冥界組の場合
「永琳……」
「大丈夫ですよ姫様、ウドンゲが上手くやっているはずです」
「いえ、言いたい事はそうじゃないの」
「では何…」
ぱーぱららーん ぱっぱっぱっぱっぱっぱっぱ ぱーぱららーん♪(←必殺仕事○のアレ)
がららっ!
「くっ!何奴!?」
「姫はおさがり下さい」
「貴様が下手人だな……」
「妖夢」
「はいっ!」
すかっ
腰元に持っていった手はむなしく空を切る。
「……て、あ、あれ?」
ぽんぽん
腰の周りに目を向け、手で叩く。
「ちょ、ちょっと待ってくださいね」
ばしばし
叩けど叩けど何も出てこない。
「あれ?あれれ?」
「妖夢……まさか」
「……」
「ゆ、幽々子様、ちょっと場を繋いどいて下さい!!」
ばひゅんっ!
部屋から飛び出す妖夢。
取り残された三人。
「……」
「…………」
振り返っても、もう誰も居ない。
静かな室内。
「………………」
「……やっぱご飯はのどごしよね~」
「うそぉ!?」
「あ、く、曲者よ!追いなさい!!」
CM:探し物は何ですか~♪ 見つけにくいモノですか~♪ 香霖堂を~ 香霖堂を~ 探してみれば見つかるかも~♪
結界組の場合
「ずいぶんと楽しそうじゃない、永琳」
「……そう、見えますか?」
「ふふ……あなたのそんな姿を見るのなんていつ以来かしら」
ぱーぱららーん ぱっぱっぱっぱっぱっぱっぱ ぱーぱららーん♪(←必殺仕事○の(ry
「ちっ、喰らいなさい!」
ばしゅっ!
弾を飛ばす永琳。
軽くかわす霊夢たち…
ごんっ!
「あ、痛っ!」
しかし霊夢は天井に頭をぶつけた。
「れ、霊夢!!大丈夫?」
「だいじょ…」
ふらぁ
「霊夢!!!」
「だいじょぶだって、ちょっと思いっきりぶつけたから…」
「大丈夫な訳ないでしょう!?頭から血が出てるじゃない!!」
「ん…あ、ホントだ」
「藍ー!! 藍ーー!!!!!」
「ああ、あの釘のちょっと出たトコに当たっただけよ、そんなに心配しなくても……」
「どうなさいましたか?」
「どうもこうも無いわ!!か、帰るわよ!!」
「だから大した事な……きゃっ!」
言い終らない内に、紫に体を抱きかかえられる霊夢。
「大丈夫だからね…大丈夫だから……」
「どうしましょう紫様、私が続きを…」
「ばかっ!人の命がかかってるのよ!? 一大事よ!!」
「は、はい!!分かりました!!」
「大丈夫だって!お、降ろし……きゃあー!?」
「喋っちゃ駄目!!!!」
どん!!
ごおおぉぉぉ……
「人喰いが、何言ってんでしょうね……」
「追わなくていいの?」
CM:目標!1327店! お薬のお求めはお近くの香霖堂へ!
紅魔組
「来客?なら主が赴かない訳にはいかないわね」
「お戯れが過ぎますよ、姫」
「あら、私は当然の事を思ったまでだけど」
ぱーぱららーん ぱっぱっぱっぱっぱっぱっぱ ぱーぱららーん♪(←必殺仕(ry
がららっ!
「ついに見つけ……あ、あら?」
「誰も居ませんね」
「えーっと、アイツが三つ目を右に曲がったから…」
「それって一つ目を数に入れずの話ですよね」
「うん、あの兎柄の襖は数に入れちゃ駄目なの」
「それって2枚目じゃありませんでした?」
「あ、あれ?そうだっけ」
「あの餅つきしてる絵のヤツでしょ」
「えっ、それ2枚目だったっけ?」
「やっぱりお茶とか用意した方がいいのかしら?」
「そういうのはウドンゲにやらせますから」
「でもお茶を淹れる主ってサマにならない?」
「それはそうかもしれませんけど、姫様のお茶はこだわり過ぎなんです」
「だから茶菓子も用意するんじゃない」
「それもイチから作るんでしょう!?向こうが待ちくたびれているんですよ!いつも!!」
「え~?でも作って貰ってる間ってワクワクしない?」
「それはしますけど、限度がありますでしょう?限度が!」
がららっ!!
「あ……」
「もう一回最初の所に戻った方がよさそうですね」
「ち、違うのよ咲夜!実は私、さっきのウサギに目をやられててね!?」
「じゃあ目薬でもさしましょうか?」
どこからともなく取り出した目薬。
「そう!それを待っていたのよ!流石私の従者!!」
「それじゃさしますんでこちらに」
膝枕をつくり、レミリアをそこに誘導する。
「それじゃあいきま……あのお嬢様、目薬なんで口は開けなくてもいいんですよ?」
「あ、ごめん、そういやパチェに聞いたんだけど、目薬をさした後って『キター』って叫ぶのが流行なのよね?」
CM:駆け抜ける~♪永遠亭~♪ お嬢の勇姿~♪ 永琳の位置を掴めよ~♪ 香霖堂で~♪
詠唱組の場合
「姫はここから動かないで下さい」
「また私を閉じ込める気かしら?」
「ふぅ、相変わらず人聞きの悪い言い方をされますね」
ぱーぱららーん ぱっぱっぱっぱっぱっぱっぱ ぱーぱららーん♪(ry
がららっ!
「追いついた!!」
「さぁ年貢の納め時だぜ!」
箒を振り回し、大立ち回りを決めようとした魔理沙。
「霧雨魔理沙!さんじょ……」
がしっ ぱりーん
「あああ!!!仏の御石の鉢が!」
「あ、わ、悪い」
砕けぬ意志……基、砕けぬ石なぜ割れると言うのは置いておこう。
ともかく箒にぶつかり派手に割れたお鉢、畳の間に散らばる破片はまさに欠片の屑。
「悪いぃ?『悪い』じゃないわよ!!何て事をしてくれるのよ!?」
「ぁう……」
「あんた達にとっちゃどうかは知らないけど、私にとっては大事なモノなのよ!?」
「ご、ごめんなさい!!」
「ちょっとそこに座りなさい、二人とも」
「えっ?」
「いいから座る!!」
「は、はい!!」
ぐだぐだになりかけた場を収めたのは永琳だった。
永琳の大きな声に圧倒された二人はその場に正座した。
「……とりあえず」
「あんた達ねえ!」
「姫も黙って居て下さい!!」
「きゃっ!?」
「姫も座る!!」
「は、はい!」
事に便乗して二人を罵ろうとした輝夜も、永琳に押されて座ってしまった。
当然ながら正座である。
「まず、二人とも何をやったかは分かってるわよね?」
「あ、あの私は……」
「黙りなさい!!」
「は、はい!」
「どっちがどうとかはいいのよ!自分の状況をちゃんと把握しなさい!!」
「はい……」
怒られてしゅんとなるアリス。
この場では一番可哀想な立場である。
「そこの黒いの、人の話を聞くときは帽子を取る」
「は、はい……」
大人しく帽子を取る魔理沙。
「アンタ何処の子よ?」
「あの……魔法の森の…」
「ああそんなのどうでもいいわ、親の住んでるとこよ」
「やっ、お、親とかは関係無いんで……」
「アンタは関係なくてもこっちは関係あるのよ」
「いや、ホントそれは勘弁して下さい…」
「はぁ?勘弁とか言える立場?」
「いや、その…」
「家に来られるのがイヤなら、こっちに来て貰いなさい」
「……」
唇を横一文字に結び、うつむいたままの魔理沙。
膝に置いた手は強く握り締められ、小さく震えている。
「聞いてるの?」
「あ、あの」
「あなたは今、関係ないでしょう?」
「いえ、このコ今勘当されてるんです…」
「勘当?」
「だ、だから親とかはその…」
「はぁ……私が行くのも駄目、よこすのも駄目、まさに子供の言い訳ね」
助け舟を出したアリスだが、逆効果だったようだ。
魔理沙を責める永琳の口調はますます厳しいものとなった。
「あの!べ、弁償させて頂きます!だ、だから親とかは…」
「弁償?あのね、そういうのが子供の発想だって言ってるの!」
「じゃ、じゃあどうしたら…」
「どうしたらも何も、さっきからこっちは親に会わせろって言ってるじゃない」
「うぅ……」
「いい?被害者はこっちなの、償ってもらう条件は提示してるの、
それを呑めないとかこれにしろとかさんざんに我侭を言ってるのはそっち、分かる?」
「はい…」
「じゃあなんで『どうすれば』なんて言うのよ?」
「はい…」
「『はい』じゃないわよ……全く、
で、そっちの黒いのもそろそろ何か言ったらどうなの?アンタの友達は必死にアンタをかばってるのよ?」
腰に手を当てて呆れ顔の永琳。
言われた魔理沙は、未だにうつむいたままだ。
「……こら、何か言いなさいよ」
「……っ……」
唇を噛み、うつむいたままの魔理沙。
拳と肩は小さく震えている。
「あ、あのさ永琳、私はもういいから……」
「駄目です姫様!ここで許しても、このコは絶対に反省しません!!」
「で、でも」
「泣けば何でも解決するなんて事、幻想を通り越して妄想ですよ」
「うぅ……何で私も怒られてんだろ?」
輝夜は相変わらず正座をしたまま、永琳の一人舞台を見つめていた。
被害者は、自分なのに。
「あ、あの」
「何?よく喋るわね」
再びアリスが助け舟を出そうとした。
魔理沙は相変わらずうつむいたままだ。
時々低い嗚咽が聞こえてくる。
「こ、このコの親…じゃないんですけど、親代わりの人がこのコんちの近くに住んでいるんです…」
「で?」
「あぅ…そ、その人をこれから呼んでもいい…ですか?」
「はぁ……ったく」
アリスの提案を聞き、片手で頭を押える永琳。
もう片方の手は腰に添えられている。
「まぁいいわ、その人呼んできなさい」
「じゃ、じゃあ…」
「親を呼ぶ話はまだ終わってないわ、とりあえずその人でも来ないと話進まないんでしょ?」
「ぅう……」
「ほら、さっさとして、こっちも暇じゃないのよ」
「わ、分かりました!上海、お願い…」
アリスの声を聞いた上海人形が、部屋から飛び出した。
香霖堂に向かったのだろう。
「よ…っ…けいなコト」
うつむいていた魔理沙が嗚咽まじりに小さく吐き出した言葉。
それは永琳に怒らせるのに充分な火種だった。
「っ……!」
ぱちーんっ!!
平手の乾いた音が部屋に響く。
魔理沙の体勢は崩れ、打たれた頬を片手で触り、片手で畳をついた。
目は臥したままである。
アリスは魔理沙により添おうとしたのだが、永琳の気迫に押されて動く事が出来なかった。
「アンタねえ!!さっきから友達が必死にかばってくれてるのにその態度は何なのよ!!」
「え、永琳」
「もう小さい子じゃないんでしょ、いい加減恥ずかしくないの!?」
「あの私はもう…」
「ああもう段々腹が立ってきた!!もういい年の子だと思って我慢してたけど――」
永琳の口から展開される言葉の弾幕。
普段は弾除けが仕事であるこの二人も、今日はグレイズも出来ずただひたすら当てられるがままである。
がららっ
しばらくの時間が過ぎたとき、部屋の襖が魔理沙達が入ってきてから久しぶりに開いた。
「し、失礼します」
「――ウドンゲ相手にしてもそう!……ってあら?」
「…っ!森近さん!!」
入ってきたのは森近霖之助。
上海人形も一緒である。
「アリス、これは一体どういう事だ?」
「それは私から説明しますわ」
困惑気味の霖之助に声を掛けたのは、さっきまで魔理沙たちに説教をしていた永琳だった。
魔理沙はまたさっきの姿勢に戻っている。
さっきと違うのは、頬が少し赤くなっている事と震えが大きくなった事くらい。
~永琳説明中~
「はぁなるほど……そういう事でしたか」
事の次第を聞いて、うなづく霖之助。
「……魔理沙」
声をかけられてびくっと肩が震える魔理沙。
霖之助は一言名前を呼んだ後、小さく震える魔理沙をじっと見つめている。
「……っ…」
魔理沙は少しずつ顔を上げ始めた。
永琳に怒られている間はずっと膝元ばかり見ていた、髪に隠れた眼が少しずつ上がってくる。
霖之助は何も言わず、ゆっくりと動く魔理沙を見つめていた。
ゆっくりと、ゆっくりと魔理沙は顔を上げていった。
「……っ…!」
顔を上げきった魔理沙は、霖之助を見た。
彼女の見た霖之助は、小さく小さく微笑んでいた。
霖之助は、顔を上げた魔理沙をまっすぐに見つめていた。
そんな霖之助と眼が合った魔理沙は次の瞬間
「……ぁぁああっ――!!」
泣き崩れ、畳に突っ伏した。
「ごめんなさいっ!!ごめんなさいっっ!!!」
そこに、普段の強気な姿は微塵もなかった。
「迷惑を掛けたね、アリス」
「いえ、悪いのは私達だから……」
「すぅ……すぅ……」
帰り道、とぼとぼと歩いて帰るアリスと、泣き疲れて眠ってしまった魔理沙を背中におぶった霖之助の姿があった。
「でもよく許して貰えましたね」
「子供のやる事にいちいち目くじら立ててちゃ、オトナなんてやってられないさ」
アリスに答える霖之助。
意識はしてないのだが、アリスは霖之助に対して敬語になっていた。
「本当にごめんなさい……」
「アリス」
「は、はい」
「もうさっき充分過ぎる程謝っただろう?別に僕にまで謝って貰わなくてもいい」
「でも…」
「どうしても謝りたいと言うのなら、また今度ウチの商品を買っていってくれ」
「霖之助さん…」
「ああ、後」
「何ですか?」
「これからも、魔理沙と宜しく頼むよ」
「……はいっ!」
すぅっと見上げた空には、元通りになった満月が浮かんでいた。
CM:きみのつぎにあったかい 香霖堂
おしまい
だからギャグ分は冥界組が全て持ってっちゃったんですね。
それにしてもアリスさんと姫さま、とばっちりにも程があります。
つうか店舗数おおwww一県につき約28もあるんだがwwww
……それが気になって小説の中身が上の空なのは内緒(オイ
かく言う私もデジャヴを感じる程度に叱られまくった半生でしたがw
永琳のお叱りはごもっとも。
詠唱組が……あれ?
>畳の間に散らばる破片はまさに欠片の屑。
これがやりたかっただけのように思えてしまうwwwwww
ところで、香霖堂の商魂がたくましいなw