「朝の光が木の葉に反射して、紅魔館中緑の光に溢れています」
「春ですよー」
「もうすぐ開門時間です。しかし、パチュリー様は図書館の中でぐったりしています」
「そーなのかー」
「『魔理沙ぁ…』ときどき起き上がって呻いてみますが、魔理沙はまだ来ません」
「アタイが今門に居るんだから、入ってこれる訳無いじゃない!!」
「『魔理沙ぁ…まずいわね。このままじゃ』小悪魔を呼んだつもりが『魔理沙ぁ』になってしまいます」
「あらあら、重症ね。ところでそれは実話かしら?」
「ゆ…紫さん!?なんでこの子達に混ざって、お話聞いてるんですか!?いつからそこに!?」
本に栞を挟みつつ、2メートルほど後ずさる美鈴。八雲紫が混ざっていたことに本気で気付かなかった自分に驚いている。
「ふふふ…今まで気付かなかったってことは、この中にいても違和感がないってことよね?…まだイケるわね。
めーりんおねーさん!はやくつづきー!!」
「そんなコ○ン君張りの演技はやめてください!」
あなたのほうが年上でしょ!と突っ込むとマジ切れしかねないので言葉を選ぶ。気を使う能力って本当に気が回る。
紅美鈴は門番の仕事が暇なときに、近くの妖精達に対して朗読会を行っていた。妖精以外が入るのはよくあること(現にいまルーミアがいる)であるが、ここまで大物の妖怪がくると流石に驚く。
「お客様が来られたので朗読会はお開きです。いったいどのようなご用件ですか?」
周りから「え~」とか「ぶ~ぶ~」とか「そーなのかー」とか聞こえてくるが、仕事までの間という約束なので仕方ない。
「めーりんおねーさんもうやめちゃうの?そのあと、もんもんとくるしみつづけて、みずからの××を××して、じぶんがへんたいであるとみとめるパチュリーのびょうしゃは?」
「平仮名でも内容はえらくサディスティック!?」
ごめんなさい。一歩間違えると…いや、危ないかもしれなかった(By作者)
「もう、冗談くらい軽く流してよ。」
流したら流したで文句をつけてくる。扱いの難しい人だ。苦笑しつつ再び用件を窺う。
「どのような御用でしょうか?主は只今睡眠中かと思われますが?」
努めて平静を装うが、内心バクバクである。あの大妖怪がいったい何のようで?異変でもおきたのか?次は出れるといいなぁ…
だんだん保身の話に変わってきたところで紫が応える。
「別に用があったわけじゃないわよ?霊夢は結界張って寝てるし、暇だと思ってたら異変が起きそうな気配がしたから来ただけ。朗読会を続けてもらってもかまわなかったわ。まだ何も起きてないみたいだし」
軽い調子ですらりと言ってのける。はて?気配?異変が起きる?
「そんな気配が判るんですか!?いったい何が紅魔館で!?」
一気にまくし立てる美鈴。頭の中は出番で一杯だ。
「知らないわよ。勘だもの」
「…ー…ク」
「勘ぅ!?ブホッ!?」
「あ」
この大妖怪は博霊の巫女に似てきたのではなかろうか?
そう思っていると、真横からの不意打ち攻撃。特大の光の線が美鈴を門に叩きつける。
「よう門番!今日も絶好調な魔理沙さんだぜ!」
犯人は魔理沙。話に夢中になっていたせいでマスタースパークの宣言に気付かなかったようだ。
「魔理沙…あんたいつもこんなことしてるの?」
「ゲェッ!紫!?何故ここに!?」
一直線に美鈴のみを狙って撃ったせいで、こちらは紫の存在に気付かなかったようだ。
「なによその言い方は?私の世間話を邪魔した分遊んでもらおうかしら?」
「そ…それより中国っ!そう!美鈴だ!流石に不意打ちで直撃は堪えただろうからさ!!早く助けないと!!」
必死に話をそらす魔理沙。しかし尤もな話なのでしぶしぶ引き下がり、美鈴を門の瓦礫から引き吊りだす。もとい救出する。
「おーい!門番!!生きてるかー?」
「あなたは生死の確認が必要なくらいの威力で撃ったのかしら?」
もはや弾幕ごっこではないんじゃないかと非難の目を向ける紫。
「あ、いや、コイツは丈夫だからつい加減を間違えることが…あったりなかったり。そ、それより早く目を覚ませ!私の精神安定のために!!」
これで咲夜まで駆けつけたら紫がいようと殺される。そんな必死な思いが功をそうして、美鈴が目を開く。
「ん…うう…。」
「おお!!無事か!?ほらみろ紫!って、そんな目でみるな!魅魔様のお説教を思い出して、懐かしいやら怖いやらでっ!!次からちゃんとスペルカードルールで正々堂々いくから!」
「そ。ならいいけど。とりあえずこの子に謝りなさい」
「アヤマリと聞いて!!」
なんか高速で通り過ぎた。
「ああ、スマンちゅ…いや、美鈴!ちょっとやりすぎた!」
「魔…理沙」
「本当にこの通りだ!スマン」
「スマンで済むなら…」
「め…美鈴?」
「四季映季ヤマザナドゥはいらんわぁああああああ!!!!!」
「ひでぶっ!!!」
見事にアッパーカットが入った。
……
「美鈴!大丈夫!?」
あれから10分後。メイド妖精達からの年末掃除の手伝いを振り切り、やっとメイド長・十六夜咲夜が駆けつけた。
「め…いりん?」
そこで咲夜が見たものは、いい笑顔で魔理沙を平手で叩き続ける美鈴と、恍惚とした表情でぶたれ続けている魔理沙だった。
「いつものめーりんじゃないー!!」
咲夜は逃げ出した!
「待ちなさい!これは異変よ!」
しかし紫に回り込まれてしまった!
アヤマリなさい射命丸www
>いい笑顔で魔理沙を平手で叩き続ける美鈴と、恍惚とした表情でぶたれ続けている魔理沙だった。
なんか目覚めてるー!?