このSSはキャラが一部変態です。あと百合ぃです。
「よう、美鈴。屋敷に入らせてもらうぜ」
魔理沙は四季から説教を受けて以来、紅魔館へ堂々と入るようになった。
「どうぞ。咲夜さんからも通して良いと言われてますし」
正面から入ることを決めた時、魔理沙は美鈴との弾幕ごっこで無い戦闘も覚悟していた。
その為最初はフル武装でやって来た。
だが美鈴は特に気にすることも無く魔理沙を通した。
今日も美鈴がコッペパンを手にしながら魔理沙を通す。
「またコッペパンなのか?紅魔館て待遇悪いのか?」
魔理沙が軽口を叩く。
「失礼な。このコッペパンは私の為に咲夜さんが石焼き釜で作ってくれた特製のパンです。美味しいんです」
「それが不思議なんだよな」
「何がです?」
「お前いっつも二言目には咲夜さん、咲夜さんだよな。紅魔館に通す理由も咲夜さん。何で妖怪のお前が人間につき従う感じなんだ?」
霊夢のように妖怪を魅了する例外は確かに居るが、ほとんどの妖怪は人間を見下す傾向にある。
咲夜も魅力的ではあるが、霊夢の持つ魔性の魅力ではない。
だが美鈴は霊夢には大して興味を持っておらず咲夜の事ばかり気にしている。
紅魔館の主であるレミリアが霊夢に懐いているのに。
それが魔理沙には不思議だった。
「あぁ。何かと思えば。答えは単純ですよ。昔、危ないところを咲夜さんに助けてもらったんです。それから私は咲夜さんが大好きなんですよ」
大好きという言葉を堂々と口にするので、聞いている魔理沙の方が恥ずかしくなった。
魔理沙は馴れ初めを聞こうとしたが、今度は美鈴が照れ出し聞けなかった。
「という事があったんだが」
魔理沙は図書館で咲夜、パチュリーに門前での事を話し出した。
今はティータイムである。
咲夜はニコニコしておりパチュリーは少し眉根を寄せている。
「良かったら教えてくれないか?美鈴って弾幕ごっこじゃなかったら結構強いだろ?どうやって咲夜は美鈴を助けたんだ?やっぱ強敵を倒して大怪我してる美鈴を咲夜が介抱したとか?それとも二人で協力してレミリアの敵を倒したとか?」
魔理沙は矢継ぎ早に質問を浴びせる。
「そうねぇ。じゃあ逆に聞くけど美鈴って何歳だと思う?」
咲夜が微笑みながら質問を返す。
「そりゃあ妖怪だしな。見た目は20歳前後だけど、100歳は越えてるだろ」
「残念。美鈴はまだ生まれて10年くらいよ」
魔理沙は心底驚いた。時折美鈴が見せる雰囲気は熟練した武術の達人のそれだったからである。
「いや嘘だろ。私よりも年下だってのか?」
「そうよ。紅魔館に来たのって2歳くらいのはずよ」
「て事は咲夜が母親代わりに育てたのか。危ないところを助けてくれたってのは育ててくれた事か」
「それも違うわね。妖怪が人間みたいに成長しないことは知ってるでしょ。あの子は生まれた時からボインバイン。言葉や知識もある程度なら備わってたわ」
「じゃあ助けられたってのは…」
「ふふ。美鈴と私の出会いを話すわね」
あれは8年前、私がこの館で働きだして間もない頃だったわ。
私は初めて里への買出しを任されたの。もちろん買出しは問題なく終わったわ。当然よね。
そして帰り道の途中で美鈴に出会ったの。
美鈴は定食屋のカウンターでみーみー泣いてたの。
そりゃあ驚いたわよ。見た目大人の女性が泣いてるんだもの。
店の人に聞いたら言葉も通じないし、持ってるお金も見たこと無い物って事だったわ。
店の人は『迷い込んだ外来人なら仕方ない、お金は良い』って言ってたんだけど美鈴は無銭飲食で咎められてると思い込んでたの。
言葉は通じないし、見たことも無い土地で不安になってたのね。
筆談しようにも美鈴は漢字の読み書きは出来なかったし。
私も完全に人間だと思ってたからお嬢様への食事にしようと考えたの。
健康そうだったしね。お嬢様が褒めてくれるはずだって。
それで代わりにお金を払ったの。そして逃げないように手を引っ張って紅魔館に連れ帰ったというわけ。
道中ずっと美鈴は大陸の言葉でお礼を言ってたわ。私は『暢気な人間だ。今から食べられるのに』って考えてた。
そしていざお嬢様の前へ出したら『流れ着いた妖怪みたいね。どこで拾ったの?』て言われちゃったわ。
慌てて『人間じゃないんですか!?どうしましょう!?』て相談したら
お嬢様は『庭師か門番にでもしなさい。貴女とメイド達では庭の手入れまでは無理そうだから』とすぐに処遇を決められたの。
流石お嬢様。
美鈴が日本語分かってなくて助かったわ。
それで美鈴に部屋と仕事を与えたの。結果人手不足も解消されて大助かり。
門番に配属されたのも良かったわね。
腕試しに訪れる人間を撃退する事で強くなれるし、自信が付いて気も強くなったわ。
10歳であの強さ。美鈴はもっと強くなるわよ。
私が美鈴とであった日。
その日が紅魔の盾の生まれた日ね。
「まぁこんな事があったのよ」
「って待て!それ全然危ういところ助けてない!てかむしろ危うい所に連れ込んでる!」
「あら。美鈴からすれば無銭飲食したところを助けてもらった上に、住み込みの仕事まで斡旋してもらったようなものよ」
「えー何でそんなに得意気なんだよぉ。美鈴騙されてるし。てかそんな理由で懐いてんの?!」
「確かに不自然よね。美鈴はむしろ私に懐くはずなんだけど」
今まで黙っていたパチュリーが口を開く。
「パチュリー様って何かしましたっけ」
「ちょっと待ちなさい。美鈴に日本語の読み書き教えたの私。最初の二ヶ月間は美鈴は図書館に居たでしょ」
「そうでしたっけ」
「そうだったの。その時に美鈴の年齢とか生い立ちとか分かったんでしょうが。他にも幻想郷のルールとか常識教えたのも私」
「意外だな。美鈴の事気にしてるんだな。門番は無能がやる仕事とか前に言ってなかったっけ」
「門番なんて無能がやる仕事よ。美鈴に相応しいのは私の助手。美鈴が居た時は甲斐甲斐しく私の世話してくれたわ。飲み込みも早かったし。プレゼントだってしたのよ?美鈴が帽子に付けてる星型の飾り、あれこの三日月の飾りと対なのよ。夜であるレミィを照らす月と星」
パチュリーが飾りを指差す。
「なのに美鈴は咲夜に夢中。出来る限り優しくしたのに。今じゃ門番が暇な時は咲夜の手伝いばっかり。何でかしら」
「秘訣があるんですよ」
「秘訣?」
「えぇ。餌付けです」
「餌付けって…美鈴は健啖だけど卑しくないわよ?」
「パチュリー様は餌付けの正しいやり方はご存じないようですね。あれは与える食べ物に与えた人の匂いを染み込ませるんです」
「匂いってまさか」
「えぇ。汗と唾液とか」
次の瞬間パチュリーが紅茶を噴き出した。
「貴女何考えてるの!てまさか今日のコッペパンにも入れてないでしょうね!」
咲夜は無言で微笑む。
「っぎゃー!美鈴!今すぐそのパンをぺッてしなさい!」
パチュリーが風に乗り大慌てで図書館から飛び出す。
「追いかけなくて良いのか?ありゃあ美鈴に餌付けの事絶対話すぞ?」
「大丈夫よ。美鈴も知ってるもの」
今度は魔理沙が紅茶を噴き出した。
「何で!?知ってて美味しいとか言ってるのか!?」
「勿論よ。あの子が顔赤らめながら『咲夜さんを食べたいです』とか言うから『もう貴女は私を食べてるわよ』『え?』『実は貴女が食べてる創作中華は…』てな流れで」
魔理沙はすぐ家に帰って今日のことは忘れて眠る事に決めた。
咲夜が嬉々として美鈴とのプレイを話し始めたからである。
帰り際、門の近くにパチュリーが居た。目が虚ろだった。
「そんなに効果あるならレミィと妹様に試してみる価値はあるわね。次の研究テーマはこれね」
何か聞こえてきたがもう無視する事にした。
これから数日後、神社での宴会準備を手伝おうとした魔理沙が
「皆、私にメロメロになぁれ」と言いながら、サラシを煮込んでいる霊夢を目撃するのはまた別の話。
つまり何が言いたいかというと、こんな設定もいいが、美鈴はもっと長く生きてると思うんだ!
咲夜さん自重なさい。だが、もっとやれ!
パチェリーにも頑張ってほしいところ。
キーボードがファンタでベトベトなんだがwww
美鈴が育てられたっていう逆発想もありかもしれませんねぇw
なんか作者の発想に負けた。美鈴かわいいよ美鈴。
小悪魔には悪いけどこの解釈に感動した。ぱちゅめーいいよぱちゅめー
これはいい。
今更なのにおもわずコメしてしまったぜ・・・