タイトルからご察しの通り、春度満開のssです。
百合です。
以下本編↓↓↓
「れいむぅ、一緒に寝よ?」
「・・・・・・」
博麗神社、午前1時。
夜遅くまで鬼の馬鹿話につき合わされ、ついでに通りすがりの鶏肉(みすちー)を捕まえようとして逃げられ、少しへとへとになって帰ってから風呂につかっていざ寝ようと寝室のふすまを開けたらスキマ様がいらっしゃっていました。
(こ、こいつ・・・・・・)
スキマ様は人の布団にくるまって、顔だけ外に出しています。そしてとっても乙女な目でこちらを見ています。
「ねえ、れいむぅ」
「帰れ」
とりあえず霊夢は札を、いやもっと強力な武器である針を、スキマ様に向かって投げつけました。
「痛い痛い痛い!!」
全身針だらけになるのが嫌なのか、布団の中に潜り込みやがりました。こうなっては成すすべがありません。これ以上攻撃を続ければ、布団が壊れてしまいます。
仕方がない、別の部屋で寝るか。と霊夢が部屋を後にしようとしたその時
「待ちなさいよ」
「ひいっ!?」
何事かと思えば、床から手が出て、霊夢の足首を掴んでいます。しかも本体は布団にくるまったまま、顔を再び出している状態です。
「一緒に寝よ?」
「絶っっっ対嫌!!」
足をばたつかせても手首は一向に離れてくれません。端から見るとホラーですが、幻想郷ではよくあることです。
「このままひきずりこんじゃおー」
「ちょっ・・・・・・おま、スキマ!!いい加減にしろ!!」
バコンと陰陽玉を掴んでいる手に投げつけます。しかし、手は一向に離れてくれません。
「ひどい・・・・・・ひどいわ霊夢。私と一緒に寝れないって言うの?」
「寝れるかよ!何されるかわかったもんじゃ・・・・・・」
はっと口をつぐみます。どうやら失言だったようです。
「ちょ、何想像してたの!?キャーッ霊夢ったら!」
スキマ様は顔に手を当て、とっても乙女な仕草をしています。心はいつまでも17歳なのです。
「な、何も想像していないわよ!馬鹿!」
顔を真っ赤にしてひたすら怒鳴りつけています。しかし、言い訳なんて通用しません。
「思春期!?第二次性兆期!?キャー!」
「キャーキャーわめくな!似合わんわ!」
今から寝ようと思っていたのに・・・・・・そうは言っても、足は手に掴まれたまま。身動きをとることが出来ません。
「いい加減観念してほしいなー」
「はあはあはあ」
突っ込みすぎて霊夢はもうヘロヘロです。
「ほしいなー」
「・・・・・・」
「ほしいなー」
「・・・・・・」
「やっぱりひきずりこんじゃお」
「うひゃあっ!」
可愛い声を出すのと同時に霊夢は床の上に転んでしまいます。もう完全にスキマ様のペースです。
「あと3メートル!あと1メートル!」
「ちょっ・・・・・・いい加減にしないと本気でしばくわよ!」
再び霊夢は針を取り出します。そしてもう一度スキマ様に向かって投げつけようとします。しかし、
「そんなに嫌?」
「・・・・・・」
偶然か、はたまた必然か、上目遣いでこちらをじーっと見つめるスキマ様と目が合ってしまいます。霊夢はこの目に弱いのです。こうなってしまうと、決して勝つことはできないのです。
「う・・・・・・」
「きっと寝心地良いわよ。私の隣は」
「そ!そういうことを自分で言うな!」
霊夢の顔が赤いのは、湯上りのせいだけではありません。夜風がやけに涼しいのも、きっと気のせいではありません。
でも、本人だって思うところはあるのです。こいつの隣は実は寝心地が良いなんて事は、今までの経験上わかっています。
だから余計嫌なのです。逆らってしまうのです。
「・・・・・・」
「しょうがないわねえ」
ぱっと手が足首から離れます。
「え?」
「霊夢がそんなに嫌だっていうならゆかりん一人で寝ちゃうから」
スキマ様はそう言うと、布団の中にくるまってしまいます。霊夢はあと一メートルのところで、その場に取り残されます。
なんと言えばいいのでしょうか。こういう場面はよくあります。
要は、駆け引きのひとつってやつです。
可愛いあの子をゲッチュするには、押すだけではだめなのです。
しかし、そんな大人の事情を、霊夢はまだ理解していません。布団に一人で丸くなるスキマ様を見ていると、なんともいえない気持ちになってきます。
(このままこいつを放置していいものか。妖怪だし、放っておくと何されるかわかったもんじゃないし・・・・・・いやいや別に放っときゃいいじゃん!何を考えているのよ私は!)
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そして数刻が過ぎました。
結論から言えば、スキマ様の勝ちでした。
(だあああもう!しょうがないんだから!)
しょうがないのは目の前にいる妖怪ではなく自分だということに、薄々感づいていましたが、決して認めたくない霊夢でありました。
霊夢はその場から一歩一歩と歩いていくと、布団に手を掛け、そのまま一気に引っぺがしました。
「キャーッエッチ!」
「・・・・・・」
赤い顔してキャーキャー言うスキマ様に、先ほどまでの熱が一気に冷めました。
「あら霊夢、何か用?」
「わかってんでしょ」
「えぇ~?ゆかりんわかんないなぁ~?」
そんなスキマ様の態度に、少しこめかみがピクピクいいます。
「じょ、冗談よ。霊夢の乙女心はわかっているつもりよ。ほら、私の胸に飛び込んでっ」
スキマ様は両手を広げます。まるで少女マンガのようなノリです。二つのメロンがプルンプルンいっています。
更に熱が冷めました。
霊夢はそれを無視して、紫の隣に寝転がりました。
「あら、いけず」
「誰がそんなことするか。嫌味か」
「嫌味って?」
「自覚症状なしかい」
霊夢は布団を上から被ります。隣の紫も一緒に。
「あら、結局一緒に寝てくれるんだ」
「あくまで添い寝よ」
「何、何。ちょっと霊夢ったらそれ以上のことを考えるなんてやっぱり第二次性兆期・・・・・・ゴブッ!」
布団の中で、霊夢は蹴りを入れます。
「今日はもう寝るから。お休み」
「今日『は』?」
「・・・・・・」
もう一度、みぞおちに蹴りを加えます。
「ゴバアッ!!」
クリーンヒットしたようです。
「いたい・・・・・うう・・・・・・なんで怒るのよぅ。そんなに照れなくってもいいでしょ」
「照れてない」
霊夢は布団の中でそっぽを向いてしまいます。呆れているのか、疲れているのか、それとも本当に照れているのか、スキマ様には見えません。
しかし、きっと気が付いているでしょう。夜風がやけに涼しいと、耳が感じていたのですから。
「ねえ霊夢、腕枕してあげよっか」
「いらん」
「そう言わずにほらー」
「うわ!ちょっと無理やりやんないでよ!ちゃんと乗せるから髪引っ張るな!」
「うふふー。やっぱりこの重さがいいわねー」
「とか何とか言って、朝になると痺れたーとか言うんでしょ」
「そんなこと言わないわよぉー。霊夢の隣って寝心地いいし」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「照れた?」
「照れてない!!」
ゲシッ。
霊夢の蹴りが再び炸裂します。スキマ様は涙目になっておられます。
「いたあい霊夢・・・・・・」
「自業自得でしょ」
「昔は可愛かったのになー」
「昔っていつよ」
「えー?出会いたての頃?うぶで可愛かったわー」
「うぶとか言うな!」
「まあ今もだけど」
よしよしと、スキマ様は霊夢の頭を撫でます。それに耐え切れなかったのか、霊夢はそっぽを向いてしまいます。
子供扱いは苦手なのです。特にスキマ様にやられると、余計に苦手なのです。
「あら、ちょっと酒の匂いがするわね。飲んできたの?」
「少しね、あと鶏肉が」
「鶏肉も出たの?」
「いや、とりにくは・・・・・・とりのがして・・・・・・」
「霊夢?」
「すう・・・・・・」
「寝ちゃった?」
「いや、寝てない、寝てないから」
霊夢は首をぶんぶん振ります。こいつの隣ですぐ寝入ってしまう自分がなんとなく嫌だったからです。
でも、そんな意地も、段々と崩れていってしまいます。眠気と心地よさには勝てないのです。
「寝てもいいのに。ほら」
「平気よ。あんたこそとっとと寝ろ」
「霊夢が寝たらね。だって寝顔見たいし」
「そんなこと言うならうつ伏せになってやる」
ごろん。
「けちねえ」
「・・・・・・」
「ねえそういえば霊夢」
「・・・・・・」
「ゆかれいむって語呂いいと思わない?」
「思わない」
「悲しいわあ」
「・・・・・・」
「ゆうかれいむよりは絶対いいと思うんだけど」
「それ、ありえないから」
「え?そうなの?」
「そうよ・・・・・・ふぁあ」
「眠いなら寝ちゃえばいいのに」
「そういうわけにはいかん」
「意地っ張りねえ。くすくす」
「うるさいわ・・・・・・ふああ」
霊夢はもう半分目が開いていません。スキマ様の戯言も、子守唄のように聞こえてしまいます。
「でも、うれしいわ。ゆかれいむはアリなんだ」
「さっきから・・・・・・一体何よ・・・・・・」
「霊夢・スカーレットもなんか微妙よね」
「・・・・・・」
「霧雨霊夢も信じられないし・・・・・・でもこの場合は博麗魔理沙になるのかしら」
「・・・・・・」
「あ、でもそうしたら私だったら八雲霊夢になっちゃうのかしら」
「・・・・・・」
「それとも私が嫁入り?キャー」
「・・・・・・」
「いけない、いけない。テンション上がっちゃったわ」
「・・・・・・」
「霊夢ってらライバル多いんだもん」
「・・・・・・」
「嫉妬しちゃうわよー」
「・・・・・・・」
「ねえ霊夢」
「・・・・・・」
「やっぱりゆかれいむが最高よね」
「・・・・・・」
「私、結構本気なのよ?普段はぐーたら寝ているんだから」
「・・・・・・」
「そんな私が、しょっちゅうここに来ている理由、ちゃんとわかっている?」
「・・・・・・」
「こうして無防備に側に寄られると、ちょっとは期待しちゃうわよ」
「・・・・・・」
「ねえ、霊夢」
「・・・・・・」
「霊夢?」
「・・・・・・」
「霊夢ったら」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ぐう・・・・・・」
「あらあら」
どうやら霊夢は完全に寝付いてしまったようです。スキマ様の隣で仰向けになって、気持ち良さそうに寝息を立てています。
「大事な話だったのに・・・・・・まあいっか」
スキマ様はずれかけた布団をもう一度かけなおして、静かに目を閉じます。やっぱりこの子の隣は寝心地が良いなあ、なんてことを思いながら。
数刻の後、二人の寝息が部屋から聞こえてきます。どうやらスキマ様も眠りについたようです。
「ぐう・・・・・・」
「すー・・・・・・」
夜風がとても気持ちのいい、ある秋の日のことでした。
神社の本殿の一室では、巫女とスキマ妖怪が、仲良く枕を並べていました。
一見おかしな組み合わせではありますが、それはそれは幸せそうに寝ていたとのことです。
おわり
良しこれでミッションコンプリーt(紫奥義魅力的なぶらり弾幕下車の旅~夢想陰陽天生編~
ゆかれいむひゃっほう。
朝になって白黒や鬼が来て修羅場にww
ただ一言、ヤッホウ!!
レス返しをいたします。
>1 なんという修羅場・・・・・・!恋には障害がつきものって相場が決まっているんだぜ!
>2 ひゃっほう!
>3 そして現場を目撃して色々と勘違いをするんですね。わかります。
れいむさん「ばっ・・・・・・ただ添い寝してただけよ!勘違いしないでよ!」
>4 やっぱりゆかれいむは良いものですよね。ニヤニヤしちゃう。
ィイヤッッフォゥゥゥッ!!
>6 ィイヤッッフォゥゥゥッ!!
>7 あ、あざッス!嬉しいです!
そしてその世界を是非見せて下さい!供給が足りないと思うんだ。