「ちょっとそこの子鬼」
「ん? 私のことか?」
「この天界にあんた以外に鬼なんて居ないわよ」
天子が萃香を睨む。萃香はいつもどおり、ヘラヘラしながら酒を飲んでいた。
「いつまで天界に居るのよ?」
「無論、飽きるまで」
「こっちとしては、いつまでも天人以外の存在が居ると鬱陶しいのよ」
「良いじゃないか。お前の暇潰しの相手くらいにはなってやるから」
「全く、土地代請求するわよ?」
「んじゃあ、金の代わりにこれ」
「え? ちょ!? 投げないでよ!」
萃香が投げた瓶を慌ててキャッチする。天子が中を覗くと中には、不思議な形をした小さな粒が大量に入っていた。
「何よこれ?」
「んー見た感じ金平糖」
「何よ見た感じって?」
「兎がくれた。説明書読んで無いから詳しくは知らないよ」
「……金平糖って食べれるの?」
「砂糖菓子みたいなもん」
天子は、萃香のいい加減な態度に腹が立ったが、とりあえずお菓子の類だと理解し、一粒口に放る。甘い、口当たりの良い味が口内に広がるのが分かる。
しかし、気付くべきだったのだ。何故砂糖菓子に説明書が付いているのか、兎が持って来たのか。
もし、今気付いても、もう口に入れてしまった天子には意味が無い。
「萃香ぁ」
「何だ、甘ったるい声を出して」
「好きぃぃぃぃぃ」
「にょわっ!?」
寝転がっていた萃香の上に乗り、仰向けに押し倒す天子。
萃香は突然のことで、何が何だか分かっていない。
「萃香」
「な、なに?」
「好きだよ」
「いや、はぁ、ありがとう?」
突然好きと言われても、萃香には理解出来ない。
ただ分かるのは、天子の目が正気じゃないということ。にへらと妖しく笑っていること。押し倒されているということ。
怪しいと思った萃香は、手を伸ばして先程の瓶を見る。瓶の底に簡単な説明が書いてあった。
『金平糖型惚れ薬――初めに見た者に惚れ、効果は半日程度』
「な!?」
驚く萃香。そんな萃香を見て天子は顔をゆっくりと近付ける。
「こら天子! 正気に戻れ!」
「私は正気よ。萃香のことしか頭にないもの」
「明らかに正気じゃないって!?」
萃香の脳内に選択肢が浮かぶ。
1.食べられちゃう
2.逆に美味しく食べちゃう
3.むしろ自分も惚れ薬を口に入れる
4.自慢の腕力で脱出
5.メラミ
「4以外無いだろぉぉぉ!」
「きゃあ!?」
のしかかっていた天子を突き飛ばす。そしてそのまま、能力を使って霧の様になる。これで天子には萃香の姿が確認出来なくなった。
一安心していた萃香だが――
「ふえぇぇぇん!」
「え!?」
天子が泣き始めた。しかも子ども泣きだ。
萃香は、力を入れ過ぎて、怪我をしたのかと心配になる。
「萃香も……私を嫌うんだね」
しかし、泣いている理由は全く違っていた。天子は泣きながら、萃香が見えないのに、喋り続ける。
「不良天人って言われて、天界からは嫌われ者。地上に行っても……あんな地震を起こしちゃった私は嫌われ者。天にも地にも居場所が無いよ……私はどうすればいいの? 寂しいよ……ふぇ」
天子は孤独を嫌がっていた。素直じゃない性格は、周りからは捻くれ者と言われ、不良天人と罵られ、辛かったのだろう。
萃香には、それがどんなに辛いことか分かった。悲痛な嘆きを目の前で見て、自分も天子を拒絶し、傷付けたことを後悔した。
「天子……ゴメン」
「……萃香」
能力を解いて、再び天子の目の前に姿を現す萃香。
天子は、萃香に勢いよく抱き付いて泣きじゃくる。萃香はそんな天子を今度は拒絶せず、そっと抱き締め返した――その瞬間
「引っ掛かったわね萃香!」
「え!? んー!?」
天子がニヤリと笑って萃香に口付ける。萃香は何が起こったのか理解出来ずにいた。
押し返そうにも、天子の甘い匂いに惑わされたか、力が思うように入らなかった。
天子の脳内には、選択肢が浮かんでいた。
1.ガンガンイこうぜ!
2.いろいろやろうぜ!
3.特技使うな!
4.道具使うな!
5.命令させろ!
無論、全て性的な意味で、である。
「ぷはっ!」
「ふーふー!」
重ねていた唇を離す。萃香は睨みつけるように天子を見たが――
「でもね萃香。私、本当に寂しかったの。だから、今とっても嬉しい」
「――っ!」
とても純粋な笑顔で、嬉しそうに言われちゃ、睨むに睨めない。拒絶なんて、絶対出来ない。そう萃香は思ってしまった。
「萃香、抵抗しないんだね?」
「もー好きにしなー」
「じゃあお言葉に甘えて」
「むぐぅ!?」
今度は舌を絡ませ――
◇◇◇
「えーと、萃香生きてる?」
「生~き~て~る~」
半日という惚れ薬の効果が無くなる時間まで付き合わされて、ぐったりとしている萃香と、何故かツヤツヤな天子を、遠くから衣玖が覗いていたそうな。
チャンチャン♪
「ん? 私のことか?」
「この天界にあんた以外に鬼なんて居ないわよ」
天子が萃香を睨む。萃香はいつもどおり、ヘラヘラしながら酒を飲んでいた。
「いつまで天界に居るのよ?」
「無論、飽きるまで」
「こっちとしては、いつまでも天人以外の存在が居ると鬱陶しいのよ」
「良いじゃないか。お前の暇潰しの相手くらいにはなってやるから」
「全く、土地代請求するわよ?」
「んじゃあ、金の代わりにこれ」
「え? ちょ!? 投げないでよ!」
萃香が投げた瓶を慌ててキャッチする。天子が中を覗くと中には、不思議な形をした小さな粒が大量に入っていた。
「何よこれ?」
「んー見た感じ金平糖」
「何よ見た感じって?」
「兎がくれた。説明書読んで無いから詳しくは知らないよ」
「……金平糖って食べれるの?」
「砂糖菓子みたいなもん」
天子は、萃香のいい加減な態度に腹が立ったが、とりあえずお菓子の類だと理解し、一粒口に放る。甘い、口当たりの良い味が口内に広がるのが分かる。
しかし、気付くべきだったのだ。何故砂糖菓子に説明書が付いているのか、兎が持って来たのか。
もし、今気付いても、もう口に入れてしまった天子には意味が無い。
「萃香ぁ」
「何だ、甘ったるい声を出して」
「好きぃぃぃぃぃ」
「にょわっ!?」
寝転がっていた萃香の上に乗り、仰向けに押し倒す天子。
萃香は突然のことで、何が何だか分かっていない。
「萃香」
「な、なに?」
「好きだよ」
「いや、はぁ、ありがとう?」
突然好きと言われても、萃香には理解出来ない。
ただ分かるのは、天子の目が正気じゃないということ。にへらと妖しく笑っていること。押し倒されているということ。
怪しいと思った萃香は、手を伸ばして先程の瓶を見る。瓶の底に簡単な説明が書いてあった。
『金平糖型惚れ薬――初めに見た者に惚れ、効果は半日程度』
「な!?」
驚く萃香。そんな萃香を見て天子は顔をゆっくりと近付ける。
「こら天子! 正気に戻れ!」
「私は正気よ。萃香のことしか頭にないもの」
「明らかに正気じゃないって!?」
萃香の脳内に選択肢が浮かぶ。
1.食べられちゃう
2.逆に美味しく食べちゃう
3.むしろ自分も惚れ薬を口に入れる
4.自慢の腕力で脱出
5.メラミ
「4以外無いだろぉぉぉ!」
「きゃあ!?」
のしかかっていた天子を突き飛ばす。そしてそのまま、能力を使って霧の様になる。これで天子には萃香の姿が確認出来なくなった。
一安心していた萃香だが――
「ふえぇぇぇん!」
「え!?」
天子が泣き始めた。しかも子ども泣きだ。
萃香は、力を入れ過ぎて、怪我をしたのかと心配になる。
「萃香も……私を嫌うんだね」
しかし、泣いている理由は全く違っていた。天子は泣きながら、萃香が見えないのに、喋り続ける。
「不良天人って言われて、天界からは嫌われ者。地上に行っても……あんな地震を起こしちゃった私は嫌われ者。天にも地にも居場所が無いよ……私はどうすればいいの? 寂しいよ……ふぇ」
天子は孤独を嫌がっていた。素直じゃない性格は、周りからは捻くれ者と言われ、不良天人と罵られ、辛かったのだろう。
萃香には、それがどんなに辛いことか分かった。悲痛な嘆きを目の前で見て、自分も天子を拒絶し、傷付けたことを後悔した。
「天子……ゴメン」
「……萃香」
能力を解いて、再び天子の目の前に姿を現す萃香。
天子は、萃香に勢いよく抱き付いて泣きじゃくる。萃香はそんな天子を今度は拒絶せず、そっと抱き締め返した――その瞬間
「引っ掛かったわね萃香!」
「え!? んー!?」
天子がニヤリと笑って萃香に口付ける。萃香は何が起こったのか理解出来ずにいた。
押し返そうにも、天子の甘い匂いに惑わされたか、力が思うように入らなかった。
天子の脳内には、選択肢が浮かんでいた。
1.ガンガンイこうぜ!
2.いろいろやろうぜ!
3.特技使うな!
4.道具使うな!
5.命令させろ!
無論、全て性的な意味で、である。
「ぷはっ!」
「ふーふー!」
重ねていた唇を離す。萃香は睨みつけるように天子を見たが――
「でもね萃香。私、本当に寂しかったの。だから、今とっても嬉しい」
「――っ!」
とても純粋な笑顔で、嬉しそうに言われちゃ、睨むに睨めない。拒絶なんて、絶対出来ない。そう萃香は思ってしまった。
「萃香、抵抗しないんだね?」
「もー好きにしなー」
「じゃあお言葉に甘えて」
「むぐぅ!?」
今度は舌を絡ませ――
◇◇◇
「えーと、萃香生きてる?」
「生~き~て~る~」
半日という惚れ薬の効果が無くなる時間まで付き合わされて、ぐったりとしている萃香と、何故かツヤツヤな天子を、遠くから衣玖が覗いていたそうな。
チャンチャン♪
さっき口に入れたリンゴ喉飴の味が消え失せるほどのいかにもなラブコメっぷりと、なぜかメラミが俺のツボでした
喉飴さんの作風は、とりあえず今この時は昔の作風が好きです
でも衣玖さんはもっと好きでs
ガンガンイこうぜwww
なにはともあれ久々ですね金平糖。今回も甘いのごちそうさまでした。
カフェオレを吹きました。金平糖の様な甘い作品で楽しかったです。
喉飴さん、貴方って人はまたyotogiフラグ確立を平然とやってのけちゃうんですね。
そこに痺れて惚れ直すっ!(あぁ、当然だ)
萃勇がジャスティスだけど萃天も大好き!
衣玖さんは三角関係or母的存在ですね分かります。
「yotogiVer.」勝手に期待してお待ちしておりますー。(勝手に期待するなよ……)(でもヌシも見たいじゃろ?)(……否定はせん)
あえて天子を攻めにすることで、ギャップを出してみました。
そしてタグにあるギャグは実質メラミが8割ですw
>>2様
狙っていたボケなのでこちらとしては嬉しい限り!
>>sirokuma様
天子が攻めるという誰もが想像しないことをあえてやりましたw
>>4様
ですよね!
>>5様
初期はこういう甘いのばかり書いていたので久し振りに書きたくなりまして。
楽しんで下さって幸いです!
>>6様
萃香はなんだかんだで優しいと思うのです!
>>謳魚様
流石に夜伽版を書くのは厳しいですwwしかし、時間と気力がめっちゃ有り余っている時に書いてみますw
やりますねー喉飴さん。
ポンポンとネタが生まれるその頭が妬ましい、ああ妬ましい。
しかも甘い話やシリアス、ギャグも書けるなんて・・・。
今回は甘いお話、ありがとうございました。
本当は甘いのか、ほんわかほのぼのが書きやすいのですww
楽しんで下さって嬉しいです。
とりあえず
>5.命令させろ!
調教ですね、夜イカロに行こうぜ?
幼女の萃香が華麗にnice boat.フラグ回避しながら
最終的に天子と衣玖さんを美味しく頂けるのかという点に着目しながら
って、読み返すと突っ込みどころがさり気に多いなw
夜伽で『惚れ薬騒動』or『喉飴』で検索すると私のノリで書いたかなすわが出てきますよw
小さくボケや穴をばらまきましたww
鬼をも凌駕する天人、恐ろしや……!!
>天子の脳内選択肢
これは選択肢ではない、どの順番でやるかという並べ替え問題だったんだ!!(な、なんだt(ry
流石! 選択肢の本当の意味に気付くなんて!(ぇ