自分設定炸裂です。
紅魔館の書斎
今日もまた、魔理沙が本を盗みに来た。
本人は「借りるだけだ、死んだら返す」などと言い訳をしているが、被害者側から見たら、これほど迷惑で理不尽なやり取りはない。
書斎の主、パチュリー・ノーレッジは為す術もなく、今日もまんまと盗まれてしまった。
魔理沙の盗む本は、魔理沙の生業上、魔術書や化学分野の本が中心となっている。
今日もそれらしい本を大量に入手し、床に広げていざ読もうとしたとき、ある一冊の本が目に留まった。表紙には、「商いの心得」と書いてある。
魔理沙は、「大方、香霖が書いたんだろう」と予想していたが、著者を見ると…彼女の父親の名前があった。
彼女の父親は、里の道具屋「霧雨店」の主人である。彼は商人として一流の腕を持っており、里人や稗田家一族、里を守る半獣、慧音からも一目置かれている存在だ。かつて霖之助も此処で修業していた事からも、その腕前を窺い知る事が出来る。
技術を盗むのに長けていた魔理沙は、幼い頃は父親から商人のノウハウを盗み、めきめきと商人としての力を伸ばして行った。
…魔理沙が魔術関連の物を扱いたいと切り出すまでは。
霧雨店では魔術関連の品物を一切取り扱わないのが店の方針で、それに背く事がどれほどの意味を持つか魔理沙は理解していた。
敬愛する父親への裏切りである。
「魔術の品を取り扱いたいだと?ふざけるな!寝言は寝てから言え!!」
「うるせぇ!!店の方針だかなんだか知らんが、私は私のやりたい様にやると決めたんだ、てめぇなんぞにとやかく言われる筋合いなんかこれっぽっちもねぇんだよ!!」
「貴様…!!それが今まで手取り足取り教えてやった人間へ言う言葉か!?」
「あぁ、何度でも言ってやるさ!!この、頑固で無能な馬鹿親父!!何が霧雨店だ、こんな店、クソくらえだ!!」
「そうか、なら考えがある。貴様はもう霧雨の人間ではない。もう二度とその面を見せるな!!」
「誰が帰ってくるか、こんなとこ!!てめぇとは縁切りだ!!」
………
勘当されたときの思い出が、魔理沙の脳内にフラッシュバックしてきた。
「畜生めが…」
魔理沙は本を手に取ると、短い呪文を詠唱し、本を焼き払った。
「あー…ったく、苛々するぜ…せっかく借りた本を読む気にもなれん…もう寝る、不貞寝だ。」
親父は無事だろうか…
病気なんかになってないだろうか…
噂は耳にするから大丈夫だろう…
……
「…何であんな奴の事…」
枕元で呟いた。
「ダメだ、寝れん…」
30分程経っただろうか。一行に眠れる気配がない。
ふと魔理沙は起き上がると、八卦炉を手に取り外に出るや否や、天に向かって手を翳した。
「ストレス発散には、やっぱこれが一番だろ!」
魔力を八卦炉に集中させる。天に父親の顔を思い浮かべ、そこに向かって一気に魔力を開放した。
「恋符・マスタースパーク」
魔理沙は、自分の選んだことを後悔していない。寧ろ、これで良かったと思っている。
大商人の跡取り娘という、あんなにも恵まれた環境に生まれ育った魔理沙を、誰もが羨むだろう。
しかし、魔理沙は決して恵まれたとは思っていない。
生まれたときから将来を決め付けられ、自由も与えられない、鳥籠の中のような生活が、苦痛でしかないと知っているから。
鳥籠の外は、こんなにも素晴らしい世界である事に気付いてしまったから。
「さ、拝借した本でも読むか。」
紅魔館の書斎
今日もまた、魔理沙が本を盗みに来た。
本人は「借りるだけだ、死んだら返す」などと言い訳をしているが、被害者側から見たら、これほど迷惑で理不尽なやり取りはない。
書斎の主、パチュリー・ノーレッジは為す術もなく、今日もまんまと盗まれてしまった。
魔理沙の盗む本は、魔理沙の生業上、魔術書や化学分野の本が中心となっている。
今日もそれらしい本を大量に入手し、床に広げていざ読もうとしたとき、ある一冊の本が目に留まった。表紙には、「商いの心得」と書いてある。
魔理沙は、「大方、香霖が書いたんだろう」と予想していたが、著者を見ると…彼女の父親の名前があった。
彼女の父親は、里の道具屋「霧雨店」の主人である。彼は商人として一流の腕を持っており、里人や稗田家一族、里を守る半獣、慧音からも一目置かれている存在だ。かつて霖之助も此処で修業していた事からも、その腕前を窺い知る事が出来る。
技術を盗むのに長けていた魔理沙は、幼い頃は父親から商人のノウハウを盗み、めきめきと商人としての力を伸ばして行った。
…魔理沙が魔術関連の物を扱いたいと切り出すまでは。
霧雨店では魔術関連の品物を一切取り扱わないのが店の方針で、それに背く事がどれほどの意味を持つか魔理沙は理解していた。
敬愛する父親への裏切りである。
「魔術の品を取り扱いたいだと?ふざけるな!寝言は寝てから言え!!」
「うるせぇ!!店の方針だかなんだか知らんが、私は私のやりたい様にやると決めたんだ、てめぇなんぞにとやかく言われる筋合いなんかこれっぽっちもねぇんだよ!!」
「貴様…!!それが今まで手取り足取り教えてやった人間へ言う言葉か!?」
「あぁ、何度でも言ってやるさ!!この、頑固で無能な馬鹿親父!!何が霧雨店だ、こんな店、クソくらえだ!!」
「そうか、なら考えがある。貴様はもう霧雨の人間ではない。もう二度とその面を見せるな!!」
「誰が帰ってくるか、こんなとこ!!てめぇとは縁切りだ!!」
………
勘当されたときの思い出が、魔理沙の脳内にフラッシュバックしてきた。
「畜生めが…」
魔理沙は本を手に取ると、短い呪文を詠唱し、本を焼き払った。
「あー…ったく、苛々するぜ…せっかく借りた本を読む気にもなれん…もう寝る、不貞寝だ。」
親父は無事だろうか…
病気なんかになってないだろうか…
噂は耳にするから大丈夫だろう…
……
「…何であんな奴の事…」
枕元で呟いた。
「ダメだ、寝れん…」
30分程経っただろうか。一行に眠れる気配がない。
ふと魔理沙は起き上がると、八卦炉を手に取り外に出るや否や、天に向かって手を翳した。
「ストレス発散には、やっぱこれが一番だろ!」
魔力を八卦炉に集中させる。天に父親の顔を思い浮かべ、そこに向かって一気に魔力を開放した。
「恋符・マスタースパーク」
魔理沙は、自分の選んだことを後悔していない。寧ろ、これで良かったと思っている。
大商人の跡取り娘という、あんなにも恵まれた環境に生まれ育った魔理沙を、誰もが羨むだろう。
しかし、魔理沙は決して恵まれたとは思っていない。
生まれたときから将来を決め付けられ、自由も与えられない、鳥籠の中のような生活が、苦痛でしかないと知っているから。
鳥籠の外は、こんなにも素晴らしい世界である事に気付いてしまったから。
「さ、拝借した本でも読むか。」