パプリカ食べれ…zzz」
「zzz…zzz」
四人とも気持ち良さそうに眠っていた
『…ホォ…』
黄金のコンドルも、少し困った表情をしたが
背中に乗せた屋台と四人をそっと下ろして
『ホォ~』
四人を懐に入れて自分もその場で眠る事にした
極上の羽毛に包まれて眠るバカルテット
それは、幻想郷中のどの組織の主でもする事が出来ない
とても贅沢な睡眠時間になった
後日、四人が目を覚ますと
手元に四人分の金色に輝く羽根が置いてあったという
あとみすちー、ちん(ry連呼すんなwww
脳神経節ですねわかります。
死ぬ前に1度は入ってみたいものですな