多少オリジナル設定入ってます。
19××年、アメリカ。
マイク・ワゼット氏(仮名)が寿命によって逝去した。
彼は資産家であったため、自宅に「映画博物館」なる小規模な博物館を開いていたが、元々が個人の道楽であるため引き継ごうとする者はおらず、展示品は長男のユー・ワゼット氏(仮名)、次男のジーマ・ワゼット氏(仮名)、三男のアーサー・ワゼット氏(仮名)らとその家族に分配されることになった。
展示品には古びた家具やらどこぞの制服やら小物、馬鹿でかいピアノもあった。
息子達は口々に「がらくた」と漏らし渋々引き取っていったが、中には本当にどうしようもないようなものが存在し、それは息子らの手によってコロラド山中に捨てられることになった。
廃棄された物の内訳。
実銃15丁。
サングラス5つ。
オフィサーコート10枚。
この小資産家死亡の事件は地元新聞の隅と死亡者欄に小さく載せられたのみであったが、後々ある場所で起きる一大変化の引き金となる。
もはや誰も知らぬことだが、この時捨てられた銃の中には実弾が込められていた。
幻想郷。
時は吸血鬼異変の後、紅霧事変の前。
八雲 紫は妖怪達の編集した「スペルカードルール原案」を博麗神社へと運ぶ最中、道端にてある物を発見した。
くの字形に曲がった黒い機械と、黒いメガネである。
紫は用事の途中にも関わらず、黒いメガネを手に取ってしげしげと眺めた。
不思議なことに何とも、興味をそそられる一品であった。
次に機械らしき物を手に取る。
はて、これはどこかで見たことがあるぞ。何やら、秘密がありそうだ。
紫は用事を忘れて小一時間、一心不乱に操った。
その結果、旧式リボルバーは一発の弾丸を射出し、目の前の大木の幹に穴を開ける。
紫の体に電流が走る。
紫は確信した。
そうだ。確か、自分がこれを見たのは「金曜ロードショー」とかいうものであった。これだ。これこそが自分の求めていた弾幕ごっこに必要なものだ。
紫は興奮の余りサングラスを装着し、もう一発弾丸を発射した。
「霊夢、これを見て」
博麗 霊夢は紫の手に収まった一丁のリボルバーを見て、眉をひそめた。
「何、これ。スペルカードルール原案は?」
「ああ、あれは道端に捨てた」
途端に青筋を立てた霊夢は紫の首を掴み、締め上げた。
「待って。最後まで聞いて」
「何なのよ。もう。みんなでスペルカードルールをやろうって、言ってたじゃないの」
スペルカードルールを楽しみにしていたらしい霊夢は泣きべそをかいてしまった。
紫は早く銃を見せてやりたくてたまらない。
「これを見てご覧なさい」
途端に紫の握るリボルバーが火を噴き、賽銭箱の「箱」の文字の「竹」の部分に穴を開けた。中から、硬貨の砕き割れた音が聞こえる。
「どう?」
霊夢はぽかん、と口を開けたまま答えない。
この言葉に出来ない素晴らしさが分かってもらえたのかどうか、紫は不安になる。
「だ、駄目かしら。ほら、弾幕ごっこやるって言ってたじゃない? だから」
霊夢はわなわな、と肩を震わせている。
「ほら、弾幕の代わりにならないかなっ? て思ったわけよ。いや、駄目ならいいのよ。もう一回古いスペルカード原案拾ってくればいいんだから。犬に食われてなければの話し」
突如、霊夢が紫の手を掴んだ。
「ひ」
「紫。これ、すごくいい。どうしてこんなもの隠してたのよ。そうと決まったらさっさとやりましょう。これ、私にもちょうだい」
霊夢の輝く瞳を見て、紫は涙ぐんだ。
ああ、よかった。この素晴らしさが伝わったのだ。このスタイリッシュさとヘヴィーさ、そしてどことない馬鹿っぽさは結界や国境を越えるのだ。
新しいルールによって幻想郷は平和な世界へと生まれ変わるのだ。
「さあ、この変な機械をみんなにも配りましょう。私にもやらせて」
「待って、焦らないで。こんなものもあるのよ」
紫はサングラスをかけて、ポーズを決めた。
霊夢は両手を頬に当てて呟く。
「紫、クール」
こうして歴史は曲げられた。
2×××年、アメリカ各地の銃専門店から銃火器が盗難される事件が起きた。
また、いずれの事件にも共通することとして、同時に日用品や冷蔵庫の中の飲食品が盗難されていた。
いまだに頻発するこの事件、手がかりは一切なく巷では「KAMIKAKUSHI(かみかくし)」と呼ばれている。日本語が由来だそうな。
(UZ通信)
紫らによって制定された新ルールは妖怪達の大賛成をもって受け入れられ、急速に広がりを見せた。
いかにスタイリッシュにかつドラマチックに相手を負かすか、に重点が置かれたこのルールは体だけでなく頭をフル活用することも求められ、そのファジーさ、奥深さ、娯楽性が全てにおいて妖怪達の求める理想型に近かったのだ。
この新ルールの雰囲気を文書のみで伝えるのは困難であったため、最適な学習教材として「洋画」や「海外放送」が広く用いられた。
また、この「洋画」自体も著しい人気を見せ、それによって幻想郷の文化も大きく変化した。
それから、ほどなくして起きた「紅霧事変」などの異変もこれらをもって平和的かつ感動的に解決された。
とある日、紫が博麗神社を訪れるといつもの通り境内で魔理沙と霊夢が弾幕ごっこに興じていた。
2人とも紫の姿に気付きサングラスの下から視線を合わせたが、それどころではないため紫に声をかけず弾幕ごっこを続ける。
魔理沙が大袈裟なポーズを決めて、二発立て続けに右手のリボルバーを撃った。
左手はエプロンのポケットに入れたままである。
霊夢は涼しい顔をすると、これまた大袈裟なポーズで上体をそらせて弾を回避した。
弾丸は二発とも、霊夢の腹の上ぎりぎりを通り抜けていく。
紫は、ひゅう、と口笛を噴いた。
霊夢の服は一見巫女服風に見えるが、下半身部がミニスカートばりにこれでもか、という程短くカットされている。
もちろん、脇の部分は開いている。
「やるな、霊夢」
「ふっ」
ここが、本来私達の知っている弾幕ごっこと大きく違う。
いかにドラマチックにスタイリッシュに見せるかに重点が置かれているのだ。
相手の取った行動が余りにも、スタイリッシュでセンスフルであればその時点で大きくガッツを削がれ不利になる。
闘うだけでなく、見せるのだ。
ちなみに、弾が当たっても死にはしない。そういうことになっている。あくまでも弾幕ごっこだからだ。
「空中戦といこうぜ」
魔理沙が箒を掴んで跨り一気に上昇すると、追って霊夢も空へ飛び上がった。
紫は、青空に目立つ2つの黒い影を注視する。
「MASTER SPARK」
いやに発音のいいマスタースパーク宣言の後、魔理沙が背中に背負った対戦車用ライフルをぶっ放した。
ちなみにこの場合、反動はさほどない。魔力で軽減しているため問題ない。
しかし、霊夢の影は微動だにしない。
ようやく状況を飲み込んだ紫は、口元を吊り上げて笑った。
高度8メートル地点、霊夢は右手で弾を掴んでいた。
霊夢の手に優しく包まれた弾は炸裂もせずに大人しく止まっている。
「GOD」
魔理沙が額に手を当てて呟くと、霊夢は高らかに解説を始めた。
「封魔陣。博麗の秘術」
どこに持っていたのか、霊夢の懐から5,6匹の白鳩が飛び出した。
と、霊夢は同時にもう一丁ベレッタを取り出し、いわゆる二丁拳銃の状態になる。
ばたばたばたばた、と空中に鳩が飛び交う中、合計12発の弾丸が魔理沙の胸に命中し、にわか雨のように薬莢が石畳の上に降り注いだ。
「夢想封印」
まるで映画のワンシーンである。
「かふっ。酷いスタントだぜ」
魔理沙は大袈裟に胸を押さえた後、ゆっくりと高度を落としそのまま石畳の上にひっくり返った。
弾幕ごっこであるから、10分もすればまた起き上がって元気になる。
短いが、実に記憶に残る名勝負であった。仮に弾丸が魔理沙を貫かなかったとしても、結果は変わらなかったであろう。
紫は満足して頷くと親友のいる白玉楼に向かった。
「私、この新ルールっていうか文化に慣れなくて。何かみんな急に変わっちゃったじゃない」
勘違い芸者のようなメイクをほどこした幽々子は、悲しげに俯いた。
「私って純和風だったから」
現在、紫が昼食をご馳走になっている和室の掛け軸には「桜満開、富士山」と殴り書きが施されている。背後からは、よく分からないロック調の三味線の演奏が聞こえる。幽々子が三味線を聞くようになったのは最近だ。
何だかんだで、幽々子もすっかり馴染んでいるのだ。
「湿っぽい話しでごめんなさいね、テレビでも点けましょうか」
テレビを点けると「幻想郷放送」が丁度流れていた。
一大文化革命の後、幻想郷のメディア面も著しく発達した。「紅霧事変」の頃にラジオが始まったと思ったら、今はもうテレビ局が出来ている。
紫がしみじみ、と感じ入っていると軽快な音楽が流れ画面に射命丸 文が登場した。
「テレビの前のみんな。今日もやって来たお役立ちアイテムを紹介するこのコーナー。チャンネルはこのままでよろしく」
「私ね、いつもこの番組が好きで見てるのよ」
幽々子が話す。
文は何やら、巨大な機械の前に立っている。
ここで、画面右手から犬走 椛が登場する。
「おいおい、そのへんてこりんなのは何だい」
「お。これはいい所に来た。実は今からこいつで、ステーキを焼くところなのさ」
椛は両手を上げて大袈裟に驚く。
「おいおい、大丈夫かい。どう見たって車のボンネットにしか見えないぜ」
「まあ、見てろって」
機械の上に置かれた肉が音を立て、勢いよく湯気を出す。
「本当に焼けてるじゃないか。こいつは面白い」
「だから言ったんだ。面白いだろう。急なパーティーがあっても、こいつが一台いるだけでもう安心。もう手放せないね」
椛はこちらを見て頷く。
「早速、我が家にも購入だ。ダイヤルは××××‐××‐××××ってね」
文が浮かぬ顔をして、続ける。
「ただ、一つだけ困ったことがあるんだ」
「何だい」
「私が余りにもこいつを可愛がるんで、女房が愛想尽かして出て行っちまった」
ばんばん、と膝を叩いて幽々子が爆笑する。
「いつ見ても傑作よねえ、これ。紫、もう一杯お酒どう?」
紫は日本酒なんだか何なんだか分からない酒をひたすらに飲んで、考えた。
確かに幻想郷は平和になったが、もしももう一つのスペルカードルールを導入していた場合はどうなったのだろうか。
今、切実に感じているような違和感は無かったのではないのだろうか。
そこまで考えて紫は重い頭を振った。
止めよう、こんなことを考えたところで無駄だ。今が一番幸せなのだ。
不安になるのも、この悪趣味な内装と照明のせいだ。きっとそうだ。
「紫、どうしたの?」
「いや、何でもないの」
紫は笑顔を作り、テーブルの上に用意された妖夢の女体盛りに再び箸を伸ばした。
19××年、アメリカ。
マイク・ワゼット氏(仮名)が寿命によって逝去した。
彼は資産家であったため、自宅に「映画博物館」なる小規模な博物館を開いていたが、元々が個人の道楽であるため引き継ごうとする者はおらず、展示品は長男のユー・ワゼット氏(仮名)、次男のジーマ・ワゼット氏(仮名)、三男のアーサー・ワゼット氏(仮名)らとその家族に分配されることになった。
展示品には古びた家具やらどこぞの制服やら小物、馬鹿でかいピアノもあった。
息子達は口々に「がらくた」と漏らし渋々引き取っていったが、中には本当にどうしようもないようなものが存在し、それは息子らの手によってコロラド山中に捨てられることになった。
廃棄された物の内訳。
実銃15丁。
サングラス5つ。
オフィサーコート10枚。
この小資産家死亡の事件は地元新聞の隅と死亡者欄に小さく載せられたのみであったが、後々ある場所で起きる一大変化の引き金となる。
もはや誰も知らぬことだが、この時捨てられた銃の中には実弾が込められていた。
幻想郷。
時は吸血鬼異変の後、紅霧事変の前。
八雲 紫は妖怪達の編集した「スペルカードルール原案」を博麗神社へと運ぶ最中、道端にてある物を発見した。
くの字形に曲がった黒い機械と、黒いメガネである。
紫は用事の途中にも関わらず、黒いメガネを手に取ってしげしげと眺めた。
不思議なことに何とも、興味をそそられる一品であった。
次に機械らしき物を手に取る。
はて、これはどこかで見たことがあるぞ。何やら、秘密がありそうだ。
紫は用事を忘れて小一時間、一心不乱に操った。
その結果、旧式リボルバーは一発の弾丸を射出し、目の前の大木の幹に穴を開ける。
紫の体に電流が走る。
紫は確信した。
そうだ。確か、自分がこれを見たのは「金曜ロードショー」とかいうものであった。これだ。これこそが自分の求めていた弾幕ごっこに必要なものだ。
紫は興奮の余りサングラスを装着し、もう一発弾丸を発射した。
「霊夢、これを見て」
博麗 霊夢は紫の手に収まった一丁のリボルバーを見て、眉をひそめた。
「何、これ。スペルカードルール原案は?」
「ああ、あれは道端に捨てた」
途端に青筋を立てた霊夢は紫の首を掴み、締め上げた。
「待って。最後まで聞いて」
「何なのよ。もう。みんなでスペルカードルールをやろうって、言ってたじゃないの」
スペルカードルールを楽しみにしていたらしい霊夢は泣きべそをかいてしまった。
紫は早く銃を見せてやりたくてたまらない。
「これを見てご覧なさい」
途端に紫の握るリボルバーが火を噴き、賽銭箱の「箱」の文字の「竹」の部分に穴を開けた。中から、硬貨の砕き割れた音が聞こえる。
「どう?」
霊夢はぽかん、と口を開けたまま答えない。
この言葉に出来ない素晴らしさが分かってもらえたのかどうか、紫は不安になる。
「だ、駄目かしら。ほら、弾幕ごっこやるって言ってたじゃない? だから」
霊夢はわなわな、と肩を震わせている。
「ほら、弾幕の代わりにならないかなっ? て思ったわけよ。いや、駄目ならいいのよ。もう一回古いスペルカード原案拾ってくればいいんだから。犬に食われてなければの話し」
突如、霊夢が紫の手を掴んだ。
「ひ」
「紫。これ、すごくいい。どうしてこんなもの隠してたのよ。そうと決まったらさっさとやりましょう。これ、私にもちょうだい」
霊夢の輝く瞳を見て、紫は涙ぐんだ。
ああ、よかった。この素晴らしさが伝わったのだ。このスタイリッシュさとヘヴィーさ、そしてどことない馬鹿っぽさは結界や国境を越えるのだ。
新しいルールによって幻想郷は平和な世界へと生まれ変わるのだ。
「さあ、この変な機械をみんなにも配りましょう。私にもやらせて」
「待って、焦らないで。こんなものもあるのよ」
紫はサングラスをかけて、ポーズを決めた。
霊夢は両手を頬に当てて呟く。
「紫、クール」
こうして歴史は曲げられた。
2×××年、アメリカ各地の銃専門店から銃火器が盗難される事件が起きた。
また、いずれの事件にも共通することとして、同時に日用品や冷蔵庫の中の飲食品が盗難されていた。
いまだに頻発するこの事件、手がかりは一切なく巷では「KAMIKAKUSHI(かみかくし)」と呼ばれている。日本語が由来だそうな。
(UZ通信)
紫らによって制定された新ルールは妖怪達の大賛成をもって受け入れられ、急速に広がりを見せた。
いかにスタイリッシュにかつドラマチックに相手を負かすか、に重点が置かれたこのルールは体だけでなく頭をフル活用することも求められ、そのファジーさ、奥深さ、娯楽性が全てにおいて妖怪達の求める理想型に近かったのだ。
この新ルールの雰囲気を文書のみで伝えるのは困難であったため、最適な学習教材として「洋画」や「海外放送」が広く用いられた。
また、この「洋画」自体も著しい人気を見せ、それによって幻想郷の文化も大きく変化した。
それから、ほどなくして起きた「紅霧事変」などの異変もこれらをもって平和的かつ感動的に解決された。
とある日、紫が博麗神社を訪れるといつもの通り境内で魔理沙と霊夢が弾幕ごっこに興じていた。
2人とも紫の姿に気付きサングラスの下から視線を合わせたが、それどころではないため紫に声をかけず弾幕ごっこを続ける。
魔理沙が大袈裟なポーズを決めて、二発立て続けに右手のリボルバーを撃った。
左手はエプロンのポケットに入れたままである。
霊夢は涼しい顔をすると、これまた大袈裟なポーズで上体をそらせて弾を回避した。
弾丸は二発とも、霊夢の腹の上ぎりぎりを通り抜けていく。
紫は、ひゅう、と口笛を噴いた。
霊夢の服は一見巫女服風に見えるが、下半身部がミニスカートばりにこれでもか、という程短くカットされている。
もちろん、脇の部分は開いている。
「やるな、霊夢」
「ふっ」
ここが、本来私達の知っている弾幕ごっこと大きく違う。
いかにドラマチックにスタイリッシュに見せるかに重点が置かれているのだ。
相手の取った行動が余りにも、スタイリッシュでセンスフルであればその時点で大きくガッツを削がれ不利になる。
闘うだけでなく、見せるのだ。
ちなみに、弾が当たっても死にはしない。そういうことになっている。あくまでも弾幕ごっこだからだ。
「空中戦といこうぜ」
魔理沙が箒を掴んで跨り一気に上昇すると、追って霊夢も空へ飛び上がった。
紫は、青空に目立つ2つの黒い影を注視する。
「MASTER SPARK」
いやに発音のいいマスタースパーク宣言の後、魔理沙が背中に背負った対戦車用ライフルをぶっ放した。
ちなみにこの場合、反動はさほどない。魔力で軽減しているため問題ない。
しかし、霊夢の影は微動だにしない。
ようやく状況を飲み込んだ紫は、口元を吊り上げて笑った。
高度8メートル地点、霊夢は右手で弾を掴んでいた。
霊夢の手に優しく包まれた弾は炸裂もせずに大人しく止まっている。
「GOD」
魔理沙が額に手を当てて呟くと、霊夢は高らかに解説を始めた。
「封魔陣。博麗の秘術」
どこに持っていたのか、霊夢の懐から5,6匹の白鳩が飛び出した。
と、霊夢は同時にもう一丁ベレッタを取り出し、いわゆる二丁拳銃の状態になる。
ばたばたばたばた、と空中に鳩が飛び交う中、合計12発の弾丸が魔理沙の胸に命中し、にわか雨のように薬莢が石畳の上に降り注いだ。
「夢想封印」
まるで映画のワンシーンである。
「かふっ。酷いスタントだぜ」
魔理沙は大袈裟に胸を押さえた後、ゆっくりと高度を落としそのまま石畳の上にひっくり返った。
弾幕ごっこであるから、10分もすればまた起き上がって元気になる。
短いが、実に記憶に残る名勝負であった。仮に弾丸が魔理沙を貫かなかったとしても、結果は変わらなかったであろう。
紫は満足して頷くと親友のいる白玉楼に向かった。
「私、この新ルールっていうか文化に慣れなくて。何かみんな急に変わっちゃったじゃない」
勘違い芸者のようなメイクをほどこした幽々子は、悲しげに俯いた。
「私って純和風だったから」
現在、紫が昼食をご馳走になっている和室の掛け軸には「桜満開、富士山」と殴り書きが施されている。背後からは、よく分からないロック調の三味線の演奏が聞こえる。幽々子が三味線を聞くようになったのは最近だ。
何だかんだで、幽々子もすっかり馴染んでいるのだ。
「湿っぽい話しでごめんなさいね、テレビでも点けましょうか」
テレビを点けると「幻想郷放送」が丁度流れていた。
一大文化革命の後、幻想郷のメディア面も著しく発達した。「紅霧事変」の頃にラジオが始まったと思ったら、今はもうテレビ局が出来ている。
紫がしみじみ、と感じ入っていると軽快な音楽が流れ画面に射命丸 文が登場した。
「テレビの前のみんな。今日もやって来たお役立ちアイテムを紹介するこのコーナー。チャンネルはこのままでよろしく」
「私ね、いつもこの番組が好きで見てるのよ」
幽々子が話す。
文は何やら、巨大な機械の前に立っている。
ここで、画面右手から犬走 椛が登場する。
「おいおい、そのへんてこりんなのは何だい」
「お。これはいい所に来た。実は今からこいつで、ステーキを焼くところなのさ」
椛は両手を上げて大袈裟に驚く。
「おいおい、大丈夫かい。どう見たって車のボンネットにしか見えないぜ」
「まあ、見てろって」
機械の上に置かれた肉が音を立て、勢いよく湯気を出す。
「本当に焼けてるじゃないか。こいつは面白い」
「だから言ったんだ。面白いだろう。急なパーティーがあっても、こいつが一台いるだけでもう安心。もう手放せないね」
椛はこちらを見て頷く。
「早速、我が家にも購入だ。ダイヤルは××××‐××‐××××ってね」
文が浮かぬ顔をして、続ける。
「ただ、一つだけ困ったことがあるんだ」
「何だい」
「私が余りにもこいつを可愛がるんで、女房が愛想尽かして出て行っちまった」
ばんばん、と膝を叩いて幽々子が爆笑する。
「いつ見ても傑作よねえ、これ。紫、もう一杯お酒どう?」
紫は日本酒なんだか何なんだか分からない酒をひたすらに飲んで、考えた。
確かに幻想郷は平和になったが、もしももう一つのスペルカードルールを導入していた場合はどうなったのだろうか。
今、切実に感じているような違和感は無かったのではないのだろうか。
そこまで考えて紫は重い頭を振った。
止めよう、こんなことを考えたところで無駄だ。今が一番幸せなのだ。
不安になるのも、この悪趣味な内装と照明のせいだ。きっとそうだ。
「紫、どうしたの?」
「いや、何でもないの」
紫は笑顔を作り、テーブルの上に用意された妖夢の女体盛りに再び箸を伸ばした。
ガンマンもアメリカンジョークもどうでもいい、俺にも喰(ry
主人公二人とさくよさんがいたらスタイリッシュはアンリミテッド。
ただ妖夢よりゆゆ様の女体m(ry
どう見てもオチが最凶です。本当にありがとうございました。
キャーイクサーン
俺の妖夢になにをしt(MIRAI EGOZAN
このオチはwww
何故にアメリカンジョークで引っかかるwwwwwwwwwww
この幻想郷の神主は間違いなくズン・ウー
もうここで無理wwww脱帽wwww
稽古の後、薄っすらと汗をかいた妖忌の肉体を想像。
こんなに吹き続けた話は初めてです。
やっぱり凄いんですか?(何
これは「東方」じゃない。「欧米か」だ。
霊夢のマトリックスに吹いた。
それはそうと、文ちゃん何してんのw
さて、俺もみょん盛りいただいてくる
だめだ……笑いが止まらない……