Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ジレンマ

2009/02/01 22:35:03
最終更新
サイズ
5.78KB
ページ数
1

分類タグ

「時に、霊夢」

「何よ、さっきから何でも無いって繰り返してるじゃない…」

「そんなことを言わないでくれ、大切な事なんだ。誤魔化せないぞ。…アリスについて、どう思ってるんだ!」

私は、さっきからこのたちの悪いのんべえに何回も何回も同じ内容の質問を強要されている。魔理沙自身が言うには、シラフの状態らしいが。
一体、いつになったら私は解放されるのだろうか。




事の発端はこうだ。魔理沙が神社に来た。以上。付け加えるとしたら居間に上がりこんだ事と魔理沙がなんだか見た感じフラフラしているって所かしら。
本当に、これだけ。神社に来てまもないころは普段と変わらない傍若無人と言うか厚顔無恥と言うか、まあいつも通り厚かましい奴だった。しかし、30分くらい経過した時だっただろうか。急にマリサが真顔になり、私がマリサより上座になるように場所を移動して正座をし始めたのだ。

私はこの時魔理沙に何か悪いキノコでも当たったのではないかと心配したのだが、魔理沙曰く真剣な話だと言うことで私も水を差さずに聞くことにしたのだ。その結果が、これだ。

『…レミリアについて、どう思っているんだ!』









「だから、そんな恋人以上の関係なんか持って無いって。そもそも私がそういうことをしていたら全面的に前に出しているわよ!」

「何を、私にはわかっているんだぞ! 霊夢がひたすら周りに隠れながらそういった、なあ! 
アリスは私の大事な親友だ! 霊夢なら安心出来ると思って陰ながら応援していた、が! アリスだけじゃなく、レミリアやスキマ、挙げ句の果てにパ、パチュリーまで!? 
悪どい、悪どいぞ霊夢! 乙女の純情を持て遊びやがって!」

「ええと、そんな、勝手に既成事実をつくられても。そもそも私とパチュリーはそんなに仲良く無いわよ?」

「まだとぼけるか霊夢! 霊夢のその不抜けた根性に失望した、幻滅だよ幻滅! そんな煮え切らない態度の霊夢に魔理沙さん拗ねちゃったぜ! プンプンだぜ!」

魔理沙はとっくの前にくずしていた足をあぐらにして、腕を組んでそっぽを向いてしまった。私が悪いの、これ?
納得行かないもののこのままではバツがわるいのも事実なので、魔理沙に謝ることにする。

「あ、ごめんね、魔理沙。話の内容全然把握してないけど、なんか悪かったから」

「…ふん。何に対して謝れば良いのかわからないから適当に謝るだなんて、最低だぜ」

こういう時に限ってらしいことを言いやがって、くそう!

「いいか、私は霊夢が何人も手を染めている事に怒っているんじゃない。霊夢の余りに優柔不断な態度に、しびれを切らしたんだ」

「優柔不断? 私が?」

「そうだ! 幻想郷中の乙女をたぶらかせておいて、今だに全員に同じ様に接しているじゃないか! お前の事を本気にしている奴らはそんな態度で満足すると思っているのか!?」

「そもそも、私と仲の良いやつなんてそこまでいないんだけど…」

「自覚すらしてないってのか!? かああ、こいつは重症だねえ! お前に惚れこんじまった皆が可哀想だぜ、報われない!」

魔理沙が私の顔に唾を飛ばしながら、腕を大きく使い何かを表現して語っている。どうやら、魔理沙の最近のブームは昼ドラか何かなのだろう。私も一時期あの独特な世界観に大ハマリしたっけなあ。

「大体、霊夢はいつもいつも! 奥手すぎるんだぜ、臆病! もっとぐいぐい押しても嫌だと思わないし、私はそれを望んでいる! 
私は霊夢の事が好きだ! 友達としてじゃない、人生の伴侶として! しかし、私にはどうしても勇気が湧かないから霊夢の一押しが必要だっていうのに、何でわかってくれないんだ! 
もう三ヶ月は悩んでる! 自己本意で申し訳無いとも思う、だけど! 早く、私をこの束縛から解放させてくれ、助けてくれ!
…私はどうすればいいんだ!」

「…寝なさい、魔理沙」

私は、腕を振って熱弁している魔理沙の体を抱きかかえ、落ち着かさせる。そして、魔理沙の頭を私の膝に乗せる。魔理沙は抵抗もなく、パタリと横になった。

体はとても軽く感じる。何日も寝ていないのだろう。どうして、こんな無茶をするのだろうか?

「…あっ?」

魔理沙がすっとんきょうな声をあげる。恐らく魔理沙はいきなり視界が動いたのだと感じたのだろう。足をじたばたさせるも、すぐに静止して目を瞑った。
…余程眠かったのにイライラで寝れなかったのだろう、魔理沙はスー、スーと静かに寝息をたてる。魔理沙の顔を覗き込むと、安堵が伺える。

魔理沙が私の膝を枕に気持ちよさそうに顔を綻ばせるが、悪いけども魔理沙に膝枕をすることについて私に利点はない。強いていえば、無防備な表情を拝めたことか。
ともかく、魔理沙の頭を近くの座布団に乗せようと軽く持ち上げようとする。



『離れないで…!』

と、ふとか弱いような、それでいてしっかり主張をした凛とした声が膝元から聞こえる。考えるまでもなく、その声の持ち主は魔理沙だ。
魔理沙は、私の巫女服を両手で、しかし少し振りほどけばすぐに取れてしまうだろうくらいの力で掴んでいる。

私は、切なそうな表情の魔理沙の頭を軽くきゅっと抱き締める。魔理沙は薄目を開けて、私のお腹にすりすりと顔を擦り付ける。
魔理沙の髪の毛っていい匂いがするな、と思った刹那空気の読めない魔理沙が『霊夢のお腹はプニプニで気持ちいいぜ』だなんて乙女に対するデリカシーの無い発言を漏らしやがったので、思いきり蹴りあげて隣の布団が敷いてある部屋に寝かせました。3日寝てろ。
全く、折角可愛い所あるなと思ったのに! …それにしても、

「散々好き勝手言っておいてあんたこそ私の事を好きだってアプローチしてるんじゃない」

さっきまで散々他人がどうのこうの言ってた癖に、自分の本音は正面から出せないだなんて。それは仕方ないにしても、三ヶ月も溜め込んでいたなんて!

…だから、魔理沙は面白い。そして、放っておけない。

「んもう、その布団私がお昼寝するために敷いたやつなのに。氷嚢だとか用意すんの、私なのよ? 私の事好きなら、労りなさいよね…。おでこは熱くないし、単純な寝不足かしら。まあ、風邪が移ることは無いか」

私は、隣の居間からみかんを何個か持って来て、また魔理沙を寝かせた部屋に入る。あらかじめみかんの皮をある程度穿いて布団の近くに置いてから、私は魔理沙の入っている布団に潜りこんだ。

「うっわ、何これ。狭いにもほどがあるわ。魔理沙はきちんと体が入ってるからいいだろうけど、私に至っては左全身は愚か顔すら入りそうにないわ!
私は布団は頭まで被る派なのよ、すっぽり被らないと布団に入った気がしないというか、まったり出来ないの! 布団を被りながらみかんを貪るのが私の日課なのに、あんたときたら!

…うるさかったわね。お休み。
元気になったら、でっかい布団でも買いに行きましょうか」

昼寝の時間としては少し早いお昼どき前の太陽にお別れを告げ、私は外に投げ出されている足をうまく使い部屋の障子を閉める。
障子の隙間から溢れる陽射しだけが、薄暗くなった部屋と私たちを照らしていた。
よろしくお願いします。
ばらしー
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
レイマリ大好きです! にやにやさせて頂きました。  これからもがんばってください。
2.名前が無い程度の能力削除
……正直うざい