衣玖さんが変です。それでもいいかたはどうぞ。
「飽きた」
「まだ始めたばかりですよ」
「それでも飽きたの」
私はため息をつく。いつも通りのこととは言えさすがに気が滅入る。
「天子様の勉強を教えるように頼まれている私のことも考えてください。そんなことで勉強をやめられては私も困るんです」
「そんなこと言われてもねえ。昔の人のことばっかり知っても何の役に立つんだか」
「せめてもう少しやってください。そうしたら休憩にしましょう」
その一言で少しはやる気を取り戻したのか勉強を再開する。
が、眠そうな顔で今すぐにでも寝てしまいそうだ。
私は天子様の部屋で勉強を教えている。天子様の父から直々に頼まれたのだ。それなりに親しいものならば少しはまじめにやるだろうと考えたらしい。
しかし結果はこの通り、やる気がない。やることにはやるのだがこぼれた砂を拾うような効率の悪さでしか進まない。
「何でそんなに眠そうなんですか?毎日ちゃんと寝てないんですか?」
「ん~。ちゃんと寝てるわよ」
「だったら。何故そんなに」
「えっと…」
そこで何故か目をそらす天子様。気のせいか顔が少し赤い。
「その…衣玖が近くにいると安心するって言うか…衣玖っていい匂いするし…そしたら眠くなっちゃって」
えへー、とはにかんだ笑顔の天子様。
私の喜びが有頂天になった。
「そそ、そうですか…」
「?なんか変な音しなかった?」
「キノセイデスヨ」
「そう?なんか衣玖変な汗かいてるけどどうかした?」
「ナンデモアリマセン」
「?」
ちくしょう、なんてかわいいことを言いやがるんだこの人は。思わず抱きしめようとしてしまったじゃないか。
誘ってるのか、誘っているんだな。テークアウトはOKですか?
しかし、ここは耐えねばならない。仮にも相手は天人。そして私は龍宮の遣い。焦ってはならない、まずは互いの信頼関係を築かなくてはならない。そのために今は耐えるのだ。例え鉛筆を脚に刺してでも。
「き、休憩にしましょう。今、ケーキを持ってくるので待っていてください」
「あれ、もういいの?」
「え、ええ。ちょっと私も疲れたので」
「ふうん…」
怪訝な様子の天子様だったが休めるということで特に文句はなさそうだった。
「このケーキ美味しいわね」
「それはよかったです」
わざわざ下界に行って買ってきた甲斐があった。天子様に喜んでもらうために黒白に教えてもらった店で買ってきたのだ。
しかし、ケーキを選んだのはそれだけの理由ではない。
「ほら、クリームがついてますよ」
「ん…。ありがと」
「ふふ、子供みたいですね」
「むう。そんなことないもん」
天子様のほっぺについたクリームを指でふき取る。
これがやりたかった。恥ずかしそうな顔の天子様を見たかった。ただ、それだけだ。異論は認めない。
「衣玖もついてるわよ」
実は自分でつけたのだか天子様は気付いていなかった。
クリームのふきあい…。超萌ゑる。
「衣玖だって子供みたいじゃない」
そう言って天子様は顔を近付けて…、あれ、何故顔を近づけるのですか?
ぺろ。
時は止まる…
そして時は動き出す…
「ハッ!」
メイド長がいるわけでもないのに時が止まった。
いや、そんなことより
「てててて天子様!いったい何をなさったのですか!」
「クリームが付いたらこうするって、隙間妖怪が言ってたんだけど…、違うの?」
あのスキマババァ!天子様に何を吹き込んだ!自分の式にやっているセクハラの方法か!
けしからん、もっとやれ!
「衣玖…、嫌だったの?」
「いえいえ!そんなことはけしてありません!」
というか、全身なめてもらってもOKです、はい。
「そう、よかったわ」
満面の笑みを浮かべる天子様。ああ、まぶしすぎる。
「じゃあ、疲れたから寝るわ。お休み」
言うや否やすぐに横になり寝息を立て始めた。のび太くんですか、あなたは。
半ばあっけにとられる私をよそにすっかり熟睡している。少しのことじゃ起きそうにない。
すうすうと寝息をたて、安らかに眠る顔をみる。
うわあ、キスしてえ。
「しかし、ここで先走るわけにはいきません…」
物事には順序がある。寝込みを襲うにはまだ早い。
もっと親密になってからだ。
「これぐらいならいいですよね…」
天子様と同じように横になり頭を包み込むように抱く。
桃のような甘い匂いと心地の良い髪の感触を楽しむ。
「いくぅ…」
腕のなかでもぞもぞとうごく。目を覚ましたかと思ったがただの寝言だった。
「だいすきぃ…」
突然の言葉に心臓が跳ね上がった。ただの寝言とは分かっているけど、それでも胸の鼓動はおさまらない。
呼吸は自然と乱れる。
「まったく…。本当はわかってやってるんじゃないですか?」
当の本人は寝息を立てるだけだった。
「今度は起きているときに聞いてみたいですね」
腕にそっと力を入れて、柔らかく抱きしめる。
すると、同じように抱きしめられる。
「私も大好きですよ」
言うまでないことですけど。
そう言ってから私は眠りについた。
「飽きた」
「まだ始めたばかりですよ」
「それでも飽きたの」
私はため息をつく。いつも通りのこととは言えさすがに気が滅入る。
「天子様の勉強を教えるように頼まれている私のことも考えてください。そんなことで勉強をやめられては私も困るんです」
「そんなこと言われてもねえ。昔の人のことばっかり知っても何の役に立つんだか」
「せめてもう少しやってください。そうしたら休憩にしましょう」
その一言で少しはやる気を取り戻したのか勉強を再開する。
が、眠そうな顔で今すぐにでも寝てしまいそうだ。
私は天子様の部屋で勉強を教えている。天子様の父から直々に頼まれたのだ。それなりに親しいものならば少しはまじめにやるだろうと考えたらしい。
しかし結果はこの通り、やる気がない。やることにはやるのだがこぼれた砂を拾うような効率の悪さでしか進まない。
「何でそんなに眠そうなんですか?毎日ちゃんと寝てないんですか?」
「ん~。ちゃんと寝てるわよ」
「だったら。何故そんなに」
「えっと…」
そこで何故か目をそらす天子様。気のせいか顔が少し赤い。
「その…衣玖が近くにいると安心するって言うか…衣玖っていい匂いするし…そしたら眠くなっちゃって」
えへー、とはにかんだ笑顔の天子様。
私の喜びが有頂天になった。
「そそ、そうですか…」
「?なんか変な音しなかった?」
「キノセイデスヨ」
「そう?なんか衣玖変な汗かいてるけどどうかした?」
「ナンデモアリマセン」
「?」
ちくしょう、なんてかわいいことを言いやがるんだこの人は。思わず抱きしめようとしてしまったじゃないか。
誘ってるのか、誘っているんだな。テークアウトはOKですか?
しかし、ここは耐えねばならない。仮にも相手は天人。そして私は龍宮の遣い。焦ってはならない、まずは互いの信頼関係を築かなくてはならない。そのために今は耐えるのだ。例え鉛筆を脚に刺してでも。
「き、休憩にしましょう。今、ケーキを持ってくるので待っていてください」
「あれ、もういいの?」
「え、ええ。ちょっと私も疲れたので」
「ふうん…」
怪訝な様子の天子様だったが休めるということで特に文句はなさそうだった。
「このケーキ美味しいわね」
「それはよかったです」
わざわざ下界に行って買ってきた甲斐があった。天子様に喜んでもらうために黒白に教えてもらった店で買ってきたのだ。
しかし、ケーキを選んだのはそれだけの理由ではない。
「ほら、クリームがついてますよ」
「ん…。ありがと」
「ふふ、子供みたいですね」
「むう。そんなことないもん」
天子様のほっぺについたクリームを指でふき取る。
これがやりたかった。恥ずかしそうな顔の天子様を見たかった。ただ、それだけだ。異論は認めない。
「衣玖もついてるわよ」
実は自分でつけたのだか天子様は気付いていなかった。
クリームのふきあい…。超萌ゑる。
「衣玖だって子供みたいじゃない」
そう言って天子様は顔を近付けて…、あれ、何故顔を近づけるのですか?
ぺろ。
時は止まる…
そして時は動き出す…
「ハッ!」
メイド長がいるわけでもないのに時が止まった。
いや、そんなことより
「てててて天子様!いったい何をなさったのですか!」
「クリームが付いたらこうするって、隙間妖怪が言ってたんだけど…、違うの?」
あのスキマババァ!天子様に何を吹き込んだ!自分の式にやっているセクハラの方法か!
けしからん、もっとやれ!
「衣玖…、嫌だったの?」
「いえいえ!そんなことはけしてありません!」
というか、全身なめてもらってもOKです、はい。
「そう、よかったわ」
満面の笑みを浮かべる天子様。ああ、まぶしすぎる。
「じゃあ、疲れたから寝るわ。お休み」
言うや否やすぐに横になり寝息を立て始めた。のび太くんですか、あなたは。
半ばあっけにとられる私をよそにすっかり熟睡している。少しのことじゃ起きそうにない。
すうすうと寝息をたて、安らかに眠る顔をみる。
うわあ、キスしてえ。
「しかし、ここで先走るわけにはいきません…」
物事には順序がある。寝込みを襲うにはまだ早い。
もっと親密になってからだ。
「これぐらいならいいですよね…」
天子様と同じように横になり頭を包み込むように抱く。
桃のような甘い匂いと心地の良い髪の感触を楽しむ。
「いくぅ…」
腕のなかでもぞもぞとうごく。目を覚ましたかと思ったがただの寝言だった。
「だいすきぃ…」
突然の言葉に心臓が跳ね上がった。ただの寝言とは分かっているけど、それでも胸の鼓動はおさまらない。
呼吸は自然と乱れる。
「まったく…。本当はわかってやってるんじゃないですか?」
当の本人は寝息を立てるだけだった。
「今度は起きているときに聞いてみたいですね」
腕にそっと力を入れて、柔らかく抱きしめる。
すると、同じように抱きしめられる。
「私も大好きですよ」
言うまでないことですけど。
そう言ってから私は眠りについた。
書いてくださいお願いします。
ディ・モールト良い!
出来れば続きをお願いします。
1>ありがとうございます もっとやりたいです
2>それはよかったです 見える人が他にいました
喉飴と嶺上開花>だがそれがいいんです ありがとうございました
4>ごめんなさい 反省はしました
流離いのhigasi>私も好きです がんばります