Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

やっちまえ、妖々夢 後編

2008/11/22 22:52:53
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1
後編に突入です。





幻想郷上空。
霊夢は桜が降ってくる方角へ加速した。
妖精を蹴散らし、雲の上に出てみると…いた、リリーホワイトだ。
だが、何やら行動がおかしい。結界に何度も体当たりをしている。

「なるほど…犯人は冥界にいる、か。私の勘は間違ってなかったのね」
それにしても、あんな小さい体で必死に結界を破ろうとしている姿は非常に微笑ましい。

「向こうに特上の春があるのにぃ…」
霊夢は、その愛くるしい姿を見ていたのだが…

「あっ、人間だわ。今年一番の春を伝えなきゃっ」
やがて、リリーホワイトがこちらに気付いた。

「春よ~、遠き春よ~、瞼閉じればそこに~」
歌いながら弾幕を張り、接近してくる。

「危ないわね…弾幕なんて張らなくても伝わるわよ。てか、それを選曲するとは思わなかったわ。しかもなかなか上手いし」
「愛を~、くれし君の~、懐かしい声がする~」
「…なんか倒すの勿体ないけど、仕方ないわ…」
リリーホワイトに札を投げ付けた。

「きゃっ!!」
「まったく、春を伝えるなら歌だけにしてくれる?弾をばらまかれたら、堪ったもんじゃないわ」
冷たく言い放つ。すると

「はぅっ!!うぅっ…ひっく…」
その一言が相当ショックだったのか、次第に涙ぐみ…

「うわ~~~~ん、人間がいぢめる~。覚えてなさ~い…」
大声で泣き出すと、一目散に逃げて行った。



リリーホワイト、退散。
その後、霊夢がトラウマになったとかならなかったとか。





幽明結界を目前に、どうやって突破しようか、などと考えている霊夢。
だが、辺りから流れてくる耳障りな音が思考の邪魔をする。

「この音…直接精神に響いてる…」
霊夢は無意識の内に耳を塞いだ。この音を聞き続けたら、頭がおかしくなる。本能がそう判断したのだろう。
途端に演奏が止まる。すると

「そこの紅白さんっ、ちょっと酷いんじゃないのぉ?演奏中に耳を塞ぐなんて」
メルランの陽気な声と共に、騒霊三姉妹が現れた。

「そ~れ~と~も~?私たちの演奏の邪魔をするつもりなのかしら?だったら容赦しないわ。姉さん、リリカ、行くわよ!!」
「人に迷惑かけといて、随分身勝手ね…」



「…おい、メルラン」
ルナサが不満げに呼び掛ける。

「どうしたの?姉さん。早くあのお邪魔虫を片付けるわよ」
「それはいいんだが…何でお前が一番最初に登場してるんだ?私が最初に出るのが筋だろう」
「はぁ?犬ルートも書いてくれるなら姉さんに譲ったけど、どうせ作者は紅白ルートしか書いてくれないのよ?姉さんだけずるいわ」
「なっ…長女兼リーダーである私に盾突くつもりか?」
「何がリーダーよ。巷じゃ暗い、暗いって言われて、一番人気が無いのは姉さんじゃないの」
「言わせておけば…!!いいだろ、そこまで言うなら、どっちがリーダーに相応しいか、決着をつけてやる!!」
「望むところよ!!」





「あれでいいの?」
「いいのよ、日常茶飯事だから。で、弾幕ごっこの方だけど、チームワークもへったくれもないのに、勝てる筈がないわ。通してあげる」
「う~ん…一応倒しとかないと、示しがつかないのよ」
「そっか…じゃ、あの二人をやっちゃって?それであんたの勝ちって事で」
「…釈然としないわ…」
「お賽銭あげるから、ね?」
「夢想封印・集」



「この、陰湿ヴァイオリニストがぁっ!!」
「黙れ、放縦トランペッター!!」

どっかーん
「「ぎゃーーーーーーー」」



「で、いつもどうやって結界を突破するの?」
「飛び越えれば行けるわよ」
「…必死に考えてた私が馬鹿みたいだわ。じゃ、約束の賽銭、宜しくね」
「りょーかーい」



ルナサ、メルラン、撃破。
リリカ、交渉により戦闘回避。
リリカは狡いなぁ。





「妖……侵入し………除しなさい…」
「畏まり……………さま」





「随分長い階段ね…気が遠くなるわ。まぁ、飛べるんだけどね」
白玉楼階段を進めば進むほど、春が強くなっていくのを感じる。

「首を洗って待ってなさい…」



「待て!!侵入者とはお前だな!!」
半分くらい上ったところで、妖夢が待ち構えていた。

「私はただの異変解決屋よ。通して頂戴」
「無駄よ。今は何人たりとも通せない」
「…春を集めて何をしようとしてるの?」
「答える筋合いはない」
妖夢が柄に手をかけ、剣を抜いた。

「私達の計画を妨げると言うのなら、手加減はしないわ。この、斬鉄剣の錆となるがいい!!」
「えぇーーーー!?」
「さぁ、覚悟っ!!」
「じょ、冗談じゃないわ!!そんなチョメチョメ3世なんて聞いてないわよ!!」
「甘い!!これは、『FF』のアレだ!!」
「この際どっちでもいいわよ!!いや、よくないけど」
妖夢が剣を振る、霊夢がそれを避ける。また剣を振る、また避ける。
振る、避ける、振る、避ける、振る、避ける、振る、避ける…



「はぁ、はぁ…」
「もう逃げられないわよ?」
気付いたら、階段の一番下に追い詰められていた。

「詰み…ね」
剣を高く翳す。

「待って…最期に言いたい事が…」
「…いいわ。情けをかけてあげる」
「妖々夢は格ゲーじゃなくて、STGよ…剣で直接切り付けるなんて反則じゃないかしら…」





「!!」





カランッ…
手放した剣が虚しく落ちる。妖夢は俯き、肩を震わせている。

「そうだ…これは、萃夢想じゃないんだった…うっ…ひぐっ…うわあぁぁぁぁぁぁん…幽々子さまあぁぁぁ…」
泣きながら帰って行った。



妖夢、反則負け。
この物語の後、幽々子に叱られたのは言うまでもない。





妖夢を撃退(?)した霊夢。とうとう本丸へとたどり着いた。

「桜、桜、桜…何処を見回しても桜の木しかないわね。一つだけ、違う『桜』が混ざってるけど」
「博麗の巫女…ようこそ白玉楼へ」
振り返ると、青い着物を着た優雅な亡霊が立っていた。

「私を知ってるの?」
「えぇ。私の友人が教えてくれたわ。で、何の用?」
「惚けたって無駄。分かってるでしょ?」
「お饅頭ならあげないわよ。あと、お団子も」
「そんなの求めてないわよ」
「じゃあ羊羹かしら?それとも葛餅?」
「春を取り戻しに来たの!!」
「んもぅ、最初からそう言えばいいのに」
「くっ…この亡霊、腹立つわ…」
「まぁ、今は返さないけどね。西行妖を満開にしたらちゃんと返すわよ」
「痛い目に遭う前に、今すぐ返せ」
「短気は損気よ?」
「…もういいわ。夢想封印・瞬!!」
霊夢がスペルを発動するが、幽々子は嘲笑うかの様に攻撃を躱す。

「甘いわねぇ。ギャストリドリーム」
幽々子が反撃する。同時に蝶が霊夢を取り囲み…

「お休みなさい。永き眠りを…」
幽々子の合図で一斉に襲い掛かる。



「終わったわね。あれだけの蝶に囲まれれば助からな…」
「八方鬼縛陣!!」
…蝶が跡形もなく消し飛んだ。

「あら~?なかなかやるわねぇ~」
「嘗めて貰ったら困るわ。二重大結界!!」
「!!」
「夢想封印・散!!」
「亡我郷!!」
「八方龍殺陣!!」
「バタフライディルージョン!!」




「…懲りないわね…大人しく諦めたらどう…?」
「…まだよ…まだ、春は返せないわ…」
足元には夥しい量の破れた札と枯れた蝶。
スペルの打ち消し合いの結果、お互いが最後の一枚を残しているだけになった。

「「行くわよ!!」」
「夢想天生!!」
「反魂蝶!!」
発動は同時だった。

「「はああああああ!!」」










「………」
幽々子が攻撃を緩める。
そして、札が幽々子を囲み…





西行妖が散った。呆気ない終焉だった。



幽々子、敗北。
春雪異変、完結。





後日談
「幽々子。あんた、何であの時手を緩めたの?」
「あのまま戦ってたら、死霊だけならいざ知らず、白玉楼も吹っ飛んでたわよ」
「へぇ…私はてっきり霊力が空になったかと思ったわ」
「まさか。伊達に冥界の主人やってないわよ」
「ま、それもそうか」









「(着物がはだけそうになったなんて、口が裂けても言えないわ…)」
電磁波です
漸く本編が終了しました。
次の永夜抄編で突然紫が出るのもアレなので、Extra編も書きます。

萃夢想はごめんなさい。



最後に
ルーミアに撃った夢想天生と、幽々子に撃ったそれとは、規模が違います。と言い訳してみる。
電磁波
コメント



1.謳魚削除
るみゃに撃ったのが『30%位』でゆゆ様に放ったのが『100%中の100%』ですね、分かります。
妖夢……なんで気付く前に『未来永劫斬』とかで綺麗さっぱり殺っちゃわなかったんだ……。