「王様ゲームやろうー!!」
チルノがそんなことをいい出した。彼女が提案する罰ゲームはなぜかいつも「ビリのくじの人は『わたしはバカです』と言う」であり、いつも本人が負けてべそをかいて大ちゃんに慰められてるのに、チルノはなぜかこのゲームが大好きである。
「えー、またー?」リグルは不満そうな声を出す。
「またなのかー」ルーミアはにこにことのんびり笑っている。
「いんじゃない~?」ミスティアは歌うように同意した。
「だ、だめだよチルノちゃん!また負けちゃうよ!」健気にも大妖精はチルノを止める。
「なによ大ちゃん。あたいが負けるって決まったわけじゃないでしょ!!」
「で、でもでも」
「いいからやるのー!ほら、集まって集まって」
わらわらとチルノの周りに四人が集まる。リグルはどうせ結果は見えているという不満顔、ルーミアはどんなことでも楽しめるというのんびり笑顔、ミスティアは軽やかに歌をうたい、大妖精は「あうあう」という表情である。
「ちなみに罰ゲームはねー」
リグルはぼんやりと思った。そもそも王様ゲームって、先に罰ゲームを決めてからやるものだっけ。なんか違う気がする。それにもっとこう、何位の人とか王様とかのクジもつくってやるような気もする。チルノのやりかたが一番単純ではあるけれど。
「ビリのくじを引いた人は、今日一日喋る言葉の最後に『はだかで』をつける!!」
考えてみれば現行のルールではもともとチルノが王様だと決まっていて、チルノが負けた場合は王様が自分で自分に罰ゲームを下しているに他ならず……
そこでリグルは思考を停止した。
場が俄然色めきたった。リグルは激しくせき込み、ルーミアはあわあわと顔を赤らめ、ミスティアは青い鳥のようにいつしか歌を忘れ、大妖精にいたっては顔面でやかんも沸騰させうる程である。みんな思いのほか純情であったらしい。
「ち、ちるのちゃん?」大妖精がうわずった声でいった。
「はだかで、の意味、げほん、あんたわかってるよね?」リグルがまだせき込みながら尋ねた。
「もちろん!!」チルノは元気よくいった。彼女だけは平然としている。というか生き生きとしている。なぜだ。
「あわあわ」ルーミアはまだあわあわしていた。
「ほ、ほんとにやるの~?」ミスティアがようやく声を取り戻していう。
「うん!」
そういうことになった。王様のいうことは絶対である。
チルノが木の筒を取り出した。それには五本の氷のスティックがつっこんである。いつもやる時はミスティアの屋台にあるお箸のさきに適当に色をつけるだけなのに、今日はやたら用意がいい。不思議だ。
「はい、こんなかから一本選んで」
さっきのチルノの衝撃的な提案にまともな思考ができなくなっているらしく、他の四人はとまどいながらスティックをおのおの選び、指のさきでにぎった。冷たい。
「あたいは、これね。じゃあみんな目をつむって」
「なんで目をつむる必要があるのよ」リグルがつっこんだ。
「いいから! 王様のいうことは絶対なの!」
だからいつからあんたが王様になった。
「せーのっ」
で全員がいっせいにくじをひいた。
だが、大妖精をのぞいて全員がチルノの言葉に素直なわけじゃなかった。これはなにかの罠だと感づいていた。正直なものが馬鹿を見る世の中。そしてこの中で正直者は一人しかいなかった。
結論から言えば、最初から全員の氷の棒のさきに紅い着色がなされていたのだ(なんの染料かは知らないが)。当然目をあけていたチルノとリグル、ミスティアとルーミアにはそれが見えた。しかし次の瞬間、その四人の棒のさきはなくなっていた。吹き飛ばされたのだ。チルノが瞬時に発動したアイシクルフォールの無駄に冴えわたる一撃によって。パシッと微かな音がした以外は、静かなものだった。木の棒を使わなかったのは、氷の棒のほうが壊れやすかったからだ。そして、正直にもずっと目を閉じていた者の手には、いまだ色のついた氷のスティックが残っている。
「わ、わたし……」
ようやく目をあけた大妖精が、みるみる細い睫毛に涙をためていく。なんとも哀れだ。
「さあ、大ちゃん、罰ゲームだよ……」
ひどくゆっくりと、チルノは発音した。普段の彼女からは信じられないような、深みのある、底の知れない声だった。いったいその欲望は、どこから湧きあがってくるというのか。イドだろうか。リグルはぞっとした。
「いうのよ、さあ」
もう一度、噛んで含めるように、チルノはいう。
大妖精はしばらく震えていたが、やがて、ぽつりと、こうつぶやいた。
「き、昨日ね、チルノちゃんと湖の周りでおいかけっこして遊んだの…………はだかで」
チルノが鼻血を噴き出して倒れた。
チルノがそんなことをいい出した。彼女が提案する罰ゲームはなぜかいつも「ビリのくじの人は『わたしはバカです』と言う」であり、いつも本人が負けてべそをかいて大ちゃんに慰められてるのに、チルノはなぜかこのゲームが大好きである。
「えー、またー?」リグルは不満そうな声を出す。
「またなのかー」ルーミアはにこにことのんびり笑っている。
「いんじゃない~?」ミスティアは歌うように同意した。
「だ、だめだよチルノちゃん!また負けちゃうよ!」健気にも大妖精はチルノを止める。
「なによ大ちゃん。あたいが負けるって決まったわけじゃないでしょ!!」
「で、でもでも」
「いいからやるのー!ほら、集まって集まって」
わらわらとチルノの周りに四人が集まる。リグルはどうせ結果は見えているという不満顔、ルーミアはどんなことでも楽しめるというのんびり笑顔、ミスティアは軽やかに歌をうたい、大妖精は「あうあう」という表情である。
「ちなみに罰ゲームはねー」
リグルはぼんやりと思った。そもそも王様ゲームって、先に罰ゲームを決めてからやるものだっけ。なんか違う気がする。それにもっとこう、何位の人とか王様とかのクジもつくってやるような気もする。チルノのやりかたが一番単純ではあるけれど。
「ビリのくじを引いた人は、今日一日喋る言葉の最後に『はだかで』をつける!!」
考えてみれば現行のルールではもともとチルノが王様だと決まっていて、チルノが負けた場合は王様が自分で自分に罰ゲームを下しているに他ならず……
そこでリグルは思考を停止した。
場が俄然色めきたった。リグルは激しくせき込み、ルーミアはあわあわと顔を赤らめ、ミスティアは青い鳥のようにいつしか歌を忘れ、大妖精にいたっては顔面でやかんも沸騰させうる程である。みんな思いのほか純情であったらしい。
「ち、ちるのちゃん?」大妖精がうわずった声でいった。
「はだかで、の意味、げほん、あんたわかってるよね?」リグルがまだせき込みながら尋ねた。
「もちろん!!」チルノは元気よくいった。彼女だけは平然としている。というか生き生きとしている。なぜだ。
「あわあわ」ルーミアはまだあわあわしていた。
「ほ、ほんとにやるの~?」ミスティアがようやく声を取り戻していう。
「うん!」
そういうことになった。王様のいうことは絶対である。
チルノが木の筒を取り出した。それには五本の氷のスティックがつっこんである。いつもやる時はミスティアの屋台にあるお箸のさきに適当に色をつけるだけなのに、今日はやたら用意がいい。不思議だ。
「はい、こんなかから一本選んで」
さっきのチルノの衝撃的な提案にまともな思考ができなくなっているらしく、他の四人はとまどいながらスティックをおのおの選び、指のさきでにぎった。冷たい。
「あたいは、これね。じゃあみんな目をつむって」
「なんで目をつむる必要があるのよ」リグルがつっこんだ。
「いいから! 王様のいうことは絶対なの!」
だからいつからあんたが王様になった。
「せーのっ」
で全員がいっせいにくじをひいた。
だが、大妖精をのぞいて全員がチルノの言葉に素直なわけじゃなかった。これはなにかの罠だと感づいていた。正直なものが馬鹿を見る世の中。そしてこの中で正直者は一人しかいなかった。
結論から言えば、最初から全員の氷の棒のさきに紅い着色がなされていたのだ(なんの染料かは知らないが)。当然目をあけていたチルノとリグル、ミスティアとルーミアにはそれが見えた。しかし次の瞬間、その四人の棒のさきはなくなっていた。吹き飛ばされたのだ。チルノが瞬時に発動したアイシクルフォールの無駄に冴えわたる一撃によって。パシッと微かな音がした以外は、静かなものだった。木の棒を使わなかったのは、氷の棒のほうが壊れやすかったからだ。そして、正直にもずっと目を閉じていた者の手には、いまだ色のついた氷のスティックが残っている。
「わ、わたし……」
ようやく目をあけた大妖精が、みるみる細い睫毛に涙をためていく。なんとも哀れだ。
「さあ、大ちゃん、罰ゲームだよ……」
ひどくゆっくりと、チルノは発音した。普段の彼女からは信じられないような、深みのある、底の知れない声だった。いったいその欲望は、どこから湧きあがってくるというのか。イドだろうか。リグルはぞっとした。
「いうのよ、さあ」
もう一度、噛んで含めるように、チルノはいう。
大妖精はしばらく震えていたが、やがて、ぽつりと、こうつぶやいた。
「き、昨日ね、チルノちゃんと湖の周りでおいかけっこして遊んだの…………はだかで」
チルノが鼻血を噴き出して倒れた。
だがしかしチーちゃんはレミリアお嬢様の婿とか言ってみる。
そこに至る過程が「王様ゲームの自分ルール」だったあたりに作者の苦悩が窺えます。
珍しいチルノをありがとうとお礼を言わざるを得ない。はだかで。
これは萌えたよ。はだかで。
次も期待しています。はだかで。
それにしてもバカルテットはいいものですね。はだかで
チルノとだいちゃんのちゅっちゅがみたいよー。はだかで
あまり感激しましたので、これから皆様の家を一軒一軒紳士的に訪問させていただきたいかと存じます。はだかで。
えぇお待ちしております。はだかで。