Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

恋人の祟り神(前編)

2008/10/27 02:25:47
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 森近霖之助は半分妖怪である

 だから、それなりに長生きしているため

 今まで様々な経験をしてきた

 故にそう簡単に驚く事はない

 だが今は盛大に驚いていた

 否、驚かざる終えなかった

 
 外の世界にお店ごと飛ばされるなどという事に 












 事の経緯は簡単な事

 お店に来ていた(略奪)魔理沙と霊夢が

 口論になり、お店の中で暴れた事がきっかけだった

 無論、霖之助はそれを何とか止めようとしていたが

「香霖はどっちの味方なんだよ!?」

「そうね!無論私の方よね霖之助さん?」

「い、いや…僕は…」

 そのせいで攻撃の矛先が霖之助に向いた

 何とか二人をお店の中で暴れないようにするために

 色々と考えたが、いつもうまくいくためしはない

「あらあら、面白い事になっているわね?」
 
「げっ?年増の隙間!?」「胡散臭い加齢臭!?」

「(ぶちっ)OK!二人とも表でろ」

 その上、もう一人性質の悪いのが出てきた

 香霖堂で困った客のトップ三人が集まった事で
 
(はあ…これはもう諦めたほうが良いな)

 霖之助は完全に諦めることにした

 どれだけ被害が出るか計算をし始めたとき

「八方…」

「ファイナル…」

「魅惑的な…」

 危険な言葉が霖之助の耳に入ってきた

「ま、待て!?せめてお店の外で!」

 大急ぎで霖之助が止めに入るが

「鬼縛陣!」

「マスタースパーク!」

「四重結界!」
 
 誰も聞いてくれなかった

 幻想郷の中でもトップに入る三人の怒りに任せた一撃

 そんなものを小さなお店の中で爆発させて無事に済むはずが無い

 あたり一面、それこそ爆発的な破壊力を持った光に包まれる 
 
 霊夢と魔理沙と紫はお互いの一撃を相殺したが

 お店と対策を取る暇が無かった霖之助は

 その光の渦に巻き込まれて意識が消えた…






「うっ…ぐぅ…痛たたっ…」
 霖之助が目を覚ますと、体中が軋んだ
 しばらく、全身の痛みに苦労したが
 何とか起き上がると、お店の中を見渡す
「…お店の中は…どうやら無事のようだな」
 お店の中は何も壊れていなかった
 だが、だからこそ霖之助は不安に感じた
(何故だ?あれほどの衝撃を受けて、何も壊れていないなんて?)

 スペルカード三つ分の破壊力が起したエネルギーが
 お店の中で渦巻いたのなら、お店はあとかたも無くなるはず
 だが、お店の中にはそのような力を受けた痕跡は一つも感じられなかった

「…まあ、商品に傷がつかなかったのは良い事だな」
 商品の無事を確認すると、次第に次の疑問が浮かぶ
「三人とも何処に行った?」
 お店の中で暴れた三人の姿が見えないのである
(…僕よりも一足先に目を覚まして帰ったか?)
 だが、これだけの事をしでかして何も言わずに帰るほど
 霊夢も魔理沙も紫も酷くは無い
 少なくとも「ごめんなさい」の一言ぐらいは言って行く筈である

「とりあえず、お店の外側も見ておかないと」
 三人が居ない事を置いておいて、霖之助はお店の外壁を見るために外に出た






 そして、外を見て一言呟いた
「…何処だ…ここは?」
 香霖堂があるのは、大量の木に囲まれた魔法の森の中であり
 お店の外は大量の木で囲まれているはずである
 だが、霖之助が外で見た光景は木では無く
 天まで届くかの勢いで立ちふさがる
 石でできた大量の人造物の柱であった
 それを見た霖之助は腕を組んで考え始めた

「…一体どういう事なんだ?」
 幻想郷の中にあれだけの人造物を立てられる人は居ないはず
 その上、空気もなにやら淀んでいる
(…まてよ?あの建物、何処かで見たことあるような…)
 霖之助が何処で見たのかを思い出そうとする

 そして、目を見開くと自分が読んでいる本の棚から
 一冊の本を取り出した
 手元にある本は外から来た世界の物で、
 その中に目の前の人造の建物の絵が描かれていた
『高層ビル』なる名前で…

「まさか…ここは幻想郷の外…なのか?」
 
 あくまで仮説であるが、この場にある本は外の世界の物
 それに書かれている物が目の前にあるのなら
 外の世界でるという仮説が成り立つ

「…よし」
 霖之助が覚悟を決めると、座っていた椅子から立ち上がる
(まずは情報収集だ…)
 この世界の情報を得る為に霖之助は表にでた 



 そうして、数時間後…
 外を歩いて疲れ果てた霖之助が
 お店に戻ってきて確信した
「…間違いない…ここは外の世界だ」
 
 本の中で見たことのある物が溢れていた
 良く分からない服、小さな箱に何かを映す機械
 物凄い速さで地面を走る鉄の塊
 そのどれもが、幻想郷ではありえないものばかりであった

(まさか、外の世界に来ることになるとは…)
 幻想郷の外に行って見たいと思っていた事はあったが
 現実に外の世界に来る事になるとは思っていなかった
(まてよ?これで道具の使い方を知る事ができるな)
 倉庫に眠っている道具の使い方を知る事ができる
 そう思いながら、霖之助は幻想郷の外の世界の一日目を終えた




 その日から、霖之助の外の世界の生活が始まった

 
 幸いな事に、香霖堂がある場所は都会ながら
 周りが森で囲まれている所であったので
 周りからおかしな目で見られる事はなかった
 だが、そこからは苦しみの連続であった
   
 まず食料の確保
 幻想郷と違って、物々交換で手に入れたり
 近くから取ってくる等はできない
 全てはお金で買わないといけないのだ
 幸い、お店に置いてあった商品は
 殆どが外の世界で使われなくなったもので
 別の言い方をすると、外から無くなった骨董品もあったため

「こ、この茶碗は!?ここの店主を呼べ!」
 偶然お店に入ってきた人が目の色を変えて
 大金を払い、それを買っていったため
 ある程度食べていく分には十分なお金は手に入った 


 
 次に困ったのは、幻想郷との常識の違い 
「…土地に所有権というものがあるのか」
 幻想郷なら、ある程度自由にお店も開いても良かったが
 ここでは、土地に持ち主があるので
 勝手にお店を開く事はできない
「仕方ないな」
 そこでお店があいている時間以外は
 人目につかなくなるマジックアイテムを使う事にした

 それ以外でも、飲み水の問題やゴミ等の問題等
 様々な問題が霖之助にのしかかって来た 



 だが、一番堪えたのは霖之助が一人である事だった
「この世界では隣との繋がりが希薄なのか…」 
 幻想郷に居た頃は、一人でお店にいる事が多かったが
 魔理沙や霊夢等を筆頭にして
 宵闇の妖魔、氷の妖精、紅い屋敷のメイドと主
 その他にも色々な者がちょくちょく出入りしていたが
 こちらの世界はそのような事はほとんど無い
 お店に入ってきた客も必要最低限の会話を喋ると
 さっさとお店から出て行くのが殆どだった



 人と接する事がほとんど無い生活は
 霖之助を心身的に疲れさせるのには十分だった
 極稀に来るお客を待ち、外の本屋等で情報を仕入れつつ
 手軽という理由からお湯を入れて3分で出来上がる携帯食を啜る毎日 
「…霊夢と魔理沙に襲撃されていた頃が懐かしいな」
 幻想郷の外に来てからそこまで日は経っていないが
 霖之助の中では、はるか昔のような事に思えた


 そんなある日の事

「…さて、お店を閉めるか」
 お客が一人も来なかったので
 表にある看板を仕舞おうと外に出ると
 辺りはすっかり暗くなっていた
 そして、空には珍しく綺麗な満月が出ていた 
(月か…これだけは幻想郷と変わりがないな)
 
 幻想郷と変わらない物を見て、少しだけほっする
「ああ、そういえば霊夢と魔理沙に連れられて
 月見酒をさせられた事もあったな」
 博麗神社に連れ出されたのは良いが、いつの間にか宴会になって
 周りの妖怪の介抱をしていた事を思いだして、思わず口元が緩んだ
「…そうだな…まだ何本か残っていたはず」
 
 霖之助がお店の奥からお酒を持ち出してお店から出る
(せめて月がよく見える所で飲むとするか)
 酒を片手に持つと、霖之助は近くで
 月を綺麗に見ることができそうな場所を考えながら外に向かった


「なかなか見つからないものだな」
 お店ごとこちらに来てからある程度近くを散策しているので
 良さそうな所は、数件行って見たが
 なかなか月を見るのに適した所は見つからなかった
 というのも月見をするには、何処も外が明るすぎるのである
(これじゃあ、この世界に宵闇の妖魔が入れそうな所は無いな)

 更に数件、霖之助が思い当たる場所に向かうが
「駄目だな…深夜は入れないのか」
 全て入り口が閉まっていたり、関係者以外の立ち入りを禁止していた

(もう諦めた方が良いかな…)
 霖之助が諦めようとした時だった
「…神社か」
 自分のお店の近くに、人目につかないような
 寂れた神社を見つけた
 普段から全く人が来ていないのだろう、
 神社まで続く道はボロボロになっていて
 すでに獣道といっても差し支えない有様だった
「なるほど、月見をするには丁度良いかも知れないな」
 いい場所を見つけたと思い、少しづつ神社に歩いていく
 
(ははっ、霊夢の居る神社もここまで酷くはないか)
 神社の前までたどり着くと、そこは荒れ果てていた
 長い間手入れされていなかったであろう神社の賽銭箱は壊れ
 誰もこの神社にいない事が良くわかった
「ここからなら月が綺麗に見える」
 だが、それ故に少し外と違って月がとても綺麗に見えた
 穴が開いたりしている神社の境内に霖之助が座り
 懐から杯を取り出しお酒を飲もうとした


(やれやれ、妖怪が堂々と境内にやってくるなんて…)
「!?」
 その時、突然背後から声がかかってきて霖之助が振り返ると

(私も随分と舐められたものだね)

 そこには青を基調としたドレスを纏い
 緑色の長い髪をした女性が、頭に三角帽子を
 片手にはこの世界には似つかない三日月状の杖を持って
 月明かりに照らされながらその場に立っていた
 それだけなら霖之助は驚かなかったが
「…人間じゃないのか?」
 その姿は透き通っていており、後ろの神社が見えた
 そしてその足は見えなかった
(答える義務は無いね、力づくでも出て行ってもらうよ!)


 驚く霖之助に向かって、何かが飛んでくる
 突然の事に驚くが身体はそれに反応して避けた
 それは幻想郷で飛んでくる弾幕を常に
 見ていたからであるが、もう一つ特徴があった
「この弾幕…何処かで見たことが…」
 何処かで同じような弾幕を見た覚えがあるのだ
(…へぇ…少しはやるみたいだね)

 考え込む霖之助に対して、再び声が響く
(そらそらどうした!?)
「くっ…」
 ある程度の速さの弾幕が霖之助の方に向かって飛んでくる
 だが、霖之助はそれに被弾する事なく回避し続けた
「似ている…」
(似てる…そうだ、この弾幕は…)

「…魔理沙の弾幕と同じ?」
(なっ!?)
 霖之助の呟きを聞いて目の前の女性が目を見開く

(ま…まり…さ?)
 まるでありえないものを確かめるように
 霖之助の目の前でその女性が魔理沙の名前を呟く
「魔理沙を知っているのか?」
 驚く霖之助に対してその女性は霖之助を睨むと
 持っている杖を霖之助の首にあてた

(お前さん…この世界の妖怪じゃないね…何処から来たんだい?)
 その女性がそう問いかけると霖之助が呟いた
「げ、幻想郷…」
 その名前を聞いてその女性が一瞬
 とても懐かしい物を聞いたような優しい顔をした
 だが、それもつかの間、再び霖之助を睨みつけて次の質問を告げた
(…何処で魔理沙の名前を聞いた?) 
 身動きが取れない霖之助の目を真正面から見つめる女性
(嘘を言う事があれば、首と胴体が泣き別れする事になるよ?)
 その女性の目を見ながら霖之助がかすれた声で呟く
「幻想郷…だ」
 その言葉を聞いた女性がしばらくの間、
 霖之助の目を真正面から見つめる
 そして、数瞬の後構えていた杖が女性の手から離れた
(…そうか…魔理沙は無事に…幻想郷に残れたんだね…)
 
 目の前の女性から、先ほどまでの殺気のようなものがスッときえる
 そして、その目から何か光るものが流れた

「…貴方は一体?」
 霖之助が目の前で静かに喜んでいる女性に声をかけた
 その言葉に、目の前の女性はゆっくりと答えた

(ああ、名前を言って無かったね…)
 女性が霖之助の方を向いて名前を告げた
(私の名前は『魅魔』…かつて魔理沙の師匠をしていた者だよ)

 その名前を聞いて、霖之助の頭に前に魔理沙から
 聞いた事を思い出した
「た、確か…博麗神社の…」
(博麗神社まで知っているのかい?)
 魅魔が驚きながら告げる
「いや、知っているも何も…霊夢と魔理沙の二人がお店に来るからね」
(そうかいそうかい…二人とも無事に…)

 魅魔がそれを聞いて、更に嬉しそうに微笑む
(…そういえば、お前さんの名前を聞いてなかったね)
「森近霖之助だ、香霖堂の店主をやらせてもらっている」
(霖之助か…いい名前じゃないか)

 魅魔がそう言って笑うと境内に座った
(もし良かったら幻想郷での話をしてくれないかい?)
 魅魔の言葉を聞いて、霖之助が魅魔の隣に座る
「君も御供してくれるのならね」
 霖之助はそう言うと、魅魔に手に持っていた酒を見せた
(ああ、喜んで御供させてもらうよ)
 魅魔がそう言うといつの間にか杯を手にしていた
 
 


 持って来たお酒はすぐに空になっていたが
 霖之助と魅魔の会話はかなり続いていた
「小さい頃はかなり泣き虫だったんだが」
(ああ、私の所に来てすぐの頃は良く泣いていたよ)
 お互いに共通の話の種である魔理沙の話で盛り上がっていた
「寒いって言って来た時に『だったら一緒に寝るかい?』って言ったら
 そのまま布団の中に入ってきた事もあったな」
(あははっ、あの癖はあんたが一番最初なわけか) 
 霖之助が話しているのは、魔理沙が魅魔の所に来る前
 そして、魅魔が話すのは魔理沙が香霖堂に入る前の空白の話
 お互いに、その頃の魔理沙の話は新鮮だった
 だが、何よりも魅魔が喜んだのは
(そうかい…魔理沙は今でも立派に主役張ってるんだね)
「ああ、この前も地下に潜ったとか天人と戦ったとか」
 魔理沙が異変の度に元気そうにしているという事だった

 
 お酒が尽きても、二人の話が終る事は無かったが
 そろそろお店に戻らないといけない時間がやってきていた
「…久しぶりに他人と話をした気がするよ」
 霖之助がそう言って立ち上がると
 魅魔も手に持っていた杯を上に上げて答えた
(奇遇だね…もう二度と幻想郷の中の話や
 馬鹿弟子の話をすることも聞く事も無いと思っていたのに)
 魅魔がそう言うと、最後まで残っていた杯の中身をくっと飲み干した

「ありがとう、良い月見ができたよ」
(こっちも久しぶりに懐かしい時間を過ごさせてもらったよ)
 魅魔がそう言うと改めて月を見つめた
(今日が満月でよかったよ…何とか姿を見せることができるからね)
「月が出てないと、姿を見せることができないのかい?」
 霖之助がそう質問すると、魅魔は悲しそうに頷いた

(ああ…情けないが、今の私は全く魔力が無いんだ
 幻想郷なら簡単に魔力を回復させることができるんだけど
 …こっちじゃ月明り位しか魔力を持った物が無いんだ)

 その言葉に霖之助も納得せざる終えなかった
 夜になっても、外は昼と同じ光に包まれて
 水や火も簡単につく、自分の力でなくても走る車
 そのほかにも幻想郷にない物は一杯見つかる

 それは、科学と呼ばれる物の進歩があったからだ
 だが、それの為に犠牲になったものもあった
 神秘や空想、夢等といった不確かな物はその犠牲となり消えて行った
(…月明りぐらいの力じゃ、せいぜい姿を見せる事とかすかな
 弾幕が張れるだけ…もっともそれでも十分凄いらしいんだけどね)
「そうか…」
 魅魔の話を聞いて、霖之助が考え込む
 そして、魅魔の方を向いて話しかけた
「…また来て構わないかい?」
(あ?ああ…構わないけど、月が出てないと姿を見せれるかわからないよ?)
「それで構わない…ではまた…」
 
 不思議そうな顔をする魅魔を置いて
 霖之助がお店に帰るために神社から降りていった  

(…あれが魔理沙が言っていた兄か…全く…面白いやつだったよ)
 今だ魅魔の記憶に残る、幼い魔理沙の話を思い出す
(……全く…懐かしいじゃないか)
 懐かしい記憶が蘇ってきた魅魔はそのまま目を閉じた





 一方、お店に戻った霖之助は不思議な満足感に包まれていた
(久しぶりに人を話をした気がする…)
 外の世界に放り投げられて
 初めて幻想郷の話ができる人物に出会えて
 霖之助は心が軽くなった気がした
「さて…そろそろ寝るか…ごほっごほっ」
 寒さで少し冷えたせいか少し咳き込んできたので、布団の中に入り
 次はどんな話を魅魔とするかを考えながら夢の世界に旅立った


 
 

 それから数日後、霖之助は
 お酒を片手に再び神社を訪れていた
 神社にやってくると、すでに神社の境内に魅魔が座っていた
「やあ、またこさせてもらったよ」
 霖之助が挨拶をすると、魅魔が片手を挙げて応えた
(遅かったじゃないか、先に月見をさせてもらっているよ)
「いや、すまないな…これで許してくれないか?」 
 霖之助が魅魔の隣に座ると、手にしたお酒をドンと置いた
(場所代としてありがたく貰っておくよ) 
 魅魔は口ではそう言っていたが、その表情は嬉しそうだった
「それとこれだ」
 魅魔がお酒に手を伸ばそうとした時
 霖之助がもう片方の手に持っていた袋から何かを取り出した
(なんだい?これは)
 魅魔が興味深そうにそれを見る
「近くで買ってきた酒のあてだ、これを買ってくるために遅れた」
(なら遅れてきた分の貸しはちゃらだね)
 そう言って魅魔が笑うと霖之助が持って来たお酒を開けた
(杯をだしな、注いであげるよ)
「ではお願いしようか」

 霖之助の杯にお酒が注がれる
「ではこちらからも」
 今度は魅魔が手にした杯に霖之助がお酒を注ぐ
 そして、お互いに酒を入れた杯を上に上げてから
「乾杯!」(乾杯!)
 それをぐいっと飲み干すと、酒のあてとして持って持って来た
 御菓子を齧りながら霖之助と魅魔が話を始めた


(むっ?これはなかなか…)
「ああ、それは『コパン』って言う名前の御菓子だな」
(酒のあてに悪くないね)
 持って来た御菓子の話で今回の小さな飲み会が始まった


(そういえば、何でお前さんはこっちの世界に居るんだい?)
 ちびちび飲んでいたお酒が半分程まで減った頃
 唐突に魅魔が霖之助に質問してきた
「ああ、実は幻想郷に居たはずなんだが…」
 霖之助がため息をつきながら
 幻想郷からここに飛ばされた経緯を話す

「というわけで、霊夢と魔理沙…それに
 八雲紫の三人の乱闘に巻き込まれたわけだ」
(なるほど…そいつは運が悪かったね)
 魅魔がそう言って頷くと霖之助の杯にお酒を注いだ
「まあ、いつもの事なんだが、今回はちょっと酷かったな」
(何時もの事?)
「ああ、特に霊夢と魔理沙と八雲紫の三人は…」

 幻想郷での香霖堂の毎日を霖之助が話し始める
 それに対して、魅魔が適当に相槌をいれる
「まったく、魔理沙や霊夢は僕の事をなんだと思っているだ」
 霖之助がそう言って一息つくのを見て、魅魔が羨ましそうに呟いた
(だが、こっちの世界から比べたら楽しそうじゃないか)
 その言葉に、霖之助は何も言わずに頷いた 
「そうだな…こっちの世界はつまらない」
 
 少しの間こっちの世界で生活をしてみたが
 思ったことは一つ、生きている実感が薄い事だった
(こっちの世界は、幻想郷に比べたら物質的には豊かだと思うよ)
「ああ、幻想郷には無い凄い物が一杯あった」
 それは霖之助にも分かった
 高速で移動する鉄の塊『車』
 ランタンや提灯等では考えられない位の光を放つ『蛍光灯』  
 指で押さえるだけで冬にも夏にもなる『エアコン』
 そのどれもが、幻想郷では実現するするのは無理な代物だった
(でもね、精神的な物は昔とは比べ物にならないぐらい貧しくなっちまった)
「……」 
 だが、幻想郷に比べたら人との繋がりや
 自然の大切等や何かに感謝する事などは
 比べ物にならないぐらいに貧しくなってしまっていた
 

 霖之助と魅魔はしばらくの間、
 何も言わずに無言のまま月を見て酒を飲む

(幻想郷に戻りたいかい?)
 先に口を開いたのは魅魔であった
 その言葉に霖之助は深く頷くと今度は魅魔に質問した
「君はどうなんだい?」 
(私も戻りたいよ!)
 間髪居れずに魅魔がそう怒鳴った
 その様子に霖之助が驚くと
 魅魔もハッとして言葉を付け加えた
(こんな所に居ても半端な妖怪が月見に来てくれるだけじゃないか)
 その言葉を聞いて、霖之助は笑いながら魅魔にお酒を注いだ
「なるほど、確かにそうだ…幻想郷に戻れば神社で大宴会があるからな」
(おや?あの貧乏神社にそんなお金あったかな?)
「いやいや、皆で酒を持ち寄って朝まで飲み比べするのさ」
 その言葉を聞いた魅魔が驚く
(なるほど…人間に慕われているんだね…)
 そう言ってお酒を飲もうとして
「いや、神社にやってくるのは皆名前のある大妖怪だ」
(ぶっ!?)
 思いっきり盛大に吹き出した 
(よ、妖怪を退治する巫女の神社に妖怪!?)
「皆、霊夢のに一度退治されてから霊夢に興味をもってね」
 その言葉を聞いて魅魔は頭に手を当てた
(はあ…世も末だね…)



「そういえば、今君は魔力が無いって言っていたけど」
 お酒が尽きかけてきた時、霖之助が思いついたように問いかけた
「もし魔力があったら、何ができるんだい?」
 魅魔がその言葉に真剣に答えた
(とりあえず実体を持てるね)
「実体?」
 疑問に思う霖之助に盛大に頷く魅魔
(ああ、月が無くても周りに見えるようになるし
 触れる事も出来るようになる…
 まあ、この神社から出歩けるようになるわけだ)
「なるほど…」
(後は、どの位魔力が回復したかによるけど
 ある程度の魔法を使う事ができるようになるね)
 そのある程度が、どんな事かは良くわからないが
 かなりの事が出来るのだろうと霖之助は考えていた 

(ああ、それと幻想郷までの道を少しだけ開けると思うよ?)
 なんでもないようにポッとそう告げる
「そ、それは本当かい!?」
 思わず霖之助が立ち上がる
(ああ、できるはずだよ?)

 思わぬ所で幻想郷に帰るための手段ができた
(まあ、魔力が戻れば…の話だけどね)
 魅魔がそう言ってため息をついた
 それができていたら、魅魔はすでに幻想郷に帰っていただろう
(だが、この世界でそれだけの魔力を回復させる物なんて…)
 魔力を回復させる事ができる物は、こっちの世界には無い

「よし、少しお店の中を探してみよう」
(あん?)
 突然の霖之助の言葉に魅魔が固まる
「お店の中に何か使えそうな物があったら次に持ってくる」
(いや、だが幻想郷でも魔力を回復させる物なんてそう簡単には)
 幻想郷の中でも、魔法のグッズやアイテムを取り扱うお店はなかなか無い 
「幸い、僕のお店には魔法使いの方々が良くやってくるんだ」
 だが、香霖堂は幻想郷でも珍しい物を取り扱うお店である
「だから、魔力を回復させる物がある可能性が高い」 
 霖之助がそこまで言うと魅魔が悩んでから答えた

(一つだけ問題がある…)
「…どんな問題なんだい?」
 魅魔の真剣な言葉に、霖之助も真剣に聞き入る
 
(今は手持ちが無いんだよ…)
 バツが悪そうにそう答える魅魔をみて
 霖之助が苦笑しながら答えた
「そうだな…しばらくお店で手伝ってもらえればチャラにするよ」 
(…仕方ないね、それで手を打つとう)
 魅魔がやれやれと言った顔でそう答える
 その答えに、霖之助が頷くと
「よし、すぐに何か良い物がないか調べてくる事にするよ」
 そう伝えてから急いで帰っていった


(…まず無理だとは思うがね) 
 魔力を回復させる物などほとんど無い
 魔法使いは魔力がきれるまでの限界まで力を酷使する事はまずない
 その上幻想郷の中だと一眠りすれば、魔力を回復することができる
 つまり、魔力を回復させるアイテムは必要ないのだ
 そんなものを作る暇があれば、知識を求める
 魔法使いとはそのようなものである
(だけど…もしかしたら)
 もし、魔力を少しでも回復させる事が出来れば
(魔理沙…)
 もう二度と会えないと思っていた
 自分の馬鹿弟子に会うことができる可能性ができる

(まあ、少しだけ期待してみるとするかい)
 そう言いながら魅魔は再び目を閉じた












「さて、久しぶりに大掃除になるな」
 お店に戻った霖之助は何か使えそうな物は無いか
 お店の中を大掃除していた
(魔力の関係がある物となれば、まず外から来た物は除外だな)
 魔力が回復しそうな物がなさそうな所を除外する
(あと、日用雑貨も除外して)
 生活用品や日用雑貨等が置いてある場所も除外する
「…となると、ここの一角だけになるな」

 そこに置いてあるのは珍しい布や鉱物
 本や書物、それに薬草や薬等の希少品が置いてる場所であった
 一角といえど、そこにある物を一つ一つ調べるとしたら
 かなりの時間が必要になりそうだった
「まあ調べるしかないからな」
 腕をグルグル回しながら霖之助はその中から使えそうな物を調べ始めた


「これは…マグマの杖『溶岩を溶かす事が出来る』違うな
 こっちは…溶岩の石『キーアイテム』いや、これも違う」
 霖之助の能力『道具の名前と用途が判かる程度の能力』
 によって一つ一つ調べていく


「これは…破邪の剣…リボン…どれも違うな」
 だが、目的の物はなかなか見つからない
 そんな事を繰り返していき、約半数ほどを調べて見たが
 なかなか魔力を回復できそうな物は見つからない
「参ったな…こうも見つからないとは」
 霖之助がいい加減疲れ始めてきたので
 伸びをしようと上げた手が、色々置いてあった棚を直撃した
「あたたっ…」
 棚にぶつかった手を押さえていると

(ごんっ!)
 棚の上から何か重たい物が落ちてきて
 霖之助の頭部を直撃した
「~~~っ!?」
 思わず悶絶する霖之助
 しばらく悶絶してから落ちてきた物を拾う
「くっ…なんだこのビンは?」
 棚から落ちてきたのはビンであった
「これは…」  
 霖之助は棚の上にある物を全て下ろし始めた
 それらをしばらく調べると

「…よし、夜までまだ時間があるな」
 酷使した体を休めるために、横になることにした






 その日の夜、霖之助は一抱えの袋を持って
 魅魔の待つ神社へと向かった

(いらっしゃい…また月見に来たのかい?)
 神社の境内の上で魅魔が何時もの位置で座って待っていた
 特に何も持っていそうにない霖之助を見て
 魅魔は目を細めてため息をついた
(魔力を回復させる物なんて殆どないのが当然なんだ…
 すまないね、わざわざ探してもらって…)
 魅魔がそう言って、霖之助に頭を下げようとした時

「飲んでみてくれ」
 霖之助が魅魔の前に数本のビン詰めを置いた 
(なんだいこれは…お酒かい?)
 それを手に取った魅魔がおどけるように霖之助に言う
 だが、霖之助が首を横に振ると
「魔力を回復させるためのアイテムだ」
 その言葉を聞いて魅魔の動きが固まる
「…少し前に、魔理沙がとある図書館に攻め込んだ事があったんだ」

 大異変と言うわけでなく、魔理沙が紅魔館の図書館から
 本を盗みすぎた為に、図書館の主であるパチュリーが
 図書館を丸ごと別の場所に移した挙句
 魔理沙が図書館に来ないようにした事があったのだ
 結局、魔理沙はアリスと一緒にパチュリーを倒したが
 代わりにパチュリーは最後の力を使って魔理沙の家特攻
 魔理沙の家は壊滅して痛みわけに終ったわけなのだが…

「その時に使っていたアイテムの余り…それがそれだ」
(…そうかい…これは魔理沙が)
 霖之助の言葉を聞いた魅魔が
 嬉しそうな顔をしてそのビンを一つ掴む
(さて…弟子がどれだけ成長したか確かめるとするかね)
 
 そしてビンを開けると、かすかに独特な匂いがあたりに広がる
 蓋を開けた魅魔が少しだけ動きを止めたが
(い、逝くよ!)
 意を決するとそれを一気に飲み干した



 そして、そのまま魅魔の動きが完全に固まった
「だ、大丈夫かい…?」
 思わず霖之助が魅魔に声をかける
 だが、魅魔が動く様子は見られない
(ま、まさか…とんでもなく不味かった?)
 霖之助が額から汗を流していると
 魅魔の体が突然輝き始めたので、思わず霖之助が目を瞑る

 そして、眩しさが消えて目を開いた瞬間
「ふふっ…どれだけぶりだろうね実体をもったのは」
 目の前で魅魔が首を鳴らしていた
 身体は透けていなく、その場に居ると言う事が
 はっきりと確認できた
「良かった、無事に魔力が戻ったみたいだね」
 霖之助の言葉に、少しだけ首をかしげた
「あ~…そう言いたいんだけどねぇ…」
 魅魔が言い辛そうに頭をぽりぽりと描くと
「どうも魔理沙の作ったやつ、随分時間が経っていたから
 魔力が少し抜けているみたいでね」
 その言葉に、霖之助が思い出す
(そういえば、あの異変から随分経っているからな)
 室温も常に一定ではない、効果が薄れてもおかしくはない
「だが、確かに効果はあったみたいだ」
 魅魔の言った通り実際に魔力は回復している 

「…幻想郷に帰る事はできそうかい?」
 霖之助がそう言うと、魅魔は残念そうに首を横に振った
「流石に幻想郷へ空間を開けるには力不足だよ」 
「そうか…」
 霖之助が少し残念そう答えると
「まあまあ、そんなに悲観する事じゃないよ」
 魅魔がそう言って笑うと霖之助の背中をばしばし叩いた
「魔力が少しでもあるのと全く無いのとでは手段も違ってくる」
 魅魔がそう言うと、盛大に伸びをした

「さて、それじゃあ飲むとするかね」
「ん?今回はお酒を持ってきていないぞ」
 霖之助が魅魔にそう答えると 
 魅魔は口元をにやりとさせてから
「まあまあ…」
 霖之助が持って来たビンを一本開ける
 それと同時に、また独特の匂いがあたりに広がるが
「そいっ!」
「むぐっ!?ごほっ!ごほっ!」
 魅魔がその独特の匂いのビンの中身を霖之助に飲ませる
 いきなりの事で霖之助が咽るが
 喉を通ったそれは、少しの苦味と変な甘味
「こ、これは…?」
 霖之助が驚くのを見て、魅魔がしてやったりと言う顔になった
「どうやら発酵してお酒になってるようだね」
 魅魔はそう言うと、手元にあったビンを一本開けた
「魔力を回復するのはここにある物のなかでは
 さっき飲んだやつだけみたいだし後はどうやら疲労を回復するだけ」
 そう言ってからビンを一本ぐいっと飲み干す
「ぷはぁ…だからお酒みたいなものさ」
 魅魔が霖之助にビンを投げる
 それを受け取った霖之助はビンを開けると

「そうだな…これは魔力が少しでも戻ったお祝いに空けるとするか」 
 そう言って苦笑するとビンの中身をぐっと飲み干した 



 そして、数時間後…



 霖之助が持って来たビンは全て空になっていた
 その大半を飲み干したのは魅魔であった
「あははははっ~♪次のビンもってこ~い!」
「おいおい、飲みすぎじゃないのかい?」
 上機嫌で次のビンを要求する魅魔に対して
 酔わない程度に飲んだ霖之助が心配すると
「大丈夫大丈夫!まだ酔ってないから!」
 霖之助の心配を笑い飛ばし
「よ~し、酔ってないって事を証明してやるよ」
 唐突に魅魔が立ち上がって歩き出す
 本人は酔っていないつもりなのだが
 その足は完全に千鳥足になっていた

「ほら、もう足にきてるじゃないか」
「…ち、違う、これは久しぶりに足で歩いたからだよ!」    
 霖之助の言葉にむきになって反論しようとした時
 片足が何かの出っ張りに引っかかって
 バランスが取れなくなる
「あらっ?」
 そして魅魔が前のめりに倒れる
(ぽふっ!)
「やれやれ…完全に飲みすぎだな」
「…ああ、今自覚したよ」
 だが、倒れた場所は硬い地面ではなく
 座っていた霖之助の背中の上であった


 座っている霖之助の背中の上に
 魅魔はしばらくの間しがみついていた
「…立てないのかい?」
 霖之助が背中から離れない魅魔を心配すると
 魅魔はそのままの姿勢で首を振った
「気持ち悪くなったのか?」 
「ああ、それは少しあるかも」
「…背中で戻すのだけはカンベンしてくれよ?」
 霖之助がそう言うと魅魔が小さく頷いてから
 霖之助の背中の上で小さく呟いた
「しばらく…背中を借りるよ…」
 魅魔はそのまま目を閉じる
「…随分長く一人で居たから…人の暖かさに飢えていてね…」
「……」
 その言葉に霖之助も何も言わなかった







 
 それから数十分後
「……ZZZ…ZZZ」
「やれやれ…眠ってしまったか」
 霖之助は魅魔をおぶってお店までの道を歩いていた
 起そうかとも思ったが、幸せそうに寝ている魅魔を起すことはできなかった
「…人の温かさか…」
 霖之助は魅魔が眠る前に言った言葉を繰り返した

 外の世界に来てまだしばらくの霖之助ですら
 早く幻想郷に帰りたいと思ったのだ
 霖之助よりも長くこの世界に居て、しかも人との繋がりが無いような場所に
 ただ一人だけで居るという事は想像以上に辛いことのはずである
(辛かっただろうな)
 霖之助はそう思いながら寝ている魅魔を起さないように
 お店までの短い道のりをゆっくりと歩いた
 そのまましばらく歩くと、香霖堂が見え始めてきた  
「やれやれ…あと少しだな」
 人を一人背負って歩くのは大変だったが
 元々お店から神社までは遠い距離ではないので
 そこまで時間はかからなかった
(おっと、扉を開けないといけないな)
「…ZZZ…ん~…んぁ?」

 お店の前で霖之助が立ち止まると
 背中で眠っていた魅魔が目をこすりながら目を覚ました
「起きたかい?」
「…ここ…どこだい?」
 まだ朦朧とした意識で魅魔が辺りを見渡す
「僕の住んでるお店だ」
 霖之助がそう言って魅魔を背中から降ろすとお店のドアを開けた
「ようこそ香霖堂へ」
 霖之助が魅魔にそう伝えると、魅魔はお店の中を見渡して
「…眠い」(こてん)
 また霖之助の背中に突っ伏した
「こ、こらこら、ここで寝るな!」
「…ん…お休み」
 慌てる霖之助を無視して、そのまま眠りにつこうとする魅魔
「今、ベッドがある場所につれて行くからそれまで我慢してくれ」
「…ん…わかった…」
 そう言いながら霖之助の背中にしがみつく魅魔を再びおぶさり、
 自分がいつも寝ているベッドのある部屋に移動する 

「ほら、ここで横になるといい」
「ん~…」
 再び目をこすりながら、魅魔がほんの少し覚醒すると
 霖之助の背中から降りてベッドの方に倒れる
「布団…気持ち良い……」
 魅魔がそう呟くと、気持ち良さそうにベッドの上で大の字になる
「やれやれ…これで一安心だ…」
 ベッドの上に魅魔を置いて、改めてホッとする霖之助
(危なかった…あれ以上は理性の自信が持てなかった)


 周りから枯れていると言われる霖之助だが
 流石に男である以上、本当に枯れているわけではない

『酔っている祟り神+背中に当たる胸+寝息が耳に!?』
 のコンボを喰らって何も感じない漢(オトコ)が居るとしたら
 そいつは男として失格である

 おまけに珍しく自分もお酒を飲んでいるので
 理性に自信が持てる自信がなかったのだ
「……いかんいかん…僕も寝るとするか」
 霖之助が頭を振って、何処で寝るかを考え始めた時

「(むくっ)……」
「ん?」
 魅魔が半目でベッドから起き上がる
 霖之助が驚いていると
「…皺になる……」
 魅魔がボソッと一言告げる 
「いや、皺になるって……!?ま、待て!」
 そのまま服を脱ごうとし始めたので 
 霖之助は大急ぎで部屋から出た


「はぁはぁ…び、びっくりした…」
 気がついたらベッドのある部屋から大急ぎで出て
 お店のいつも座って本を読んでいる椅子の上に座っていた
(…だが、もしあのまま部屋の中に居たら…
 いかんいかん!何考えているんだ僕は!?)
 頭を振って煩悩を振り払う
 そして、一息ついたところで
(はぁ…今日はもう疲れた…ここで寝るか)
 身体に今日一日の疲れがどっと出てきたので
 椅子に座って、目の前の机に頭を乗せると
 そのまま睡魔に意識を奪われるように眠りについた


 続く
 ミマサマ…ミマサマ…ミマサマミマサマミマサマミマサマ
 ミマサマミマサマミマサマミマサマミマサマミマサマミマサマ
 ミマサマミマサマミマサマミマサマミマサマミマサマミマサマ
 
 …ウフフフフフ…


(どうも脇役です…前から言っている三つの魔導書を書くために
 魅魔様のことを調べていたら、魅魔様の魅力に脇役の精神が壊れてしまいました
 …というわけで、今はサブCPUで応答させてもらいます
 書いている内に、長くなってしまいそうなのでとりあえず前編を上げさせてもらいます
 まあ、これから萌えを詰め込んでいこうと思いますので、よろしくお願いします)

 キ モ チ イ イ ?

(…誰か、13回ほど祈って、私のメインCPU壊してください)
脇役
コメント



1.欠片の屑削除
>脇役さんからのこうげきのしょうたいがつかめない!
頑張れ香霖!! 色々と!
2.名前が無い程度の能力削除
香霖堂に現れるゆかりん=ょぅι゛ょ。
霊夢と魔理沙=少女。
フラグを立てた魅魔=大人の女性。
つまり香霖の好みは大人の女性なのですね、わかります。
3.名前が無い程度の能力削除
ミマサマ可愛いですな~でも照れてる香霖はもっと可愛かったりしますが・・・
二人が早く幻想郷に帰れることを祈ります。
4.ギブン長削除
>いのる

・・・
ワタシ は ミマサマ が ゲンソウキョウ にもどれるようにココロからイノった
・・・

旧作知らない私ですが、魔理沙にとって魅魔は意外と面倒見のいいお母さん代わりだったと確信しています。
ミマー! Come Back!!

魔理沙の魔法薬が出てきた時、現代入りしてしまった最後の幻想のポ○ションか!!と勘違いしたのは秘密ww
5.名前を表示しない程度の能力削除
SMAAAAAAAAAASH!!
脇役のメインCPUに
3のダメージ!

僕には……無理だ……(レベル的な意味で)

それはそれとして葛藤する霖之助が可愛く見えてしまった。
もうそのまま魅魔とゴールしちゃいなYO!
……すいません調子乗りました。自分のメインCPUもだめかもしれない。
6.名前が無い程度の能力削除
ぐはっ

この魅魔は致死量だ
7.名前が無い程度の能力削除
コメントみて分かった。

あなた、魅魔様に祟られてるよwww
8.名前が無い程度の能力削除
魅魔様きたあああああああああああああ
これは期待せざるをえない!!
9.てるる削除
やけにMOTHERとDQとFFが多い気がする・・・
10.名前が無い程度の能力削除
これは続きに期待
一つだけ突っ込んでおくと、霖之助は食事を取らなくても生きていけるから食料を確保する必要は無いな
11.名前が無い程度の能力削除
貴方の霖之助はまた旧作キャラと・・・
つまり一緒に幻想郷に戻って魔界神との三角関係になるんですね、わかります
12.名前が無い程度の能力削除
それだ、神崎様もだよw
神様キラー霖之助…
13.名前が無い程度の能力削除
メインCPU壊すならメーザーカノンですね、わかります。

むしろ旧作キラー・・・
14.名前が無い程度の能力削除
つづきを、はやくはやく!!
15.名前が無い程度の能力削除
魅魔様めっちゃ可愛いですね!!