博麗神社に出かけた早苗が、泣きながら帰ってきた。
母屋の自室に引きこもって泣き続けている彼女のために、神奈子は無言でオンバシラを背負う。
「落ち着きなって神奈子」
「うるさいね、これが黙っていられますかっての」
「いいから。っていうかあんた事情も知らないでしょうが」
「諏訪子……そもそもあんたが一緒にいながらどうして早苗を泣かせる羽目に」
「それを今から説明するって言ってるんでしょ。いいからオンバシラ外しなさいよ」
諏訪子に強い口調でそう言われたので、神奈子は渋々オンバシラを外す。
とは言え可愛い巫女のため、事の真相次第では速攻で博麗神社に乗り込むつもりである。
「……で、一体何があったの。そもそもわたしは早苗がなにしに博麗神社に行ったのか知らないんだけど」
「いやさ、処理のこと相談しに行ったんだよ」
「処理? なんの?」
「早苗も可哀想にねえ……郷に入りては郷に従えってんで、あんなふざけた構造の巫女服着て頑張ってるけどさ。
わたしらが寝入ったあと、こっそり起き出すあの子の毎夜毎夜の涙ぐましい努力ときたら、そりゃもう」
それでなんとなく事情を察したので、神奈子は深々と頷いた。
「なるほど。それで腋出しの先輩である霊夢に教えを請いに行ったってわけだ」
「そういうこと」
「……ん? その結果泣いてるってことは、よほど酷い対策でも教えられたの?」
「いや、そういうわけじゃなくてね」
諏訪子が言うには、早苗は顔を真っ赤にして目に涙を溜めながら、恥を忍んで霊夢に相談したらしい。
ところが博麗の巫女さん、早苗の一世一代の告白を聞いて、きょとんとした表情で首を傾げながら一言。
『え、腋からなんて生えるもんなの?』
「……とまあ、こういう次第だよ」
「……道理であの巫女、なんの恥じらいも危機感もなく腋出して飛んでると思ったら……」
常識はずれの女も、いるところにはいるものだ。神奈子は額を手で押さえ、溜息交じりに首を振る。
かわいそうな早苗。勇気を振り絞った結果がこれでは、単なる恥かき損ではないか。
「しかしまあ、ねえ」
神奈子は苦笑する。
「早苗も、そんなことで恥ずかしがらなくてもいいのにねえ」
「だよねえ」
苦笑気味に頷く諏訪子の前で、神奈子は肩をすくめてみせる。
「わたしらが神と言っても、結局は女同士なんだしさ」
「うんうん」
「隠れてやらなきゃならないほど恥ずかしい行為でもないだろうにね」
「うんうん」
「同じ苦労を持つ者同士、あれこれと相談しながらでも」
「……え? ちょっと待って」
諏訪子が目を瞬きながら、首を傾げる。
「同じ苦労って、どういうこと?」
「は? そりゃ処理の話に決まって」
「わたしそういうのやったことないけど」
――第二次諏訪大戦、勃発の瞬間である。
母屋の自室に引きこもって泣き続けている彼女のために、神奈子は無言でオンバシラを背負う。
「落ち着きなって神奈子」
「うるさいね、これが黙っていられますかっての」
「いいから。っていうかあんた事情も知らないでしょうが」
「諏訪子……そもそもあんたが一緒にいながらどうして早苗を泣かせる羽目に」
「それを今から説明するって言ってるんでしょ。いいからオンバシラ外しなさいよ」
諏訪子に強い口調でそう言われたので、神奈子は渋々オンバシラを外す。
とは言え可愛い巫女のため、事の真相次第では速攻で博麗神社に乗り込むつもりである。
「……で、一体何があったの。そもそもわたしは早苗がなにしに博麗神社に行ったのか知らないんだけど」
「いやさ、処理のこと相談しに行ったんだよ」
「処理? なんの?」
「早苗も可哀想にねえ……郷に入りては郷に従えってんで、あんなふざけた構造の巫女服着て頑張ってるけどさ。
わたしらが寝入ったあと、こっそり起き出すあの子の毎夜毎夜の涙ぐましい努力ときたら、そりゃもう」
それでなんとなく事情を察したので、神奈子は深々と頷いた。
「なるほど。それで腋出しの先輩である霊夢に教えを請いに行ったってわけだ」
「そういうこと」
「……ん? その結果泣いてるってことは、よほど酷い対策でも教えられたの?」
「いや、そういうわけじゃなくてね」
諏訪子が言うには、早苗は顔を真っ赤にして目に涙を溜めながら、恥を忍んで霊夢に相談したらしい。
ところが博麗の巫女さん、早苗の一世一代の告白を聞いて、きょとんとした表情で首を傾げながら一言。
『え、腋からなんて生えるもんなの?』
「……とまあ、こういう次第だよ」
「……道理であの巫女、なんの恥じらいも危機感もなく腋出して飛んでると思ったら……」
常識はずれの女も、いるところにはいるものだ。神奈子は額を手で押さえ、溜息交じりに首を振る。
かわいそうな早苗。勇気を振り絞った結果がこれでは、単なる恥かき損ではないか。
「しかしまあ、ねえ」
神奈子は苦笑する。
「早苗も、そんなことで恥ずかしがらなくてもいいのにねえ」
「だよねえ」
苦笑気味に頷く諏訪子の前で、神奈子は肩をすくめてみせる。
「わたしらが神と言っても、結局は女同士なんだしさ」
「うんうん」
「隠れてやらなきゃならないほど恥ずかしい行為でもないだろうにね」
「うんうん」
「同じ苦労を持つ者同士、あれこれと相談しながらでも」
「……え? ちょっと待って」
諏訪子が目を瞬きながら、首を傾げる。
「同じ苦労って、どういうこと?」
「は? そりゃ処理の話に決まって」
「わたしそういうのやったことないけど」
――第二次諏訪大戦、勃発の瞬間である。
これを読めば、あなたも腋毛なんてどうでもよくなります!
あ、でも、早苗さんには処理頑張ってほs(オンバシラ
全体的にディ・モールト良かったでぃす