深々とする星空を黒い影がゆらりゆらり。
黒いとんがり帽子を被って金の髪を揺らしながらゆらりゆらり。
普通の魔法使い霧雨魔理沙が顔を赤くしながら千鳥足ならぬ千鳥飛行。
表情はとっても上機嫌、笑顔を作りながら片手にバスケットを持ってゆらりゆらり。
流れる風の中に消えそうな小さな鼻歌、恋色マスタースパーク。
苦手な冬の夜空もなんのその、楽しそうに星空飛んでどこへ行く。
目の前には広がるのは深くて暗い魔法の森、向かう先には小さな灯りが灯る小さな建物。
建物の目の前でつまずきながらもなんとか着地、風で少し乱れた髪を手グシで軽く身だしなみ。
準備を済ませて建物の扉を開けて元気よく入室。
「おーすこうりんー、メリークリスマス!」
「なんだ魔理沙か」
開いた扉の先はストーブで温まったごちゃごちゃの室内。
返事をしたのは奥のカウンターでカンテラを頼りに本を読む人、森近霖之助。
ここは香霖堂、幻想郷にはない外の道具を扱う唯一のお店。
魔理沙にとって行き着けの場。
「メリークリスマスって、もうクリスマスも終わるじゃないか」
「まだ少し時間があるからまーだクリスマスだ」
時計を眺めて霖之助は溜息ひとつ。
今日はクリスマス。
キリストの誕生祝う日。
でも時計の針は数分後には12時を指す。
クリスマスももうすぐおしまい。
それでもまだクリスマス、だから魔理沙はメリークリスマスとご挨拶。
「ずいぶん顔が赤いね、大分飲んでるようだけど」
「今夜は紅魔館でクリスマスパーティーがあったからなー。やっぱり知らなかったな?」
「店から一歩も出てないからね。と言うより赤いだけじゃなくて体も揺れてるじゃないか」
「なぁにこれくらいどおってことないぜー」
今夜は紅魔館が人妖集めて飲めや騒げやのクリスマスパーティ。
お祭り好きな魔理沙は逃すことなくしっかり参加。
散々騒いで飲んですっかり出来上がりモード。
強がって大丈夫だとアピールしても揺れる頭で誰でも酔ってると分かる。
「店から出てないってことはこーりんはまだクリスマスを感じてないんだな、もったいない奴だ」
「僕は別に実感しなくても良いと思ってるからね」
「つまんない奴だなー。ま、そういうだろうと思って私がしっかり用意してきたぜ」
おぼつかない足取りでカウンターまで近づいた魔理沙は手にしたバスケットをどすんとカウンターに置いて被せてあった布を取る。
中から出てきたのは二切れのローストチキン。
こんがり焼けた香味の香りがふんわりと漂って部屋を覆う。
「紅魔館で出てきたのをもらってきた。クリスマスといったらやっぱりこれだろ」
「これを僕に届けるためにそんな状態でわざわざ来たのかい、君という奴は……」
「最近完成した保温の魔法でおいしさそのまま、サンタ魔理沙からのプレゼントだ」
自慢の魔法を披露して得意気魔理沙にやれやれと苦笑いの霖之助。
酔いながら香霖堂のやってきたのはサンタ魔理沙の贈り物。
とじこもりっぱなしの店主にささやかなクリスマス気分をおすそ分け。
「今回は特別サービスだ。サンタ魔理沙のプレゼントはまだまだ続くぜー」
にやりと笑う魔理沙はトンガリ帽子を外して中から赤いキャップを取り出して代わりに装着で即席サンタの登場。
さらにトンガリ帽子から小瓶を取り出し、おもむろに蓋を開けて中身を振りまく。
小瓶の中から小さな光の粒が飛び出して部屋中に広まっていく。
あっという間に広まった光の粒はさながら小さな星空。
サンタ魔理沙の二つ目のプレゼントはマジックアイテムで小さなプラネタリウム。
「料理もあって景色もきれい、あっという間のクリスマスパーティー会場の完成だ」
「これは驚いたね、確かにあっという間にクリスマスらしくなったよ」
「だろー」
「でもパーティーというのは数人でやることをいうんだけどね」
パーティーはみんなでやるからパーティーと呼ぶ。
どんなに料理があって景色が良くても一人ではパーティーにならない。
でもサンタ魔理沙にぬかりなし。
お見通しだといいたげにニヤリと笑う。
「そこで三つ目のサンタ魔理沙からのプレゼント」
サンタ魔理沙は駆けだして椅子に座る霖之助に向けてダイビング。
両手を使って霖之助の体をしっかりホールド。
「今夜のクリスマスパーティーには私が相手をしてやるぜ」
とびっきりのプレゼント、本当のサンタ魔理沙のプレゼント、二人っきりでのクリスマスパーティー。
でも突然の動きに追いつけない霖之助、抱きついた魔理沙に慌てふためいて眼鏡もずれる。
「魔理沙、大分酔ってるみたいだからもう家に帰って寝なさい」
「やだー! こうりんと一緒にクリスマスパーティーやるんだー!」
駄目だといわれても下がる気はないサンタ魔理沙。
駄々をこねてひたすら抵抗。
「一緒にやらないと帰らないー!」
「わがままをいうもんじゃないよ」
「だってそうじゃないと準備した意味がなくなっちゃじゃないかー。だから一緒にやるんだー!」
一緒にパーティーやりたいと駄々こねサンタ魔理沙。
何度も話しても帰らないの一点張り。
そんなサンタ魔理沙についに観念した霖之助、困った顔で頭を優しく手を置いてあげる。
「わかったよ、今夜は君と一緒にパーティーをするよ」
「本当か?」
「本当だ」
「やったぜー!」
さっきまでの騒ぎようはどこへやら、嬉しそうに改めて霖之助に強く抱きつくサンタ魔理沙。
ネコのように懐ですりすりと頬ずりしてここぞと甘えてみせる。
サンタからネコへの大変身。
「こうりんーすきだぜー」
「あぁ、わかったよ」
「えへへー……」
子供をあやすように優しく頭を撫でながら応える霖之助。
好きな人に撫でられてすっかり機嫌を直すネコ魔理沙。
尻尾があれば嬉しさにふりふりと揺れていそうなくらいに上機嫌。
その様子がなんだか楽しくなった霖之助がもっと頭を撫でて可愛がる。
「さて、それじゃあ約束のパーティーでもしようか。早くしないと料理が冷めてしまうからね……魔理沙?」
たっぷり頭を撫でてからやっとパーティーをしようと話しかけるも魔理沙からの返事がない。
気付けば魔理沙は霖之助の胸の中で小さな寝息を立てながら気持ち良さそうに夢の中。
それでも掴んだ腕は離れずに霖之助の体をしっかりホールド。
そんな魔理沙を見て霖之助はまた溜息一つ。
「やれやれ、これじゃパーティーどころか動きようがないじゃないか」
愚痴をこぼしてはみるものの、その顔には仕方がないなと軽く苦笑い。
動かして起こすのも悪いと思い、ずれ落ちないようにと腕で抱きかかえてあげる。
天井には魔法の星空。
カウンターにはおいしそうなチキンがあるけど手が届かない。
肝心な相手は夢の中。
時計の針はとっくに12時を過ぎてクリスマスも終わっている。
なんとも締りのないクリスマスパーティー。
それでも、こんな日もありかと霖之助は不思議と納得できた。
「メリークリスマス」
霖之助は小さくささやく。
ゆっくりと流れる静かな時間。
そんな一日遅れで二人っきりの小さなクリスマスパーティー。
黒いとんがり帽子を被って金の髪を揺らしながらゆらりゆらり。
普通の魔法使い霧雨魔理沙が顔を赤くしながら千鳥足ならぬ千鳥飛行。
表情はとっても上機嫌、笑顔を作りながら片手にバスケットを持ってゆらりゆらり。
流れる風の中に消えそうな小さな鼻歌、恋色マスタースパーク。
苦手な冬の夜空もなんのその、楽しそうに星空飛んでどこへ行く。
目の前には広がるのは深くて暗い魔法の森、向かう先には小さな灯りが灯る小さな建物。
建物の目の前でつまずきながらもなんとか着地、風で少し乱れた髪を手グシで軽く身だしなみ。
準備を済ませて建物の扉を開けて元気よく入室。
「おーすこうりんー、メリークリスマス!」
「なんだ魔理沙か」
開いた扉の先はストーブで温まったごちゃごちゃの室内。
返事をしたのは奥のカウンターでカンテラを頼りに本を読む人、森近霖之助。
ここは香霖堂、幻想郷にはない外の道具を扱う唯一のお店。
魔理沙にとって行き着けの場。
「メリークリスマスって、もうクリスマスも終わるじゃないか」
「まだ少し時間があるからまーだクリスマスだ」
時計を眺めて霖之助は溜息ひとつ。
今日はクリスマス。
キリストの誕生祝う日。
でも時計の針は数分後には12時を指す。
クリスマスももうすぐおしまい。
それでもまだクリスマス、だから魔理沙はメリークリスマスとご挨拶。
「ずいぶん顔が赤いね、大分飲んでるようだけど」
「今夜は紅魔館でクリスマスパーティーがあったからなー。やっぱり知らなかったな?」
「店から一歩も出てないからね。と言うより赤いだけじゃなくて体も揺れてるじゃないか」
「なぁにこれくらいどおってことないぜー」
今夜は紅魔館が人妖集めて飲めや騒げやのクリスマスパーティ。
お祭り好きな魔理沙は逃すことなくしっかり参加。
散々騒いで飲んですっかり出来上がりモード。
強がって大丈夫だとアピールしても揺れる頭で誰でも酔ってると分かる。
「店から出てないってことはこーりんはまだクリスマスを感じてないんだな、もったいない奴だ」
「僕は別に実感しなくても良いと思ってるからね」
「つまんない奴だなー。ま、そういうだろうと思って私がしっかり用意してきたぜ」
おぼつかない足取りでカウンターまで近づいた魔理沙は手にしたバスケットをどすんとカウンターに置いて被せてあった布を取る。
中から出てきたのは二切れのローストチキン。
こんがり焼けた香味の香りがふんわりと漂って部屋を覆う。
「紅魔館で出てきたのをもらってきた。クリスマスといったらやっぱりこれだろ」
「これを僕に届けるためにそんな状態でわざわざ来たのかい、君という奴は……」
「最近完成した保温の魔法でおいしさそのまま、サンタ魔理沙からのプレゼントだ」
自慢の魔法を披露して得意気魔理沙にやれやれと苦笑いの霖之助。
酔いながら香霖堂のやってきたのはサンタ魔理沙の贈り物。
とじこもりっぱなしの店主にささやかなクリスマス気分をおすそ分け。
「今回は特別サービスだ。サンタ魔理沙のプレゼントはまだまだ続くぜー」
にやりと笑う魔理沙はトンガリ帽子を外して中から赤いキャップを取り出して代わりに装着で即席サンタの登場。
さらにトンガリ帽子から小瓶を取り出し、おもむろに蓋を開けて中身を振りまく。
小瓶の中から小さな光の粒が飛び出して部屋中に広まっていく。
あっという間に広まった光の粒はさながら小さな星空。
サンタ魔理沙の二つ目のプレゼントはマジックアイテムで小さなプラネタリウム。
「料理もあって景色もきれい、あっという間のクリスマスパーティー会場の完成だ」
「これは驚いたね、確かにあっという間にクリスマスらしくなったよ」
「だろー」
「でもパーティーというのは数人でやることをいうんだけどね」
パーティーはみんなでやるからパーティーと呼ぶ。
どんなに料理があって景色が良くても一人ではパーティーにならない。
でもサンタ魔理沙にぬかりなし。
お見通しだといいたげにニヤリと笑う。
「そこで三つ目のサンタ魔理沙からのプレゼント」
サンタ魔理沙は駆けだして椅子に座る霖之助に向けてダイビング。
両手を使って霖之助の体をしっかりホールド。
「今夜のクリスマスパーティーには私が相手をしてやるぜ」
とびっきりのプレゼント、本当のサンタ魔理沙のプレゼント、二人っきりでのクリスマスパーティー。
でも突然の動きに追いつけない霖之助、抱きついた魔理沙に慌てふためいて眼鏡もずれる。
「魔理沙、大分酔ってるみたいだからもう家に帰って寝なさい」
「やだー! こうりんと一緒にクリスマスパーティーやるんだー!」
駄目だといわれても下がる気はないサンタ魔理沙。
駄々をこねてひたすら抵抗。
「一緒にやらないと帰らないー!」
「わがままをいうもんじゃないよ」
「だってそうじゃないと準備した意味がなくなっちゃじゃないかー。だから一緒にやるんだー!」
一緒にパーティーやりたいと駄々こねサンタ魔理沙。
何度も話しても帰らないの一点張り。
そんなサンタ魔理沙についに観念した霖之助、困った顔で頭を優しく手を置いてあげる。
「わかったよ、今夜は君と一緒にパーティーをするよ」
「本当か?」
「本当だ」
「やったぜー!」
さっきまでの騒ぎようはどこへやら、嬉しそうに改めて霖之助に強く抱きつくサンタ魔理沙。
ネコのように懐ですりすりと頬ずりしてここぞと甘えてみせる。
サンタからネコへの大変身。
「こうりんーすきだぜー」
「あぁ、わかったよ」
「えへへー……」
子供をあやすように優しく頭を撫でながら応える霖之助。
好きな人に撫でられてすっかり機嫌を直すネコ魔理沙。
尻尾があれば嬉しさにふりふりと揺れていそうなくらいに上機嫌。
その様子がなんだか楽しくなった霖之助がもっと頭を撫でて可愛がる。
「さて、それじゃあ約束のパーティーでもしようか。早くしないと料理が冷めてしまうからね……魔理沙?」
たっぷり頭を撫でてからやっとパーティーをしようと話しかけるも魔理沙からの返事がない。
気付けば魔理沙は霖之助の胸の中で小さな寝息を立てながら気持ち良さそうに夢の中。
それでも掴んだ腕は離れずに霖之助の体をしっかりホールド。
そんな魔理沙を見て霖之助はまた溜息一つ。
「やれやれ、これじゃパーティーどころか動きようがないじゃないか」
愚痴をこぼしてはみるものの、その顔には仕方がないなと軽く苦笑い。
動かして起こすのも悪いと思い、ずれ落ちないようにと腕で抱きかかえてあげる。
天井には魔法の星空。
カウンターにはおいしそうなチキンがあるけど手が届かない。
肝心な相手は夢の中。
時計の針はとっくに12時を過ぎてクリスマスも終わっている。
なんとも締りのないクリスマスパーティー。
それでも、こんな日もありかと霖之助は不思議と納得できた。
「メリークリスマス」
霖之助は小さくささやく。
ゆっくりと流れる静かな時間。
そんな一日遅れで二人っきりの小さなクリスマスパーティー。
時間が間に合わないって時差とかあるし大丈夫じゃない
こーりん殺す
俺と代われーーー!!!!
とてもゆったりとした時間を感じました。