Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

仕事の流儀

2008/12/24 14:15:27
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(オリキャラ注意・作中の行為を絶対に真似しないでください)


 


 さて、男は電話を取った。

「もしもし。ええ、はい。そうです」

<注文出来るかしら。ええ、4つ。場所は幻想郷の博霊神社>

「ええ。分かりました。結界の切れ目の位置は」

<前と同じ。もう、スタートよ。いいわね?>

「くっ。いいでしょう。砂時計でも用意して待っててください」

 男は電話を勢いよく切って、隣の女に聞いた。

「出来てるかい? 例の物」

「ええ。バッチリよ。きっかり4つ。またどこかへ行くのね?」

 男は頷いた。
数瞬、二人の間にアイコンタクトが交わされる。

「分かってるわ。あなたなら失敗しないって。気をつけてね」

 男は女の渡した「例の物」を防護ケースに押し込むと、すぐさま改造バイクに飛び乗った。
ド派手なペイントがほどこされた一品である。
 男は腕時計を見て舌打ち一つすると、勢いよくバイクを発進させた。
 男のバイクは週末の大通りを駆け抜けていく。
プロフェッショナルたる彼に休日はないのだ。
 行く人行く人が、みな彼を見て指さした。
彼は有名人であった。
彼のバイクを見た者はトラックだろうと、外車だろうと道を空けた。
この一帯の人間は、彼の仕事を邪魔するのがどれほど恐ろしいことか知っていたのだ。
 そして、誰も知らぬことだが、彼こそは唯一「幻想郷に出入り出来る」人間であった。





 男は時速150キロ超でバイクを吹っ飛ばしつつ、また腕時計を見た。
 いつもに比べて遅い。
もはや、一刻の猶予もない。
 後ろからはパトカーのものらしいサイレンが聞こえてきた。
何、いつものことだ。

「すぐに、駐まりなさい。駐まりなさい」

 男がスイッチを捻ると、ナンバープレートがスロットリールのようにひっくり返って別のものへと変わった。

「繰り返す。すぐさま停車しなさい」

 黙っていろ。今はそれどころではないのだ。
応援の機動隊も必死に追いかけてくるが、男には追いつかない。
 男は信号を2、3度無視して突っ走った。
そして、間もなく目的地の廃デパートが見えてきた。
 男はろくに減速もせずに廃デパートの横の立体駐車場に入っていく。

「馬鹿め。袋のネズミだ。観念しろ」

 流石に立体駐車場を上るにあたっては減速しなければなるまい。
男は迫るサイレンを聞きながら、一心不乱に屋上を目指した。
 プロにはプロの意地があるのだ。
男は屋上に上がると、その隅っこに設置されたジャンプ台に目を遣った。
 加速する時間がないか。いや、行ける。
 男がまた別のスイッチを捻ると、ブースターに点火した。
途端に加速されるバイク。
 男を乗せたバイクはジャンプ台にひた走る。
 バイクはジャンプ台の上を一直線に駆け抜け、立体駐車場の屋上から空中に飛び出し、そして消えた。
 警官隊はついに駐車場内に彼を発見できなかった。






 男が飛び降りたのはいつもの畦道だった。
ああ、何度やってもこの幻想入りの瞬間だけは尻が痛い。
 しかし、駐まるわけにも行かず、男はさらに走った。
目的地はもう目と鼻の先だ。
 と、その時上空から声が聞こえた。

「あなたは食べてもいい人類?」

 これは面倒なことになった。
男のバイクから途端に煙幕が噴き出した。







「今回は貰いじゃないかね」

 こたつに足を突っ込みながら、魔理沙が言った。
 霊夢は砂時計を見る。
最早、巨大な砂時計の中の砂はわずかになり、後3分も経たずに全てこぼれ落ちるだろう。
 紫は険しい顔をしている。

「いや、いつも後ちょっとのところで来るのよ」

 アリスは訝しげに目を細めた。

「本当にそんな人間が来るの? 何だかみんなで私のことを騙してない?」

「本当だってば。お前は疑り深いね。それはもうとんでもない奴が」

 と、その時、耳をつんざくバイクの音が聞こえた。
全員の肩が跳ねる。
 霊夢が障子を開けると、丁度バイクがパラシュートを開いて停車したところだった。
 赤と緑の制服を着た小太りの中年が汗だくになりながら、ヘルメットを外してバイクから降りてきた。
ヘルメットを外すと分かるのだが、大分頭髪が薄く、頭皮が透けて見えている。

「お待たせしました。丁度29分きっかりです」

 砂時計にもあと一掴みの砂が残っていた。
紫は舌打ちしながら、財布を取り出す。

「お幾ら?」

「シーフードとオリジナルと和風とポテトのLサイズが4つで、6000円です」

 紫は男の汗ばんだ手に6000円を叩きつけた。

「ご苦労様。いつもの所から帰ってね」

「それでは、またよろしくお願いします」

 男はそれぞれにお辞儀をしてから、またバイクに乗って博霊神社の裏手に走っていった。
すぐにエンジン音が聞こえなくなった。

「な。言ったろ。アリス。あれがピザ屋さ」

「う、うん。すごくかっこいい人だったね」

「いや、それはないよ」
うちの近くのラーメン屋は「蓬莱」という名前でして。
本家の方の「牛歩」も鋭意製作中です。


追記:タイトル変更しました。申し訳ありません。
yuz
http://bachiatari777.blog64.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
5行目くらいで分かってしまったのは自分も昨日注文したからに違いない。

4人?でLサイズ4枚ってよく食うなwしかも安いw
2.名前が無い程度の能力削除
かっけぇ!
少し前にピザ頼んだら、サンタルックのピザ屋が来たよ。
つーかそのピザ屋は捕まるて。
3.名前が無い程度の能力削除
プロフェッショナルだなあ
4.名前が無い程度の能力削除
ピwwwwwwwwwwwwwwザwwwwwwwwwwwwwwwwww
配達のおっちゃんカッコよすぎだろう・・・これは惚れるわ・・・
5.名前が無い程度の能力削除
明らかに労力とピザの代金が見合ってないのに、それでも行くとは
さすがプロフェッショナル
6.名前が無い程度の能力削除
これは良い短編をみつけた