空に、煌めく星が踊る頃。
博麗神社の一室で、ばふばふつんつんころころりんと音がする――。
――ばふばふ言うなぁ!
――誰も言ってないわよ。煩いわね。静かにしろ。
――まぁまぁ、折角今夜はお客様が来てくれているんですから。
水を向けられ動きだす。
ぺこりひゅうひゅうずん・ばら・りん。
――お招き頂き、至極光栄。今夜は何を致しましょう?
――おしくらまんじゅう、我慢大会、なんでもいいぜ。
――ずるっこは、許さない。
――ずるっこは、メー!
かきんかっきん鈍い音。
はらはらひらひら。
――け、喧嘩もいけません!
すらりと撫でる。
切れやしないか皆が焦った。大丈夫、手品ですもの。
――その通り。とりあえず、何時も通りでいいんじゃない?
ばふばふつんつんころころりん。
ぺこりひゅうひゅうずんばらりん。
はらはらひらひらすらすらり。
空に煌めく星が踊る頃。
得物は主人を飛び出して。
歌うは得物の――チャッチャッチャ!
――だから、ばふばふ言うなぁ!
朝。
「ふぁ……ん、おはよう、上海。……なんだか、表情がいいわね」
「あるのか、表情。……あったか。んー、私の八卦炉も調子がいい気がする」
「暖房や風の出が何時もより良かったり? みょわ、楼観剣と白楼剣がぁ!?」
「……刃零れして――る様に見えるわね。様に、だけよ。なんなら、ナイフと一緒に研いであげるけど?」
「どちらも、曇り一つないような。あれ、お祓い棒が凄く綺麗になってる」
首を捻って考える。
考えても解らない。
そう言えば、と話を切り出す。解らないものは解らない。
「霊夢さんはまだ起きてないんですか?」
少女五人が顔を突き合わせ、一拍の後、歩き出す。
向かうは神社の一部屋、巫女の寝室。
襖を開けて、かける言葉は――「おはようございます、霊夢さん!」
「あー……おはよ、早苗。あんた達も」
寝ぼけ眼で応えるが、瞳に映るは怪訝な表情。
「――って、何? 何かあった?」
巫女の周りを揃って示す。
「何かあったと言うよりは」
「現在進行形で何かがあるぜ」
「札に針、陰陽玉まで持ち出して」
「朝も早くからお仕事とはね。お疲れ様」
言われて周りを見渡せば、何時の間にやらフル装備。
「……あー、あれってお札だったんですね。座布団じゃないんだ」
風祝の呟きに、巫女はお札を振って大抗議。
「座布団って言うなぁ!」
「冗談ですよぅ」
振ったお札は布団に当たり、大きな大きな音が出る――ばふばふ!
<了>
シュールな光景ものスゴく見てみたい。
誤字らしきもの
「獲物」→「得物」
かと。