Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ローレライって言ったらアレだろ? 幻想的に考えて

2008/11/05 23:04:32
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※ローラレイって言い換えるとなんか戦略規模の光学兵器っぽくね?
※オリキャラがおるでよ。










「お帰りなさいマセ、ご主人さま~♪」


 くぐった暖簾を間違えたのではと慌てて表を確認すると、見慣れたいつもの赤提灯。

「つ、ついに鳥インフルエンザに感染っ!?」
「ちがうよー。なーんか吸血鬼の館で流行ってるンだって」
「……色んな意味で末期ですねぇ」

 八目鰻処みすち庵。焼き鳥撲滅活動家ミスティア・ローレライが経営する八目鰻の串焼き屋台です。かく言う私も同じ鳥類起源(?)の妖怪として、広報支援など個人的な付き合いもあり足繁く通う場所のひとつです。
 そして、みすち庵の看板メニューと言えば――

「はい、おまちどーさま。冷めないうちに召し上がレ~♪」

 そう、茹で立てほっかほかのソーセージに程良く冷えたビール。仕事帰りの一杯目はこれに限ります――

「――って、ここは八目鰻屋台でしょう!?」
「実家から荷物が届いたのよ。文屋(あやや)さんにはいつもお世話になってるからお裾分け~♪ 幻想郷じゃ珍しい食材でしょ?」
「ああ、そう言うことですか。それはどーもありがとうございます。……ということは実家はどちらで?」
「もちろんドイツだよ」

 あ、やっぱり。名前からして何となくそんなんじゃないかなーと思っていましたがピンポイントでしたか。早速文花帳片手に聞き込みモードです。

「ほほぅ、遠路遙々ドイツからですか……」
「やっぱり取材だー。新聞見たよ。面白いけど、次回予告って取材してからのが良いんじゃない?」
「いやいやいや、こういうのは行き当たりばったりが面白いんですよ。唐突に話を振ると普段は聞けないような事柄までポロっと出るもんなんです」
「でも、唐突すぎて空振りすることもあるんじゃないの?」
「いやまぁそのー」

 いやー、絶妙に痛いところを突いてきましたねー。確かに今までは空振り続きでしたが、怪我の功名的に今回の企画や特ダネへと繋がっています。それに今度こそ三度目の正直(永遠亭の取材は別件でしたからノーカウント)でご本人にコンタクトできましたから。

「それにしてもなんだかんだ言ってご覧になってるんですね。以前は油の吸い取りがどーのこーのと散々な扱いでしたが……」
「そりゃ一応は目を通すよ。お客さんとの話題の種になるし、歌の材料にも使えるし、こういった事態を想定して色々と準備もできるしね~♪」

 なるほど。そーいうことなら話は早いです。いろいろと聞かせていただくとしm――。

「おいーっす。みすちー、とりあえず熱燗を2本つけるのです」
「おじゃまするよー」
「あ、いらっしゃーい♪」
「あややややっ!?」
「お、射命丸じゃん。もしかして取材中だったりするか?」
「取材されてるの~♪」

 唐突にやってきた人間と妖怪兎。うむー、営業中だったのを失念してましたね。こうなったら彼女達も交えて、異文化について普段どう思っているかを纏めて取材してしまいましょう……。





『幻想郷の東西交流④ ~逢魔ヶ辻の社交場~』

 皆様ごきげんよう。幻想郷の異文化を訪ねる旅も4回目。今回は夜道の赤提灯、『八目鰻処みすち庵』の店主ミスティア・ローレライ(???歳)氏にお話をうかがう。

 ミスティア氏は夜雀として活躍されるほか、最近は焼き鳥撲滅活動家としても知られている。今回訪れた『みすち庵』は撲滅活動の一環として、焼き鳥代替食材として八目鰻(或いは鰻,泥鰌)を供しつつ、自慢のノドを(半強制的に)披露する趣味と実益を兼ねた屋台である(どっちが趣味でどっちが実益かは不明)。
 また、ローレライの名が示すとおり祖国はドイツらしく、屋台の常連ともなればビールやソーセージやザワークラウトなど、あちら側の珍しい食材や料理を振る舞ってもらえるかも知れない。

 さて、読者諸氏には「赤提灯のどこが異文化なんだ?」と訝しむ声もあるだろう。しかし、今回は若干視点を変えて彼女達来訪者から見た異文化=和の文化という形でアプローチを試みたいと思う。 


文「それでは座談会形式と言うことでざっくばらんにお願いします。また、今回は特別ゲストとして『みすち庵』の常連、戦車技師の久利須亭(屋号らしい)里香(1?歳)さん、妖怪兎エルンスト・イナバウアー(??歳)さんをお迎えしています」
里・イ「どうぞよろしく」
文「まずはミスティアさん。幻想郷にはどういった理由でやってきたのでしょうか?」
ミ「実家がね、名前の通り『ローレライ』やってたんだけど、運輸の基盤が鉄路と陸路に遷ったから廃業しちゃったの。親は観光客相手になんとかやってるけど、私達の食い扶持は私達で稼ごうってことで方々へ働きにでたのよ。私は東に幻想の土地があるからって来てみたんだけどね」
文「御実家が廃業ですか……世知辛いですねぇ」
里「でも、みすちーって夜雀じゃなかったっけ」
ミ「それは人間が勝手にそう呼んでるだけだよ。夜雀って姿が見えないでしょ? 私のやってることがたまたま似てたから……でもまぁ、他に出来ることもないから代行してんだけどね~♪」
文「他に出来ることがないとは?」
ミ「ローレライの本分って船乗りを惑わせて沈めることなのよ。ところが幻想郷界隈には自称含めても船乗りが2人ぐらいしか居やしない。本職の船乗りは彼岸勤務で人間じゃないし、自称船乗りは格好だけの助教授(呼称幻想入り)だから需要が全くない。そもそもこんな内陸の急流しかない土地で水運が栄えるはずがナ~い♪」
文「なるほど。それで夜雀代行ですか」
ミ「うん。尤も最近じゃこっち(八目鰻屋台)が忙しくて疎かだけどね~♪」

 欧羅巴の妖怪事情もなかなかに厳しいようだ。と、ここで我々の前に料理が付け出される。甘藍の漬け物に肉を盛ったもので、当社記者と里香氏は初めて目にするがイナバウアー氏はそうでもないらしい。

イ「へぇ、シュラハトプラットじゃないですか。なつかしいなぁ」
ミ「でしょ? ま、乗っかってるのは鹿肉だけど」
文「鹿ですか? そりゃまた唐突ですね」
ミ「このあいだ文屋さんが言ってた山の神さんにお参りしにいったんだよ。そしたら『鳥とか兎とかいい。鹿を食べるんだ』って御札と一緒に押しつけられてね。なんかよく判らないけど食材のレパートリーは増えたよ」
里「つまりは試食しろってことだよね」
ミ「感想ヨロシク~♪」

 勧められるままに食してみる。酸味の利いた甘藍が肉の臭みを打ち消して程良い味わいを醸し出す。熱燗も良いが、これはやはりサッパリとしたビールが合うだろう。

文「メニューも大夫増えたようですが、肝心の焼き鳥撲滅の具合はどうなんですか?」
ミ「正直微妙かなぁ。私と同じような立場からの風当たりが強くなった気がするし。この前も『鹿料理始めました』って幟を立たら、せ○とくんとま○とくんっていう鹿の妖怪(?)が殴り込んできたよ」
イ「まぁ、兎角同盟とも利害が対立するからねー。尤も、ウチはみすちーみたいな積極的な活動をしてるわけじゃないからなんとも言えんけどな」
ミ「私だって屋台始める前は普通に食べてたよ。猛禽だし。つまりはさ、保身と自己満足に過ぎないんだよね。だから、お客さんがここに居る間だけでも焼き鳥を忘れてくれれば充分だよ」

 鳥型妖怪だから鳥を守るというのであれば、小鳥を食べる猛禽類を敵に回すという矛盾が生じてしまう。ミスティア氏の言うとおり、結局は保身の口実に過ぎないのだろう。
 事実、餓えた巫女や亡霊嬢、屋台連合焼き鳥部会など彼女には敵が多い。更には彼女と同じような立場の妖怪(主に妖獣系)からの嫌がらせも増えてきているという。

文「普段は兎も角、商い中に襲われると色々と危険じゃありませんか? お客さんとかいますし」
里「それなら大丈夫。そんなこともあろうかとコレを造ってあげたのですから!」

 バンバンっと里香氏が屋台を叩く。なるほど。訪れたときには気付かなかったが屋台はリニューアルされているようで、全体的にごつくなった印象がある。

里「屋台型戦車『イールアイΗ(いーた)』。最大40㎜厚の装甲板にフレシェットガン(串射出砲)やスプレーガン(高粘度たれ噴射砲)を備え、保安も兼ねる装甲屋台なのです」
ミ「殴り込んできた鹿妖怪も串刺しでお帰りいただいたよ~♪」
里「こういった面白い場所が無くなっちゃうのは寂しいからね」

 人里には妖怪も利用できる店がわりと存在するが、妖怪界で人間も飲み食いできる処は『みすち庵』ぐらいだろう。この幻想郷初とも言える試みは、果たして西洋的な思想によるものなのだろうか?

ミ「何かあるとすぐ妖精や悪魔とかの仕業にするのはあっちもこっちも同じだよね。違いがあるとすればこっちは妖を遠ざけようとするのに、あっちじゃ積極的に退治しに出かけてくることかな」
イ「暗い森を切り開いて文明の光をってヤツですな。いやあ、あれには我々兎も参りましたよ……」
里「文明開化で西洋思想が押し寄せてきたってけーね先生が言ってた」
ミ「その結果、こっちじゃ結界で隔離したのに対して、あっちじゃ逆に浸透していったんだよ。尤も闘うためじゃなくて(利用してやろう程度の気持ちはあったかもしれない)灯台もと暗し的な発想なんだけどね」
文「魔女だとか吸血鬼の一派なんかは有名ですよね。いつだったかレミリアさんが『確かに伯爵は無茶しやがって(AA略)な奴だったが、ヴァンパイアのカリスマ向上への貢献は賞賛に値する』って絶賛してましたよ」
ミ「まぁ、その伯爵みたいに露見して退治されちゃうケースもあるけど、大多数が人間社会に紛れて暮らしてるのよ。そうなると当然生活費とか必要になるわけで、人間相手に商売とか始めるの。中にはそっちの才能が開花しちゃって、世界を股にかけて渡り歩いてるのもいるけどねー」

 人間を糧に生きる妖怪でも、人間に紛れて暮らすためにはそれを偽る経費等が必要となる。そこで彼らは経済を学び、それ利用することでよりいっそう人間社会に溶け込んでいったのだ。また、その方面に特化(或いは最初からそういった化生だったのかもしれない)することで、それまで以上に活動の場を広げた者達も多い。
 例えば幻想郷にときおり現れる商人魔女はそういった類だろうし、人間離れしたアクロバットで人気を博すサーカス一座は本当に人間ではないのかもしれない。

文「ということはこの屋台も人里に溶け込む偽装工作ってことですか?」
ミ「人聞き悪いなぁ~。前にも言ったけど『私がお客を鳥目にする→紅提灯で誘い込む→鰻喰わせて視力回復→お客(味覚的な意味で)私(丸儲け的な意味で)共々(゚Д゚)ウマー』っていう、ローレライ/夜雀能力を大活用した焼き鳥撲滅運動の一環なんだってばー」
里「稗田んとこの本にあったとおり、適当な所で退治しないとダメかもしれんね」
ミ「ひっどいなー。私から言わせて貰うと妖怪の知識や技術や文字通り躰を目当てに近寄ってくるこっちの人間のほうが妖怪じみてるじゃん。一緒にこっちに来たセイレン組合のマーメイドなんか『泣かされるならともかく、喰われそうになるとは思わなかった』って泣きながら帰っちゃったわよ」

 ところ変わればなんとやら。彼女の話によれば西洋の人間は徹底的に魔を拒むのに対して、東洋では忌避はするものの都合の良い部分は利用しても問題ないという風潮がうかがえるらしい。
 確かに良きにせよ悪しきにせよ何かと『天狗(様)の仕業じゃ、天狗(様)の仕業じゃ』と騒ぎ立てたり、河童に雨乞いの相談を持ちかけたりと、ここぞと言うときには遠慮無く人外の力に頼ってくる。お互いに存在を認め合っていると言えば聞こえは良いが、節操がないとも言えないこともない。

ミ「んじゃ、ま。ここで恒例のみすちーショータぁ~イム♪」
里「いよーっ、まってましたー!」
ミ「1曲目は本場『□ーレライの歌』をドイツ語で歌っちゃうよ~♪」
イ「それじゃあ次は『リリー・○レーン』をリクエストしちゃおうかなー」
文「ご協力ありがとうございました。――んでは皆さん、仕切なおして乾杯!」
3人「かんぱ~い♪」

 こうして幻想郷の夜は更けてゆく。この素晴らしい世界が永く在ることを願って……。


 さて、次回「幻想郷の東西交流⑤」は地上の星。『リグル・ナイトバグ』をお送りします。

                                                       ~文々。新聞より抜粋~










 ――良い感じに酔いがまわったところでふと気付く。巫女や魔法使いなんかは生活スタイルなどから妖怪連中と頻繁に交流できる環境にあります。しかし、里のエンジニアである里香はどういった経緯でここの連中と付き合っているんでしょうか?
 思いついたら即実行。ネタに繋がりそうなことはOFF中だろうがなんだろうが調べておくに限ります。

「そう言えば里香さんとイナバウアーさんってどういった知り合いなんです? 人里と永遠亭なら配置薬絡みで接点があるのは判りますが、そういったビジネスライクなものとは違った雰囲気ですよね?」
「あー。私とイナバウアーさんは『戦車でBANGBANG!』仲間なのですよ」

 『戦車でBANGBANG!』――戦車という道具を使った弾幕ごっこの一種。一般的に普及している弾幕ごっこと違って、泥臭くそして漢臭いものだと河童のにとりから聞いたことがあります。
 曰く、被弾1発目はセーフ(但し、煙を噴くか砲塔が吹っ飛ぶ)だとか乗降の間は暫く無敵だとか勝ったつもりでいると教育される等々、やたらマニアックなルールの下で戦車兵魂と浪漫を求めて競うんだそうです。

「自分はみすちーと同郷なのでここには良く来るんです。それで自分が打ち上げ会の幹事をやった時にここを使ったのが切っ掛けですかね」
「そうそう。里香っちは戦車話で意気投合しちゃったんだよね~♪」
「んで、気が付いたら行きつけの屋台になっていたのです」


 いやぁ、意外な人脈と趣味が種族の差を超えた交流を結ぶもんなんですねぇ。
鹿肉美味しいよ美味しいよ鹿肉
ぎゃあ
http://
コメント



1.名前ガの兎削除
メタルマックスとメタルスラッグが混同しているだとッ!
後鹿の妖怪ワロタwww
2.名前が無い程度の能力削除
3のラスボス戦は乗降無敵にお世話になりましたww

というか戦車話で全部持ってかれたっ!
3.名前が無い程度の能力削除
鬼避けですね、わかります。
初代3ボスの砲撃はアレ使わないと避けれなかったな…

『リリー・○レーン』
隠れてない気が…
4.名前が無い程度の能力削除
鬼避けにヴィットマンにメタルマックスとかどんだけネタ濃いんだw
5.脇役削除
戦車でバンバンって懐かしいな~
東方世界風に神奈子様がオンバシラ持って主砲放つ姿が想像できたよ
ケロちゃんに当たるとマイナス、早苗に当たると更にマイナス
空中に高速移動する文に当たると凄い+になりそう
6.名前が無い程度の能力削除
某お父さんか…?
7.名前が無い程度の能力削除
>屋台型戦車『イールアイΗ(いーた)』
その発想はなかったww
里香が無理なく登場したことに感動した。
>せ○とくん
あれは鹿じゃねぇ!!!たぶん。
8.名前が無い程度の能力削除
ローレライと言ったら伊507かと思いました。
9.喚く狂人削除
ローレライといったらPsMB1だろ、伊507的に考えて
10.与作削除
外の妖怪談義が楽しいなぁ。
某窓の人とか実は妖怪かも分からんね。予知能力とかもった。
11.名前が無い程度の能力削除
マーメイドたん・・・はぁはぁ( ´Д`)