Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

あなたに温もりを 2

2009/01/21 04:11:30
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『あなたに温もりを』の続編です。





「うぅ~~…どーして上手くいかないのよー!!」

私、蓬莱山輝夜は、目の前にある毛糸を睨みながら、唸りに唸っていた。





アリスが編み方を教えに来た日は、とても楽しかった。
女の子特有の話題でおしゃべりしたり、
持って来てくれた”あっぷるぱい”を、イナバも誘って食べた。
編み方を教えて貰っている永琳は、いつになく真剣だった。
どんどん編めていく永琳は、やっぱり凄いと思った。
夜になると、皆で晩御飯を食べた。
私も少し手伝った。
帰り際、「今度来たときにマフラーを渡すね」とアリスは言った。
とても楽しみだ。


でも、やっぱり羨ましいから…
私もマフラーを、編むことにした。










「あーぁ。こんなことー私には…向いてないのよーーっ!」

私はそう言って、編んでいた物を投げてしまった。
近くにいた永琳は、それを拾って
「せっかく途中まで編んだのに…やめるなんてもったいないわ」
と言い、私に渡した。

永琳の隣には、薄紫のマフラーと橙色のマフラーが置いてある。
私に教えるため編んでいた物だが、
二つも完成してしまうほど、私は物覚えが悪かった。


「何で永琳は、すぐに覚えられたの?」

「天才ですから」そう笑った永琳は、青色の毛糸に手を伸ばす。
「最後まで付き合いますから…頑張りましょう?」

ゆっくり編んでいくのを、真剣な眼差しで見つめる。
綺麗に揃う編み目を見て私は、自分のを見て溜息がでる。
緩くなっていたり、固まっている所がある編み目。
原型はとどめているものの、お世辞にも綺麗とは言えない代物。



”見た目なんて、心が篭もっていれば関係ない”
そんな言葉を聞いたことがある。

こんなボロボロな物、例え心が篭もっていたって着けたくないはずだ。
私だってこんな物、恥ずかしくて着けてられない。
せっかく完成させても、受け取ってすら貰えなかったら?
でも、もしかしたら……!
そんな小さな期待をしながら、
私はまた、永琳のお手本を真剣に見る。

永琳は、もう完成しているからと言って、私に付き合ってくれてるけど
本当は早く渡しに行きたいはずなんだ。
申し訳ない気持ちになりながらも、気合いを入れなおして。
赤い毛糸を編んでいった。














数日後

「寒いな…………」

昨日まで雪がぱらぱら降っていた。
だから外に出てないし、珍しいことに輝夜も来なかったから体が鈍っていそうだ。
とにかく体を動かしたかった私は、散歩に出かけることにした。

外はやっぱり寒かったが、私は炎が出せる。
たいして厚着もせず雪道を歩いた。
下を見ると、霜柱が立っていた。
私は、それを踏んで行く。

(これ、踏みたくなるんだよなぁー)

そんなことをしていると、人里の方に見慣れた人影があった。







「ちょっと出かけてくるわ」

永琳にそう言って、私は上着を羽織り、アリスから貰ったマフラーを巻いた。
薄い桃色で、両端に白いぽんぽんがついている。
手には”あるもの”を持って、外に出た。


外では、イナバ達が雪かきをしていた。
指揮をとっているてゐ。
イナバ達がサボらないように、見張っている鈴仙。

二人の首には、マフラーが巻いてあった。
てゐは橙色の。鈴仙には薄紫の。
きっと永琳に貰ったのだろう。鈴仙は特に嬉しそうだ。

私のでも、渡したらあの子は喜んでくれるだろうか…
喜ばなかったら殺してやろう
そうよ!そうしてやるわ!!
私は、早足で竹林に入って行った。










「おーい。慧音ーー」
人影は、やっぱり慧音だった。

「おはよう妹紅。ってずいぶん薄着だな…寒くないのか?」

そう言った慧音の首には、見慣れないものが……

「別に寒くないよ。能力使えばあたたかくなるし…なぁ、その首に巻いてるのはなんだ?」
「ん?これか?これはマフラーというものだ。首に巻くとあたたかんだぞ」

ずいぶんと嬉しそうに(実際嬉しいのだろう)慧音は話す。

「昨日、里の子供が熱を出してな。永遠亭に薬を貰いに行ったんだ。
そうしたら雪も降っているし、寒いからって永琳がくれたんだ」
「へー…ちょっと貸してよ」

興味を持った私は、慧音のしている緑のマフラーに手を伸ばす、が
「だっ駄目だ!これは、永琳が編んでくれた大事なものだ!!ちなみに青と緑で、お揃いみたいだぞ!!!」
慧音に手をそらされた。
何気に惚気やがって………ちくしょう

「慧音のケチ」
「ケチって…妹紅のなら……いや、なんでもない」

なにかを言いかけていたが、寺子屋に行くからと言って慧音は私と別れた。




私はまた、竹林を歩いて行く。

(なんだよー慧音のヤツ…自慢してさーー)

近くの竹を蹴った。葉についていた雪が落ちてくる。
”永琳が編んでくれた”そう言って、にやにやでれでれ笑った慧音がずるかった。
幸せそうに…ほんとに幸せそうに言う慧音が、羨ましかった。
だから私は、また竹を蹴った。


(まてよ…薬師から貰ったんだよな。もしかしたらアイツも………いや…無理だな)

私は、最近カリスマが不足している姫を思い出したが、
あいつに編み物なんて出来ないだろうし、やろうとも思わないだろうな。
そう思い、考えるのをやめた。

もう家が見えてきた。
今日は不貞寝でもしてやろう、と思っていたら
家の前に…



「おい、輝夜?なんでここに…「はい」」

私の家の前に立っていた輝夜に話しかけると、なにやら赤い物体を差し出してきた。

「なんだよ…こr「いいから、はい」」

そういって、私に受け取らせる。
私は、ボロボロのそれをひろげて見た。
これは…

「それはね、マフラーっていうのよ。首に巻くの」

輝夜は、自分のつけているマフラーを指さしながら言った。

「ああ、知ってる…さっき慧音が話してた」
「そう。それなら話は早いわ……それ、あげる」
「…え?」

あげる、と言われて呆ける私。
永琳がつくった慧音のマフラーとは違く、ボロボロで赤い毛糸が使われいた。
輝夜が編んだものだろう…
ほんとに貰えるだなんて思ってなかったから、正直嬉しい。

「どうしたのよ?あげるって言ってるの。有り難く貰いなさい!」

そう言っている輝夜の頬は、あかくなっていた。

(嬉しい。嬉しい…けど………)

面と向かって言えるほど、私は素直じゃないから。





「こんなボロ雑巾みたいなの、首に巻けるかよ…!」


そんなことを、言ってしまった………











つづく
次で終わります。

好きなCPがマイナーなので、涙目です。
慧音×永琳
霊夢×輝夜
輝夜×アリス
魅魔×神綺   とか

王道なのも加えて、頑張りたいです。
柊了
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
続きが凄く気になる
2.名前が無い程度の能力削除
アッオー
3.名前が無い程度の能力削除
ほぎゃああああ゛!?…スイマセン。
早く次を読みたいです。初々しい二人ですね。
4.名前を表示しない程度の能力削除
その時輝夜に電流走る……!

妹紅が最後のセリフを言い放った時「うわああああ!」と口に出さずに叫んでしまいました。
戦いは避けられないのか、それとも別の切り方で来るのかが気になります。