秋も深まり、寒風が肌に厳しくなり始めた秋の中旬。
香霖堂は閑古鳥が鳴く声すら響かないような静寂に包まれていた。
「”憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥”・・・か」
人と何年会話しなくても平気、みたいなオーラを出している店主、
森近霖之助でさえも、いささか退屈をもてあましていた。
手持ちの本が尽きてしまったのである。
あれこれと思いを巡らせ、斬新な考えが浮かんでも、話す相手がいなくては意味がない。
この時ばかりは彼も、例えどこかの金髪の少女が無邪気そのままに売り物の壺に腰掛けようと、
どこぞの紅白が最高級の茶葉を使い切ろうと許容してしまえそうなほどである。
とはいえ、彼女達もいつもいつもやってくる訳ではない。こうして期間が空くことも珍しくはないのであった。
既に夕方であったが、このまま懊悩している事にも意味を見出せない彼は、しばらく悩んだ後無縁塚に行くことにした。
無縁塚の危険度は阿求も本に書いている通り、かなり高い。しかし外の世界の物を得られる恩恵は大きい。
普段は霊夢や魔理沙が付き添ってくれるのだが、独りでもこうして来ることは少なくない。
経験則から言って今夜も大丈夫だろうなどと考えたのがいけなかったのか、
足元に転がる不思議な短剣を手にとり、しげしげと眺めている時、無邪気な声が耳元に響いた。
「ねえ」
「おや・・・」
突然耳元で囁かれ、驚いて振り向くと、そこには金髪を赤いリボンで結んだ少女が立っていた。
黒い服を着て両手を広げ──その袖だけは白かったが──首を傾げながら「ねえ、それは何?」と問いかけてきた。
「ああ、これかい?」
霖之助も、半分は人間だがもう半分は言わずもがなであり、こういう事態には耐性もついている。
すぐに落ち着きを取り戻しながら手に持った短剣についての説明を始めた。
「これは『バーゼラルド』と言う。武器になる他に、食事の時の調理や工具としても利用できるみたいだね」
「ふうん・・・そう。武器?そんなものが・・・。弾幕があれば充分じゃない?」
「これは外の世界の人間の物だからね・・・ところで一つ尋ねたいんだが」
「なーに?」
「この周りの暗闇は君の能力かい?」
「うん、そうよ」
霖之助は即座に状況を理解した。
理解した後にすぐ後悔してしまったが・・・。何故かというと、
「そのナイフ、調理にも使えるのね・・・。調理なんてしたことないけど。まあいいわ。ところで」
「な、何だい?」
「この私のポーズ、『今から獲物を狩る妖怪』みたいに見えない?」
──どう考えてもマジで喰われる二秒前だったから。
「なんか妖怪の気配も混じってるし、お兄さん食べても大丈夫なのかな?」と独りごちるルーミアに対し、
「そ、そうだね・・・」
霖之助は眼鏡の縁が揺るがないように、鉄の意志でもって焦燥感を食い止め、時間稼ぎを試みた。
「どちらかというと、『人類は十進法を採用しました』みたいな──」
「あら?」
そこまで言った時、少女の声のトーンが変わった。まさか、何かとんでもない失言をしてしまったのではないか・・・。
「その答え、前にもどこかの人間が言っていた気がする。確か金髪の黒白の・・・」
わずかに怯えた霖之助は安心して言葉を続けた。
「もしかしてその人間は、語尾に『だぜ』とかつけてなかったかな。ちょっと男らしい感じの口調で」
「どうだったかな。よく覚えていないわ。・・・ん?お兄さんあいつの知り合いなの?」
「まあ、そんなところだね」
「そう・・・」
少女は腕を組むと、残念そうに「じゃああなたを食べるとあいつは怒る?」
魔理沙のことだし僕が食べられても普通に日常過ごしそうだなと思いつつも
「そうなるんじゃないかな」と返事。かしこまりすぎてもくだけすぎても駄目。妖怪である彼女達の会話には独特の波長があり、
それに合わせなければ気まぐれで食べられてしまうかもしれない。
「あら、残念。じゃあねえ、お兄さん・・・ああ、名前はなんていうの?」
あたりの闇が晴れていく。とはいっても、もう夜になりかけであたりはずいぶん暗くなっていたのだが・・・
「僕は森近 霖之助という」
「私はルーミア。じゃあ霖之助」
呼称が「お兄さん」から即座に呼び捨てに切り替わったことで、
霖之助はふと魔理沙の幼少期を思い出していた。思えばあの頃は・・・ 視線は遠くへ。
「あなた妖怪の気配もまじっててあまり美味しくなさそうだから、何かご馳走してくれない?」
霖之助は魔理沙の幼少期を思い出している。
「ねえ」
霖之助は魔理沙の幼少期を思い出している。
「もしもし」
霖之助は魔理沙の幼少期を思い出している。
「私はお腹が空いているんだけど・・・」
冷たく響いた声に霖之助は即座に視線をルーミアに戻した。
「ああ、すまない。うちで兎をご馳走するよ」
冷や汗一つかいていないあたり大物なのか、
単なるマイペースなのか伺い知ることは難しい。
ルーミアを連れて香霖堂に帰り、早速晩飯にとりかかった。
霖之助は『美味しくなかったら貴方を食べる』というルーミアの言葉にさすがに焦り、
少し気合を入れた料理にすることにした。以前紫と交換した外の世界の調味料や料理本がある。
まず先ほど拾ったバーゼラルドを使い兎肉をぶつ切りにし、オリーブオイル、にんにく、ローズマリー、
ローリエ、バルサミコ酢、塩コショウ等を混ぜたものにつけておく。
ワインを少し加えた後ジャガイモも加えてそれをオーブンに入れ、火を通す。
「できたよ」
ルーミアは無言で、少し遠慮がちにその肉を平らげにかかった。余程空腹だったらしい。
「なあ・・・その壺に腰掛けて食べるのはやめてくれないか。売り物なんだ」
じろりと横目で睨んでくるが、さすがにこれは店主としての意地がある。
「それにその茶葉は高級品なんだ。雑に扱うのはやめてくれ」
ルーミアは無言で肉を食べ続けている。ただし横目でこちらを睨んだまま・・・
これでは何を言っても無駄なようなので、場をつなげるために一つ質問してみる。
「君は人間も食べるのかい?」
肉にがっつく合間に
「最近は食べないよ?」
「最近は?」
「そう。なんかね、最近妖怪の間でそういう雰囲気」
「雰囲気ね・・・何故だい」
「さあね、他の妖怪は大妖怪や鬼がどーのこーのって言っていたけど」
「大妖怪・・・鬼?」
もしかしてそれは、紫や萃香のことなのだろうか。事情はわからないが・・・
「人間を食べない妖怪って変だと思わない?」
何故そんなことが、と考え込んでいるところに、今度は彼女から問いかけてきた。
「そうだね。しかし数ある妖怪の中には、人間を食べずに驚かせるだけだったりするのもいるし、別に普通なんじゃないかな」
「ふうん・・・でもねえ、私は森の動物を狩るのは気がひけるの。だって愛らしいじゃない。鳥や兎は」
「君にとって、人間はグロテスクに映るのかい?」
「単なる食料として映るよ。霖之助は人間?」
「半分はね」
「へえ、じゃあもう半分は妖怪なの。人間食べたことある?」
「ないよ。・・・それで君は、そんなにお腹が空いているわけだ」
ルーミアの取り皿は霖之助の肉の半分近くを侵食しつつあった。
一瞬食事を止め、少し顔を赤くしながら彼女は言う。
「あなたの目にはどう映るかしら?」
その問いかけには、僅かにコンプレックスから来る恥じらいが混じっていることを霖之助は察して、
「生きるための単なる食事、かな・・・森の動物が云々は、君にとってはそれが当たり前なんだろう」
と軽く流すように答えてやった。
_________________________________________________________________
食事が終わった後、霖之助はルーミアに尋ねてみた。
「君から見て、人里の豚や牛はどう見えるかな。森の動物達と同じかい?」
「一度見たことがあるけど・・・人間の作った柵と餌に囲まれてのんびりしてるから、森の動物達とは違う感じ」
「なるほど」と呟いて霖之助は日誌に何かを書き始めた。
その背中を見つめながら、ルーミアが口を開く。
「私はねえ、周りの妖怪に馬鹿にされたよ。人間も動物も食べれないでどうすんのって。
霖之助は人間だけど妖怪みたいだったし、なんか食べていいかなって思ったんだけど・・・」
「勘弁してくれないかな」と日誌を綴りながら背中は答えた。
「僕のことはともかく、その考え方はいいと思うよ。僕は最近外の世界の本を読んだのだけれど、
殆どの人間は自分で狩りもせずに動物の肉を食べているらしいからね」
「でも私、結局兎の肉食べちゃったし・・・」
「心構えの問題だよ。何も考えずに食べるよりはずっといいと思う」
「そうなの?」
「当たり前じゃないか!」
満面の笑みで振り返りながら断言(肯定)してくれた霖之助に、ルーミアは一瞬心を奪われた。
「そ、そう」
心臓の早鳴りをなんとか抑えながら、ルーミアは俯きがちに「またくるね」と小さい声で言うと店の外へ飛び出していった。
「ああ、最近は暇だから壺と茶葉にさえ気をつけてくれれば、・・・もう行ってしまったのか」
お茶を啜りながら店主は独り呟く。
「『ヒトと妖怪の食料意識の差異』・・・僕の日誌始まって以来の考察が書けそうだったんだけど・・・質問はまた今度にするか」
霖之助は食事の後片付けをしながら、「しかし彼女の考え方は新鮮で素晴らしかった。今度はもっと話を聞いて参考にしよう」
と満面の笑みで頷いていた。「ついでにいろんな用途のある道具も得られて今日はいい調子だな」
その後晩飯にやってくる赤いリボンの少女と親しげに話している香霖の姿が
周囲に知れ渡ったのは言うまでもない・・・。
香霖堂は閑古鳥が鳴く声すら響かないような静寂に包まれていた。
「”憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥”・・・か」
人と何年会話しなくても平気、みたいなオーラを出している店主、
森近霖之助でさえも、いささか退屈をもてあましていた。
手持ちの本が尽きてしまったのである。
あれこれと思いを巡らせ、斬新な考えが浮かんでも、話す相手がいなくては意味がない。
この時ばかりは彼も、例えどこかの金髪の少女が無邪気そのままに売り物の壺に腰掛けようと、
どこぞの紅白が最高級の茶葉を使い切ろうと許容してしまえそうなほどである。
とはいえ、彼女達もいつもいつもやってくる訳ではない。こうして期間が空くことも珍しくはないのであった。
既に夕方であったが、このまま懊悩している事にも意味を見出せない彼は、しばらく悩んだ後無縁塚に行くことにした。
無縁塚の危険度は阿求も本に書いている通り、かなり高い。しかし外の世界の物を得られる恩恵は大きい。
普段は霊夢や魔理沙が付き添ってくれるのだが、独りでもこうして来ることは少なくない。
経験則から言って今夜も大丈夫だろうなどと考えたのがいけなかったのか、
足元に転がる不思議な短剣を手にとり、しげしげと眺めている時、無邪気な声が耳元に響いた。
「ねえ」
「おや・・・」
突然耳元で囁かれ、驚いて振り向くと、そこには金髪を赤いリボンで結んだ少女が立っていた。
黒い服を着て両手を広げ──その袖だけは白かったが──首を傾げながら「ねえ、それは何?」と問いかけてきた。
「ああ、これかい?」
霖之助も、半分は人間だがもう半分は言わずもがなであり、こういう事態には耐性もついている。
すぐに落ち着きを取り戻しながら手に持った短剣についての説明を始めた。
「これは『バーゼラルド』と言う。武器になる他に、食事の時の調理や工具としても利用できるみたいだね」
「ふうん・・・そう。武器?そんなものが・・・。弾幕があれば充分じゃない?」
「これは外の世界の人間の物だからね・・・ところで一つ尋ねたいんだが」
「なーに?」
「この周りの暗闇は君の能力かい?」
「うん、そうよ」
霖之助は即座に状況を理解した。
理解した後にすぐ後悔してしまったが・・・。何故かというと、
「そのナイフ、調理にも使えるのね・・・。調理なんてしたことないけど。まあいいわ。ところで」
「な、何だい?」
「この私のポーズ、『今から獲物を狩る妖怪』みたいに見えない?」
──どう考えてもマジで喰われる二秒前だったから。
「なんか妖怪の気配も混じってるし、お兄さん食べても大丈夫なのかな?」と独りごちるルーミアに対し、
「そ、そうだね・・・」
霖之助は眼鏡の縁が揺るがないように、鉄の意志でもって焦燥感を食い止め、時間稼ぎを試みた。
「どちらかというと、『人類は十進法を採用しました』みたいな──」
「あら?」
そこまで言った時、少女の声のトーンが変わった。まさか、何かとんでもない失言をしてしまったのではないか・・・。
「その答え、前にもどこかの人間が言っていた気がする。確か金髪の黒白の・・・」
わずかに怯えた霖之助は安心して言葉を続けた。
「もしかしてその人間は、語尾に『だぜ』とかつけてなかったかな。ちょっと男らしい感じの口調で」
「どうだったかな。よく覚えていないわ。・・・ん?お兄さんあいつの知り合いなの?」
「まあ、そんなところだね」
「そう・・・」
少女は腕を組むと、残念そうに「じゃああなたを食べるとあいつは怒る?」
魔理沙のことだし僕が食べられても普通に日常過ごしそうだなと思いつつも
「そうなるんじゃないかな」と返事。かしこまりすぎてもくだけすぎても駄目。妖怪である彼女達の会話には独特の波長があり、
それに合わせなければ気まぐれで食べられてしまうかもしれない。
「あら、残念。じゃあねえ、お兄さん・・・ああ、名前はなんていうの?」
あたりの闇が晴れていく。とはいっても、もう夜になりかけであたりはずいぶん暗くなっていたのだが・・・
「僕は森近 霖之助という」
「私はルーミア。じゃあ霖之助」
呼称が「お兄さん」から即座に呼び捨てに切り替わったことで、
霖之助はふと魔理沙の幼少期を思い出していた。思えばあの頃は・・・ 視線は遠くへ。
「あなた妖怪の気配もまじっててあまり美味しくなさそうだから、何かご馳走してくれない?」
霖之助は魔理沙の幼少期を思い出している。
「ねえ」
霖之助は魔理沙の幼少期を思い出している。
「もしもし」
霖之助は魔理沙の幼少期を思い出している。
「私はお腹が空いているんだけど・・・」
冷たく響いた声に霖之助は即座に視線をルーミアに戻した。
「ああ、すまない。うちで兎をご馳走するよ」
冷や汗一つかいていないあたり大物なのか、
単なるマイペースなのか伺い知ることは難しい。
ルーミアを連れて香霖堂に帰り、早速晩飯にとりかかった。
霖之助は『美味しくなかったら貴方を食べる』というルーミアの言葉にさすがに焦り、
少し気合を入れた料理にすることにした。以前紫と交換した外の世界の調味料や料理本がある。
まず先ほど拾ったバーゼラルドを使い兎肉をぶつ切りにし、オリーブオイル、にんにく、ローズマリー、
ローリエ、バルサミコ酢、塩コショウ等を混ぜたものにつけておく。
ワインを少し加えた後ジャガイモも加えてそれをオーブンに入れ、火を通す。
「できたよ」
ルーミアは無言で、少し遠慮がちにその肉を平らげにかかった。余程空腹だったらしい。
「なあ・・・その壺に腰掛けて食べるのはやめてくれないか。売り物なんだ」
じろりと横目で睨んでくるが、さすがにこれは店主としての意地がある。
「それにその茶葉は高級品なんだ。雑に扱うのはやめてくれ」
ルーミアは無言で肉を食べ続けている。ただし横目でこちらを睨んだまま・・・
これでは何を言っても無駄なようなので、場をつなげるために一つ質問してみる。
「君は人間も食べるのかい?」
肉にがっつく合間に
「最近は食べないよ?」
「最近は?」
「そう。なんかね、最近妖怪の間でそういう雰囲気」
「雰囲気ね・・・何故だい」
「さあね、他の妖怪は大妖怪や鬼がどーのこーのって言っていたけど」
「大妖怪・・・鬼?」
もしかしてそれは、紫や萃香のことなのだろうか。事情はわからないが・・・
「人間を食べない妖怪って変だと思わない?」
何故そんなことが、と考え込んでいるところに、今度は彼女から問いかけてきた。
「そうだね。しかし数ある妖怪の中には、人間を食べずに驚かせるだけだったりするのもいるし、別に普通なんじゃないかな」
「ふうん・・・でもねえ、私は森の動物を狩るのは気がひけるの。だって愛らしいじゃない。鳥や兎は」
「君にとって、人間はグロテスクに映るのかい?」
「単なる食料として映るよ。霖之助は人間?」
「半分はね」
「へえ、じゃあもう半分は妖怪なの。人間食べたことある?」
「ないよ。・・・それで君は、そんなにお腹が空いているわけだ」
ルーミアの取り皿は霖之助の肉の半分近くを侵食しつつあった。
一瞬食事を止め、少し顔を赤くしながら彼女は言う。
「あなたの目にはどう映るかしら?」
その問いかけには、僅かにコンプレックスから来る恥じらいが混じっていることを霖之助は察して、
「生きるための単なる食事、かな・・・森の動物が云々は、君にとってはそれが当たり前なんだろう」
と軽く流すように答えてやった。
_________________________________________________________________
食事が終わった後、霖之助はルーミアに尋ねてみた。
「君から見て、人里の豚や牛はどう見えるかな。森の動物達と同じかい?」
「一度見たことがあるけど・・・人間の作った柵と餌に囲まれてのんびりしてるから、森の動物達とは違う感じ」
「なるほど」と呟いて霖之助は日誌に何かを書き始めた。
その背中を見つめながら、ルーミアが口を開く。
「私はねえ、周りの妖怪に馬鹿にされたよ。人間も動物も食べれないでどうすんのって。
霖之助は人間だけど妖怪みたいだったし、なんか食べていいかなって思ったんだけど・・・」
「勘弁してくれないかな」と日誌を綴りながら背中は答えた。
「僕のことはともかく、その考え方はいいと思うよ。僕は最近外の世界の本を読んだのだけれど、
殆どの人間は自分で狩りもせずに動物の肉を食べているらしいからね」
「でも私、結局兎の肉食べちゃったし・・・」
「心構えの問題だよ。何も考えずに食べるよりはずっといいと思う」
「そうなの?」
「当たり前じゃないか!」
満面の笑みで振り返りながら断言(肯定)してくれた霖之助に、ルーミアは一瞬心を奪われた。
「そ、そう」
心臓の早鳴りをなんとか抑えながら、ルーミアは俯きがちに「またくるね」と小さい声で言うと店の外へ飛び出していった。
「ああ、最近は暇だから壺と茶葉にさえ気をつけてくれれば、・・・もう行ってしまったのか」
お茶を啜りながら店主は独り呟く。
「『ヒトと妖怪の食料意識の差異』・・・僕の日誌始まって以来の考察が書けそうだったんだけど・・・質問はまた今度にするか」
霖之助は食事の後片付けをしながら、「しかし彼女の考え方は新鮮で素晴らしかった。今度はもっと話を聞いて参考にしよう」
と満面の笑みで頷いていた。「ついでにいろんな用途のある道具も得られて今日はいい調子だな」
その後晩飯にやってくる赤いリボンの少女と親しげに話している香霖の姿が
周囲に知れ渡ったのは言うまでもない・・・。
でも紫霖が個人的にマイラヴァー。
るみゃ霖も大好きですがね!
それもこれも霖ちゃんが可愛いからです。
こーりんは多分誰とフラグ立てても誰かに恨まれるなw
>日誌を綴りながら、背中は答えた
背中って表現に凄く感心しました。
文章力ってこういうとこに現われるんだな……。
ただ、多分、「答えた」ではなく「応えた」になると思います。……日本語苦手なので怪しいですが。
違ってたらすみません。
ルーミアは……うん、難しいよねルーミア。でもそんな感じでいいと思う。
挿絵とボリュームがあれば本編っぽくなるかもしれない