チルノは灰色の空の下でふわふわと雪の降り続ける中、約一年振りに姿を現した冬の妖怪を見るや否や、走り出し歓喜の叫び声を上げながら彼女に飛びかかった。
「レティィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!」
「あらチルノ、元気そうね。」
冬の妖怪は胸に飛び込んできて、そのまま顔を埋めるチルノの頭を優しく撫でて微笑んだ。
「レティ久しぶりぃ!会いたかったよう!」
「私も会いたかったわ。」
チルノは幻想郷にも温暖化の影響で冬が微妙に遅れてきていることを知ってか知らずか、
中々姿を現さない彼女をことを少し心配していた。
氷精は彼女に抱きついたまま顔を上げた。
「これでまた一緒に遊べるね!」
「えぇ、また一緒に遊べるわ。」
「なにして遊ぶ?」
「そうねぇ……何して遊ぼうかしら。」
「レティが一緒ならなんでもいいや!」
そう言って再び彼女の胸に顔を埋めた。
レティがチルノの頭を優しく撫でると余程嬉しいのか、チルノはしばらく離れなかった。
「そうねぇ、それじゃまずもっと北の方に行ってみましょうか。」
「うん!!」
チルノは振り返り、我先にと空へと飛びあがりレティもその後を追う。
幻想郷の北東、白化粧に覆われた妖怪の山を越えた場所にある無名の雪原。
ここはチルノとレティの秘密の場所であり、チルノはここでレティと共にいつか巨大な氷の城を建てることを秘かに夢見ていた。
「真っ白ね!!」
「えぇ、今年もとてもよく降っているわ。」
無名の雪原に到着した二人は綿菓子の様な雪の降る中、目の前に広がる光景を眺めた。
「よーし今度こそは、完成させるぞ!」
「それよりチルノ?お勉強はしてる?」
チルノ毎年恒例の気合入れと同時に、毎年恒例のレティからの一年の修行成果を訊かれ出鼻を挫かれた。
「そ、そりゃあしてるに決まってるじゃない!」
「本当?夏の暑さに負けなかった?」
「も、もちろん!なんてったってあたいは幻想郷一の最強の氷精なんだから!」
突然風が強くなり、灰色の空は濃さを増し吹雪が吹き荒れるようになった。
「あれ?レティ、天気がおかしいよ?」
レティには先程までの貼りついた笑顔が無く、真剣な眼差しで向こうを見つめていた。
突如地面は揺れ、一定の間隔でその揺れは近づいてくる。
吹雪の向こうからとてつもなく巨大な影が現れると、それは大きく振りかぶり次の瞬間には超弩級なサイズの氷柱がこちら目掛けて飛んできた。
「うわぁぁぁぁ!!」
チルノは必死に身を挺して躱した。
吹き飛んだチルノは頭から積雪に突っ込み、身動きが出来ない所をレティに引っ張り出してもらった。
チルノが顔を上げ前方を見ると、そこには天にも届きそうな巨人が両手に氷柱を持って立ってた。
「レティ、なにあれ?」
「氷の巨人ね。」
「なに?敵?」
するとレティいつもの笑顔でチルノに頬笑みかけた。
「それじゃ、私がいなかった分の勉強の成果をみせてもらおうかしら。」
チルノは彼女の言葉に嫌な予感とバツの悪そうな顔をした。
「スペルカードで戦うのよ?あら、もしかして怖い?」
「こ、怖くないもん!あ、ああたいは幻想郷一なんだから!」
チルノは強がりながらも空中へ飛び、巨人の目の高さで力いっぱい指を差した。
「や、やい!このデカブツ!!今からあたいが成敗してあげるわ!」
そう言ってチルノはついついいつものパターンで氷符【アイシクルフォール】(Easy)を展開した。
お約束だ。
彼女から発射された小さな氷の氷柱が巨人の顔の前で広がっては大きな耳でグレイズを稼いでいく。
チルノがやっちゃったぜと、どこぞの魔法使いの口癖を真似して恐る恐る後ろを振り返る。
レティは雪だるまになっていた。
「えぇえぇ!?」
チルノはレティが雪だるまになっていることに驚き注意を逸らしていると、巨人が口を開け
怒号を響かせては持っていた巨大な氷柱を大きく振りかざした。
チルノはとっさにそれを避け、スペルブレイクとともに違うスペルカードに手を伸ばす。
「こ、こしゃくなぁぁ!!喰らえ!ヘイルストーム!!」
たまたま手に取ったスペルカードがHardだったため、さっきの失態よりは断然巨人の顔目掛けて雹が飛んで行った。
レティやったよと嬉しそうに振り返ったが、冬の妖怪は変わらず雪だるまだった。
チルノは彼女が自分の雄姿を見ていないことに愕然とすると、すでに巨人の攻撃は振り落とされていた。
チルノはギリギリの所で躱したが、相手の得物の大きさの風圧に負け吹き飛んでしまった。
吹き飛んだ先の雪だるまに背中を強く打ち付けると、崩れた雪だるまの中からレティが出てきた。
「よく頑張ったわ、見てなかったけど後は任せない。」
そう言って笑顔を見せ、巨人へと立ち向かう彼女にチルノは目を丸くした。
「……誰?」
レティだ。
それは間違い無い。
でもなんか違う…………。
チルノは先程の彼女と今の彼女を頭の中で並べると、ある変化に気づいた。
ふとましくない!!
むしろ美しい!!
細くなった脚や腕なんかからは妖艶が迸り、どうすればそうなるのか狭くなった肩幅は一見華奢に見えるが、さながら氷の女王を思わせるのような気品と優雅さが今の彼女に煌めく。
振り向き様にキラッ☆とポーズを決めた彼女は、最早以前のレティではない……キレイティだ!とチルノ変な名前を考えた。
「うおぉぉぉぉ!!すげぇええ!!」
彼女が宣言したスペルカードはNomalの冬符「フラワーウィザラウェイ」であったにも関わらず、その白い花を弾は大きさが半端ない。
かつての彼女の体型三人分程の大きさと厚さを有している。
チルノの時はなんともない顔をしていた巨人も流石に怯み、弾幕を食らった顔面を腕で覆いながら闇雲に氷柱を振り回す。
「レティすげええぇええ!!」
スーパーレティだ!!あいつはスーパーレティだと、チルノ未だかつて見た事のない冬の妖精にただ興奮して叫んだ。
するとスーパーレティは怪符「テーブルターニング」を繰り出し、これを食らった巨人は持っていた氷柱を落として地面に片膝を突いた。
吹雪の中、華麗に空中を舞い戻ってきたスーパーレティはチルノの前に着陸すると、チルノは無我夢中で拍手をした。
「かっこいいぃぃ!!すごいよレティ!!」
チルノの大喝采に綺麗なレティは少し照れくさそうに笑った。
「なんで?なんで?」
チルノの止めどない質問に、困まりながら髪をかきあげる仕草まで美しい。
吹雪も弱くなってきた中、大変身を遂げたレティに憧憬の眼差しで見つめていたチルノは、ふと背景にかすかに動く影に気づいた。
「あれ、レティ……、あれまだ動いてる。」
「そうね、やっぱり氷の巨人には氷は効かないのかしら。」
巨人は地面に片膝を折って肩で息をしながら、徐々に膨らんでいるように見えた。
「レ、レティ……あいつ大きくなってるよ!」
「私の氷と周りの吹雪を吸収したのね。」
「どうするの?あいつ倒せないの?」
「まかせて。」
体の膨らんだ巨人が立ち上がると吹雪は完全に止み、雲に頭が届きそうなまでに巨人は肥大していた。
「ど、どうしよぉレティ……。」
「わたしに任せて、少し危ないから離れて。」
チルノは彼女から急いで離れて、近くの岩陰に隠れた。
どちらかというと、巨人への恐怖よりも次の彼女の行動にチルノ胸を踊らせ期待した。
美しいレティは雪原に凛々しくも立ちつくす一本の百合の様に手を空へゆっくりと伸ばすと、その手には彼女を包む様に吹雪が集められていく。
チルノはワクワクしながらその光景をみていたが、次第に笑顔は消え、視線は空高くへと移っていく。
レティはすでに物凄く大きい巨人と並ぶかのような物凄く巨大な雪だるまになった。
「え?え?」
チルノはわけもわからず見上げていると、巨大な雪だるまにひびが入った。
「お!おぉ!!」
果たして次はどんな美しい姿で現れるのか様々な格好いい姿を想像した。
割れた雪だるまからは、肉だるまが出てきた。
「は?」
チルノは見上げるほどの巨漢に呆然とした。
ふとましいってレベルじゃねーぞ!!と叫びたかったが、それが見るからにレティであることは変わりなかった。
巨大レティからゆっくりとストレートの拳が放たれると、巨人の顎に見事に命中した。
しかも巨人はその大きな体躯にもかかわらず一回転ほどして地面に倒れた。
「おおおおおぉぉぉぉおお!!!」
振動で揺れる岩陰に隠れながら、チルノは驚嘆した。
パワーが違う、こいつはいままでのレティじゃない、ウルトラレティだ!!
いつのまにかスペルカードで戦っていた幻想郷的な戦闘も、いつのまにか特撮の怪獣映画のようなスケールの大きさに興奮したチルノは勢い余って、岩陰から飛び出した。
「おおおおぉぉぉぉおぉお、ウルトラレティ!!!頑張
チルノが応援しているのが見えていないウルトラレティは、叫んでいたチルノを踏み潰してしまった。
「レティ、重いよぉ苦しい~。」
チルノは春の陽ざしに照らせれて、野原の上でポタポタと滴が落ちる氷の下敷きになりながら唸っていた。
「足どけてぇ~。」
変な夢でも見ているのだろうかと、その様子をレティは頬笑みながらチルノの上に覆いかぶさった氷に腰をおろして眺めていた。
「それじゃまた、冬に会いましょう。」
そういって冬の妖怪は腰を上げ、雪が溶け出す春の日差しの中、無名に野原で冬の匂いと吹雪を纏ってどこかへ消えていった。
「レティィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!」
「あらチルノ、元気そうね。」
冬の妖怪は胸に飛び込んできて、そのまま顔を埋めるチルノの頭を優しく撫でて微笑んだ。
「レティ久しぶりぃ!会いたかったよう!」
「私も会いたかったわ。」
チルノは幻想郷にも温暖化の影響で冬が微妙に遅れてきていることを知ってか知らずか、
中々姿を現さない彼女をことを少し心配していた。
氷精は彼女に抱きついたまま顔を上げた。
「これでまた一緒に遊べるね!」
「えぇ、また一緒に遊べるわ。」
「なにして遊ぶ?」
「そうねぇ……何して遊ぼうかしら。」
「レティが一緒ならなんでもいいや!」
そう言って再び彼女の胸に顔を埋めた。
レティがチルノの頭を優しく撫でると余程嬉しいのか、チルノはしばらく離れなかった。
「そうねぇ、それじゃまずもっと北の方に行ってみましょうか。」
「うん!!」
チルノは振り返り、我先にと空へと飛びあがりレティもその後を追う。
幻想郷の北東、白化粧に覆われた妖怪の山を越えた場所にある無名の雪原。
ここはチルノとレティの秘密の場所であり、チルノはここでレティと共にいつか巨大な氷の城を建てることを秘かに夢見ていた。
「真っ白ね!!」
「えぇ、今年もとてもよく降っているわ。」
無名の雪原に到着した二人は綿菓子の様な雪の降る中、目の前に広がる光景を眺めた。
「よーし今度こそは、完成させるぞ!」
「それよりチルノ?お勉強はしてる?」
チルノ毎年恒例の気合入れと同時に、毎年恒例のレティからの一年の修行成果を訊かれ出鼻を挫かれた。
「そ、そりゃあしてるに決まってるじゃない!」
「本当?夏の暑さに負けなかった?」
「も、もちろん!なんてったってあたいは幻想郷一の最強の氷精なんだから!」
突然風が強くなり、灰色の空は濃さを増し吹雪が吹き荒れるようになった。
「あれ?レティ、天気がおかしいよ?」
レティには先程までの貼りついた笑顔が無く、真剣な眼差しで向こうを見つめていた。
突如地面は揺れ、一定の間隔でその揺れは近づいてくる。
吹雪の向こうからとてつもなく巨大な影が現れると、それは大きく振りかぶり次の瞬間には超弩級なサイズの氷柱がこちら目掛けて飛んできた。
「うわぁぁぁぁ!!」
チルノは必死に身を挺して躱した。
吹き飛んだチルノは頭から積雪に突っ込み、身動きが出来ない所をレティに引っ張り出してもらった。
チルノが顔を上げ前方を見ると、そこには天にも届きそうな巨人が両手に氷柱を持って立ってた。
「レティ、なにあれ?」
「氷の巨人ね。」
「なに?敵?」
するとレティいつもの笑顔でチルノに頬笑みかけた。
「それじゃ、私がいなかった分の勉強の成果をみせてもらおうかしら。」
チルノは彼女の言葉に嫌な予感とバツの悪そうな顔をした。
「スペルカードで戦うのよ?あら、もしかして怖い?」
「こ、怖くないもん!あ、ああたいは幻想郷一なんだから!」
チルノは強がりながらも空中へ飛び、巨人の目の高さで力いっぱい指を差した。
「や、やい!このデカブツ!!今からあたいが成敗してあげるわ!」
そう言ってチルノはついついいつものパターンで氷符【アイシクルフォール】(Easy)を展開した。
お約束だ。
彼女から発射された小さな氷の氷柱が巨人の顔の前で広がっては大きな耳でグレイズを稼いでいく。
チルノがやっちゃったぜと、どこぞの魔法使いの口癖を真似して恐る恐る後ろを振り返る。
レティは雪だるまになっていた。
「えぇえぇ!?」
チルノはレティが雪だるまになっていることに驚き注意を逸らしていると、巨人が口を開け
怒号を響かせては持っていた巨大な氷柱を大きく振りかざした。
チルノはとっさにそれを避け、スペルブレイクとともに違うスペルカードに手を伸ばす。
「こ、こしゃくなぁぁ!!喰らえ!ヘイルストーム!!」
たまたま手に取ったスペルカードがHardだったため、さっきの失態よりは断然巨人の顔目掛けて雹が飛んで行った。
レティやったよと嬉しそうに振り返ったが、冬の妖怪は変わらず雪だるまだった。
チルノは彼女が自分の雄姿を見ていないことに愕然とすると、すでに巨人の攻撃は振り落とされていた。
チルノはギリギリの所で躱したが、相手の得物の大きさの風圧に負け吹き飛んでしまった。
吹き飛んだ先の雪だるまに背中を強く打ち付けると、崩れた雪だるまの中からレティが出てきた。
「よく頑張ったわ、見てなかったけど後は任せない。」
そう言って笑顔を見せ、巨人へと立ち向かう彼女にチルノは目を丸くした。
「……誰?」
レティだ。
それは間違い無い。
でもなんか違う…………。
チルノは先程の彼女と今の彼女を頭の中で並べると、ある変化に気づいた。
ふとましくない!!
むしろ美しい!!
細くなった脚や腕なんかからは妖艶が迸り、どうすればそうなるのか狭くなった肩幅は一見華奢に見えるが、さながら氷の女王を思わせるのような気品と優雅さが今の彼女に煌めく。
振り向き様にキラッ☆とポーズを決めた彼女は、最早以前のレティではない……キレイティだ!とチルノ変な名前を考えた。
「うおぉぉぉぉ!!すげぇええ!!」
彼女が宣言したスペルカードはNomalの冬符「フラワーウィザラウェイ」であったにも関わらず、その白い花を弾は大きさが半端ない。
かつての彼女の体型三人分程の大きさと厚さを有している。
チルノの時はなんともない顔をしていた巨人も流石に怯み、弾幕を食らった顔面を腕で覆いながら闇雲に氷柱を振り回す。
「レティすげええぇええ!!」
スーパーレティだ!!あいつはスーパーレティだと、チルノ未だかつて見た事のない冬の妖精にただ興奮して叫んだ。
するとスーパーレティは怪符「テーブルターニング」を繰り出し、これを食らった巨人は持っていた氷柱を落として地面に片膝を突いた。
吹雪の中、華麗に空中を舞い戻ってきたスーパーレティはチルノの前に着陸すると、チルノは無我夢中で拍手をした。
「かっこいいぃぃ!!すごいよレティ!!」
チルノの大喝采に綺麗なレティは少し照れくさそうに笑った。
「なんで?なんで?」
チルノの止めどない質問に、困まりながら髪をかきあげる仕草まで美しい。
吹雪も弱くなってきた中、大変身を遂げたレティに憧憬の眼差しで見つめていたチルノは、ふと背景にかすかに動く影に気づいた。
「あれ、レティ……、あれまだ動いてる。」
「そうね、やっぱり氷の巨人には氷は効かないのかしら。」
巨人は地面に片膝を折って肩で息をしながら、徐々に膨らんでいるように見えた。
「レ、レティ……あいつ大きくなってるよ!」
「私の氷と周りの吹雪を吸収したのね。」
「どうするの?あいつ倒せないの?」
「まかせて。」
体の膨らんだ巨人が立ち上がると吹雪は完全に止み、雲に頭が届きそうなまでに巨人は肥大していた。
「ど、どうしよぉレティ……。」
「わたしに任せて、少し危ないから離れて。」
チルノは彼女から急いで離れて、近くの岩陰に隠れた。
どちらかというと、巨人への恐怖よりも次の彼女の行動にチルノ胸を踊らせ期待した。
美しいレティは雪原に凛々しくも立ちつくす一本の百合の様に手を空へゆっくりと伸ばすと、その手には彼女を包む様に吹雪が集められていく。
チルノはワクワクしながらその光景をみていたが、次第に笑顔は消え、視線は空高くへと移っていく。
レティはすでに物凄く大きい巨人と並ぶかのような物凄く巨大な雪だるまになった。
「え?え?」
チルノはわけもわからず見上げていると、巨大な雪だるまにひびが入った。
「お!おぉ!!」
果たして次はどんな美しい姿で現れるのか様々な格好いい姿を想像した。
割れた雪だるまからは、肉だるまが出てきた。
「は?」
チルノは見上げるほどの巨漢に呆然とした。
ふとましいってレベルじゃねーぞ!!と叫びたかったが、それが見るからにレティであることは変わりなかった。
巨大レティからゆっくりとストレートの拳が放たれると、巨人の顎に見事に命中した。
しかも巨人はその大きな体躯にもかかわらず一回転ほどして地面に倒れた。
「おおおおおぉぉぉぉおお!!!」
振動で揺れる岩陰に隠れながら、チルノは驚嘆した。
パワーが違う、こいつはいままでのレティじゃない、ウルトラレティだ!!
いつのまにかスペルカードで戦っていた幻想郷的な戦闘も、いつのまにか特撮の怪獣映画のようなスケールの大きさに興奮したチルノは勢い余って、岩陰から飛び出した。
「おおおおぉぉぉぉおぉお、ウルトラレティ!!!頑張
チルノが応援しているのが見えていないウルトラレティは、叫んでいたチルノを踏み潰してしまった。
「レティ、重いよぉ苦しい~。」
チルノは春の陽ざしに照らせれて、野原の上でポタポタと滴が落ちる氷の下敷きになりながら唸っていた。
「足どけてぇ~。」
変な夢でも見ているのだろうかと、その様子をレティは頬笑みながらチルノの上に覆いかぶさった氷に腰をおろして眺めていた。
「それじゃまた、冬に会いましょう。」
そういって冬の妖怪は腰を上げ、雪が溶け出す春の日差しの中、無名に野原で冬の匂いと吹雪を纏ってどこかへ消えていった。
ちなみにコメントはもう前回書いちゃいましたんで