「おじょうさま どうして ごはんをたべられないんですか？」
紅魔館の食堂にてのお話
もう食事が終って既に数時間はたっている
しかし いつまでも残っていたのは主であるレミリアだった
正確に言うと 残っていたのではなく 残されていたのだ
「さくや このハンバーグからは にんにくのにおいがする」
「きのせいですよ おじょうさま いいからはやくたべてください かたづけがおわりません」
もう ずっとこの調子なのだ
「にんにくいれた？」
「いれてません」
レミリアの問いに即答する咲夜
こんなやりとりを もう５０回くらいは繰り返している
「もう つぎにくるまでには めしあがっててくださいね」
そう言うと 咲夜はバスルームの方へと姿を消した
おそらく掃除に行ったのだろう
となると そんなに早くは出てこないはずだ
となると 食事を残してさっさと逃げることもできる
レミリアはそのカリスマあふれる頭脳をフル回転させて考えた
どうすれば咲夜に怒られずにこの食事から逃げることができるか
考えて考えて考え抜いた
その結果はじき出された答えは 美鈴に食べさせるということだった
門番の彼女は 普段は質素な生活を送っているから ハンバーグを与えれば喜ぶだろうし
さらに部下にやさしくすることで 主としてのカリスマも上がる まさに一石二鳥だった
さっそくレミリアはハンバーグを持って 彼女のいる門の方へと向かった
日傘をさして外に出て 門の前に来てみたが 誰もいなかった
サボっているのだろうか そうだとしたら主として喝を入れてやらなければならない まったく面倒なものだな
と思いながらレミリアは周辺を探してみるが 彼女の姿はどこにも見えなかった
いないんじゃ仕方がない 咲夜にでも頼まれておつかいにでもいってるのかもしれない レミリアはあきらめて館に戻った
そして再びハンバーグとにらめっこをするのだが 正直もうハンバーグは見あきた なんとかこの現状を打破することはできないだろうか
彼女は再び考える しばらくしてから彼女は何を思ったか パチュリーのもとへと向かった
書庫に行くと 彼女は紅茶をすすって くつろいでいた
レミリアがわけを話すと 無表情のまま小さく頷いた
「そう じゃあ まほうで べつなものに かえてみるといいかもしれないわ」
「じゃあ おねがい」
パチュリーは銀のナイフで怪しい紋様をハンバーグに刻み込みながら 何やらブツブツと呪文を唱え始めた
「ウラジミールキュプラスキーウラジミールキュプラスキーウラジハキュプラウラジハキュプラ」
するとハンバーグは見る見るうちに別なものに形を変え始め あっという間におおきな二宮金次郎の銅像へとなった
「まほうはせいこうしたわ」
「ありがとう」
レミリアはそう言うと 銅像をよいしょとかついで書庫を後にした
自身の２倍以上も大きい銅像をかついで歩くレミリアを見て 部下のメイド妖精たちは慌てて避けつつも奇異の目で彼女をみやる
銅像をたくましくかついだまま廊下を歩いてて彼女はふと思った
私は 銅像をかついで いったい何がしたいのだろうか
とりあえず銅像を自分の部屋に持って帰った
床におろしてソファーに寝っ転がって眺めてみる なんてことはない ただの銅像だった
しかも部屋に置くと凄い邪魔だったし 部屋の景観を著しく損ねた
彼女は銅像を持って再びパチュリーのもとへ向かった
わけを聞くと彼女は小さく頷いた
「そう じゃあ ちいさくしてみるわ」
彼女の魔法で銅像は手乗りサイズ程のものへと姿を変えた
「ありがとう」
レミリアは 早速部屋に持って帰って 机の上に置いて銅像を眺めた しかし
私は 銅像を眺めて いったい何がしたいのか こんなことをしていてはカリスマが下がってしまうじゃないか
そもそも何も解決していないという事に気づいた彼女は 銅像を窓の外へ 思いっきり放り投げた
銅像は ぎゅうんと風を切り裂きながら すごい勢いで飛んでいく
そして遠くの妖怪の山へと到達し 山肌に接触した瞬間 大爆発を巻き起こす
その銅像は爆弾だったのだ
これは一体どういうことか
慌てたレミリアは 書庫に行ってパチュリーに尋ねる
彼女は表情を変えずに彼女に言った
「きっと ばくだんハンバーグだったのよ」
「そう じゃあ しかたないわね」
レミリアは 部屋に戻って ハンバーグと爆弾を間違えて作るなんて咲夜ったらお茶目さんね と思いながら 思わずうたたねするのだった
これは一部地域しか分からない。