Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

形なきもの

2009/01/12 17:10:52
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 雪がしんしんと降る。季節は冬。
 幻想郷にもクリスマスがやってきたようである。


 とある竹林の庵では


 「慧音、メリークリスマス。」

 「メリークリスマス、妹紅。
  ほら、ご所望のクリスマスプレゼントだ。」

 「わーい。」

 そう言って妹紅は受け取ってすぐに開封し始める。

 「ははっ、子供だな妹紅は。
  …ふと思ったんだが、歳を考えるとプレゼントを貰うのは私の方じゃない  か?」

 「でもそれを言うと、慧音も私も貰う歳じゃないよ。
  それに、どっちかっていうと慧音はあげる側でしょ。」

 「まあ、そうだが。」

 「でしょ?
  だから私は、貰う側なわけ。」

 「そうだな…。」

 「あれ?どうしたの慧音。
  そんな辛気臭い顔して
  なんかあった?」

 「いや、何でも無いぞ。大丈夫だ。」

 「そう?ならいいけど…」

 少し訝しな表情をしたものの、妹紅はプレゼントを弄るのに戻った。
 一方の慧音は、否定をしたものの未だに浮かない顔をしている。

 「……私にだってたまには貰いたい時もある。
  …特に好きな人からは……」

 俯き気味にそう呟く彼女の声はとても小さく、耳を澄ませなければ聞こえな いほどだった。

 「ん?
  ごめん慧音。
  ちょっと聞き取れなかった。もう一回言ってくれる?」

 「…いや、特に意味も無かったから大丈夫だ。」

 「そう?」

 「ああ。」

 「……」

 「……」

 「…嘘」

 「え?」

 「ちゃんと私もプレゼント用意してあるんだ。
  だからね、…ちょっと目を瞑っててくれるかな?」

 「…わかった。」

 素直に目を瞑る慧音。
 妹紅は身を乗り上げ、向かいに座る彼女へと近づく。

 チュ…

 そして、二人の唇は触れ合う。

 「な、な…」

 予想外の事に自らの唇に触れながら赤くなる慧音。

 「メリークリスマス、慧音。
  素直になれない慧音へ、私からのクリスマスプレゼント。
  気に入ってくれた?」

 少し恥ずかしそうに頬をかきながら、妹紅ははにかむように言う。

 「…あ、ああ」

 突然の事に未だに惚けている慧音。
 それでも次第に、落ち着きが戻ってきた様子で

 「…もちろんだ。
  最高のクリスマスプレゼントだよ、妹紅。
  …ありがとう。」

 「…そう、良かった。
  実を言うと少し不安だったんだ…」

 「……」

 「……」

 「……そっち行ってもいいか?妹紅。」

 「うん、いいよ。」

 そう言って、彼女の為の場所を作るために少し横にずれる。

 やがて二人は互いに寄り添い合い、片手に持った杯を空へとかかげ…

 「「聖なる夜に」」

 「「乾杯」」




 その夜、彼女達がどんな時を過ごしたかは二人しか知らない。

 一つ言えるのは、二人共幸せな時間を過ごした、ということだけである。









 クリスマス。
 それは、不思議な不思議な力を持つ日。
 人の心をちょっと後押ししてくれる、そんな力を持った日。

 そして、サンタクロースが配るのは、形ある物だけじゃないのかもしれな  い…。
 あなたも周りをよく見てごらん。
 形なき大事な物はもう、あなたの手のなかにあるかもしれない……。
啼烏と申します。
初投稿作品で至らぬ点も多々ありますが、どうかあしからず。

少しでも楽しんでいただけたら、と思います。

ではでは
啼烏
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
畜生!
さっさと幸せになってしまえ!
2.名前が無い程度の能力削除
少しばかり時期外れでしたね。

さぁこの勢いで二人がどんなクリスマスを過ごしたのかを書く作業にもどってさらに楽しませてくだされ
3.芳乃奈々樹削除
幸せに過ごしたその内容をkwskプリーズ!

見てるこっちがにやにやしてしまいましたw