ある日の事。
「め~りん♪遊んで~っ♪」
「まだ仕事が終わってませんので…夜に遊びませんか?」
紅魔館の昼下がり。珍しく早起きしたフランは、美鈴の居る門に足を伸ばしていた。美鈴に遊んでもらおうとしたのだが、あっさりと断られてしまった。
普段のフランならば仕方ないと理解するのだが、今日は様子が違った。
「やだやだ~!今すぐ遊んでー!」
「困りましたねぇ……」
駄々をこねるフランに何度言い聞かせても嫌だの一点張りだった。
美鈴は木陰にフランを連れて行くと、後ろから抱き締める形で腰を下ろす。
この間にフランはジタバタと暴れていたが、後ろから抱き締められた事でピタッと動きを止めた。
「めーりん……?」
「遊ぶのは無理ですから、こうしています。これでは駄目ですか?」
首を傾げながら問いかける美鈴に、フランは首を横に振る。そして、体勢を変えて真正面から抱き付いた。
「これなら…遊ばなくても我慢する……」
「はい、ではこうしていますね?」
窒息しないように軽く抱き締める美鈴。フランは暖かな美鈴の体温を感じながら、十数分もしない内に眠りについてしまった。
フランの美鈴は優しい美鈴。どんな事があっても優しく接する。
ある日の事。
「…スゥ……スゥ…」
今日も今日とて居眠り美鈴。何時もなら額にナイフが刺さるところだが、今日は刺さらない。
メイド長はお出かけ中。だから安心して居眠りが出来る……訳ではなかった。
突然美鈴の周りに数名の妖精メイドが現れ、屋敷の中に連れて行った。
「ご苦労様。下がりなさい。」
美鈴が運ばれた部屋に居たのはレミリアだった。(余談だが美鈴は未だに爆睡中である。)
人払いを済ませると美鈴に近寄る。
「咲夜が居ると出来ないのよね、これ。」
誰に言うわけでもなく呟けば、ゆっくりと美鈴に抱き付いた。そしてふくよかな胸に顔を押し付けてスリスリする。
「ああ…幸せ…」
この時のレミリアの顔は、言うまでもなくカリスマ0の顔である。
「ん……ふぁ~…よく寝た…」
美鈴が目を覚ました。寝ぼけ眼で胸に顔を埋めるレミリアを見ると、ふわりと頭を撫でた。
「美鈴…?」
「お嬢様、寝ている間に人を拉致しないでくださいね?」
怒るわけでもなく、ただの注意で終わった。しかも微笑みながら。
雇われているから怒れないのであるのだが、普通動揺したり嫌がる素振りを見せるものである。
しかし美鈴はそのような素振りを見せず、頭を撫でた。優しく、大切な者にするように。
「…うん……」
レミリアは気品溢れるような返事ではなく、見た目相応の返事をしていた。そして、二人で夕食の時間まで眠っていた。
レミリアの美鈴は安らぎ美鈴。素直な自分が自然に出せる。
ある日の事。
「お二人とも、ちゃんとお風呂に入られましたか?」
「ええ。」 「うん!」
寝間着姿のレミリアとフランが答える。
すぐさま美鈴に抱き付くフランに、美鈴の近くに座るレミリア。
暫く黙っていたレミリアだが、意を決して口を開いた。
「ねえ…美鈴…」
「何ですか?お嬢様。」
「その…お嬢様は止めてくれない?今日は…私達のお母さんでしょ?」
「では…お嬢様も美鈴と呼ぶのを止めていただけますか?」
話を遡ること昼頃、美鈴は紅魔館のガラスを割ってしまった。その事を知ったレミリアは、表向きには減俸と、償いとして1日姉妹の母親代わりになるように命じた。
母親代わりになることはレミリアも何度か考えていたが、フランが先に提案してきた。レミリアにしてはこれに乗らない手はないと思い、フランの提案を了承したのである。
「そ…それは……」
「妹様は呼んでくれますよ?」
「おかーさん!その呼び方だめっ!」
妹様と呼ばれたフランは、頬を膨らませながら怒った。美鈴は優しくフランの頭を撫でる。
「解ってるわフラン。ただお嬢様に説明するのに呼び捨てはどうかな…って思ったの。」
「良かった~…♪」
幸せそうなフラン。それを見ていたレミリアは、どこか疎外感を感じていた。
羨ましくないと言えば嘘になる。思い切り甘えたい。抱き付いて胸に顔を埋めたい。だが、フランの前で甘えることはプライドが許さなかった。
「…レミリア。」
美鈴は、何時の間にかフランを離してレミリアを抱き締めていた。
驚きに目を見開くレミリアに、美鈴は優しく語りかける。
「子供が甘えるのに…プライドとかは関係ないわ。子供が親に甘えるのは当たり前の事よ?」
「お母…さん……」
「お姉様ばっかりズルいー!私もー!」
「はいはい、フランもいらっしゃい。」
二人纏めて抱き締める美鈴。その姿は、まさしく姉妹の母親であった。
「おかーさん……おやすみなさい…」
「はい、おやすみなさいフラン。」
フランの頬に軽くキスを落とす。美鈴の腕を抱き締めながら、フランは数分もしない内に眠りについた。
「……ねえ…お母さん…」
「レミリア?何かしら?」
「その…また…こういう風に三人で寝ましょう?」
「ええ、勿論よ。」
優しく頭を撫でると、気持ちよさそうな顔をするレミリア。同時に、猛烈な睡魔が襲ってきた。
レミリアが眠そうだと悟った美鈴は、フランにしたようにレミリアの頬にキスを落とす。
「おやすみなさい、レミリア。」
「うん…。おやすみなさい…お母さん…」
ゆっくりと瞼を閉じる。美鈴…母の腕を抱き締めて、紅い悪魔は眠りにつく。
夢でも美鈴が出るように願ながら…。
二人の美鈴は母親美鈴。二人が唯一甘えられる人。
二人は美鈴の愛娘。どんな事があっても守り抜く、大切な存在。
こんなもの見せられて気分が悪くなるわけないじゃんかよ!!あーもう、GJ!!
さきゅや「おかーさん……」
次の展開はこうですか? わかりません!
パチュリーと小悪魔もやってきたら、ビッグ・ママ美鈴の出来上がりですね!
美鈴「あら、あなた。おかえりなさい(はぁと)」
咲夜「め・・・美鈴!?」
美鈴「ご飯にする?お風呂が先?それとも・・・」
咲夜「なななななななにをいって!?いや、もちろん最後のがって違っ!じゃなくて!」
レミリア「あ~おとーさんお帰り~」
咲夜「お嬢様!?」
ごめんなさい。変な電波が・・・。美鈴はお母さんだよ!その他は美鈴の娘だよ!
むしろやって下さい!
異論は一寸も認めない。
>万葉様
このような稚拙な文でそこまで賞賛して頂けるとは、光栄の極みです。ありがとうございます。
>等品 骸様
賞賛のお言葉、ありがとうございます。そのお言葉を糧に、これからも精進していく所存でございます。
>僻人様
咲夜さんと美鈴で書いてみようと思います。ネタ提供、ありがとうございます。
>脇役様
それだけではありません。妖精バカルテットも入れたら…完璧です。
>5様
美鈴はみんなのお母さんです。侵入者の白黒にも母性愛を出すこともあるかもしれません。
>6様
色々と美鈴お母さんネタを考えております。出来上がったら見てください。
>7様
ええ、美鈴は紅魔館のお母さんです。異論はありません。
いらっしゃるのですね、わかります
私も混ぜて~、と目で訴えるようにwww