ここは、冬を迎えた、寒風吹きすさぶ、妖怪の山の山腹にあるあばら屋。その中でシーズンを終えた秋姉妹は、毎日地味ながら平和に暮らしていた。
しかし、ある日、突如二人のもとに現れた冬の妖怪レティ・ホワイトロックによって、その平和は見るも無残に崩されてしまう。
せっかく姉妹が集めた秋の力も、彼女の持ち込んだ冬の力によってかき消されてしまい、二人の隠れ家であったあばら屋は落ち葉で埋もれてしまった。
そして、二人もこのまま冬の力に飲まれてしまうのを待つばかりかに見えていた。
しかし、二人は終わっていなかった。落ち葉に完全に埋もれながらも、二人はまだ、最後の生きる希望だけは失っていなかったのだ!
「ねえ、穣子……生きてる?」
「ええ、なんとか……姉さんは?」
「同じくなんとか……ね」
「……静葉姉さん、私、あの妖怪の事許せない……」
「……奇遇ね。私もよ」
「……あいつ、次に見つけたら思いっきり引っぱたいてやるんだから!!」
「じゃあ、私はその上から更にせっかんを加えるわ」
「あら、珍しい! 温厚な静葉姉さんが、そんな事言うなんて……!?」
「それだけ、私もあの妖怪が許せないってことよ」
珍しく静葉の語気は強まっていた。穣子の方も、姉のそんな様子を即座に感じ取っていた。
「やっぱり! 静葉姉さんもそう思うよね!? ひどいよね! あいつ!」
「ええ、今回限りは、流石に温厚な私も、彼女には怒りを覚えざるを得ないわ」
「よしっ! こうなったら、あの妖怪探し出して、二人で仕返ししましょうよ!!」
「ええ、そうね。そうしましょう」
「よーし!なんか、私燃えてきたわ! 今なら自分の炎で焼きイモ焼けそうなくらいよ!」
「あら、それは便利ね、是非一ついただこうかしら、怒りの炎で焼いた芋は、さぞ香ばしいことでしょう」
会話を交わす間に、内に眠れる闘志を呼び覚ました二人の目には、次第に復讐の炎が宿りつつあった。
普段こそ、意見の微妙に合わない二人だったが、一度、ベクトルがかみ合うと二人の絆は、他の追随を許さないほど強固なものとなる。
そして彼女らは、その燃えたぎるような熱い心を胸に秘め、決め台詞とともにいざ、落ち葉の山から抜け出した。
「さあ、行くわよ! ほっぷすてっぷじゃーんぷ! かーるいす!」
「ええと……せるげい ぶぶかーっ!」
こうして彼女らは、今まさに完全復活を果たしたのだ。二人の心には「打倒!レティ」の文字が雄々しくそびえ立ってた。
二人の怒りの炎は、あたかも、すべてを燃やしつくさんとばかりに猛々しく盛っている。
それはまさに「復讐の炎は地獄のように我が心に燃える」という表現そのものだった。
きっと今の二人なら、この幻想郷に終末のレクイエムを鳴り響かせることもすら可能だろう。
「っしゃー! このやろー! いくわよーっ! やるよ! やっちゃうよー!? 私はー!!」
二人は意を決して、あばら屋の外へと飛び出た。
しかし、その二人に対し恐るべき敵が待ち受けていた。
「……う……静葉姉さん!?」
「……まぁ、なんてこと……!」
二人を待ち受けていたのは、吸血鬼でもなく、鬼でも河童でも天狗でも、ドSの幽香でもなかった。
「……さ、寒い! 寒いよっ!? 凍えちゃうよーっ!! 死んじゃうよー!!」
それは体を貫くような極寒の風だったのだ。
「……ねえ、穣子、戻りましょうか」
「……うん」
もはやそこまでだった。
既に本格的に冬が到来した外界は、二人にとってあまりにも寒すぎたのだ。
寒風を真正面から浴びて、思わず意識が遠のきそうになった二人は、まわれ右で室内へと引き返すと、有無を言わずに再び落ち葉の山に埋もれる。二人の燃え盛る炎も闘志も、極寒の風の前には、なすすべなく萎えてしまっていた。
「ねえ、穣子……これが、本当の、秋終いっていう事ね」
「静葉姉さん……いくらなんでも自虐的すぎるよ……オチにもなってないし……」
そう呟いた穣子の目からは、思わず涙がこぼれ落ちる。
しかし、泣いてはいけない。そう、この悔しさが必ず、明日への糧となるのだから
必ず機はやってくる。だからこそ今は耐えるのだ。
彼女は、そう自分にいい聞かせて眠りにつくのであった。
しかし、ある日、突如二人のもとに現れた冬の妖怪レティ・ホワイトロックによって、その平和は見るも無残に崩されてしまう。
せっかく姉妹が集めた秋の力も、彼女の持ち込んだ冬の力によってかき消されてしまい、二人の隠れ家であったあばら屋は落ち葉で埋もれてしまった。
そして、二人もこのまま冬の力に飲まれてしまうのを待つばかりかに見えていた。
しかし、二人は終わっていなかった。落ち葉に完全に埋もれながらも、二人はまだ、最後の生きる希望だけは失っていなかったのだ!
「ねえ、穣子……生きてる?」
「ええ、なんとか……姉さんは?」
「同じくなんとか……ね」
「……静葉姉さん、私、あの妖怪の事許せない……」
「……奇遇ね。私もよ」
「……あいつ、次に見つけたら思いっきり引っぱたいてやるんだから!!」
「じゃあ、私はその上から更にせっかんを加えるわ」
「あら、珍しい! 温厚な静葉姉さんが、そんな事言うなんて……!?」
「それだけ、私もあの妖怪が許せないってことよ」
珍しく静葉の語気は強まっていた。穣子の方も、姉のそんな様子を即座に感じ取っていた。
「やっぱり! 静葉姉さんもそう思うよね!? ひどいよね! あいつ!」
「ええ、今回限りは、流石に温厚な私も、彼女には怒りを覚えざるを得ないわ」
「よしっ! こうなったら、あの妖怪探し出して、二人で仕返ししましょうよ!!」
「ええ、そうね。そうしましょう」
「よーし!なんか、私燃えてきたわ! 今なら自分の炎で焼きイモ焼けそうなくらいよ!」
「あら、それは便利ね、是非一ついただこうかしら、怒りの炎で焼いた芋は、さぞ香ばしいことでしょう」
会話を交わす間に、内に眠れる闘志を呼び覚ました二人の目には、次第に復讐の炎が宿りつつあった。
普段こそ、意見の微妙に合わない二人だったが、一度、ベクトルがかみ合うと二人の絆は、他の追随を許さないほど強固なものとなる。
そして彼女らは、その燃えたぎるような熱い心を胸に秘め、決め台詞とともにいざ、落ち葉の山から抜け出した。
「さあ、行くわよ! ほっぷすてっぷじゃーんぷ! かーるいす!」
「ええと……せるげい ぶぶかーっ!」
こうして彼女らは、今まさに完全復活を果たしたのだ。二人の心には「打倒!レティ」の文字が雄々しくそびえ立ってた。
二人の怒りの炎は、あたかも、すべてを燃やしつくさんとばかりに猛々しく盛っている。
それはまさに「復讐の炎は地獄のように我が心に燃える」という表現そのものだった。
きっと今の二人なら、この幻想郷に終末のレクイエムを鳴り響かせることもすら可能だろう。
「っしゃー! このやろー! いくわよーっ! やるよ! やっちゃうよー!? 私はー!!」
二人は意を決して、あばら屋の外へと飛び出た。
しかし、その二人に対し恐るべき敵が待ち受けていた。
「……う……静葉姉さん!?」
「……まぁ、なんてこと……!」
二人を待ち受けていたのは、吸血鬼でもなく、鬼でも河童でも天狗でも、ドSの幽香でもなかった。
「……さ、寒い! 寒いよっ!? 凍えちゃうよーっ!! 死んじゃうよー!!」
それは体を貫くような極寒の風だったのだ。
「……ねえ、穣子、戻りましょうか」
「……うん」
もはやそこまでだった。
既に本格的に冬が到来した外界は、二人にとってあまりにも寒すぎたのだ。
寒風を真正面から浴びて、思わず意識が遠のきそうになった二人は、まわれ右で室内へと引き返すと、有無を言わずに再び落ち葉の山に埋もれる。二人の燃え盛る炎も闘志も、極寒の風の前には、なすすべなく萎えてしまっていた。
「ねえ、穣子……これが、本当の、秋終いっていう事ね」
「静葉姉さん……いくらなんでも自虐的すぎるよ……オチにもなってないし……」
そう呟いた穣子の目からは、思わず涙がこぼれ落ちる。
しかし、泣いてはいけない。そう、この悔しさが必ず、明日への糧となるのだから
必ず機はやってくる。だからこそ今は耐えるのだ。
彼女は、そう自分にいい聞かせて眠りにつくのであった。
「辛抱するでござる、ニンニン」は某バンド歌から拝借したものです。
あぶらだこってバンドなんですが、いいですよー。
感想ありがとうございました。
>>2様
二回目ってのは秋姉妹の話でって意味でした。
実際は4・5作品くらいでしょうか?
言葉足らずですいません。