年の瀬迫る12月。
大掃除に追われていた藍は、鼻歌を歌いながらはたきをかけていた。
「ん~、ん~ふふん~ん~ん~♪」(もーいーくつねーるーとー)
すると
「藍さま、その歌なんですけど…」
外で遊んでいた橙が、素朴な疑問を投げかける。
「なんだ?橙」
「『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌詞、ちょっとおかしくないですか?」
長年親しんできた歌に疑問を持たれるとは思っていなかったが
どんなことを思っているのかが気になった。
「どうしてだ?」
「1年365日ですよね」
「あぁ」
当然のことだ。
1年は365日。
うるう年には366日になるが、通常では365日だ。
そして、橙が思った疑問は、その日数に関係していた。
「だったら、1月1日にその歌を歌ったら、『あと364回寝ればお正月』になりませんか?」
「…!」
衝撃。
お正月に歌う歌として、割とポピュラーになっている歌に、こんな矛盾が隠れていようとは。
確かに、『もういくつ寝ると、お正月』と歌われているが、それを疑問形に受け取れば成り立つ。
返答するとすれば、『あと何回』と答える。
12月のうちに歌うとすれば、カウントダウンの意味を持つが
元旦に歌ってしまっては、『あと1年分=364回』という答えになってしまう。
「やっぱり、藍さまでも分かりませんか?」
「ん…あぁ、ちょっと私には分かりかねるが…」
(そうだ、なぜこの歌は正月の歌として認知されている?)
(年末のカウントダウンの意味を持っているとすれば、12月の月末あたりに歌うのが自然だ)
(そうすれば、後の歌詞の『はやく来い来い、お正月』の意味が成り立つ)
(要は正月を心待ちにしているという歌だ)
(ならば、なぜこの歌は年末から正月、つまり元旦にかけて歌われるんだ?)
「他の人にも聞いてみますね。紫さまは…寝ていらっしゃいますよね?」
「あぁ、もう冬眠なさっているぞ。いい機会だから、聞いてまわってみるといい」
賢人として通っている紫だが、この時期は長い眠りに入る。
日中の事だが、ぐっすりなのだろう。
―――人里
「お、八雲の所の式の式じゃないか。どうしたんだ?こんなところまで」
「あのっ、慧音さんだったら分かりますか?」
「なんのことだ?」
「『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌のことなんですけど」
「あぁ、良く知っているぞ。年末から元旦にかけて歌われる歌だな」
「どうして元旦に歌うんですか?」
「どうして…?正月を心待ちにしていたからじゃないのか?」
「だって、元旦に歌ったら『あと364回寝たら、次のお正月だよ』っていう風になりませんか?」
「あ」
(こ、これは盲点だった。)
(確かに、元旦当日には寝ることは無いから、『あと何回』と聞かれれば次の正月を差してしまう)
(とすれば、この子の言うように、『あと364回』という返答になってしまう)
(ならば、なぜこの歌は正月に歌われる?年中歌ってもいいことになってしまう)
「~~~~~~~~っ」
頭を抱えて悩みだしてしまった慧音を見て、「やっぱりわからないんだ」とつぶやくと
橙は、博麗神社を目指して飛び去った。
「慧音、何を悩んでるの?」
「妹紅、『もういくつ寝ると、お正月』?」
「今日は12月26日だから、あと6回」
「じゃあ、この歌を元旦に歌ったらどうなる?」
「へ?」
「「むむむ~~~~???」」
―――博麗神社
「あと物知りの人っていうと」
八雲紫・上白沢慧音・八意永琳
と、あと一人
「パチュリーさんか」
そう思って、紅魔館を目指そうとして
「あ、橙じゃない。どうしたの?」
「霊夢さん」
ダメモトで聞いてみることに
「霊夢さん、『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌なんですけど」
「うん」
「元旦に歌っちゃうと、ちょっとおかしくないですかね?」
「全然」
「どうしてっ!?」
思ってもみなかったところで、答えを得られそうになった。
「いい、『もういくつ寝ると、お正月』って聞かれたら、12月の間なら『あと何回』って答えるわ」
「はい」
「で、元旦に聞かれたら『知らないの?今日よ』って答えてあげるわ」
「ええ!?」
霊夢らしい答え方だが、橙は衝撃をうけた。
(そうか、別に『あと何回だよ』って答えなさいって聞かれてるわけじゃないんだ)
「あの歌は、確かに正月を心待ちにしている歌よ。けれど、それをお正月にも歌うのがおかしいって言うのね?」
「はい」
気づけば、霊夢の言葉がとても重要のような気がしていた。
橙が求め続けた答えを、霊夢はくれるかもしれない。
主人の藍も、里の先生である慧音も分からなかった答えを。
「歌の中にあるわよね『お正月には毬をついて…遊びましょ』って。そうやって遊びたいなっていう願望なわけでしょ」
「あ、はい」
「それを、遊びの誘いと取れなくない?『お正月なんだから、毬つきとかで遊ぼうよ』ってね」
「あ!」
「ね、だからその歌を正月に歌ってもいいのよ」
(霊夢さん、すごい。誰もわからなかった事をあっさり教えてくれた)
「わかった?」
「はい!」
ぱあっと明るい笑顔を浮かべると、「じゃあ藍さまにも教えて来ます」と飛び去った。
「なんだかねぇ、あんな単純な事で悩んじゃうって。…ま、純粋ってことかしらね」
そんなやりとりを後ろで見ていた人影が、歌い始める。
「お正月には~弾幕(や)り合って~、博麗神社で飲みましょう~♪」
「正月じゃなくて、四六時中やってるでしょ。あんたは。」
「にゃははは~いいじゃん。楽しいんだから」
「あんたは悩み無さそうでいいわね」
大掃除に追われていた藍は、鼻歌を歌いながらはたきをかけていた。
「ん~、ん~ふふん~ん~ん~♪」(もーいーくつねーるーとー)
すると
「藍さま、その歌なんですけど…」
外で遊んでいた橙が、素朴な疑問を投げかける。
「なんだ?橙」
「『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌詞、ちょっとおかしくないですか?」
長年親しんできた歌に疑問を持たれるとは思っていなかったが
どんなことを思っているのかが気になった。
「どうしてだ?」
「1年365日ですよね」
「あぁ」
当然のことだ。
1年は365日。
うるう年には366日になるが、通常では365日だ。
そして、橙が思った疑問は、その日数に関係していた。
「だったら、1月1日にその歌を歌ったら、『あと364回寝ればお正月』になりませんか?」
「…!」
衝撃。
お正月に歌う歌として、割とポピュラーになっている歌に、こんな矛盾が隠れていようとは。
確かに、『もういくつ寝ると、お正月』と歌われているが、それを疑問形に受け取れば成り立つ。
返答するとすれば、『あと何回』と答える。
12月のうちに歌うとすれば、カウントダウンの意味を持つが
元旦に歌ってしまっては、『あと1年分=364回』という答えになってしまう。
「やっぱり、藍さまでも分かりませんか?」
「ん…あぁ、ちょっと私には分かりかねるが…」
(そうだ、なぜこの歌は正月の歌として認知されている?)
(年末のカウントダウンの意味を持っているとすれば、12月の月末あたりに歌うのが自然だ)
(そうすれば、後の歌詞の『はやく来い来い、お正月』の意味が成り立つ)
(要は正月を心待ちにしているという歌だ)
(ならば、なぜこの歌は年末から正月、つまり元旦にかけて歌われるんだ?)
「他の人にも聞いてみますね。紫さまは…寝ていらっしゃいますよね?」
「あぁ、もう冬眠なさっているぞ。いい機会だから、聞いてまわってみるといい」
賢人として通っている紫だが、この時期は長い眠りに入る。
日中の事だが、ぐっすりなのだろう。
―――人里
「お、八雲の所の式の式じゃないか。どうしたんだ?こんなところまで」
「あのっ、慧音さんだったら分かりますか?」
「なんのことだ?」
「『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌のことなんですけど」
「あぁ、良く知っているぞ。年末から元旦にかけて歌われる歌だな」
「どうして元旦に歌うんですか?」
「どうして…?正月を心待ちにしていたからじゃないのか?」
「だって、元旦に歌ったら『あと364回寝たら、次のお正月だよ』っていう風になりませんか?」
「あ」
(こ、これは盲点だった。)
(確かに、元旦当日には寝ることは無いから、『あと何回』と聞かれれば次の正月を差してしまう)
(とすれば、この子の言うように、『あと364回』という返答になってしまう)
(ならば、なぜこの歌は正月に歌われる?年中歌ってもいいことになってしまう)
「~~~~~~~~っ」
頭を抱えて悩みだしてしまった慧音を見て、「やっぱりわからないんだ」とつぶやくと
橙は、博麗神社を目指して飛び去った。
「慧音、何を悩んでるの?」
「妹紅、『もういくつ寝ると、お正月』?」
「今日は12月26日だから、あと6回」
「じゃあ、この歌を元旦に歌ったらどうなる?」
「へ?」
「「むむむ~~~~???」」
―――博麗神社
「あと物知りの人っていうと」
八雲紫・上白沢慧音・八意永琳
と、あと一人
「パチュリーさんか」
そう思って、紅魔館を目指そうとして
「あ、橙じゃない。どうしたの?」
「霊夢さん」
ダメモトで聞いてみることに
「霊夢さん、『もういくつ寝ると、お正月』っていう歌なんですけど」
「うん」
「元旦に歌っちゃうと、ちょっとおかしくないですかね?」
「全然」
「どうしてっ!?」
思ってもみなかったところで、答えを得られそうになった。
「いい、『もういくつ寝ると、お正月』って聞かれたら、12月の間なら『あと何回』って答えるわ」
「はい」
「で、元旦に聞かれたら『知らないの?今日よ』って答えてあげるわ」
「ええ!?」
霊夢らしい答え方だが、橙は衝撃をうけた。
(そうか、別に『あと何回だよ』って答えなさいって聞かれてるわけじゃないんだ)
「あの歌は、確かに正月を心待ちにしている歌よ。けれど、それをお正月にも歌うのがおかしいって言うのね?」
「はい」
気づけば、霊夢の言葉がとても重要のような気がしていた。
橙が求め続けた答えを、霊夢はくれるかもしれない。
主人の藍も、里の先生である慧音も分からなかった答えを。
「歌の中にあるわよね『お正月には毬をついて…遊びましょ』って。そうやって遊びたいなっていう願望なわけでしょ」
「あ、はい」
「それを、遊びの誘いと取れなくない?『お正月なんだから、毬つきとかで遊ぼうよ』ってね」
「あ!」
「ね、だからその歌を正月に歌ってもいいのよ」
(霊夢さん、すごい。誰もわからなかった事をあっさり教えてくれた)
「わかった?」
「はい!」
ぱあっと明るい笑顔を浮かべると、「じゃあ藍さまにも教えて来ます」と飛び去った。
「なんだかねぇ、あんな単純な事で悩んじゃうって。…ま、純粋ってことかしらね」
そんなやりとりを後ろで見ていた人影が、歌い始める。
「お正月には~弾幕(や)り合って~、博麗神社で飲みましょう~♪」
「正月じゃなくて、四六時中やってるでしょ。あんたは。」
「にゃははは~いいじゃん。楽しいんだから」
「あんたは悩み無さそうでいいわね」
この歌を元旦に歌っている人いるんですか?
師走頭から大晦日に歌うだと思ってました
我が家の周辺地域では、年を越えて元旦、つまり元日の朝起きてから歌うのって「年の初めの~」ほうで、件の歌は聞きませんでしたね
それともうちの周りの人だけということか?
むぅ、よく「元旦なのにそんな歌を歌うなよ~」って会話してたから思いつきましたが。
…難しいものだなぁ。
元日に歌ってるのうちの連中だけじゃなかったwwwww
4>やっぱりw
5>あ、そういうのもありますね。
どうでもいいっちゃどうでもいいんですけどね。確かに。