Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

もんぺのなかみ

2008/12/01 18:02:22
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 迷いの竹林、その一角。そこに『藤原 妹紅』の庵はある。彼女の親友である私、
『上白沢 慧音』はほっとくと食生活が面白いことになる彼女の為に、弁当を作って
ここにきているのだ。……こらそこ、ちゃんと手に引っさげて持ってきたのだぞ。誰が頭に
乗せてくるか。ちょっと後で説教と頭突きをさせてもらう。

 まぁそれは置いておくとして、二人して食事をし、今は縁側で食後のお茶の時間というところ。

「それにしても慧音のご飯は美味しいなぁ」

 うれしいことを言ってくれる妹紅。

「妹紅も、きちんと作りさえすれば美味しいんだけどな」

 そう返すと、そうかなえへへ、と頬染めて笑顔の妹紅。可愛い、可愛すぎる。だが、
常識人で通っているこの私、どこぞの館の従者のようにこれくらいの事で劣情赴くままに
妹紅をかき抱くなんてことは決してないのだ。ないのだぞー!!

 と、どこぞの館で思い出した。

「そういえば、あの吸血鬼のお館を中心として、幻想郷でえらく……その、なんだ、
ド、ドロワーズに執着するものが増えているらしいのだが」

 口にするだけでも頭に血が上ってきたのが分かる。こんな団欒の場で下着の話をして
しまった。少し気まずくなって視線を下に落とすと、

「ふぅん、そうなんだ」

意外にそっけない返事。と、いうか、確かに話題の転換が急すぎたな。着陸点は妹紅が
きちんと洗濯などしているかというところにしたいのだが。とりあえず続けることにするか。

「この間も授業中にいきなり十六夜 咲夜がやってきてな、『幻想郷におけるドロワーズの
歴史についてご教授願いたい』ときたもんだ。物の歴史について知識を深めるその姿勢は
大いに結構、だが配慮をそこに含めて欲しかった。ひとまず寺小屋の裏手に連れて行って
頭突きをして、授業が終わるまでしばらく休んでもらったが」

 流石に瀟洒で完全と言われるだけあってインパクトの瞬間の感触はすこぶる瀟洒で
完全でよかった。またさせてくれないかなぁ、うずうず……おっと、いかんいかん。

「ふぅん」

 相変わらず妹紅はそっけなく湯飲みを口につけている。

「……で、授業に戻ったんだが遅かった。子ども達の間で”ドロワーズ”が凄いことになって
しまってたよ」

「どんな風に?」

 おお、よしよし、少しは興味を持ってくれたようだな。

「”万事解決英雄 快傑☆ドロワーズ”」

「……は?」

「絶望渦巻く街、人が明日をも知れない貧窮の事態に達した時、その英雄は希望の
炎を背負いありとあらゆる困難を解決し悪事に溺れる敵を倒す、その名も”万事解決
英雄 快傑☆ドロワーズ”!! ……ということらしい」

 あの短期間でここまでドロワーズが英雄視されるとは、流石幻想郷の子ども達だと切に
思う、素晴らしい妄想力だ。ついでに少しでも目を離した私の責任は問われて然るべき
だろう。ご両親の方々、ごめんなさい。

「すげぇ。快傑☆ドロワーズすげぇ!」

「……妹紅まで感化されてどうする」

 まるっきり子ども達と同じ目の輝きで握りこぶしまでしながらの妹紅。千と余年を生きている
はずなのにどうしてこうも可愛らしいのか。抱きしめたい気持ちを何とか常識人パワーで
押さえつける。

「そうだ! 今度の寺小屋の”ぶんかさい”の出し物、演劇にすればいいよ! それで私が
”万事解決英雄 快傑☆ドロワーズ”するから!!」

 待て、なんで妹紅が主人公なんだ。せめて子ども達にやらせなさい、と言おうとして根本から
間違ってることに改めて気付く。ドロワーズは本来下着だということに。だとすれば、なるほど
つまり”万事解決英雄 快傑☆ドロワーズ”は。

「だがしかしだな妹紅。ドロワーズというからにはやはりドロワーズが必要だろう。履いていても
目立たないなら何か目立つようにせねばなるまい。となるとやはり頭に被るしかないのだが。
もちろん”文化祭”にはあの烏天狗も来るのだがそれでもいいのか?」

「やめる」

「よろしい」

 見事な誘導だ私。頭にドロワーズを被ってかっこつけている絵など記事にすっぱ抜かれた
日には私なら即首を括る。かっこつける以前にドロワーズを頭に被るとか変態でもしないだろう。
そんな事をする存在がこの幻想郷にいないで欲しいと切に願うが。

「それにしても慧音、なんで急にドロワーズの話なわけ?」

 脱線に脱線を重ねた話を、妹紅が引き戻してくれる。ありがとう妹紅可愛いよ妹紅。

「あぁ、そうだったな。妹紅がちゃんと洗濯をしているかどうか気になってな。ちゃんとドロワーズは
毎日履き替えてるか? 洗濯はちゃんとしているか?」

 お節介が過ぎるのは承知しているが、女の子としてせめてそれくらいはきちんとしていると
信じたい。そう思う私の視線の先に、眉をひそめた妹紅の顔があった。

「ドロワーズぅ? してないよ、そんなもの」

「え?」

「あんなもっさりもこもこしたのは私の趣味じゃないねぇ」

 もこうがもっさりもこもこ。もっさりもこうもこう……あぁ、いや。こほん。

 そんなものとは失敬な。ドロワーズは私も着用している。通気性さえしっかりしていれば夏も
快適に過ごせるし、私のように座っての仕事が多いものには普通のショーツより優しく腰まわりを
守ってくれる。だが……妹紅が趣味でないのなら仕方あるまい。

「そうか。まぁそれはそれとしてちゃんと毎日履き替えてるか?」

「うんにゃ」

 とんでもないことを即答された。待て待て待て待て、今はこうして竹林で一人暮らしだが
元は良いところの貴族の子女じゃないか、これはいけない。これではいけない。

「……おおい妹紅! いくらなんでもそれは女性としてダメだと思うぞ!?」

「だってそんなこと言われても……」

「だってもはってもない! 理由を言って!」






「元から下着はいてないんだもん」






 私は劣情の赴くままに妹紅を押し倒した。
 なかには例外がいてもいいじゃない。
 そう思う白でした。

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コメント



1.名前が無い程度の能力削除
いったいいつまで続くんだ、この乱痴気騒ぎは……
2.まるきゅー削除
もっけーねもっけーね!
言葉の扱い方が巧み。
劣情の使い方が好み。
3.名前が無い程度の能力削除
最早、言葉は必要あるまいwww
4.名前が無い程度の能力削除
どうしたもこうしたもない

どうした妹紅下も無い。

こんなのを思いついた自分はもう駄目だ。
5.名前が無い程度の能力削除
うん、俺白さんのオチ好きだよ?
・・・好きだよ?