2.時間は許すか?
恐ろしい人間にさらわれた主を探す咲夜
彼女がさらわれたのは、咲夜が間違いをおかしたからだった
「申し訳ないけど、お嬢様はもうこの館にはいないよ」
一度ダメになってしまったものはもう元には戻らない
因果律に縛られたこの世界での常識ぐらい知っている
もう二度と過ちを繰り返さないと誓っても
でも、例えば、世界の仕組みが変わればどうだろう?
「あんなつもりじゃなかった」と言えば
「わかっているわ」と言ってくれるように
咲夜のみつあみ(Braid)が、冷たく揺れた
--
3.時間は謎を従えるか?
もう随分前の事、咲夜は主の元を去った
咲夜は今、自分のしたことを後悔している
そして、再び主を探す旅にでた
「…それはおかしいな
えっと…お嬢様?なんていう名前だっけ?
多分別の所にいるんじゃないかな」
咲夜は、二人は長い時間をかけて完璧な関係を築いてきたと思っていた
咲夜は主を徹底的に守ったし、自分のおかした間違いは全て打ち消してきた
咲夜は、主に伝えたいと思ったのだ
自分が出て行ったことで、自分がどんなに悲しんだか
でも、それと同時に、
それが
どんなに
すばらしいことだったか
ふと、魔が差したのだろう
--
4.時は場所に連なるか?
次の夜、咲夜は旅立っていた
「やあ、残念だけど君の主は…
あっ、ちょっと、ドコに行くのさ」
過去への旅が終わったとき、咲夜はようやくほっとできた
現在のの自分自身、昔の自分と照らし合わせてみたとき、
自分がどれだけ成長したかがよくわかった
咲夜は日々成長を続け、そのたびにどんどん主に近づいていると感じた
見つける日もそう遠くないだろう
本当にいるならば(いや、いるに決まっている)、
お嬢様が自分を、みんなを変えてくれるはずだ
いつの間にか足取りは軽くなっていた
不思議と荷物も重く感じなく
--
5.時は決意を揺るがすか?
彼女には、
咲夜の情熱がどこから来るのか全くわからなかった
食べ残した夕食の並んだテーブル
咲夜が言おうとしていることはわかっている
「お嬢様を探しに行かないと」
一人になっても、咲夜の事を考えた
まるでまだ咲夜がそこにいて、守ってくれているかのように
お嬢様?
ふざけないでよ
呆れたのか、悲しんでいるのかはわからない
咲夜の後姿を見て、ただため息が出た
--
6.戸惑い
理想の世界では、懐中時計は瀟洒たるシンボルなのかもしれない
主を見つけられなくても咲夜は探すことをやめない
彼女は懐中時計を肌身離さず身につけているはずだ
けれど懐中時計は自己主張をする
他人の目には光る警報機のように映る
人間の世界に重なっていた頃の証のように
やがて咲夜は他人との交流に注意深くなる
「遅かったじゃない!
でも、よく来たね!今回はなんと!
お嬢様は別のお城にいるみたい
私は会った事も無いんだけど
本当にいるのかな」
そのうち咲夜は懐中時計を隠すようになる
しかし彼女には耐えられなかった
あまりに長い時間しまいこんでいると、
彼女の一部が失われてしまうかもしれない
時折不安に押しつぶされそうにもなる
疑問の連鎖は頭を覆いつくし、
当然と思っていた概念はそのうちひっくり返されそうで
--
1.
まるで血か炎のような赤色をかたどった屋敷の庭
みんな夜の星でも眺めながら、暖かい紅茶で喉を潤している
けれど咲夜には瞬く星も見えなければ、紅茶の味もわからない
咲夜のような人間は、
一般的な人間たちとは正反対の生き方をしているらしい
寄せる波と返す並が、お互いにぶつかり合っている
咲夜はとにかく主を見つけたいのだなんとか彼女の事を知りたい、
咲夜にとってそれは、まるで全世界の観る悪夢のように大事なことに他ならず、
アイデンティティを他人に委ねるという自己矛盾すら滑稽な事態で、
それ故に咲夜に啓示を与えてくれるという意味で
だが、世界は咲夜と逆の方向に流れている
そんな世界に暮らす人たちはどう思うだろうか
そのうち、希望も安心も完全に破壊されて、
二度と元には戻らないだろう
--
epi.メイドと血の懐中時計
咲夜はレミリアを呼び寄せて手をとると、
ついてくるように言った
私がお嬢様を守るから!この重苦しい館を脱出しましょう!
血煙と疑念で出来た化け物なんて怖くない!
自由に満ちた世界に一緒に行きましょう!
--
すべてを理解できたのか、咲夜にはわからない
むしろ、よけいに混乱してしまったような気もする
それでもこうして考えているうちに、何かが起こったのは確かだ
咲夜の中で、過去の一瞬一瞬が、形あるものになっていた
それはまるで石のように見えたので、
咲夜はひざまずくと、一番近くにあったひとつに手を触れてみた
指を滑らせてみるととてもなめらかで、少しひんやりしていた
その石はなんとか持てるくらいの重さだった
他も同じだこれを積み重ねれば、
土台をつくり、盛り土をして、館だって建てられる
立派な館を作るには、気の遠くなるような数の石がいるだろう
でも咲夜は思った
まずは、今あるもので始めてみても悪くなさそうだ、と
--
2-2.時間さえも許してくれない
きっかけは本当に些細な事だった
レミリア自身の、ちょっとした悪ふざけにも過ぎなかった
--
3-2.時間に謎掛けは通用しない
咲夜だってちょっとした悪ふざけのつもりですら無かったはずだった
ただ、少しだけ自分一人になってみたかったのだ
本当に魔が差したとしか思えなかった
--
4-2.時間があれば場所は変わる
「それでは、お暇を頂きますから」
「あら咲夜、どうしたの?」
「ちょっと咲夜、どこに行くの?」
「咲夜?答えなさい」
「咲・・・」
--
5-2.時間は決意さえもぶち壊しにしてくれる
お嬢様?
ふざけないでよ
「ふざけないでよ、咲夜」
やっぱり声が口をついて出た
「あなたの探すレミリアは私でしょう」
「咲夜!」
--
6-2.花束を
ふと咲夜に目をやれば、
握り締めている懐中時計はぐるぐるとメチャクチャな時間をさしていた
咲夜はずっと座り込んだまま、懐中時計をしまいこんで、
またぶつぶつと一人で喋りだした
--
0.
いつだって彼女は完璧であることを誇りとしていた
それ故にほんの悪ふざけのつもりでも、
引き起こされた出来事によって彼女の心は深く傷つけられた
ある日咲夜はいきなりレミリアの手を引いて、日中の外へと飛び出した
ちょっとした悪ふざけのつもりだった(レミリアもそれを知っていた上で付き合った)、
けれど、
咲夜が負い目を感じておかしくなるには十分だった
恐ろしい人間にさらわれた主を探す咲夜
彼女がさらわれたのは、咲夜が間違いをおかしたからだった
「申し訳ないけど、お嬢様はもうこの館にはいないよ」
一度ダメになってしまったものはもう元には戻らない
因果律に縛られたこの世界での常識ぐらい知っている
もう二度と過ちを繰り返さないと誓っても
でも、例えば、世界の仕組みが変わればどうだろう?
「あんなつもりじゃなかった」と言えば
「わかっているわ」と言ってくれるように
咲夜のみつあみ(Braid)が、冷たく揺れた
--
3.時間は謎を従えるか?
もう随分前の事、咲夜は主の元を去った
咲夜は今、自分のしたことを後悔している
そして、再び主を探す旅にでた
「…それはおかしいな
えっと…お嬢様?なんていう名前だっけ?
多分別の所にいるんじゃないかな」
咲夜は、二人は長い時間をかけて完璧な関係を築いてきたと思っていた
咲夜は主を徹底的に守ったし、自分のおかした間違いは全て打ち消してきた
咲夜は、主に伝えたいと思ったのだ
自分が出て行ったことで、自分がどんなに悲しんだか
でも、それと同時に、
それが
どんなに
すばらしいことだったか
ふと、魔が差したのだろう
--
4.時は場所に連なるか?
次の夜、咲夜は旅立っていた
「やあ、残念だけど君の主は…
あっ、ちょっと、ドコに行くのさ」
過去への旅が終わったとき、咲夜はようやくほっとできた
現在のの自分自身、昔の自分と照らし合わせてみたとき、
自分がどれだけ成長したかがよくわかった
咲夜は日々成長を続け、そのたびにどんどん主に近づいていると感じた
見つける日もそう遠くないだろう
本当にいるならば(いや、いるに決まっている)、
お嬢様が自分を、みんなを変えてくれるはずだ
いつの間にか足取りは軽くなっていた
不思議と荷物も重く感じなく
--
5.時は決意を揺るがすか?
彼女には、
咲夜の情熱がどこから来るのか全くわからなかった
食べ残した夕食の並んだテーブル
咲夜が言おうとしていることはわかっている
「お嬢様を探しに行かないと」
一人になっても、咲夜の事を考えた
まるでまだ咲夜がそこにいて、守ってくれているかのように
お嬢様?
ふざけないでよ
呆れたのか、悲しんでいるのかはわからない
咲夜の後姿を見て、ただため息が出た
--
6.戸惑い
理想の世界では、懐中時計は瀟洒たるシンボルなのかもしれない
主を見つけられなくても咲夜は探すことをやめない
彼女は懐中時計を肌身離さず身につけているはずだ
けれど懐中時計は自己主張をする
他人の目には光る警報機のように映る
人間の世界に重なっていた頃の証のように
やがて咲夜は他人との交流に注意深くなる
「遅かったじゃない!
でも、よく来たね!今回はなんと!
お嬢様は別のお城にいるみたい
私は会った事も無いんだけど
本当にいるのかな」
そのうち咲夜は懐中時計を隠すようになる
しかし彼女には耐えられなかった
あまりに長い時間しまいこんでいると、
彼女の一部が失われてしまうかもしれない
時折不安に押しつぶされそうにもなる
疑問の連鎖は頭を覆いつくし、
当然と思っていた概念はそのうちひっくり返されそうで
--
1.
まるで血か炎のような赤色をかたどった屋敷の庭
みんな夜の星でも眺めながら、暖かい紅茶で喉を潤している
けれど咲夜には瞬く星も見えなければ、紅茶の味もわからない
咲夜のような人間は、
一般的な人間たちとは正反対の生き方をしているらしい
寄せる波と返す並が、お互いにぶつかり合っている
咲夜はとにかく主を見つけたいのだなんとか彼女の事を知りたい、
咲夜にとってそれは、まるで全世界の観る悪夢のように大事なことに他ならず、
アイデンティティを他人に委ねるという自己矛盾すら滑稽な事態で、
それ故に咲夜に啓示を与えてくれるという意味で
だが、世界は咲夜と逆の方向に流れている
そんな世界に暮らす人たちはどう思うだろうか
そのうち、希望も安心も完全に破壊されて、
二度と元には戻らないだろう
--
epi.メイドと血の懐中時計
咲夜はレミリアを呼び寄せて手をとると、
ついてくるように言った
私がお嬢様を守るから!この重苦しい館を脱出しましょう!
血煙と疑念で出来た化け物なんて怖くない!
自由に満ちた世界に一緒に行きましょう!
--
すべてを理解できたのか、咲夜にはわからない
むしろ、よけいに混乱してしまったような気もする
それでもこうして考えているうちに、何かが起こったのは確かだ
咲夜の中で、過去の一瞬一瞬が、形あるものになっていた
それはまるで石のように見えたので、
咲夜はひざまずくと、一番近くにあったひとつに手を触れてみた
指を滑らせてみるととてもなめらかで、少しひんやりしていた
その石はなんとか持てるくらいの重さだった
他も同じだこれを積み重ねれば、
土台をつくり、盛り土をして、館だって建てられる
立派な館を作るには、気の遠くなるような数の石がいるだろう
でも咲夜は思った
まずは、今あるもので始めてみても悪くなさそうだ、と
--
2-2.時間さえも許してくれない
きっかけは本当に些細な事だった
レミリア自身の、ちょっとした悪ふざけにも過ぎなかった
--
3-2.時間に謎掛けは通用しない
咲夜だってちょっとした悪ふざけのつもりですら無かったはずだった
ただ、少しだけ自分一人になってみたかったのだ
本当に魔が差したとしか思えなかった
--
4-2.時間があれば場所は変わる
「それでは、お暇を頂きますから」
「あら咲夜、どうしたの?」
「ちょっと咲夜、どこに行くの?」
「咲夜?答えなさい」
「咲・・・」
--
5-2.時間は決意さえもぶち壊しにしてくれる
お嬢様?
ふざけないでよ
「ふざけないでよ、咲夜」
やっぱり声が口をついて出た
「あなたの探すレミリアは私でしょう」
「咲夜!」
--
6-2.花束を
ふと咲夜に目をやれば、
握り締めている懐中時計はぐるぐるとメチャクチャな時間をさしていた
咲夜はずっと座り込んだまま、懐中時計をしまいこんで、
またぶつぶつと一人で喋りだした
--
0.
いつだって彼女は完璧であることを誇りとしていた
それ故にほんの悪ふざけのつもりでも、
引き起こされた出来事によって彼女の心は深く傷つけられた
ある日咲夜はいきなりレミリアの手を引いて、日中の外へと飛び出した
ちょっとした悪ふざけのつもりだった(レミリアもそれを知っていた上で付き合った)、
けれど、
咲夜が負い目を感じておかしくなるには十分だった
お読み頂きありがとうございます。
読みにくい、とは文章の事でしょうか。精進します。
構成に関してでしたら普通に上から下に読んでもらえれば構いません
>なんのことやら、さっぱりだ。
私もです
もうちょっと解釈の余地があるのかな?
雰囲気は嫌いじゃないけど、
後悔から立ち直れない二人?の心情ばかりで、
後味の悪さだけが残された気分。
味わおうにも、中身が見当たらないので、
噛み締める事もできない。
心情描写が優れてる分、残念。
書いてる途中から大分気分が変わってしまったので、
似ているのは文章だけになっています。
そして表面をパロったらそこで満足してしまったので、
適当にオチを付けてそのままという事にしてしまいました。
そういった手抜きが多いので、中身が無いのも当然とは思います。
落とし所は色々考えたのですが、
なかなかピンとくるのが思いつかなかったのでこのままにしてしまいました。
次はもうちょっと頑張ります。