百合注意
「寒くないの?」
「何が」
「その格好」
アリスは神社に来ていた。縁側に腰をかけている。
その横では、怠惰な巫女が、ぐでっと横になっていた。
「寒いわよ」
「そんな格好しているからでしょ」
「体じゃなくって心が」
「・・・・・・」
「アリスー」
「なに」
「あっためて」
お茶吹いた。
「ああああああああんたなんてこと!」
「くくくっ顔真っ赤」
「あああああああ当たり前でしょう何を言い出すかと思えば!」
「何想像したのよ」
「してないわよ!」
「でも顔赤いし」
「ううううううるさいわね!ちょっと血圧が上がっているだけよ!」
「血圧って、やっぱり想像」
「してないわよ!」
慌てふためくアリスに対し、霊夢は至って涼しい顔をしていた。
寝転がりながら何を言い出すかと思えば、この巫女は。
自意識過剰?右脳の使いすぎ?
いやいや、そんなことはないと、アリスは自分に言い聞かせる。
「実際結構寒かったんだけど。ここ数日」
「うぐ」
「ずーっと縁側で待っていたんだけど」
「そ、それは」
「いつまで経っても現れないからさあ」
「えーと・・・・・・」
「食べ物も喉を通らずに」
「それ嘘でしょ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「とにかく寒かった」
「ごめん」
「というわけでぬくもりを要求します」
「そうね。仕方ないわよね。私のせいだし・・・・・・ってするか」
見事なノリ突っ込みです。アリスさん。
「しないの?」
「しないわ!」
「具体的には」
「答えません」
「チッ」
「舌打ちするな」
「冷たい、凍える」
「いつものことでしょ」
「なによ。三日前の夜はあんなに熱く盛り上がっ」
アリスは慌てて霊夢の口を塞ぐ。
「もがもが」
「ばかっ誰かが聞いていたらどうするのよ!」
「もががががが」
「あんたには恥ってもんが」
ぺろり
「ひゃあっ!」
「参拝客なら来ないわよ」
「手をなめるな!気持ち悪い!」
「え?アリスってばなめられるの好きで」
「んな訳あるかああ!」
アリスのチョップが、霊夢のおでこにヒットした。
「ひどい」
「ひどいのはあんたの言動よ」
「本当のこと言ったのに」
「・・・・・・」
「アリスー?」
「・・・・・・」
「やっぱり図星」
アリスのキックが、霊夢のわき腹にヒットした。
「痛い」
「当然でしょ。痛くしたんだから」
霊夢は腹を抱えている。
相当痛かったらしい。
「冷たい」
「あんたが悪い」
「うう、本当に風邪ひきそう」
「知らないわよ」
「くしゅんっ」
「そんな事をしても無駄よ。あんたの考えることなんてね」
「くしゅんっ」
「大抵わかるつもりなんだから」
「くしゅんっ」
「そうやって油断させて」
「くしゅんっ」
「・・・・・・」
「くしゅんっ」
「・・・・・・」
「うー、鼻が」
「霊夢」
「うう、何よ。くしゅっ」
「もしかして本当にずっと縁側で待ってた?」
「うん」
「呆れた」
「ごめん」
「なんで謝るのよ」
「なんとなく」
「そう」
アリスはその場から立ち上がる。
「どこ行くの?」
「・・・・・・奥の部屋」
「なんで?」
「・・・・・・あっために」
「え」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ただし絶対結界は張ること私も張るけど。それとここじゃなくって奥の部屋じゃなきゃ絶対ダメっていうかオイどさくさに紛れてどこ触ってんのよアンタは!」
「胸?」
「あっさり認めんな!」
「だって寒いんだもん」
「だもんじゃないし!ここ屋外とほぼ一緒じゃない!」
「参拝客なら来ないわよ」
「それはいつものことでしょ!そういう問題じゃねえええ」
「大丈夫。私にはあんたしか見えない」
「直球な台詞吐かれてもこんな状況じゃちっともときめかないわよ!」
「わたしがときめいた」
「知るかい!」
「ときめいた?」
「と、ときめくわけ・・・・・・ってちょ、ほんと、やめ」
次の日二人は仲良く風邪を引いたそうです。
完
にゃんちゅう破壊力じゃけぇ……私には書けないタイプの雰囲気でぃす。
いい霊アリごちそうさまです。
パッチュさんが、パッチュさんがヤンじゃうぅぅぅ!
あぁでもそんなパチュアリも素敵……。(末期)
霊夢はアリスさんと痴話喧嘩しそう。
どっちが先に耳掃除するかとかで。
つまりバカッポゥ。
このやりとりは実にいい。
どこからどうみてもバカップルですw
結界なんか貼らなくても誰も二人の世界に入り込めないよ!
水飴だ、水飴。
読んで下さった皆様方、ありがとうございます。
> 喉飴と嶺上開花 様 ああああざっす!これ以上甘いのは書けないんだぜ!
>2様 お気に召していただいたようで幸いです。
>謳魚様 そこまでよ!的な意味だったのですが、私が書くと別の意味に見えますね。でも今回はレイアリなんだ。
>4様 すいません角砂糖のかたまりでw
>5様 入りこめないよ!
>6様 ニヤニヤしちゃったなら本望であります。全てはニヤニヤするためなのです。
>7様 確かに・・・・・・水飴という表現は的を得ていますね。私にとっては糖分過多でした。