Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

氷精と向日葵畑

2008/10/05 06:20:33
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この作品は、プチ作品集31にあります「氷精と祟り神」及び当作品集の「その裁きは、怒りか優しさか。」とチルノちゃんのキャラと設定が少しだけ繋がっています。そちらを読まなくとも楽しめますが、読んで頂ければより楽しんで頂けると思います。






西の空が茜色に染まり、頭を垂れる向日葵達を彩る、ここは太陽の畑。
風見幽香はそんな向日葵達の傍らでティーカップを片手に沈みゆく夕日と変わりゆく季節を眺めていた。テーブルには温かなティーポットと甘い香りを放つ焼き菓子。まるで此処だけが時の流れから切り離されたかの様な、ゆったりとした一時…

「ゆーかっ あたいと勝負だっ!うにゅっ」
しかし、その静かでゆったりとした一時は元気一杯な氷精、チルノの来訪によって元の時の流れへと引き戻された。幽香は涼しい顔をして突進してきたチルノを片手で受け止めると、そのままくるりと一回転させて膝の上に載せた。
チルノは幽香の体に背を預ける格好で幽香を見上げて勝負をしようと訴える。だが幽香はそんな気が無いのか笑顔でチルノの頭を撫でてやるのみ。

「残念だけど今はそんな気分じゃないわ。それに最強を名乗る者はティータイムの邪魔なんて無粋な事はしないものよ」
「ええ~?勝負しようよ~」
チルノは幽香を見上げながら足をバタバタと振って勝負をねだる。すると幽香は微笑みを崩す事無くチルノの鼻を摘んだ。
「むーっ!はなせ~!」
「言うことを聞かないからよ。邪魔しないって約束するなら離してあげるわよ?」
「あうぅ…わかったよ~だから離してよ~」

膝の上でおぶおぶと暴れるチルノを解放してやると、涙目で赤くなった鼻を押さえながら幽香を睨み付ける。

「う゛~、ゆーかのいじわるぅ~」
「私のティータイムを邪魔したのはチルノでしょう、自業自得よ。」
「隙ありっ!たあぁーっ!」
「はい残念、これでも食らいなさい」
「あふぇ…もぐもぐ…」
「おいしい!もっと、もっとちょうだい!」
「やれやれ、随分と現金ねぇ…ほら」
「わ~い」

隙を見て手を伸ばしてきたチルノを拘束すると、開いていた口の中へ焼き菓子を放り込んでやる。すると先程までのやかましさは何処へやら、夢中で食べてからお代わりをせがんでくる。
口の中に入れてやったり、入れる寸前に自分で食べてぶんむくれたチルノに顔をぺちぺちと叩かれ、お返しとばかりに頬をぷにぷにと押してみたりと、和やかなティータイムは再び静かに流れていった。


やがて菓子も紅茶も残り少なくなった頃、チルノは満足気にお腹をさすりながら向日葵畑に目を遣っていた。秋を迎えた向日葵達の花は枯れてしまい、夏の頃の生き生きとした姿は見る影もない。だがその代わりに種がぎっしりと詰まっていて、頭を垂れて種を大地に落とす様は、まるで次の世代が無事に芽生える事を祈っているかのようにも見える。実りの季節に垣間見えるもの哀しい雰囲気…チルノは何か感じるものでもあったのか幽香に話し掛けていた。

「ひまわり枯れちゃったね」
「そうね、今年ももうお別れだわ」
「さみしくないの?」
「寂しくなんか無いわ。種が落ちて芽が生えて、来年の夏にはまた会えるわ、あの子達の子供にね。別れはあるけどまた新しい出会いがある…それはずっと続いていくもの。だから寂しくないのよ」
「そっか…ねぇゆーか…」
「なぁに?」
「あたいに種ちょうだい」
「あら?お菓子じゃ足りなかった?」
「ち、違うよ!あたいも育ててみたいんだ…ひまわり」
「どうして?」

唐突に向日葵を育てたいと言い出したチルノに少し驚きながら幽香は尋ねてみた。そして、チルノから返ってきた答えは非常にシンプルなものだった。

「あたいも会ってみたいから」
「それだけ?」
「うん、ダメ?」
「…いいわよ、ただし…」
「ふぅえ!?」

幽香はチルノの体を反転させて自分の方に相対させると、いつもの笑顔で言い放った。

「言ったからにはきちんと最期まで育てる事。途中で投げ出したりしたら…分かるわね?」

並の人妖ならばたちどころに竦み上がり、我先にと逃げだしそうな笑顔。花をこよなく愛し、それこそ自分の子供の様に接している幽香である。向日葵はそんな幽香の象徴だ。ぞんざいに扱えばどんな目に遭うかは想像に難くない。しかしチルノは臆する事無く、いや逆に満面の笑顔で応える。

「うん!絶対育てる!それにあたいは最強だもん!きっと最強のひまわりになるよ!」

一瞬面食らった幽香だが、次の瞬間には笑い出してしまっていた。

「あははっ!そうか!やっぱりチルノは最強だわっ!あはははっ!」
「あ~っ!あたいのことバカにしてるでしょっ、あたいバカじゃないもん!」
「してないわ…ただ…あはははっ!」
「やっぱりゆーかはイジワルだっ!ゆーかなんてキライ!」

しばし爆笑していた幽香だったが、チルノが本格的に泣きそうになったのを見てようやく笑うのを止めた。

「それじゃあこれ、約束忘れないでよ?」
「うん!最強のひまわりにするんだから!」
「ふふ…そうね…ねぇ、その子達に会いに行っても良いかしら?」
「いいよ!見たら幽香がビックリするよ!」
「それは楽しみね、じゃあまたね、チルノ」
「バイバイ!幽香!」

種の入った袋を大事そうに持って飛び去るチルノを見送ると、幽香は再び椅子に腰掛けた。辺りはすっかり暗くなり、月明かりが仄かに向日葵を照らしている。

「来年か…待ち遠しいわね、たまに見に行ってみようかしら?」

紅茶を飲みながら幽香は一人呟いていた。来年の夏、新たに生まれた向日葵畑と、そこで手を振る小さな友人を思い浮かべながら。
万葉です。
さてさて、すっかり肌寒くなっている今日この頃、皆様は如何お過ごしでしょうか? 心は常に夏でいたいと思い、書かせて頂い…これ秋の話だ!どうやら私の頭は春のようです。さようなら、秋姉妹、こんにちは、リリーさん…甘酒でも飲んで気持ちを落ち着けてきます。 お読みいただいて有り難うございました。忌憚なきご意見をお願い致します。


↓自重知らずのおまけです(破茶滅茶ですのでご注意を…)



「あうう…ゆーかぁ…」「チルノ…その怪我…どうしたの?」
「ごめん…ひまわり護れなかった…」「詳しく話してごらんなさい」

「そう…そんな事があったの。残念だわ…」「あたい…やっぱりバカだった…最強でも…ないや…」「…ちよっと出掛けてくるわ、夢月!この子をお願いね」「承知しました!」「ゆーか、ごめんね…」「気にしなくて良いわ」


「一人で行く気かしら?」「レミリア、何故ここに?」「チルノの想いが踏みにじられたと聞いたもので、飛んで参りました」
「ねえ?誰がチルノちゃんを苛めたの?教えてよ?ねぇ!?」「落ち着きなさい、フラン。猛り狂っているのは私達だけではないのよ」
「小悪魔の能力制限解除、思い切り行きなさい」「言われなくてもやっちゃいます~」
「紅魔館メイド隊、並びに門番隊は全部隊出撃。目標を捕捉後完全に破壊せよ」「イエス!マム!」「美鈴、本気で怒っているのね…ならば私も!」
「そーなのがあぁぁぁっ!」「ぢんぢんっ!」
「あの子の気持ちを踏みにじるとはねぇ…いい度胸だよ」「私は絶っ対許さないぜ…いやマジで」
「無性に腹が立つのは何でかなぁ?妹紅?」「何でかねぇ?輝夜…」
「チルノちゃんが虐められて…フフ…クスクス…」「ひぃっ!師匠がマジギレ!?」
「もう○す!穴だらけにしてやる!○ロス○ロス○ロス」「落ち着いて衣玖!分かったから落ち着いて!」
「藍様!絶対に許せませんっ!」「うむ…今宵の九尾は血に飢えておる…」
「さ~て、どうヤろうかしらね?幽々子」「決まってるじゃない、紫ったら…それはもう凄惨によ~」
「早苗よ、私達も行くよ!」「当たり前ですっ!」
「四季様…これは…」「これで彼女が最強だと言う意味が理解出来たでしょう?」
「そう言う事よ、幽香。あんた一人にヤらせないわ」
「フッ…想いは皆一緒って事ね…いいわ!行きましょう!」
「では大妖精、出立の音頭を!」
「お前等!本気でヤっちまえ!!」
「「「「「応!!」」」」」


結論・チルノちゃんをいぢめると、凄絶な目に遭います。

「はい、あ~ん」「うにゅ…おいしい…」
「はあぁ!可愛いなぁもうっ!」「ちょっと!次は私にやらせてよ!」「だーめっ、これは私が仰せつかったんだからね!」
「んん…あたいねみゅい…」「いょっしゃあ゛ぁぁ!私が添い寝してあげるっ!」
「く…くるみ!?いつの間に?!」

作者のチルノ熱が臨界を超えました…誰か助けて…
万葉
コメント



1.欠片の屑削除
「うにゅっ」とかが逐一可愛いw チルノは可愛いからチルノだと、誰かが言ってたw
こういう雰囲気はとても好きです。
2.喚く狂人削除
チルノのSSは最近書いたからいいやと思っていましたが、この作品を読んでチルノ株が連日ストップ高なので、何かしら書こうと思います。
大変美味しゅうございました。
3.名前が無い程度の能力削除
チルノなら東方全キャラとコンビ組める気がする。
4.名前が無い程度の能力削除
幽香さんを、幻想郷を虜にするチルノ嬢は間違なく最強。
正直東方を知ったばかりの頃は余りチルノは好きでは無かったのですが、最近大好きです。
故にこのSSと万葉さんにありがとう。
『チルノちゃん泣かしたヤツ殲滅群』に地霊殿ファミリーも加えてもっとハチャメチャに。
多分誰よりも『冬の忘れ物』と『博麗霊夢』が静かに怒りそうで恐い。
5.Unknown削除
そういやどこぞの動画のうp主も
「パル×チルなんてどうよ!!」
って言ってたなぁ(笑)


チルノは間違いなく最強だぜ!
6.名前が無い程度の能力削除
チルノが幻想郷影の支配者なんですね。わかりますw
7.万葉削除
レス返しを致します。
>>欠片の屑様
お読み頂き有り難うございます。 「うにゅっ」や「うみゅぅ…」はチルノちゃんの為にこそあるんです!だって可愛いですもん!
>>喚く狂人様
お読み頂き有り難うございます。チルノちゃん熱が貴方にまで…有り難う…でも気を付けて!それは万葉の罠よ!
>>3様
お読み頂き有り難うございます。実は皆が狙っているやも知れません…チルノちゃんのパートナーの座。これを巡って少女達の熱い戦いが始まる…いえ、始まりませんよ?>>4様
お読み頂き有り難うございます。私は一目で撃沈致しました。と言っても一目惚れしたキャラは数知れないですが…さぁ!浮気者の作者は放っておいて声高に「チルノ最高」と叫びましょう!「殲滅群」、良い響きです。
>>Unknown様
お読み頂き有り難うございます。パルさんとチルノちゃんですか…成る程…うふ、うふふ。あ、失礼しました…チルノちゃんは最強です!
>>6様
お読み頂き有り難うございます。そう!彼女こそがとある偉大な御仁が幻想郷に遣わした支配者なのです!本人は恐らく気付いていないですが。無意識の内に少女達を動かしています。主に可愛らしさで。
8.地球人撲滅組合削除
最近、創想話でチルノ分を過飽和に摂るようになりました。もうそんな季節ですかねぇ(しみじみしじみ
さようなら、リリーさん。こんにちは、チルノちゃん。

チルノは自分にまっすぐだから書き手にも読み手にも優しいのですよ、きっと。
特に貴公のチルノは、もう、チルノだッ!そう、チルノだッ!


チルノ大さじ2杯、ごちそうさまでした。
9.名前を表示しない程度の能力削除
さすが万葉氏!チルノの可愛さを存分に引き出しているッ!そこが羨み妬ましいッ!
…無論ゆうかりんも可愛いですよ、可愛いですよ。言わないとアレされそうなんで二度言いました。

とか思ってたらあとがきがやばいw
泣かした人物が蒸発しそうなメンツ勢ぞろいですが結局泣かしたのはどなた?
10.万葉削除
レス返しを致します。
>>地球人撲滅組合様
お読み頂き有り難うございます。もうチルノちゃんとレティさんの季節ですね。ちなみに私はもうストーブを焚いております(笑)あと私はチルノちゃん分を毎日3ガロン程摂取していますが全く中毒ではありません。


しじみ?

>>名前を表示しない程度の能力様
お読み頂き有り難うございます。目が、目が緑色に…二回と言わずに千回でも万回でも言って下さいな、作者がチルノちゃんに会いに行けます。
>「泣かしたのはどなた?」はい、名も無き愚か者とだけ言っておきます。消し飛ぶならまだ幸せかと…
11.コメント肆番の者ですが。削除
「殲滅群」はお気に召した様で何より。
どうしても気になる部分を見つけてしまったので再度コメントさせて頂いた次第です。
つ「落ち着いて依玖!」→「衣玖」
すいません、細かい事で。
12.万葉削除
レス返しを致します。
>>11(4)様
誤字のご指摘有り難うございます。早速修正致しました。キャラの名前でこういう間違いを犯すとは…まだまだ精進せねばなりませんね…
殲滅群は一目惚れ致しました!これは間違いなくチルノちゃんをいぢめた大たわけにのみ発動するラストワード! 地獄の苦しみ?ふふ…可愛らしい響きです。
13.名前が無い程度の能力削除
後書きの中に魔理沙がいない・・・標的は魔理沙か!オワタなこりゃw
14.万葉削除
レス返しを致します。

>>13様
「いやいやいや! 私はここにいるぜ?! 」
「人の台詞盗るんじゃないよ、莫迦が」
「な、ぜ」

はい、魅魔様の後が魔理沙さんです……台詞で特徴を出すのがいかに難しいかがよく分かります(難)
15.謳魚削除
霊「…………あれだけの人数で行くのなら出番は無さそうね(ズズッ)ふぅ……」

レちぃ「私にも御茶頂戴な霊夢」

霊「……あんた行かなくていいの?」

レちぃ「女の子は泣いて強くなるものよ」

霊「ふぅん……過保護なだけじゃないのね……(ズズッ)」

レちぃ「そ、れ、よ、り、れいむ~おちゃ~」

霊「はいはい、分かったからちょっと待ってなさいな」

レちぃ「愛情もたっぷり入れてnごめんなさい夢想天生は御勘弁をっ!(素晴らしい土下座)」

レちぃはスパルタママン。
霊夢さんは基本見守るスタンス。
そしてらぶらぶばかっぽぉ。
そんな二人の娘がチーちゃん(だと良いなぁ)

あ、コメントの4&11は私で御座んす。

長駄コメント失礼しました。
ぺこり。
16.万葉削除
コメ返しを致します。
>>謳魚様
あのコメ謳さんだったのですか。その節はどうもお世話になりました。
……殲滅群、確かに頂きました! いつも有り難う御座んす。