Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

素朴な疑問

2008/12/26 18:19:40
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年の瀬迫る12月。
大掃除に追われていた藍は、鼻歌を歌いながらはたきをかけていた。

「ん~、ん~ふふん~ん~ん~♪」(もーいーくつねーるーとー)

すると

「藍さま、その歌なんですけど…」

外で遊んでいた橙が、素朴な疑問を投げかける。

「なんだ?橙」
「『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌詞、ちょっとおかしくないですか?」

長年親しんできた歌に疑問を持たれるとは思っていなかったが
どんなことを思っているのかが気になった。

「どうしてだ?」
「1年365日ですよね」
「あぁ」

当然のことだ。
1年は365日。
うるう年には366日になるが、通常では365日だ。

そして、橙が思った疑問は、その日数に関係していた。

「だったら、1月1日にその歌を歌ったら、『あと364回寝ればお正月』になりませんか?」

「…!」

衝撃。

お正月に歌う歌として、割とポピュラーになっている歌に、こんな矛盾が隠れていようとは。
確かに、『もういくつ寝ると、お正月』と歌われているが、それを疑問形に受け取れば成り立つ。
返答するとすれば、『あと何回』と答える。

12月のうちに歌うとすれば、カウントダウンの意味を持つが
元旦に歌ってしまっては、『あと1年分=364回』という答えになってしまう。

「やっぱり、藍さまでも分かりませんか?」
「ん…あぁ、ちょっと私には分かりかねるが…」

(そうだ、なぜこの歌は正月の歌として認知されている?)
(年末のカウントダウンの意味を持っているとすれば、12月の月末あたりに歌うのが自然だ)
(そうすれば、後の歌詞の『はやく来い来い、お正月』の意味が成り立つ)
(要は正月を心待ちにしているという歌だ)

(ならば、なぜこの歌は年末から正月、つまり元旦にかけて歌われるんだ?)

「他の人にも聞いてみますね。紫さまは…寝ていらっしゃいますよね?」
「あぁ、もう冬眠なさっているぞ。いい機会だから、聞いてまわってみるといい」

賢人として通っている紫だが、この時期は長い眠りに入る。
日中の事だが、ぐっすりなのだろう。








―――人里

「お、八雲の所の式の式じゃないか。どうしたんだ?こんなところまで」

「あのっ、慧音さんだったら分かりますか?」

「なんのことだ?」

「『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌のことなんですけど」

「あぁ、良く知っているぞ。年末から元旦にかけて歌われる歌だな」

「どうして元旦に歌うんですか?」

「どうして…?正月を心待ちにしていたからじゃないのか?」

「だって、元旦に歌ったら『あと364回寝たら、次のお正月だよ』っていう風になりませんか?」

「あ」

(こ、これは盲点だった。)
(確かに、元旦当日には寝ることは無いから、『あと何回』と聞かれれば次の正月を差してしまう)
(とすれば、この子の言うように、『あと364回』という返答になってしまう)
(ならば、なぜこの歌は正月に歌われる?年中歌ってもいいことになってしまう)

「~~~~~~~~っ」

頭を抱えて悩みだしてしまった慧音を見て、「やっぱりわからないんだ」とつぶやくと
橙は、博麗神社を目指して飛び去った。




「慧音、何を悩んでるの?」
「妹紅、『もういくつ寝ると、お正月』?」
「今日は12月26日だから、あと6回」
「じゃあ、この歌を元旦に歌ったらどうなる?」
「へ?」

「「むむむ~~~~???」」





―――博麗神社

「あと物知りの人っていうと」

八雲紫・上白沢慧音・八意永琳
と、あと一人

「パチュリーさんか」

そう思って、紅魔館を目指そうとして

「あ、橙じゃない。どうしたの?」

「霊夢さん」

ダメモトで聞いてみることに

「霊夢さん、『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌なんですけど」
「うん」
「元旦に歌っちゃうと、ちょっとおかしくないですかね?」
「全然」

「どうしてっ!?」

思ってもみなかったところで、答えを得られそうになった。

「いい、『もういくつ寝ると、お正月』って聞かれたら、12月の間なら『あと何回』って答えるわ」
「はい」
「で、元旦に聞かれたら『知らないの?今日よ』って答えてあげるわ」
「ええ!?」

霊夢らしい答え方だが、橙は衝撃をうけた。

(そうか、別に『あと何回だよ』って答えなさいって聞かれてるわけじゃないんだ)

「あの歌は、確かに正月を心待ちにしている歌よ。けれど、それをお正月にも歌うのがおかしいって言うのね?」
「はい」

気づけば、霊夢の言葉がとても重要のような気がしていた。
橙が求め続けた答えを、霊夢はくれるかもしれない。

主人の藍も、里の先生である慧音も分からなかった答えを。

「歌の中にあるわよね『お正月には毬をついて…遊びましょ』って。そうやって遊びたいなっていう願望なわけでしょ」
「あ、はい」
「それを、遊びの誘いと取れなくない?『お正月なんだから、毬つきとかで遊ぼうよ』ってね」
「あ!」
「ね、だからその歌を正月に歌ってもいいのよ」

(霊夢さん、すごい。誰もわからなかった事をあっさり教えてくれた)

「わかった?」
「はい!」

ぱあっと明るい笑顔を浮かべると、「じゃあ藍さまにも教えて来ます」と飛び去った。

「なんだかねぇ、あんな単純な事で悩んじゃうって。…ま、純粋ってことかしらね」

そんなやりとりを後ろで見ていた人影が、歌い始める。

「お正月には~弾幕(や)り合って~、博麗神社で飲みましょう~♪」

「正月じゃなくて、四六時中やってるでしょ。あんたは。」


「にゃははは~いいじゃん。楽しいんだから」
「あんたは悩み無さそうでいいわね」
「えへへ~藍さま~」
「お、どうだ?答えは見つかったか?」
「はい!」






この疑問は、うちが感じたものですが。
みなさんも感じたことは…あるのかな?
ティファーリア
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
素朴な疑問
この歌を元旦に歌っている人いるんですか?
師走頭から大晦日に歌うだと思ってました
我が家の周辺地域では、年を越えて元旦、つまり元日の朝起きてから歌うのって「年の初めの~」ほうで、件の歌は聞きませんでしたね
2.ティファーリア削除
んん?ということは、地方によって違うのか
それともうちの周りの人だけということか?

むぅ、よく「元旦なのにそんな歌を歌うなよ~」って会話してたから思いつきましたが。
…難しいものだなぁ。
3.名前が無い程度の能力削除
関東南部のうちの近所でも正月にスーパーで流れることがあるな
4.名前が無い程度の能力削除
良かった……
元日に歌ってるのうちの連中だけじゃなかったwwwww
5.名前が無い程度の能力削除
「あわてんぼうのサンタクロース」もクリスマス当日に歌ったりするんで別にどうでもいいんじゃないですかね?
6.ティファーリア削除
3>うちの地元は関東西部ですが…似てますね。

4>やっぱりw

5>あ、そういうのもありますね。
  どうでもいいっちゃどうでもいいんですけどね。確かに。