パチュリー・ノーレッジはその本との出会いを天啓だと受け取った。
曰く、七つの色のドロワーズを集めると
ドロワをかぶった竜──略してドロゴンが出現し、何でも望みの願いを叶えてくれる。
本のタイトルを確認するとドロゴンボ(ry
それはどうでもよかった。
だが、七つの色のドロワーズときた。
色の付いたショーツはわからなくもないが、白以外のドロワーズなんてあるのか。
しかしこのチャンスを逃す手はない。
とりあえず手近なところから集めることにした。
まず脱衣所から洗濯前のレミィのドロワを失敬する。
そしてしゃなりと歩く咲夜の後ろから──がぼりとかぶせた。
みるみるうちに赤く染まっていくドロワ。
ものの一分としないうちに咲夜はぱたりと倒れ、ここに真紅のドロワは完成した。
一枚ゲット。
さて、残りはどうするか。
色々と使い魔を飛ばして各地を偵察してみる。
──あった。
八雲紫の住処。そこで軒に干されてばさばさとなびいているのは紫、藍、橙色のドロワ。
何を考えているんだこいつは。
名前にちなんだギャグのつもりだろうか。
式の化け猫はまだドロワが似合う容姿ではある。
だがスキマ妖怪は自分の外見と相談しろ。
しかも紫色のかぼちゃぱんつはないだろう。ラメが光って何とも毒々しい。
式の狐もこんな真似に付き合わされてかわいそうにも程がある。
まあ他人の事情はどうでもいい。
ゲットに行かせた小悪魔の貴い犠牲のおかげで三枚の入手に成功した。
これは行けるんじゃないか。
色つきドロワを穿くバカがまだいるかもしれない。
果たして予想通り、近所の氷精は湖面のような水色のドロワを所持していた。
そしてもう一人、ドロワと言えばこいつだろうと当たりを付けて調べてみたら本当に大当たり。
何を思ったか霧雨魔理沙のタンスには穿かれた形跡のない黒いドロワーズが眠っていた。
……勝負パンツのつもりだろうか。そうでないことを祈る。
ともあれ、白黒赤紫藍橙水色と七つの色のドロワーズはここに揃った。
紅魔館の庭園にそれらを並べ、パチュリーは雄々しく手を広げる。
「さあ出てきて竜よ、私の願いを叶えなさい」
にわかに暗くなる空、走る稲妻。
そして七枚のドロワの放つ激しい光は天に昇り、この世界に竜を顕現させる。
誰しも息を呑む光景だがかぶったドロワの印象はいかんともし難い。
『七つのドロワを集めし者よ、さあ願いを言え』
はっと気付く。集めることに夢中で願いを一つに絞っていなかった。
さらなる英知を求めるか? いやそれよりもまず喘息だ。
「私の体を健康に──」
「アリスのドロワおくれーっ!」
背中から聞こえた叫び声に振り向く。
そこには霧雨魔理沙の姿が。
しまった、何というミスだ。盗みに入ったのがバレていた。
口封じをしておくべきだった──!
『それは無理だ。無い物を与えることはできぬ』
竜が重々しい声を返す。
「くっ……。そうか、アリスのぱんつは全部ショーツなんだな……!」
メモを取る魔理沙。死ねばいい。
『だが我も神の力を成す者。黙って引き下がることはできぬ』
天空から降ってくる一枚のドロワ。新品だ。
『我が神の力をもって、そのアリスなる者に強制的にドロワを穿かせ
──その後にお前に進呈してやろう』
「待てこら! そーいうのは私が自分でやってやる!」
『神の奇跡に異を唱えるか……。その愚かさを身を以て知るが良い!』
「上等だこの野郎!」
そして始まる弾幕戦。もうみんな死ねばいい。
大きく嘆息し、パチュリーはロイヤルフレアのカードを切った。
>>アリスのぱんつは全部ショーツ
kwsk
そのまま弾幕戦にもつれ込むとか誰が想像できようかww
……偶然紅魔館に立ち寄ったアリスがアップを始めたようです。