Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ゆかりんがヘタれた訳

2009/01/08 22:39:43
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※捏造過去話有につき注意















まったく、やれやれだわ、と

箒で落ち葉をがさがさ集め

ため息ほとほと、めでたい巫女さん









本来、ここまで落ち葉の手入れは必要ないのだが
どこかの見た目から魔法使いや女子高生ルックスの天狗
ろりろり小鬼や自称空気をよめる人などが
ばっさばっさと葉を散らせて飛んで行くものだから困る
畜生め、植物保護団体に訴えてやろうか

あ、だめだ
ゆうかりん呼んだらそれこそ騒ぎってレベルじゃねぇぞ


「とりあえずこんなもんかしらね」

腰に手を当ててふむ、と息をつく
まだ多少葉は残っているが、この程度だったら境内ならでは、な風情の範疇であるし
あまり綺麗過ぎるというのもやや考え物かもしれない


「それじゃ、焼き芋でも始めましょうか」

軽く手を払ってから伸びをし、がさがさと袋から芋を数本取り出す
落ち葉と言ったら焼き芋
これは真理である。異論は許可しない


「っと、その前にいい加減汗もかいたし・・・」

ぱたぱたと袖の部分を仰ぎながら、箒を立てかけて中に入る
この季節、あまり汗に濡れた格好で長居するとろくな事がない
まずは着替えてしまおうと、着替え一式を出して姿見の前に立つ

着替えを足元に置き、袖を繋ぐ部分が切れないよう注意しながら
のんびりと腕を抜いて見栄えもそこそこにたたみ、サラシをほどこうと手をかける


「・・・・・・」

と、そこでふと手を止めて鏡を凝視する






すわ、何事か
拳を固め、まっすぐと鏡に向かって突き出した

哀れ、鏡はその早い寿命を全う・・・・・・・する事も無く、霊夢の拳は中に消え











「博麗一本背負いいぃぃィィ!!!」

「にゃんっ!!」





ばたん、と畳に大音たてて

寝ぼすけ妖怪あらわれた






「なにするのよいったい!!」

「それが覗きが見つかった後の開口一番に出る台詞?!」


腰をさすりながら不平を言う紫に
鬼もかくや、といった表情でかみつく霊夢


「まったく・・・子どもが産めなくなったらどうするつもりよ!」

「誰の子どもよ」

「あなたのよ!」

「どっせぇーい!!」








続く大技、ジャイアントスイング

振り回しながら障子を開けるという小技をかましながら
庭に向かって気持ちよく放り投げた




「よっとっと」

しかし、そこは大妖怪の面目躍如
落ちる寸前に片手をついて、反動で優雅に一回転
すとんと見事に立ってみせると、扇子を雅に構えて笑う


「霊夢は元気ねぇ」
「あんたがいつものんびりしすぎるのよ」

もう着替える気も失せ、また脱いだ服を着なおして縁側に座る


「だってねぇ・・・袴にサラシ一つよ? いったいどんなご褒美っていうのよ」
「別に、あんたのためにこの格好してるわけじゃないわ」
「まぁ、ツンデレ?」


うふふと扇子を仰ぎながらのたまう紫に
もう突っ込む気力もなさげにお茶を啜る霊夢


「・・・ほんと、あんたのどこが『妖怪の賢者』なのかしら
 ただのぐーたら妖怪じゃないの」
「あら、心外ねぇ」

紫は不機嫌そうに頬をぷくーっと膨らませると

「私にだって、それなりに恐れ敬われる頃があったのよ?」
「まぁ今でもあんたを怖がってる人間も多いけどねぇ」

霊夢はことんと湯飲みを置くと

「それじゃあ、その時期とやらは何時の頃だったのかしら?」
「あらあら、昔話をききたいの?」

ころころと嬉しそうに微笑むと、人差し指を唇の下に当て



「そうねぇ・・・あれは、月に行ってみた時よりも、もっと前のことだったかしら」























今ならば


死角にも潜り込んだ今ならば
確実にこの妖怪の息の根を止める事が出来る

そう確信し、鋭い爪をぎらつかせた


しかし、悲しいかな
その考えはあまりにも浅はか過ぎた故








「この程度? 楯突くつもりなら、あと3分はもたせなさいな」







襲ってきた妖怪を片手で切り裂き

返り血を拭う事もせず

無表情に言い放った紫は、確かに美しかった








圧倒的な力を持つとは言えど
全ての妖怪を従える事は敵わず
寧ろ、正体のつかめない冷ややかな存在だった紫には
幾度と無く首を獲り、名を馳せようとする妖怪が後を絶たなかった




たとえ、それらに負ける事は万に一つもありえなくとも
正直、その対応の面倒さにはいい加減閉口していた
軽く額を押さえてため息をつくと
さっさとスキマを開いてマヨヒガへと戻った







「帰ったわ」

「あ、おかえりなさいませ!」

ひょこひょこと慌てながら、奥からでてくる狐の式
先日、いい加減身の回りのことすら煩わしくなってきたので
戯れ程度にと使役する事にした妖怪だ


「あ、あの、お体が汚れているようですので、すぐに湯浴みの方を・・」
「別にいいわ。少し疲れたから、奥で休む」
「・・・わかりました」


式に目をやる事も無く、隣を抜ける紫


「・・・あ、あのっ!」
「なにかしら?」
「・・・この間の事、考えていただけたでしょうか・・・?」
「・・・この間?」

おずおずと申し出る式に、眉をひそめる紫

「あの・・・私の、式の事で・・・」


ああ、そうだった




この式、妖獣の中でも特に妖術の才能に秀でていたらしく
いくらか指導すると、すぐにあらかたの術を飲み込んでいった
そして、たいして教える事も無くなった先日
妖怪の山でみかけた化け猫を、自らの式として使役したいと言い出したのだった
確かにその時、あとで考えると言い放ったきりで・・・



「決して紫様の手を煩わせることはありませんし
 私も式を使役させていただければ、色々な能率も・・」

「あなた」

必死に了解を求めようとする式に
紫は冷たい眼光と言葉でそれを制した


「・・・あなた、私が言っている事すら一人ではできないというの?」
「・・・それは・・」
「それほどまで未熟であるならば、式を使役したところで何が変わるわけでもないと思うけれど?」
「・・・・・・っ」
「せめてそういう事は、私が言う事を全て満足にこなせるようになってからいいなさいな」



ぎゅっと拳を固め、俯いて唇をかみ締める式



「・・・他に何か?」
「・・・・いえ・・・・失礼します・・」




悟られまいとしているのか
震える声を押し隠すように小さくし、奥へ戻る式









紫は式の去った方を一瞥すると
軽く頭を振って自分の寝床へと戻った



「・・・・まったく」


深いため息をつき、天井を見上げる


このマヨヒガに帰ったからといって、何が楽しいわけでもなし

ただ安心して眠れる場所
まるで吸血鬼の棺である







どうしてこう、他人に対して余裕が持てないのだろうと、いつも考える

別に先ほどの式の件だって、そうまでして反対したいわけでない
ただ、他人にたいして寛容になった結果、思いもよらぬ結果になるのが嫌なのだ






「にしても、ねぇ・・・」

この生き方で、どれ程生きてきただろうか
このままではそろそろ、精神のほうで参ってしまわないとも限らない
肉体のみが健在で精神が廃れた妖怪ほど、惨めなものはない



「なにかないものかしら・・・」


ぼんやりとした頭で、ふわふわと解決案でもないかと
自身の色んな境界でも探ってみる
せめて、もう少し肩の力でも抜けるようなものでもあれば・・・



「あら?」






・・・それはこれ程生きてきながら、初めてみる単語であった

明確な意味までは読み取れないが、なんとなくイメージはつく気がする

しかし・・・


「これは・・・なんの境界かしら」









『ヘタレ - シリアス』









目をぱちくりさせて、きょとんとする紫
ここしばらく生きてきて、分からないものに出会ったのは久しぶりだ
その上、これは自身の中にあった境のはずなのに・・・


「・・なんなのかしらねぇ」

ふむ、と身を起こして考える
一体これがどんな意味を持つのかはわからないが
今は境界の境目が、『シリアス』寄りにぶっちぎっていた


「・・・・・・・・」






動かしてみたい、と思う
今まで思いつくことは全て試したが、さほど効果があるものはなかった
なに、一度境界をずらしても、また元に戻せば済むことである
まずは、少しずつずらしていって、どんな変化があるか・・・



「あ・・・っ」



そこで、何が起きたか







身を起こす途中で、服の袖を手で押さえてしまい





慌てて体勢を直そうとしたところ







境界の位置を










思いっきり

















こう、ガーッっと・・・・
















「・・・まぁそんな時期ぐらいの事を、稗田の一代目か二代目が記してたみたいでね」

紫はのんびりと空を見上げつつ

「あの頃は私も今以上に人里に出る事も無かったから、正体なんか知らなかっただろうし
 それを読み解いて、阿求が『妖怪の賢者』だなんてつけたわけよ」

「・・・で、あんたはその僅かな間違いでそんなへたれた妖怪になったと」

「そうなのよー」

首元をごろごろ言わせながら、霊夢の膝の上に頭を乗せる紫

「嘘でしょう」
「どうかしらねー」


いつものように、霊夢の顔を見上げるその顔は
無邪気でのんびりとした、優しい笑顔だった


「あんた、もうその無駄に真面目な頃には戻る気はないの?」
「別に戻ってもいいんだけどねぇ・・・」


紫は思案顔で宙を見上げつつ



「あなた、そんな私のほうがいい?」

「・・・見てみたい気はするけど、付き合う気にはなれないわね」

「でしょー」



にこにこと嬉しそうに微笑むと
ごろんと膝枕の上で目を閉じた


「これから焼き芋するつもりだったんだけど」
「いいじゃないの。もう少し日が傾いて、皆が集まるごろにすれば」
「一人で静かに食べたかったんだけどね」


ふぅと息をつきながら、もうこうなっては仕方がないと


自分も柱に身を持たせかけた


「あら、霊夢も一眠りかしら?」
「誰かの相手で疲れたからね」
「あらそう」

紫は目を閉じたまま声をたてて笑い


「おやすみなさい、霊夢」
「はいはい、おやすみ」









ほんの先の夕刻まで

まどろむことにした二人であった
ゆかれいむはいらんかね
樽合歓
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ください。

あと、ついでにへたれみりゃも追加してk(グングニルーン
2.名前が無い程度の能力削除
ゆかれいむ欲しいですw

シリアスちっくな話かと思いきや、変なオチに…
騙されましたぜwww
ヘタレの方にこう、ガーッっと…
3.名前が無い程度の能力削除
ガーッとねww思わず吹き掛けたよwww
4.雨四光削除
紫さまの理由はそれとして、レミリアはフランにカリスマブレイクかまされたんでしょうか?
幽々子さまのは妖忌が間違えて斬っちゃって行方を晦まさずに居られなかったとか。
姫様は従者の試薬を間違ってのんじゃって、
山の神様達は奇跡がおきてへたれちゃったんですね、そっちの方が可愛いから。

そんな妄想が頭に浮かびました。
5.名前を表示しない程度の能力削除
ゆかれいむ1つ、テイクアウトで。

しかし境界をガーッっとしたからへたれたのかww
マウスを握ったままくしゃみしたときのマウスカーソルみたいにやっちゃったわけですね。
6.名前が無い程度の能力削除
ください!隅の小さいのでもいいんでお願いします!
7.名前が無い程度の能力削除
あんちゃん、おかわり!
8.名前が無い程度の能力削除
ガーっと吹いたwww
ゆかれいむみっつ!!
9.sirokuma削除
ゆかれいむごちそうさまでした。
でもあとどんぶり5杯はいけるぜっ!
10.名前が無い程度の能力削除
カリスマ、じゃなくてシリアス、なのが良い感じ。
ギャグ的耐久力&回復能力も付きそうです。
11.名前が無い程度の能力削除
へたりんには大賛成だが
極端なへたれ大好きだが

なぜ誰もバランスよく中庸を求めないのか。不思議!w
12.名前が無い程度の能力削除
ゆかれいむ一人前、砂糖は多めに頼む。
こう、ガーッっしちゃったのか。そーなのか。
13.名前が無い程度の能力削除
へたれたゆかりんを見た藍の心境や如何に。
14.名前が無い程度の能力削除
境界をガーッとwwwww
ゆかれいむであればシリアスも悪くないかも。