マ「さぁ、始まるわよ」
マ「いくでマッチョ」
マ「ふんがぁぁぁ」
マ「……一体誰が得するのよ、これ」
「ぬおりゃぁぁっっ」
ズガシャァァァァ
「おー、ご苦労さまマチョリー」
「ふん、この程度の氷をぶち抜くなんて容易いわ」
(普通は厚さ十センチの氷ってぶち抜けないと思うなぁ)
あ、自己紹介が遅れました。
ども、てゐです。
えー、本日は師匠が突然
「冬だしワカサギが食べたいわ」
などと戯けた事を抜かしやがるのでわざわざ紅魔館近くの湖まで釣りに来たわけです。
普段ならば氷精と愉快な仲間たちが遊んでいるのですが、マチョリーを見た瞬間逃げ出しました。
いや、まあ気持ちは解るけどね。
「さて、釣りましょうか」
「はい竿」
「…………こうして垂らしてるのも暇ね」
「だろうねぇ、あ、かかった」
「…………」
「お、またきた」
今日は大量だね、これなら早めに帰っておこたに入れそうだ。
「…………」
「よっと、あれ、マチョリーまだ釣れないわけ??」
「………ええーーーい、じれったい、こうなれば直に取ってくるまでよ」
え、こ、この水の中に飛び込む気マチョリー。
いくら鍛えてても心臓麻痺起こしそうなくらいに寒そうだよっ!?
「いやいやいや、落ち着けマチョリー。冷静に素数を数えるんだ2468」
「それ偶数よてゐ、それに私は至って冷静よ」
「半裸で真冬の寒中水泳を実行しようとしてるヤツが何を言うか」
「え、普通じゃないの??」
「アンタの常識が非常識だってことはわかった」
やれやれ、何を考えてるのかと………。
ドッパーーーン
…………え??
「うぉぉぉぉい、人が止めてるのに何入ってるのさ!!」
「すぐに戻るわよ」
三十秒後
「…………大丈夫かな」
五分後
「息継ぎは大丈夫なの??」
十分後
「そ、そろそろまずいような」
二十分後
「し、沈んでるんじゃ??」
一向に浮き上がってこないんだけど。
こ、これまずくない??
この氷のどこかに引っかかってたり………。
ピシッ
「………ヒビ??」
ピシピシピシッ
「んなっ」
どこからとも無く物凄いひび割れだ。
やばいっ、巻き込まれる!!
「うわぁぁぁぁぁ」
ああもう、なんで突然氷が割れてくのさっ。
絶対マチョリーだな、あの野郎。
石だかせてやるっ。
「セーーーフ」
百メートル何秒で駆けたろ。
今なら金メダルでさえも狙えた気がするんだけど。
「うわっ、すご……」
さっきまで一面氷に包まれていた湖は流氷が漂う北極海に姿を変えていた。
そしてその湖の真ん中の氷の上で仁王立ちするマチョリー。
「今正に私は、ぜっこぉぉぉぉぉぉちょぉぉぉであぁぁぁぁぁぁる」
そして、その近くに浮き上がっている山のような魚の群れ。
一体何をしたマチョリー。
全部腹向けてるぞ。
「てゐ、これなら文句ないでしょ??」
「個人的にはありまくる」
危うく氷に呑まれて死ぬとこだったし。
っていうか魚持って泳いでくるな。
「チョーキモチイイ」
「いや、何言ってんの」
「ふう、体を拭く物が欲しいわね」
「用意してないよ、飛び込む事なんて想定してなかったんだから」
とりあえず見ていて寒いけど半裸で永遠亭まで帰るしかないな。
とりあえずワカサギは十分過ぎる位取ったからいいけどさ。
「へっくしょい、さすがに寒いわ」
「寒くない、なーんて言ったら妖怪を超えてるよ」
急いで帰るかな。
マチョリーが風邪をひく前に。
ガラガラッ
「チャップリン、取ってきたよー」
「あれ、マチョリーさんは??」
「あー、今風呂に入ってる」
さすがに冷えたか。
いや、冷えないほうがおかしいんだけどな。
「それじゃあ調理しちゃうからそこ置いておいて」
「はいよー」
「それとね、次名前で呼んだら刺しちゃうよ??」
「………肝に銘じとく」
そんなに嫌なら改名したらいいのにさ。
モモネクターみたいに。
今じゃボボロビッチに改名されたけどね。
より悲惨。
たぶん、私の予想じゃチャップリンからスターリンになりそうだな。
いや、よくわかんないけど。
「よし、私も冷えたし風呂に入ってゆったりするかな」
ガラガラっ
「ふんっ」
「…………何鏡に向かってポージングしてんの」
「あらてゐ、これは重要な意味があるのよ??」
「何の??」
「いかに自分の肉体を美しく見せるかよ」
「そういうのは自分の性別を理解したうえで言って」
「やれやれ、今時男だから女だからってはやらないわよ」
「……………もういいや」
一緒に飲もうと思ってお酒とツマミを持ってきたけど一人でやろ。
お盆を浮かべてと。
うん、いい感じ。
「面白そうな事やってるわね、私にも頂戴」
「はいよ」
「ごきゅごきゅ、ふう、こういうのもいいわね」
あー、極楽極楽。
おっさんくさい??大きなお世話だよ。
「そういえば妖怪の山で温泉が出たらしいわよ」
「あそこ火山だったっけ??」
「地霊殿から繋げたそうよ」
「なるほど」
でも温泉か。
少し興味はあるな。
「で、人間の里の男たちが女湯しか無い事に腹を立ててるそうよ」
「………目的はのぞきじゃないの??」
里の連中は脳内桃色だからなぁ。
しかも自覚した上で行動してるから立ちが悪い。
「でも湧き出た温泉の湯量じゃあ男湯女湯って分けれないのよね」
「あー、それで」
「いいえ、何故混浴じゃないのかですって」
「……………」
何考えてるんだか。
いや、何も考えてないのか。
「元さん、もう諦めましょうや。無理ですって」
「ばっきゃろう、この囲いの向こうに理想郷が、桃源郷があるんだぞっ!?何故諦めれるってんでい」
「げ、元さん………」
「皆この向こうの理想を目指して、死んでいった」(注、死んでません)
「………」
「だってのに俺だけ逃げ出せるかい」
「わかりました、俺も行きますっ」
「よっしゃぁ、行くぞっ」
「ふう、いいお湯だった」
「すこし酔ったわね」
「この程度ならだいじょーぶだって」
「師匠ー、師匠ー、大変です、重症患者がっ」
「なんですって!!……これは酷いわ。全身打撲にヤケドも数箇所、骨も何本か折れてるわね」
「うわ言で「たどり着いた、やったぞ皆」って言ってるんです」
「かなり危険な状態ね、すぐに手術よ」
「今の元さんじゃなかった??」
「また何かやったのね」
「大体想像つくけどね、っていうかあの人大工だけど仕事したとこ見たことないなぁ」
「私も無いわね」
「………………」
「………………」
「ま、まあ大丈夫でしょ」
「そ、そうね、それよりご飯が出来てる筈よ」
お、いい匂い。
さすがはチャップリン。
数百年単位で料理やってないね。
「うわーん、てゐー」
「どしたのゴンザレス」
「どーしてマチョリーつれてっちゃうのさー、雪下ろし手伝って欲しかったのにー」
「はいはい」
適当にあやして寝かしつけよう。
正直酒が大分入ってるから手がつけられない。
「そういえばボボロビッチは??」
「まだ部屋に引き篭もってる」
「………もう三日か、そろそろ仕事が溜まってるんだけどなぁ」
まあ、もうしばらくはそっとしておいてやるか。
それに私が慰めようにも「まともな名前を持ってるヤツに何がわかるっ」って聞く耳持たないし。
「てゐー、今日のは豪勢よー」
「姫様、嬉しそうですね」
「私ワカサギ好きなのよー♪」
「へー、初耳です」
「そうだったかしら??でも永琳は知ってた筈よ」
ふーん、師匠も粋な事してくれるね。
でも、自分で取って来い。
ガラッ
「………はぁ、もう頭が痛いわ」
「師匠、しっかり」
「ホントに人間か疑わしい位の再生力だわ」
もう治ったのか、さすがは元さん。
正体がたとえ妖怪でも驚かないぞ。
「で、マチョリー。何故にプロテインを飲む」
「馬鹿ねてゐ、私の飲み物に決まってるでしょ」
「馬鹿はアンタだ」
「ほらほらてゐ、せっかくのご飯なんだから」
「むう」
姫様に言われたらしょうがないな。
まったく、ヤク○ト感覚でプロテインを飲んでるからそんな体になるんだ。
「失礼しまーす」
今日はチャップリンの班が配膳か。
「所要時間は十秒、開始っ」
「「「「「はい、班長」」」」」
見事な配膳スピードだ。
一瞬で味噌汁とご飯が次いで行かれるなんて。
それでいてまったく零さずに器に入れていく。
さすがはチャップリンの精鋭部隊。
「それでは、残さないでお食べください。残したら、明日は………ウフフ」
「「「「「いただきまーす」」」」」
たとえ嫌いな物でも残せない。
残したら最後明日の晩御飯になっちゃうからだ。
ガラッ
「邪魔するぞー」
「さようなら妹紅さん」
ピシャッ
「な、何するんだ」
「何のようですか??」
さすがはチャップリン。
相手がEXボスでも動じない。
「いやぁ、今日は慧音が妖怪の山に行っててさ。晩飯が無かったんだ」
「姫様、どうしましょう」
「出してあげて」
「かしこまりました」
……なんか最近姫様と妹紅さんの仲が異常にいい様な気がするなぁ。
師匠は複雑そうな顔してるし、鈴仙ちゃんは悟りきった表情でご飯食べてる。
マチョリーに至ってはおかわりに入っていた。
「お姉ちゃん、今日も食べてくのね」
「あ、お、おま、そ、それを人前で言うなと」
そうか、妹紅さんと姫様はそういう関係だったのか。
うんうん、まさにシスターなプリンセス。
妹紅さんにそういう性癖があったのは意外だったけど、うん、まだセーフだ。
「お、おい輝夜っ、私に刺さるこの「うわぁ~」な視線をどうにかしてくれっ」
「え~、私何か間違った事言ったっけ~」
「確信犯かぁーーーー」
「きゃー、お姉ちゃんこわーい」
騒がしいなぁ。
ま、嫌いじゃないけど。
「リン、おかわり」
「はい、ただいまー」
なるほど、そこで略したか。
通りでチャップリンもマチョリーに懐いてるはずだ。
「あら~お姉ちゃん今日は小食なのねー」
「こんな視線の中食えるかぁぁぁぁぁっ」
「姫様ーー」
何故泣く師匠。
一体私らが地霊殿に旅行に行った時に何があったんだ。
「お姉ちゃーん」
「言うなぁぁぁ」
「姫様ぁぁ」
「もぐもぐ(考えちゃだめ、考えちゃだめ、考えちゃだめ)」
「リン、おかわり」
「はぁーい」
あえて言おう、なんだこのカオス。
レボさん分かっていらっしゃる。
姫さまが可愛くて元さんが漢なのはデフォ。
チャップリン元帥はそっと評価されるべき。鈴仙嬢と師匠はSSの空気を読んでしまったんですよ、きっと。
次回作はもこたん姉修業編ですね分かります。
翌日の晩御飯を残したら、更にその翌日の晩御飯になってしまうと言う。
てうぃさん、気にしちゃ負けですぜ。
さすが漢だぜ!(関係なし)
て「得したって」
マ「私が言うのもなんだけど、奇特な人もいたもんね」
このSSの空気だとどう考えても常識は無意味ですからね。
出番はまた他のSSで。
2>
故に、残す兎はなく。
明日の晩御飯は普通だった。
3>
マ「あえて言おう、(常識など)カスであると」
て「黙れ馬鹿」
4>
ある意味最強のキャラですね、もう。
一応設定では里の人Aでした。
いやー元さん見てると蓬莱の薬が馬鹿らしくなってきますね。
もこてらカワユス
もしかして他の人が名前決めてるの?
改名したらスターリンに・・・レーニンもアリか?
ん?エターナル連邦が建国される!?
永遠亭に革命(クーデター)の危機が!!
恐怖政治とマルクス主義と共和制が幻想入りしたんだ!!!!
元さんと一緒にいた男、太郎くん(仮)は無意味なおとこらしさを発揮した元さんに逃がされました。
7>
もこてらもけーもこもイイから困る。
8>
改名、命名はすべて師匠です。
現時点でチャップリンは恐怖政治を持ってるんであと二つですね。
でも過去の串事件から今までの再生速度を見る限り人間やめてても納得できる気がしてきた。
>あえて言おう、なんだこのカオス。
あえて言おう、なんて今更な。